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2006.11.23

平成18年10月20日最高裁判所第二小法廷判決(第三者異議事件)

平成18年10月20日最高裁判所第二小法廷判決
第三者異議事件
事件番号 平成16(受)1641

原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成15(ネ)733
原審裁判年月日 平成16年06月30日

裁判要旨
不動産を目的とする譲渡担保において,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえたときは,設定者は,差押登記後に債務の全額を弁済しても,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない

主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理由
上告代理人千田適ほかの上告受理申立て理由について
1 不動産を目的とする譲渡担保において,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,設定者は,差押登記後に債務の全額を弁済しても,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら,設定者が債務の履行を遅滞したときは,譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照),被担保債権の弁済期後は,設定者としては,目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ,譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も,譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって,目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では,差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。
上記と異なり,被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は,少なくとも,設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは,設定者は,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら,弁済期前においては,譲渡担保権者は,債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず,目的不動産を処分する権能を有しないから,このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。
2 これを本件についてみるに,原審が適法に確定した事実関係によれば,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者である被上告人が目的不動産を差し押さえ,その差押登記後に設定者である上告人が受戻権を行使したというのであるから,上告人は,受戻権の行使による目的不動産の所有権の回復を差押債権者である被上告人に主張することができず,第三者異議の訴えによって強制執行の不許を求めることはできないというべきである。原審の判断は以上の趣旨をいうものとして是認することができ,論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官滝井繁男裁判官津野修裁判官今井功裁判官中川了滋裁判官古田佑紀)

原文
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=33686&hanreiKbn=01
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061020143507.pdf

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