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2007.12.09

平成19年11月30日最高裁判所第二小法廷決定(銀行の自己査定文書)

平成19年11月30日最高裁判所第二小法廷決定
平成19(許)5文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35459&hanreiKbn=01

【破棄差戻し】

主文
原決定を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。

原審
東京高等裁判所平成19年01月10日   
平成18(ラ)1348

裁判要旨
銀行が法令により義務付けられた資産査定の前提として債務者区分を行うために作成し,保存している資料は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない

決定文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071204095341.pdf

【開示要求の対象となった文書】
『相手方が,平成16年3月,同年7月及び同年11月の各時点において,Aの経営状況の把握,同社に対する貸出金の管理及び同社の債務者区分の決定等を行う目的で作成し,保管していた自己査定資料一式』
  ↑
『抗告人らが提出を求めている本件文書は,銀行である相手方が,融資先であるAについて,同社に対して有する債権の資産査定を行う前提となる債務者区分を行うために作成し,監督官庁による査定結果の正確性についての事後的検証に備える目的もあって保存した資料である。』

【開示基準】
『ある文書が,その作成目的,記載内容,これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯,その他の事情から判断して,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であって,開示されると個人のプライバシーが侵害されたり個人ないし団体の自由な意思形成が阻害されたりするなど,開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれがあると認められる場合には,特段の事情がない限り,当該文書は民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たると解するのが相当である(最高裁平成11年(許)第2号同年11月12日第二小法廷決定・民集53巻8号1787頁参照)。』

【あてはめ】
相手方は,法令により資産査定が義務付けられている
[参考:裁判所の示す関連条項等]
 銀行法14条の2
 同法25条
 同法26条
 「預金等受入金融機関に係る検査マニュアルについて」と題する金融監督庁検査部長通達(平成11年金検第177号)
 金融検査マニュアル
 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律6条1項
 同法7条
 同法6条2項
 同法施行規則4条

  ↓
本件文書は,相手方が,融資先であるAについて,前記検査マニュアルに沿って,同社に対して有する債権の資産査定を行う前提となる債務者区分を行うために作成し,事後的検証に備える目的もあって保存した資料
  ↓
本件文書は,前記資産査定のために必要な資料であり,監督官庁による資産査定に関する前記検査において,資産査定の正確性を裏付ける資料として必要とされているものであるから,相手方自身による利用にとどまらず,相手方以外の者による利用が予定されているものということができる。
  ↓
本件文書は,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であるということはできず,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないというべきである。
  ↓
本件文書について,民訴法220条4号ニ所定の文書に当たるとして相手方の提出義務を否定した原審の判断には,裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原決定は破棄を免れない。

【差し戻し】
本件文書が同号ハ所定の文書に該当するかどうか,本件文書中にこれに該当する部分がある場合にその部分を除いて提出を命ずるべきかどうか等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻す

民事訴訟法第220条(文書提出義務)
次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
1.当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
2.挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
3.文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
4.前3号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第196条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第197条第1項第2号に規定する事実又は同項第3号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

平井利明のメモ

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