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2005.11.04

最高裁判所判例 平成17年10月11日 第三小法廷判決 平成15年(行ヒ)第295号、296号 公文書非公開決定処分取消等請求事件

判例 平成17年10月11日 第三小法廷判決 平成15年(行ヒ)第295号、296号 公文書非公開決定処分取消等請求事件
要旨:
 1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が,「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報」に当たり,旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たらないとされた事例
2 土地開発公社が個人に対して支払った建物,工作物,動産,植栽等に係る補償金の額に関する情報が旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たるとされた事例

内容:  件名 公文書非公開決定処分取消等請求事件 (最高裁判所 平成15年(行ヒ)第295号、296号 平成17年10月11日 第三小法廷判決 一部破棄自判,一部棄却)
原審 大阪高等裁判所 (平成14年(行コ)第90号)

主    文
1 原判決のうち別紙目録1の記載部分に関する部分を破棄し,同部分につき第1審被告の控訴を棄却する。
2 原判決のうち別紙目録2及び3の記載部分に関する部分を破棄し,同部分につき第1審判決を取り消し,同部分に関する第1審原告の請求を棄却する。
3 第1審原告のその余の上告及び第1審被告のその余の上告をいずれも棄却する。
4 訴訟の総費用は,これを2分し,その1を第1審原告の負担とし,その余を第1審被告の負担とする。
         
