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2007.08.29

民法と商法における「過失」についての規定

民法と商法における「過失」についての規定

   平井利明のメモ


民法(民法第1編第2編第3編)(明治29年4月27日法律第89号)

(錯誤)
第95条
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な【過失】があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

(公示による意思表示)
第98条
 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも1回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて【過失】があったときは、到達の効力を生じない。
4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

(代理行為の瑕疵)
第101条
 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき【過失】があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 特定の法律行為をすることを委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が【過失】によって知らなかった事情についても、同様とする。

(代理権授与の表示による表見代理)
第109条
 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は【過失】によって知らなかったときは、この限りでない。

(代理権消滅後の表見代理)
第112条
 代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が【過失】によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

(無権代理人の責任)
第117条
 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき、若しくは【過失】によって知らなかったとき、又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

(所有権の取得時効)
第162条
 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、【過失】がなかったときは、その所有権を取得する。

(悪意の占有者による果実の返還等)
第190条
 悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、【過失】によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
2 前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。

(即時取得)
第192条
 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、【過失】がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

(不能による選択債権の特定)
第410条
 債権の目的である給付の中に、初めから不能であるもの又は後に至って不能となったものがあるときは、債権は、その残存するものについて存在する。
2 選択権を有しない当事者の【過失】によって給付が不能となったときは、前項の規定は、適用しない。

(【過失】相殺)
第418条
 債務の不履行に関して債権者に【過失】があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
第443条
 連帯債務者の1人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、【過失】のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2 連帯債務者の1人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

(償還をする資力のない者の負担部分の分担)
第444条
 連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは、その償還をすることができない部分は、求償者及び他の資力のある者の間で、各自の負担部分に応じて分割して負担する。ただし、求償者に【過失】があるときは、他の連帯債務者に対して分担を請求することができない。

(委託を受けた保証人の求償権)
第459条
 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、【過失】なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受け、又は主たる債務者に代わって弁済をし、その他自己の財産をもって債務を消滅させるべき行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
2 第442条第2項の規定は、前項の場合について準用する。

(指図債権の債務者の調査の権利等)
第470条
 指図債権の債務者は、その証書の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な【過失】があるときは、その弁済は、無効とする。

(債権の準占有者に対する弁済)
第478条
 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、【過失】がなかったときに限り、その効力を有する。

(受取証書の持参人に対する弁済)
第480条
 受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、又は【過失】によって知らなかったときは、この限りでない。

(供託)
第494条
 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が【過失】なく債権者を確知することができないときも、同様とする。

(債権者による担保の喪失等)
第504条
 第500条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は【過失】によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。

(解除権者の行為等による解除権の消滅)
第548条
 解除権を有する者が自己の行為若しくは【過失】によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。
2 契約の目的物が解除権を有する者の行為又は【過失】によらないで滅失し、又は損傷したときは、解除権は、消滅しない。

(賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等)
第611条
 賃借物の一部が賃借人の【過失】によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

(賃貸借の解除の効力)
第620条
 賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合において、当事者の一方に【過失】があったときは、その者に対する損害賠償の請求を妨げない。

(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条
 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の【過失】によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

(受任者による費用等の償還請求等)
第650条
 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
2 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる債務を負担したときは、委任者に対し、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。この場合において、その債務が弁済期にないときは、委任者に対し、相当の担保を供させることができる。
3 受任者は、委任事務を処理するため自己に【過失】なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。

(寄託者による損害賠償)
第661条
 寄託者は、寄託物の性質又は瑕疵によって生じた損害を受寄者に賠償しなければならない。ただし、寄託者が【過失】なくその性質若しくは瑕疵を知らなかったとき、又は受寄者がこれを知っていたときは、この限りでない。

(緊急事務管理)
第698条
 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な【過失】があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。

(不法行為による損害賠償)
第709条
 故意又は【過失】によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第713条
 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は【過失】によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

(注文者の責任)
第716条
 注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に【過失】があったときは、この限りでない。

(損害賠償の方法及び【過失】相殺)
第722条
 第417条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に【過失】があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

参考)
明治32年法律第40号(失火の責任に関する法律)(明治32年3月8日法律第40号)

民法第709条の規定は失火の場合には之を適用せす但し失火者に重大なる【過失】ありたるときは此の限に在らす


民法(民法第4編第5編)
(明治31年6月21日法律第9号)

(相続財産に関する費用)
第885条
 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の【過失】によるものは、この限りでない。
2 前項の費用は、遺留分権利者が贈与の減殺によって得た財産をもって支弁することを要しない。

(資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
第913条
 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に【過失】があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。


商法(明治32年3月9日法律第48号)

(登記の効力)
第9条
 この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。
2 故意又は【過失】によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

(譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
第17条
 営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
2 前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
3 譲受人が第1項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
4 第1項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な【過失】がないときは、その効力を有する。

