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2006.05.20

最高裁判所平成18年02月27日判決(道路交通法違反,業務上過失傷害被告事件)

事件番号 平成17(あ)1743
事件名 道路交通法違反,業務上過失傷害被告事件
裁判年月日 平成18年02月27日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集巻・号・頁

原審裁判所名 名古屋高等裁判所 金沢支部
原審事件番号 平成17(う)49
原審裁判年月日 平成17年07月19日

判示事項
裁判要旨
1 乗車定員が11人以上である自動車の座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下となった場合でも,乗車定員の変更が自動車検査証に記入されていないときは,当該自動車は道路交通法上の大型自動車に当たる
2 座席の一部が取り外された大型自動車を普通自動車免許で運転することが許されると思い込んで運転した行為につき無免許運転の故意が認められた事例

主    文
       本件上告を棄却する。
       当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         
理    由
 弁護人谷直樹の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本
件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張
であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 以下,所論にかんがみ,本件無免許運転罪の成否につき,職権をもって判断する。
 1 原判決の認定及び記録によれば,本件の事実関係は,次のとおりである。
 (1) 本件運転に係る自動車(以下「本件車両」という。)は,長さ502㎝,幅169㎝,高さ219㎝で,もともと
は運転席及び座席が合計15人分設けられていたが,被告人が勤務する建設会社において,かなり以前か
ら,後方の6人分の座席を取り外して使用していた。しかし,本件車両の自動車検査証には,本件運転当時
においても,乗車定員が15人と記載されていた。
 (2) 被告人は,普通自動車と大型自動車とが区別され,自己が有する普通自動車免許で大型自動車を運
転することが許されないことは知っていたものの,その区別を大型自動車は大きいという程度にしか考えて
いなかったため,上記(1)のような本件車両の席の状況を認識しながら,その点や本件車両の乗車定員につ
いて格別の関心を抱くことがないまま,同社の上司から,人を乗せなければ普通自動車免許で本件車両を
運転しても大丈夫である旨を聞いたことや,本件車両に備え付けられた自動車検査証の自動車の種別欄に
「普通」と記載されているのを見たこと等から,本件車両を普通自動車免許で運転することが許されると思い
込み,本件運転に及んだものであった。
 2 道路交通法3条は,自動車の種類を,内閣府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさ
を基準として,大型自動車,普通自動車,大型特殊自動車,大型自動二輪車,普通自動二輪車及び小型特
殊自動車に区分し,これを受けて,同法施行規則2条は,大型特殊自動車,大型自動二輪車,普通自動二
輪車及び小型特殊自動車以外の自動車で,車両総重量が8000㎏以上のもの,最大積載量が5000㎏以
上のもの又は乗車定員が11人以上のものを大型自動車と,それ以外のものを普通自動車と定めているとこ
ろ,乗車定員が11人以上である大型自動車の座席の一部が取り外されて現実に存する席が10人分以下と
なった場合においても,乗車定員の変更につき国土交通大臣が行う自動車検査証の記入を受けていないと
きは,当該自動車はなお道路交通法上の大型自動車に当たるから,本件車両は同法上の大型自動車に該
当するというべきである。そして,前記1の事実関係の下においては,本件車両の席の状況を認識しながらこ
れを普通自動車免許で運転した被告人には,無免許運転の故意を認めることができるというべきである。そ
うすると,被告人に無免許運転罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。
 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項本文により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり
決定する。
(裁判長裁判官 堀籠幸男 裁判官 濱田邦夫 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田宙靖)

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