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2007.09.29

『「臨床研修に関する調査」報告のポイント』より

『「臨床研修に関する調査」報告のポイント』
平成 19年 9月 6日
「新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究」班
「卒前教育から生涯教育を通じた医師教育の在り方に関する研究」班

報告書によれば,2年次研修医及び2年次研修医ともほぼ共通して次の通りとのこと。
<研修体制等についての研修医の満足度>
  大学病院より臨床研修病院が高い。
<研修体制等で満足している点>
 大学病院においては「指導医の指導が熱心」等が多い
<研修体制等で改善すべき点>
 大学病院においては「待遇・処遇が悪い」、「雑用が多い」等が多い。
<研修プログラムについての研修医の満足度>
 大学病院より臨床研修病院において高い

(個人的意見)
このような結果から考えると,研修後に大学病院の医局に入局する医師の更に減少することが予想される。
地方の公立病院等の医師は,大学病院の医局から派遣されるということが今までのシステムであったが,大学の医局に所属する医師が更に減少することで,地方の公立病院等に対して派遣される医師も更に減少することが予想される。
地方の公立病院等の医師不足が更に深刻となることが予想され,それはシステムの大幅な転換が起こりそれが軌道に乗るまで見込まれることに。

2年研修医について
<研修後に専門としたい診療科>
 小児科は7.6%、産婦人科は4.3%、麻酔科は6.8%。
 小児科、麻酔科に関しては、20代医療施設従事医師診療科別割合(平成14年)よりも高くなっているとのこと。
<診療科を選んだ理由>
 産婦人科、外科、小児科、循環器科では「やりがいがある」が70%以上となっていた。
 

(個人的意見)このような結果を考えると,現在,医師の大幅な減少が叫ばれている,産婦人科、外科、小児科等においても医師としての本分に基づいて希望する者が一定程度はあることが示されている。なお,このような傾向は,思うところ,今までにもあったものと考えられる。
 このような意欲に燃える者を更に確保し,且つ,途中でリタイアすることの無いようにすることが必要なのであろう。
 しかしながら,現実問題として,現場の一線に立つと,時間的,体力的に厳しい現実があり(それは年齢や家庭を持つ等の要素によって感じざるを得なくなるといえる),また,結果が悪いと訴訟が提起され,刑事罰を科せられる等のリスクがある。免許停止や剥奪の可能性もある。因みに,産科,小児科,外科における訴訟は,請求を受ける金額が極めて多額となることが多く(2億円台を覚悟することも必要なケースがある),訴訟ともなれば,それでなくとも過重な勤務であるのに,更に,貴重な時間が訴訟対策等に奪われるということになる。なお,刑事捜査のある場合には更に深刻な問題がある。このような現実に直面して,結局,途中で挫折していく方々も少なくないということなのだろう。
それゆえ「やりがいがある」をもって入ってきた者も,立ち去るということが起こり,それが現在の産科医等の大幅な減少に繋がっているということがあるのだろう。明らかで且つ重大な落ち度がある場合は別としても,殆どの場合はそのようなものでないがために,訴訟や捜査は,長期間に及ぶことが少なくない。そのためそうでなくても人手不足の現場が,更に人手不足となっている。このようなことが,人手不足による受診の不可にも繋がっている。このような事態の改善は急務である。

<病院に関する調査>からは
研修医の処遇・待遇について, 研修医の事故に備えての病院賠償責任保険での保障が
臨床研修病院で80.7%、大学病院で81.9%となっているとのこと。

(個人的意見)医師個人の責任は,病院が加入している保険ではまかなえない(医師個人は被保険者になっていない)。例えば,勤務医が勤務中の事故に関して個人として訴えられた場合に,その医師個人が負担する損害賠償金は,病院が加入している損害保険では支払ってもらえないのである。(例え勤務中の事故であったとしても)医師個人が当事者となる事件の賠償については,その医師自らが保険に入っておかなければカバーできないことになっている。要するに,保険金が支払われないため自腹となるととりあえず理解しておいて良いであろう。ことを考えると,その保険料の費用負担を,病院がするのか医師個人がするのかはともかくとして,医師個人にて契約を締結させるべきと思う。

  平井利明のメモ

こんな記事を書いていたら
次のようなニュースが。

「東十条病院:新患、救急の受け入れ拒否 日大が医師引き揚げ、来月末で全科休止  東京都北区の総合病院「東十条病院」(馬場操院長、350床)が、医師不足により来月末で全16科の診療を休止することが分かった。27日から新規患者と救急搬送の受け入れも拒否している。常勤医の9割以上を派遣する日本大が医師の引き揚げを決め運営が困難になったためといい、医師不足問題が都心部の拠点病院の運営を直撃した形だ。」(毎日新聞 2007年9月29日 東京夕刊)より

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