第576条
 運送品の全部又は一部か不可抗力に因りて滅失したるときは運送人は其運送賃を請求することを得す若し運送人か既に其運送賃の全部又は一部を受取りたるときは之を返還することを要す
○2運送品の全部又は一部か其性質若くは瑕疵又は荷送人の【過失】に因りて滅失したるときは運送人は運送賃の全額を請求することを得

第581条
 運送品か運送人の悪意又は重大なる【過失】に因りて滅失、毀損又は延著したるときは運送人は一切の損害を賠償する責に任す

第592条
 旅客の運送人は旅客より引渡を受けさる手荷物の滅失又は毀損に付ては自己又は其使用人に【過失】ある場合を除く外損害賠償の責に任せす

第641条
 保険の目的の性質若くは瑕疵、其自然の消耗又は保険契約者若くは被保険者の悪意若くは重大なる【過失】に因りて生したる損害は保険者之を填補する責に任せす

第643条
 保険契約の全部又は一部か無効なる場合に於て保険契約者及ひ被保険者か善意にして且重大なる【過失】なきときは保険者に対して保険料の全部又は一部の返還を請求することを得

第644条
 保険契約の当時保険契約者か悪意又は重大なる【過失】に因り重要なる事実を告けす又は重要なる事項に付き不実の事を告けたるときは保険者は契約の解除を為すことを得但保険者か其事実を知り又は【過失】に因りて之を知らさりしときは此限に在らす
○2前項の解除権は保険者か解除の原因を知りたる時より1か月間之を行はさるときは消滅す契約の時より5年を経過したるとき亦同し

第678条
 保険契約の当時保険契約者又は被保険者か悪意又は重大なる【過失】に因り重要なる事実を告けす又は重要なる事項に付き不実の事を告けたるときは保険者は契約の解除を為すことを得但保険者か其事実を知り又は【過失】に因りて之を知らさりしときは此限に在らす
○2第644条第2項及ひ第645条の規定は前項の場合に之を準用す

第690条
 船舶所有者は船長其他の船員が其職務を行ふに当たり故意又は【過失】に因りて他人に加へたる損害を賠償する責に任ず

第712条
 船長は航海中最も利害関係人の利益に適すへき方法に依りて積荷の処分を為すことを要す
○2利害関係人は船長の行為に因り其積荷に付て生したる債権の為め之を債権者に委付して其責を免るることを得但利害関係人に【過失】ありたるときは此限に在らす

第739条
 船舶所有者は特約を為したるときと雖も自己の【過失】、船員其他の使用人の悪意若くは重大なる【過失】又は船舶か航海に堪へさるに因りて生したる損害を賠償する責を免るることを得す

第788条
 船長か船舶及ひ積荷をして共同の危険を免れしむる為め船舶又は積荷に付き為したる処分に因りて生したる損害及ひ費用は之を共同海損とす
○2前項の規定は危険か【過失】に因りて生したる場合に於て利害関係人の【過失】者に対する求償を妨けす

第797条
 船舶か双方の船員の【過失】に因りて衝突したる場合に於て双方の【過失】の軽重を判定すること能はさるときは其衝突に因りて生したる損害は各船舶の所有者平分して之を負担す

第809条
 左の場合に於ては救助者は救助料を請求することを得す
1 故意又は【過失】に因りて海難を惹起したるとき
2 正当の事由に因りて救助を拒まれたるに拘はらす強ひて之に従事したるとき
3 救助したる物品を隠匿し又は濫に之を処分したるとき

第829条
 保険者は左に掲けたる損害又は費用を填補する責に任せす
1 保険の目的の性質若くは瑕疵、其自然の消耗又は保険契約者若くは被保険者の悪意若くは重大なる【過失】に因りて生したる損害
2 船舶又は運送賃を保険に付したる場合に於て発航の当時安全に航海を為すに必要なる準備を為さす又は必要なる書類を備へさるに因りて生したる損害
3 積荷を保険に付し又は積荷の到達に因りて得へき利益若くは報酬を保険に付したる場合に於て傭船者、荷送人又は荷受人の悪意若くは重大なる【過失】に因りて生したる損害
4 水先案内料、入港料、燈台料、検疫料其他船舶又は積荷に付き航海の為めに出たしたる通常の費用

参考)
水難救護法(明治32年3月29日法律第95号)

第12条
 救護に関係したる者は市町村長より救護費用の支給を受くることを得
○2前項の規定は左に掲くる者には之を適用せす
1 救護せられたる船舶の所有者又は其の船舶の船員
2 故意、懈怠又は【過失】に因り遭難を惹起したる者
3 第5条の規定に違反して救護したる者
4 救護に際し妨害を為し又は不正の行為を為したる者
5 遭難物件を持去り又は其の引渡を拒みたる者

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