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2007.04.27

会計監査人の解任又は不再任の決定の方針

 会社法施行規則第126条第4号は,「会計監査人設置会社」においては,「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針」を「事業報告書」の内容としなければならない旨を定めている(末尾記載の通り)。
 これは,会社法は,会計監査人の再任を原則としたことに基づくものであるとされている。

会社法 (会計監査人の任期)
第三百三十八条 1(省略)
2 会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。
3(省略)

 では,「解任又は不再任の決定の方針」とはどんなものであるべきなのだろうか?
 「解任」という一種の究極の場合については,明らかにその職を維持させることが不適切と誰もが考えるべき要素が検討されることになると言え,監査役による会計監査人を解任する旨の規定が会社法第340条として存在することからその規定内容を参考にすることができるので,基準を考えるにはそれほど問題が無いようにも思える。
 もっとも,厳密に言えば,解任の場合は,特に重大な場合を定めたと言える第340条の場合だけでなく,第339条は(会社のオーナーの集まりである)株主総会の決議があればいつでも解任ができる旨を定めていることを考えると,この,オーナー権限による解任という要素をも考えると,「解任」の方針としては,第340条の場合よりやや緩やかな基準を定めることも可なのだろうと思う(但し,実際問題として考えられるかは別論)。

会社法(解任)
第三百三十九条  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 (省略)
会社法 (監査役等による会計監査人の解任)
第三百四十条 監査役は、会計監査人が次のいずれかに該当するときは、その会計監査人を解任することができる。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。
二 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。
三 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。
2 (以下略)

 このような「解任」の場合に比すると,「不再任」の方針をどのように考えるのかは結構難しいように思われる。「不再任」は,従来の会計監査人を再度選任せず,別の新たな会計監査人を選任するというものであるから,「解任」の場合と比すると,かなり緩やかな基準で足りると考えざるを得ない。
そうなれば,色々な要素が考えられると言える。
 例えば,任期中に違法とまでは言えないが不適切な処理や対応が見受けられたとか,性格的な問題があるとか(なお,単に気にくわない,会社の方針に従わないことが許せないというものではダメでしょう),報酬等にまつわる金銭的な問題等なども考える必要があると思われる。

 そうだとすると,最近の事業報告書でよく見かけるような「会計監査人の解任又は不再任の決定の方針・・・・・当社監査役会が会社法第340条第1項に定める解任事由に該当すると判断した場合」というような基準は,少なくとも「不再任」の決定の方針という観点からは硬直的に過ぎるように感じられる。
 では,どのようなものが適当なのか・・・・・・・
 見栄えの問題等から表だって報酬の問題等を出せるか(笑)
 少し表現に工夫が必要か・・・・・

 
会社法施行規則 (会計監査人設置会社の特則)
第百二十六条 株式会社が当該事業年度の末日において会計監査人設置会社である場合には、次に掲げる事項(株式会社が当該事業年度の末日において公開会社でない場合にあっては、第二号から第四号までに掲げる事項を除く。)を事業報告の内容としなければならない。
一 会計監査人の氏名又は名称
二 当該事業年度に係る各会計監査人の報酬等の額
三 会計監査人に対して公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第二条第一項の業務以外の業務(以下この号において「非監査業務」という。)の対価を支払っているときは、その非監査業務の内容
四 会計監査人の解任又は不再任の決定の方針
五 会計監査人が現に業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者であるときは、当該処分に係る事項
六 会計監査人が過去二年間に業務の停止の処分を受けた者である場合における当該処分に係る事項のうち、当該株式会社が事業報告の内容とすることが適切であるものと判断した事項
七 会計監査人と当該株式会社との間で法第四百二十七条第一項の契約を締結しているときは、当該契約の内容の概要(当該契約によって当該会計監査人の職務の適正性が損なわれないようにするための措置を講じている場合にあっては、その内容を含む。)
八 株式会社が法第四百四十四条第三項に規定する大会社であるときは、次に掲げる事項
イ 当該株式会社の会計監査人である公認会計士(公認会計士法第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。以下この条において同じ。)又は監査法人に当該株式会社及びその子会社が支払うべき金銭その他の財産上の利益の合計額(当該事業年度に係る連結損益計算書に計上すべきものに限る。)
ロ 当該株式会社の会計監査人以外の公認会計士又は監査法人(外国におけるこれらの資格に相当する資格を有する者を含む。)が当該株式会社の子会社(重要なものに限る。)の計算関係書類(これに相当するものを含む。)の監査(法又は証券取引法(これらの法律に相当する外国の法令を含む。)の規定によるものに限る。)をしているときは、その事実
九 当該事業年度中に辞任した会計監査人又は解任された会計監査人(株主総会の決議によって解任されたものを除く。)があるときは、次に掲げる事項
イ 当該会計監査人の氏名又は名称
ロ 法第三百四十条第三項の理由があるときは、その理由
ハ 法第三百四十五条第五項において準用する同条第一項の意見があったときは、その意見の内容
ニ 法第三百四十五条第五項において準用する同条第二項の理由があるときは、その理由
十 法第四百五十九条第一項の規定による定款の定めがあるときは、当該定款の定めにより取締役会に与えられた権限の行使に関する方針

平井利明のメモ

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