« 民事訴訟法上の抗告 | トップページ | 煌めきの世界と救いのない世界(モーツアルトの変ロ長調のピアノコンチェルト) »

2008.03.14

平成20年03月13日東京地方裁判所判決 (著明神社の著作権侵害に関するもの)

平成19(ワ)1126損害賠償請求事件
平成20年03月13日東京地方裁判所判決 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36027&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080314120401.pdf

事案について(判決文よりの抜粋等・一部省略)
 本件は,原告が,(中略)被告らの各行為等は,(中略)被告らの区分(中略)に応じて,それぞれ別紙写真目録の写真の著作物(以下「本件写真」という。)に係る原告の権利を侵害すると主張して,被告らに対し,民法709条及び719条に基づいて合計300万円の損害賠償を請求した事案である。

(注:当事者名については,判決文において略称表記されたもの以外についても略称に変換してある。)

主文
1 被告Bは,原告に対し,30万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告S社は,原告に対し,22万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告S社及び被告Y神社は,原告に対し,連帯して33万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告B,被告S書院及び被告Cは,原告に対し,連帯して6万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,これを50分し,その5を被告B,その4を被告S社のそれぞれ負担とし,その5を被告S社及び被告Y神社,その1を被告B,被告S書院及び被告Cのそれぞれ連帯負担とし,その余は原告の負担とする。
7 この判決は,第1項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。

「本件水彩画ポスターの制作による本件写真の翻案権侵害,原告の氏名表示権及び同一性保持権侵害に関する被告サンケイデザイン,被告B及び被告八坂神社に対する請求について」の判断のうち,発注者である被告Y神社の責任に関して

<被告Y神社は,共同して侵害行為を行った者に当たるかとの争点についての判断>よりの抜粋
 被告Y神社は,千年以上もの伝統を有する祇園祭を執行する者であって,本件写真ポスターは,その祇園祭のいわば看板ポスターとして,京都市内各所に約1か月間貼付されたものであると認められる。
 そして,このようなポスターを必要とするに当たり,被告Y神社は,神輿を中心としたポスターを作成することとして,三若神輿会の会長である被告Bが代表取締役を務める被告S社に対して,平成15年に本件写真ポスターの制作を初めて依頼し,翌年にも本件写真ポスターの制作を依頼したことが認められる。
 このような本件写真ポスターの重要性からすれば,被告Y神社が,初めて依頼する被告S社に対して,そのポスターの写真の具体的選択につき,神輿を中心とすること等の注文をした以外は被告S社の裁量に委ねていたとしても,ポスターを大量に印刷する前には,注文者である被告Y神社が,本件写真を掲載して制作されたポスターでいいかどうかを最終確認するのが通常であるから,本件写真ポスターに本件写真を使用することを最終的に了解したのは,被告Y神社であったと解するのが相当である。
 したがって,注文者である被告Y神社は,本件写真ポスターの制作による原告の氏名表示権侵害について,被告S社と共同して侵害行為を行ったものと認めるのが相当である。

<被告Y神社には,故意又は過失があるかとの争点についての判断>よりの抜粋
 被告Y神社は,神社神道に従って祭祀等を行う宗教法人であって,千年以上もの伝統を有する祇園祭を執行するなどして信仰や文化を発信し,日本各地から広く崇敬を集める神社である。そして,被告Y神社のホームページには,Y神社写真展として,本殿(重要文化財),西楼門(重要文化財),境内摂末社その他被告Y神社の境内建物の写真を写真集としてまとめて掲載し,これらの写真の利用の許可申請を受け付けるものとしている。また,被告Y神社は,撮影を許可する際にも,著作権を損なわないよう留意する旨の撮影条件を付していることが認められる(甲9,甲13)。
 このように,被告Y神社は,重要文化財,著作物その他文化的所産を取り扱う立場にある者であって,もとより著作権に関する知識を有するものであるから,著作物を使用するに際しては,当該著作物を制作した者などから著作権の使用許諾の有無を確認するなどして,著作権を侵害しないようにすべき注意義務があるというべきである。
 本件についてみるに,上記(4)のとおり,本件写真を選択し,本件写真ポスターとすることを最終的に了解したのは,被告Y神社であったと解するのが相当であるから,被告Y神社は,その最終判断に当たり,被告S社に対して,本件写真の著作者名や当該著作者名を表示しないことに対する承諾の有無を具体的に確認し,その状況次第では,更に著作者に当該承諾の有無を直接確認するなどして,著作者人格権を侵害しないようにすべき注意義務があったというべきである
 しかしながら,被告Y神社は,このような確認行為をすべき注意義務を怠り,本件写真ポスターの制作を依頼した被告S社が本件写真の著作者名を表示せずに本件写真ポスターに本件写真を掲載するのを漫然と容認したものであって,被告Y神社には,この点において過失があるというべきである。

平井利明のメモ

|

« 民事訴訟法上の抗告 | トップページ | 煌めきの世界と救いのない世界(モーツアルトの変ロ長調のピアノコンチェルト) »

裁判例」カテゴリの記事