理    由
第1 事案の概要
1 本件は,奈良県(以下「県」という。)の住民である第1審原告が,旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの。以下「本件条例」という。)に基づき,第1審被告に対し,県の依頼により奈良県土地開発公社(以下「公社」という。)が土地の先行取得を行った案件に関する文書の開示を請求したところ,平成13年1月4日付けで一部を非開示とする決定(以下「本件決定」という。)がされたので,その取消しを求める事案である。
2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 本件条例10条は,「実施機関は,公文書の開示の請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されているときは,当該公文書の開示をしないことができる。」と定め,その2号,3号,7号及び8号において,以下のとおり規定している。
2号「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの。ただし,次に掲げる情報を除く。ア 法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報 イ 公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報 ウ 法令等の規定による許可,免許,届出等の際に実施機関が作成し,又は取得した情報であって,開示することが公益上必要であると認められるもの」
3号「法人(国及び地方公共団体を除く。)その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって,開示することにより,当該法人等又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれると認められるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。ア 事業活動によって生じ,又は生ずるおそれがある危害から人の生命,身体又は健康を保護するために,開示することが必要であると認められる情報 イ 違法又は不当な事業活動によって生じ,又は生ずるおそれがある支障から人の財産又は生活を保護するために,開示することが必要であると認められる情報 ウ ア又はイに掲げる情報に準ずる情報であって,開示することが公益上必要であると認められるもの」
7号「県又は国等の事務事業に係る意思形成過程において,県の機関内部若しくは機関相互間又は県と国等との間における審議,協議,検討,調査研究等に関し,実施機関が作成し,又は取得した情報であって,開示することにより当該事務事業又は将来の同種の事務事業に係る意思形成に著しい支障が生ずるおそれがあるもの」
8号「県又は国等が行う取締り,監査,検査,許可,認可,試験,入札,交渉,渉外,争訟,人事その他の事務事業に関する情報であって,開示することにより,当該事務事業の目的が損なわれるおそれがあるもの,特定のものに不当な利益若しくは不利益が生ずるおそれがあるもの,関係当事者間の信頼関係若しくは協力関係が損なわれると認められるもの又は当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるもの」
(2) 第1審被告は,本件決定において,地権者の公社に対する代金の請求書,公社と県との間の用地先行取得に関する契約書,地権者と公社との間の売買契約書,県知事作成の公社あて土地取得依頼書に添付の土地取得調書,不動産鑑定士作成の鑑定評価書並びに県職員作成の公社あて代金支払依頼書,契約調書兼内訳書,代金支払検査に関する検査調書,代金支払依頼の進達書,土地調査表,宅地価格評定表,宅地価格比準総括表,事例カード,補償対象の物又は権利に関する調書,建物等補償報告書の補償費総括表及び同報告書に添付の補償費の積算根拠資料について,別紙目録1ないし5の記載部分に関する情報が本件条例10条2号及び8号所定の非開示情報に,同目録6の記載部分に関する情報が同条3号及び8号所定の非開示情報に,同目録7の記載部分に関する情報が同条7号及び8号所定の非開示情報に,それぞれ該当することを理由として,同目録1ないし7の各記載部分(以下,それぞれの記載部分を同目録の番号を付して「1の記載部分」,「2の記載部分」などという。)を非開示とした。
(3) 上記各文書は,公社が,県から国道又は県道の改良工事事業のために用地の先行取得を行うことの依頼を受けて,平成12年に個人又は法人の地権者から土地を買収した6案件に関するものである。これらの案件に係る事業は,いずれも土地収用法3条所定の土地を収用することができる事業であるが,本件決定時において,上記各案件以外に事業用地として取得が計画されている土地の中には,買収が完了していないものもあった。
(4) 上記各案件の土地の買収価格については,公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの。以下「公拡法」という。)7条の適用があるものとされ,当該土地が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下同じ。)2条1項の都市計画区域内に所在するときは,同法6条の規定による公示価格を規準として算定した価格としなければならず,当該土地が上記都市計画区域以外の区域内に所在するときは,近傍類地の取引価格等を考慮して算定した当該土地の相当な価格としなければならないとされている。
県の職員は,上記買収価格の算出過程で,不動産登記簿謄本,土地所在図及び地積測量図を取り寄せ,測量図面を作成し,土地に関する調書を作成する。そして,買収対象地の単価を定めるための参考資料として,土地調査表,宅地価格評定表,宅地価格比準総括表,事例カード等を作成する。買収対象地の近隣に適当な地価公示法2条1項の標準地がない場合には,不動産鑑定士に依頼して標準となるべき土地の価格の鑑定評価が行われることもある。また,買収対象地そのものの価格の鑑定評価が行われる場合もあるが,その例は少ない。このように取りそろえられた各種の資料や不動産鑑定評価書に基づき,県において買収価格が決定され,地権者に提示される。
(5) 上記各案件の土地上に建物,工作物,動産,植栽等がある場合の補償は,県において定められた損失補償基準に基づいて算出される価格によって行われた。補償価格の算定の根拠となる各種図面その他の資料を作成するために,建物及び工作物については求積,建物平面図の作成並びに築年数及び使用部材の等級の調査が行われ,植栽については所在,本数,樹齢,管理状況等の調査が行われるほか,居住状況(居住者の人数,氏名,年齢等),営業状況(営業用動産,営業収支及び従業員数),動産の配置状況及び賃借権等の権利関係の調査がされる。上記補償価格は,県において上記資料に基づき決定され,権利者に提示される。
(6) 1ないし5の記載部分については,その記載等によって,公社が土地を買収し,又は補償金を支払った特定の個人地権者を識別することができる。
(7) 7の記載部分には,土地の買収価格及び建物等の補償価格を決定するための根拠となった各種情報が記録されている。そのうち,土地の買収価格を決定するための根拠となった情報は,上記の宅地価格評定表,宅地価格比準総括表及び事例カードに記録された買収対象地の買収単価の決定のために参考とされた情報並びに不動産鑑定評価書に記録された土地の価格の鑑定評価に関する情報である。また,そのうち,建物等の補償価格を決定するための根拠となった情報は,建物等補償報告書の補償費総括表及び同報告書の添付資料に記録された補償価格の積算根拠に関する情報であって,地権者の生活や事業の詳細を推知させる多数の情報が含まれている。
(8) 県職員と地権者との間で買収又は補償に関する合意がされれば,県と公社との間で用地先行取得に関する契約が締結され,その後,公社と地権者との間で売買契約又は補償契約が締結され,公社は,県の依頼を受けて買収価格又は補償価格に相当する金員を地権者に支払うこととなる。公社の支払資金は,基本的には,公拡法25条の県の債務保証に基づく金融機関からの借入金によって賄われる。県は,予算措置を講ずることができた段階で,公社から当該土地を取得する。
第2 平成15年(行ヒ)第295号上告代理人川村俊雄ほかの上告受理申立て理由のうち2ないし5の記載部分に関する情報に係る部分及び平成15年(行ヒ)第296号上告代理人坂本団ほかの上告受理申立て理由第2について
1 原審は,次のとおり判断して,本件決定のうち1の記載部分を非開示とした部分に違法はないが,2ないし5の記載部分を非開示とした部分は違法であるとした。
(1) 1の記載部分に関する情報は,本件条例10条2号所定の非開示情報に該当する。
(2) 2及び3の記載部分に関する情報は,本件条例10条2号及び8号所定の非開示情報に該当しない。
(3) 4及び5の記載部分に関する情報は,本件条例10条2号及び8号所定の非開示情報に該当しない。
2 しかしながら,原審の上記判断のうち,(3)は是認することができるが,(1)及び(2)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
(1) 1及び4の記載部分に関する情報について
前記事実関係等によれば,1及び4の記載部分に関する情報は,公社が個人地権者から買収した土地の所在,地番及び地積,同土地上の建物の所在地及び面積並びに当該個人地権者の住所及び氏名に関する情報であって,当該個人地権者が識別され得るというのである。そうすると,1及び4の記載部分に関する情報は,個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものということができる。
しかし,公社が土地又は建物を買い取ったことに係る所有権の移転,当該土地の所在,地番及び地積,当該建物の所在地及び面積並びに売主である個人地権者の住所及び氏名は,一般に不動産登記簿に登記されて公示されるものである。そして,これらの事項が登記されていないことについて特段の主張,立証のない本件においては,1及び4の記載部分に関する情報は,本件条例10条2号アにいう「法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報」に当たり,同号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
