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2006.09.04

最高裁判所平成18年05月16日 判決

平成15(あ)1348
事件名 わいせつ図画頒布,わいせつ図画販売,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売目的所持被告事件
裁判年月日 平成18年05月16日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集巻・号・頁

原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 平成15(う)361
原審裁判年月日 平成15年06月04日

判示事項
裁判要旨 販売用のコンパクトディスクを作成するためパーソナルコンピュータ上のハードディスクに保存される画像データのバックアップのため,児童ポルノであり,かつ,わいせつ物である光磁気ディスクを製造,所持した行為について,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例

主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人奥村徹の上告趣意のうち,憲法違反をいう点は,没収に係る光磁気ディスクが犯人以外の者に属するとは認められないから,前提を欠き,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,原判決後の刑の廃止の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論にかんがみ,光磁気ディスクの製造,所持に係る罪の成否について,職権で判断する。
1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,上記罪の成否に係る事実関係は,次のとおりである。
(1) 被告人は,自らデジタルカメラで撮影した児童の姿態に係る画像データをパーソナルコンピュータ上のハードディスクに記憶,蔵置させ,さらに,そこに保存された画像データを光磁気ディスクに記憶,蔵置させ,これを所持していた。当該画像データが記憶,蔵置された光磁気ディスク(以下「本件光磁気ディスク」という。)は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの。以下「法」という。)2条3項の児童ポルノであり,かつ,刑法175条が定めるわいせつ物であった。
(2) 被告人が本件光磁気ディスクを製造し,所持していた目的についてみると,被告人は,パーソナルコンピュータ上のハードディスクに保存された上記画像データについて,画像上の児童の目の部分にぼかしを入れ,ファイルのサイズを縮小する加工を施した上,そのデータをハードディスクに記憶,蔵置させ,そこに保存されるデータをコンパクトディスクにそのまま記憶させ,これを販売する目的であったところ,本件光磁気ディスクは,このハードディスクに保存される上記加工後のデータが何らかの事情で破壊されるなどして販売用のコンパクトディスクが作成できなくなる事態に備えて,上記加工前のデータを保存しておくバックアップのためのものであった。
2 このように,被告人は,本件光磁気ディスク自体を販売する目的はなかったけれども,これをハードディスクの代替物として製造し,所持していたものであり,必要が生じた場合には,本件光磁気ディスクに保存された画像データを使用し,これをコンパクトディスクに記憶させて販売用のコンパクトディスクを作成し,これを販売する意思であったものである。その際,画像上の児童の目の部分にぼかしを入れ,ファイルのサイズを縮小する加工を施すものの,その余はそのまま販売用のコンパクトディスクに記憶させる意思であった。そうすると,本件光磁気ディスクの製造,所持は,法7条2項にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的で行われたものであり,その所持は,刑法175条後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。上記各目的を肯認した原判断は正当である。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官堀籠幸男
裁判官濱田邦夫
裁判官上田豊三
裁判官藤田宙靖)

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