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2008.06.17

平成20年05月09日東京地方裁判所判決(医療事件:説明義務違反の範囲でのみ賠償が認められたケース)

平成17(ワ)3損害賠償
平成20年05月09日東京地方裁判所民事第34部判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36410&hanreiKbn=03

原告の請求
被告は,原告に対し,9500万円及びこれに対する平成17年1月15日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。

主文
1 被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成17年1月15日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604095639.pdf

事案の概要(判決文より)
原告が,被告が開設・運営する甲病院(以下「被告病院」という。)において,子宮筋腫に対する腹式子宮全摘出術(以下「本件手術」という。)を受けた際,被告病院担当医師が,硬膜外麻酔を施行するため注射針を刺入したところ,第三腰椎神経根を損傷し,その結果,反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)を発症したとして,被告に対し,被告病院担当医師に注射針刺入の際の手技上の過失及び硬膜外麻酔に関する説明義務違反があったとして,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,損害賠償の請求をした事案

判決文においては,
「原告の症状は,医師が医療機関において原告を診療する際には,RSDあるいはその疑いがあるとして診療に当たるのが相当であると認められるが,それを超えて,実際に原告にRSDが発症しており,それによる後遺障害であるとまでは認定することができないというべき」と認定されている。
但し,説明義務違反が認められていて,その損害について次のように判示されている。
「原告は,麻酔に関して適切な説明を受けていたとしても,被告病院における硬膜外麻酔を併用した全身麻酔の麻酔方法を選択しなかったとまでは認められないが,原告は,術前に,麻酔に対する不安を度々訴えていたにもかかわらず,被告病院の担当医師の説明義務違反(事前に約束されていた麻酔科医師による診察とその際の説明がなかったこと)により,強く不安に感じていた麻酔薬及び麻酔方法について熟慮し,選択する機会を失ったというべきである。そして,前記1.ないし.のとおり,原告は,その後の長きに渡り,疼痛等の症状(ただし,原告の症状がRSDによるものと認められないことは前記のとおりである。)に苦しみ,それまでの人生が一変してしまっているところ,その原因と思われる麻酔方法の選択について熟慮し選択する機会を与えられなかったことから,現に生じた結果を受け入れることが極めて困難となっており,それによって少なからぬ精神的苦痛を受けたものと認められる。その精神的苦痛に対する慰謝料としては,説明義務違反の内容・程度等,本件に現れた一切の事情を考慮すると,200万円を認めるのが相当である。」

平井利明のメモ

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