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2008.05.08

平成20年04月18日札幌高等裁判所判決(ホフマン係数を採用したケース)

平成19(ネ)247損害賠償請求控訴事件
平成20年04月18日札幌高等裁判所第2民事部判決       

原審裁判所名
札幌地方裁判所   
平成16(ワ)2051

判示事項の要旨
キツネが高速道路に飛び出して死亡事故が起きた事件で,原審判決を取り消して,高速道路を管理する旧公団(現東日本高速道路株式会社)がキツネを含む中小動物の高速道路への侵入防止対策を講ぜず,高速道路としての通常有すべき安全性を欠いていたとして,道路の設置,保存の瑕疵を認め,同会社に対し損害賠償を命じた事例。また,原審で認定したライプニッツ方式による逸失利益算定方式を変更し,ホフマン方式による算定方式を採用した事例。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36340&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080508113408.pdf

判決文より
ホフマン係数を用いた理由に関する部分
「控訴人らは,Aの逸失利益の算定に当たって中間利息を控除する方式として,民事法定利率年5分での単利方式であるホフマン方式(将来取得する債権額を毎年均等に取得するという前提に立つ複式ホフマン方式をいうものと解される。)を採用すべきであると主張したが,原審はこれを採用せず,民事法定利率年5分での複利方式であるライプニッツ方式により中間利息を控除した。
 しかしながら,現行法は,将来の請求権を現在価額に換算するに際し,法的安定及び統一的処理が必要とされる場合には,法定利率により中間利息を控除する考え方を採用している。例えば,民事執行法88条2項,破産法99条1項2号(旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)46条5号も同様),民事再生法87条1項1号,2号,会社更生法136条1項1号,2号等は,いずれも将来の請求権を法定利率による中間利息の控除によって現在価額に換算することを規定している。損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するについても,法的安定及び統一的処理が必要とされるのであるから,民法は,民事法定利率により中間利息を控除することを予定しているものと考えられる。このように考えることによって,事案ごとに,また,裁判官ごとに中間利息の控除割合についての判断が区々に分かれることを防ぎ,被害者相互間の公平の確保,損害額の予測可能性による紛争の予防も図ることができる(最高裁判所平成17年6月14日判決・民集59巻5号983頁)。そして,民事執行法等における中間利息の控除に当たっては,複利方式であるライプニッツ方式ではなく,民法が前提とする単利計算(民法405条)を用いたホフマン方式により行われているのであるから,法的安定及び統一的処理の見地からすれば,損害賠償額の算定に当たり,被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するための方式は,ホフマン方式によらなければならないというべきである。
 なお,実質的に考えても,本件のように逸失利益算定の基礎収入を被害者の死亡時に固定した上で将来分の逸失利益の現在価値を算定する場合には,本来,名目金利と賃金上昇率又は物価上昇率との差に当たる実質金利に従って計算するのが相当であるところ,本件事故時における実質金利が法定利率である年5パーセントを大幅に下回っていたことは公知の事実である。であるにもかかわらず,法的安定性の見地から民事法定利率を用いるべきであると解する以上,被害者が被った不利益を補填して不法行為がなかった状態に回復させることを目的とする損害賠償制度の趣旨からして,被害者が受け取るべき金額との乖離がより少ないと考えられるホフマン方式を用いるのが相当である。」

平井利明のメモ

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