また,上述したところによれば,1及び4の記載部分に関する情報を開示することによって,今後の県の用地買収事務の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるとはいい難く,上記情報は,本件条例10条8号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
(2) 5の記載部分に関する情報について
前記事実関係等によれば,5の記載部分に関する情報は,公社が個人地権者から買収した土地の買収価格に関する情報であって,当該個人地権者が識別され得るというのであるから,5の記載部分に関する情報は,個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものということができる。
ところで,本件条例の趣旨,目的等に照らせば,本件条例10条2号イにいう「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報」には,実施機関が作成し,又は取得した情報であって,公表することがもともと予定されているものも含まれると解するのが相当である(最高裁平成13年(行ヒ)第83号,第84号同15年10月28日第三小法廷判決・裁判集民事211号287頁参照)。前記事実関係等によれば,上記買収価格については,公拡法7条の適用があるものとされ,当該土地が地価公示法2条1項の都市計画区域内に所在するときは,同法6条の規定による公示価格を規準として算定した価格,すなわち,当該土地と同法2条1項の標準地との位置,地積,環境等の土地の客観的価値に作用する諸要因について比較して,標準地の公示価格と当該土地の買収価格との間に均衡を保たせるように算定した価格としなければならず,当該土地が上記都市計画区域以外の区域内に所在するときは,近傍類地の取引価格等を考慮して算定した当該土地の相当な価格,すなわち,正常な取引価格としなければならないとされているというのであるから,いずれも売買の当事者間の自由な交渉の結果が上記買収価格に反映することは比較的少ないものというべきである。そして,当該土地が公社に買い取られた事実については不動産登記簿に登記されて公示されるものである上に,当該土地の価格に影響する諸要因,例えば,駅や商店街への接近の程度,周辺の環境,前面道路の状況,公法上の規制,当該土地の形状,地積等については,一般に周知されている事項か,容易に調査することができる事項であるから,これらの価格要因に基づいて公示価格を規準として算定した価格又は近傍類地の取引価格等を考慮して算定した相当な価格は,当該土地の客観的性状から推認し得る一定の範囲内の価格であって,一般人であればおおよその見当をつけることができるものということができる。そうすると,5の記載部分に関する情報は,性質上その内容が不特定の者に知られ得る状態にあるものとして,公表することがもともと予定されているものということができるから,本件条例10条2号イの「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報」に当たり,同号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
また,上述したところによれば,5の記載部分に関する情報を開示することによって,今後の県の用地買収事務の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるとはいい難く,上記情報は,本件条例10条8号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
(3) 2の記載部分に関する情報について
前記事実関係等によれば,2の記載部分に関する情報は,公社が個人地権者に対してした補償の対象となった工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利の種別等に関する情報であって,当該個人地権者が識別され得るというのであるから,2の記載部分に関する情報は,個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものということができる。そして,2の記載部分に関する情報は,不動産登記簿に登記されるなどして公示されるものではないから,本件条例10条2号ア所定の情報に当たらず,また,同号イ及びウ所定の情報に当たるということもできない。したがって,2の記載部分に関する情報は,同号所定の非開示情報に該当するというべきである。
(4) 3の記載部分に関する情報について
前記事実関係等によれば,3の記載部分に関する情報は,公社が個人地権者に支払った建物,工作物,動産,植栽,権利等の補償価格に関する情報であって,当該個人地権者が識別され得るというのであるから,3の記載部分に関する情報は,個人に関する情報であって特定の個人が識別され得るものということができる。上記補償価格は,県において定められた損失補償基準に基づいて算定されたところ,その算定手法は,適正な価格を算出するものとして,ある程度予想することができるものということもできる。しかし,地権者がどのような工作物,動産,植栽等を有するかについては,公示されるものではなく,また,必ずしも一般人の目に触れるものではない。建物については,所有状況が不動産登記簿に登記されて公示されるものの,その価格要因のすべてが公示されるものではなく,一般人は,外部から観察することができるにとどまり,建物の内部の構造,使用資材,施工態様,損耗の状況等の詳細を知ることができない。したがって,上記補償価格は,一般人であればおおよその見当をつけることができるものとはいえないから,3の記載部分に関する情報は,公表することがもともと予定されているものということはできず,本件条例10条2号イ所定の情報に当たらないというべきである。また,3の記載部分に関する情報は,同号ア及びウ所定の情報にも当たらないから,同号所定の非開示情報に該当するというべきである。
3 以上によれば,本件決定のうち1の記載部分を非開示とした部分を適法とした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。第1審原告の論旨は理由があり,原判決のうち上記判断に係る部分は破棄を免れない。同部分について請求を認容した第1審判決は正当であるから,同部分に対する第1審被告の控訴を棄却すべきである。
また,本件決定のうち2及び3の記載部分を非開示とした部分を違法とした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。同部分に関する第1審被告の論旨は理由があり,原判決のうち上記判断に係る部分は破棄を免れない。同部分については,第1審判決を取り消して,第1審原告の請求を棄却すべきである。
そして,本件決定のうち4及び5の記載部分を非開示とした部分を違法とした原審の判断は正当であるから,同部分に関しては,第1審被告の論旨は理由がなく,その上告は棄却すべきである。
第3 平成15年(行ヒ)第295号上告代理人川村俊雄ほかの上告受理申立て理由のうち6の記載部分に関する情報に係る部分について
1 原審は,6の記載部分に関する情報は本件条例10条3号及び8号所定の非開示情報に該当しないと判断して,本件決定のうち上記記載部分を非開示とした部分は違法であるとした。
2 前記事実関係等によれば,6の記載部分に関する情報は,公社が法人地権者から買収した土地の所在,地番,地積及びその買収価格に関する情報並びに公社が法人地権者に支払った補償価格及びその補償の対象となった建物,工作物等を特定することができる情報であるというのである。当該土地が公社に買収されたことは不動産登記簿に登記されて公示されるものであり,その買収価格は公拡法7条の適用がある適正な価格であるから,上記買収価格をもって公社に土地を買収されたことを開示することによって,当該法人地権者の競争上又は事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれるとは認め難い。また,上記補償価格は当該法人地権者の資産の全容を示すものではなく,県において定められた損失補償基準に従って算出された補償価格が当該法人地権者に支払われたことに関する情報が開示されても,直ちにその競争上又は事業運営上の地位,社会的信用その他正当な利益が損なわれるとはいい難い。したがって,6の記載部分に関する情報は,本件条例10条3号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
そして,上述したところによれば,6の記載部分に関する情報を開示することによって,今後の県の用地買収事務の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるとはいい難く,上記情報は,本件条例10条8号所定の非開示情報に該当しないというべきである。
以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
第4 平成15年(行ヒ)第296号上告代理人坂本団ほかの上告受理申立て理由第4について
1 原審は,7の記載部分に関する情報は本件条例10条7号所定の非開示情報に該当すると判断して,本件決定のうち上記記載部分を非開示とした部分に違法はないとした。
2 前記事実関係等によれば,7の記載部分に関する情報は,土地の買収価格に関しては,買収対象地の買収単価の決定のために参考とされた情報及び買収対象地等の価格の鑑定評価に関する情報であり,建物等の補償価格に関しては,その積算根拠に関する情報であって,地権者の生活や事業の詳細を推知させる多数の情報が含まれているというのである。したがって,これらの情報を開示することとなれば,買収価格又は補償価格を適正に決定するための有益な情報を得難くなり,ひいては,将来の県の用地買収事務における適正な買収価格及び補償価格の決定に著しい支障が生ずるおそれがあるものとして,7の記載部分に関する情報が本件条例10条7号所定の非開示情報に該当するとした原審の判断は,是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 上田豊三 裁判官 濱田邦夫 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男)

