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2008.06.16

平成20年05月28日東京地方裁判所判決(テレビ番組等のインターネット転送関連)

平成19(ワ)17279著作権侵害差止等請求事件
平成20年05月28日東京地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36391&hanreiKbn=06
   
判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529122138.pdf

(以下判決文からの抜粋)

主文
1 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙著作物目録記載1ないし7の著作物を複製の対象としてはならない。
2 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙放送目録記載1ないし11の放送に係る音又は影像を,録音又は録画の対象としてはならない。
3 被告は,別紙物件目録記載の器具を廃棄せよ。
4 被告は,別紙支払目録記載のとおり,原告欄記載の各原告に対し,対応する支払金額欄記載の各金員を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。
7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。

事案の概要
本件は,原告ら(以下,原告らを総称する際には「原告ら」と,原告日本テレビ,原告TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日及び原告テレビ東京の5社を総称して「東京局各社」と,原告静岡第一テレビ,原告SBS,原告テレビ静岡及び原告あさひテレビを総称して「静岡局各社」という。)が,被告において,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」との名称で行っている事業は,ハードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」(以下「ロクラクⅡ」という。)2台のうち1台を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波をその1台に入力するとともに,これに対応するもう1台を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,日本国内で放送されるテレビ番組の複製を可能とするサービス,すなわち,別紙サービス目録記載の内容のサービス(以下「本件対象サービス」という。)であるとし,その事業を行う被告の行為は,原告及び東京局各社が著作権をNHK 有する別紙著作物目録記載の番組(以下「本件番組」と総称する。)及び原告らが著作隣接権を有する別紙放送目録記載の放送(以下「本件放送」と総称する。)に係る音又は影像を複製する行為に当たるから,原告NHK 及び東京局各社の本件番組についての著作権(複製権,著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権(複製権,著作権法98条)を侵害するとして,原告NHK 及び東京局各社において,本件番組を複製の対象とすることの差止め並びに原告らにおいて,本件放送に係る音又は影像を録音又は録画の対象とすることの差止め及び本件対象サービスに供されているロクラクⅡの親機の廃棄を求めるとともに,原告らが,それぞれ,複製権の侵害により損害を受けたとして,その損害の賠償及び本訴状送達の日の翌日である平成19年8月4日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めたのに対し,被告が,本件対象サービスの利用による本件番組等の複製行為の主体は被告ではないことなどを主張して争っている事案

以上の事実に基づいて,被告が,本件番組及び本件放送に係る音又は影像
の複製行為を行っているといえるか否かについて検討する。
ア 複製主体についての考え方
 著作権法上の侵害行為者を決するについては,当該行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,法律的な観点から,著作権を侵害する者として責任を負うべき主体と評価できるか否かを検討すべきであるから,事案に応じて,カラオケ装置を設置したスナック等の経営者について,客の歌唱についての管理及びそれによる営業上の利益という観点から,演奏の主体として,演奏権侵害の不法行為責任があると認めたクラブキャッツアイ事件最高裁判決等を踏まえ,問題とされる行為(提供されるサービス)の性質に基づき,支配管理性,利益の帰属等の諸点を総合考慮して判断すべきである。
 被告は,上記最高裁判決は,直接的な利用行為を行っていない者を行為主体とみなす判断をするに当たって十分な正当化根拠を示しておらず,そこで示されたカラオケ法理を一般化された法理として本件に援用することは許されるべきではない旨主張するが,行為の管理支配性や利益の帰属という上記最高裁判決において示された要素を充足する者について,行為の主体として評価し得る場合が存するのであるから,同判決等を踏まえつつ行為の性質等の事情を総合的に考慮することは,規範的に行為の主体性を検討する上で,有用かつ必要であると解され,被告の上記主張は採用できない。

(中略)以上の事情を総合考慮すれば,親機ロクラクは,本件サービスを成り立たせる重要な意味を有する複製を行う機能を有する機器であるところ,被告は,日本国外の利用者に日本のテレビ番組の複製物を取得させるという本件サービスの目的に基づき,当初,親機ロクラクの設置場所を提供して管理支配することで,日本国外の利用者が格段に利用しやすい仕組みを構築し,いまだ,大多数の利用者の利用に係る親機ロクラクを,東京都内や静岡県内において管理支配しているものということができる。この場合,上記の,本件サービスにおいて親機ロクラクの果たす役割からすれば,被告は,別紙サービス目録記載の内容のサービス,すなわち,本件対象サービスを提供しているものということができ,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を管理支配していると認めることができるとともに,それによる利益を得ているものと認められる(なお,被告は,登録料やレンタル料は,親機ロクラクの管理に係る利益とはいえない旨主張し,親機ロクラクの管理に係る賃料等を取得していない旨の報告書(乙4)などを提出するところ,上記登録料等は,名目のいかんにかかわらず,被告が本件対象サービスを提供することによって得る経済的対価であるから,被告は,利益を得ているというべきであり,被告の主張は採用できない。)。

結論
 以上から,被告は,本件対象サービスを提供し,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているというべきであり,原告NHK及び東京局各社の本件番組についての複製権(著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権としての複製権(著作権法98条)を侵害するものといえる。
 被告は,本件サービスが,あくまでも利用者個人がその私的使用目的で賃借したロクラクⅡを利用する行為であって,その利用に関与するものではなく,利用者が賃貸機器を利用してテレビ番組を複製する行為の主体は,利用者本人であり,被告ではあり得ない旨主張する。
しかしながら,被告は,上記判示のとおり,本件対象サービスにおいて,自らが本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているのであり,このことと,本件サービスの利用者によるテレビ番組の録画が,私的使用目的で行われるか否か,あるいは,利用者の指示に基づいて複製されるテレビ番組が選択されるか否かとは,直接関連するものではないから,被告の上記主張は,失当といわなければならない。

平井利明のメモ

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