(別紙)
         目    録
1 原判決別紙3の�ク欄の�@の記載部分(個人地権者の住所及び氏名の記載部分)
2 原判決別紙3の�ク欄の�Dの記載部分のうち個人地権者の工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利の種別等に関するもの
3 原判決別紙3の�ク欄の�Eの記載部分のうち個人地権者の建物,工作物,動産,植栽,権利等の補償価格に関するもの
4 原判決別紙3の�ク欄の�Cの記載部分のうち個人地権者の土地の所在,地番及び地積に関するもの並びに同欄の�Dの記載部分のうち個人地権者の建物の所在地及び面積に関するもの
5 原判決別紙3の�ク欄の�Eの記載部分のうち個人地権者の土地の買収価格に関するもの
6 原判決別紙3の�ク欄の�Cの記載部分のうち法人地権者の土地の所在,地番及び地積に関するもの,同欄の�Dの記載部分のうち法人地権者の建物及び工作物の所在地及び面積,動産の種類及び個数,植栽の所在地及び本数,権利及び営業の種別等に関するもの並びに同欄の�Eの記載部分のうち法人地権者の土地の買収価格及び建物,工作物,動産,植栽,権利,営業等の補償価格に関するもの
7 原判決別紙3の�ク欄の�Fの記載部分(買収価格及び補償価格を決定するための根拠となった各種情報に関する記載部分)

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