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2008.07.04

平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決(コンビニの基本契約書の解釈についての一例)

平成19(受)1401書類引渡等,請求書引渡等請求事件
平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】
 
原審
東京高等裁判所平成19年05月31日判決   
原審事件番号 平成19(ネ)877

裁判要旨
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営者は加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36582&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080704150518.pdf

判決文より
「コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する被上告人との間で加盟店基本契約を締結してそれぞれ加盟店の一つを経営している上告人らが,被上告人に対し,被上告人が上記加盟店基本契約に基づき上告人らの仕入れた商品の代金を上告人らに代わって支払ってきたことに関し,支払先,支払日,支払金額,商品名とその単価・個数,値引きの有無等,具体的な支払内容について報告を求める事案」
「本件基本契約には,①被上告人は加盟店の計数管理情報を保持するために作成,保管している経営記録,会計帳簿(オープンアカウントが記帳されている)等に反映される範囲で加盟店経営者の経営に係る税の申告のため加盟店経営者に資料を提供する旨の定めや,②被上告人は加盟店の各月,各年ごとの損益計算書,貸借対照表及び各月ごとの商品報告書を作成して加盟店経営者に提供する旨の定めがある(以下,上記①,②の定めを併せて「本件資料等提供条項」という。)が,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告については何らの定めもない。本件資料等提供条項によって提供される資料等からは,被上告人が加盟店経営者である上告人らに代わって仕入代金を支払ったことに関して上告人らが本件訴訟において報告を求めているような具体的な支払内容は明らかにならない。」

「前記事実関係によれば,加盟店経営者が本件発注システムによって商品を仕入れる場合,仕入商品の売買契約は加盟店経営者と推薦仕入先との間に成立し,その代金の支払に関する事務を加盟店経営者が被上告人に委託する(以下,これを「本件委託」という。)という法律関係にあるものと解される。したがって,本件委託は,準委任(民法656条)の性質を有するものというべきである。
もっとも,本件委託は本件基本契約の一部を成すものであるところ,前記事実関係によれば,本件基本契約においては被上告人の支払った仕入代金がオープンアカウントにより決済されることから,被上告人は,仕入代金相当額の費用の前払(民法649条参照)を受けることなく委託を受けた事務を処理することになり,しかも,支出した費用について支出の日以降オープンアカウントによる決済の時までの利息の償還(同法650条参照)を請求し得ず,本件委託に基づく仕入代金の支払について報酬請求権(商法512条参照)も有しないなど,本件委託に通常の準委任とは異なる点(以下,これを「本件特性」という。)が存することは明らかである。
そこで,以上の本件委託の性質を踏まえて,本件基本契約上,被上告人が加盟店経営者である上告人らに対して仕入代金の具体的な支払内容について報告義務を負うか否かを検討する。
本件基本契約には,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告については何らの定めがないことは前記確定事実のとおりである。しかし,コンビニエンス・ストアは,商品を仕入れてこれを販売することによって成り立っているのであり,商品の仕入れは,加盟店の経営の根幹を成すものということができるところ,加盟店経営者は,被上告人とは独立の事業者であって,自らが支払義務を負う仕入先に対する代金の支払を被上告人に委託しているのであるから,仕入代金の支払についてその具体的内容を知りたいと考えるのは当然のことというべきである。また,前記事実関係によれば,被上告人は,加盟店経営者から商品の発注データ及び検品データの送信を受け,推薦仕入先から検品データに基づく請求データの送信を受けているというのであるから,被上告人に集約された情報の範囲内で,本件資料等提供条項によって提供される資料等からは明らかにならない具体的な支払内容を加盟店経営者に報告すること(以下,この報告を「本件報告」という。)に大きな困難があるとも考えられない。そうすると,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告について何らの定めがないからといって,委託者である加盟店経営者から請求があった場合に,準委任の性質を有する本件委託について,民法の規定する受任者の報告義務(民法656条,645条)が認められない理由はなく,本件基本契約の合理的解釈としては,本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解されない限り,被上告人は本件報告をする義務を免れないものと解するのが相当である。そして,本件特性については,これのみに注目すると,通常の準委任と比較して被上告人にとって不利益であり,被上告人の加盟店経営者に対する一方的な援助のようにも見えるが,このことは,仕入代金が前記のように被上告人において加盟店の売上金の管理等をするオープンアカウントにより決済されることに伴う結果であるし,前記事実関係によれば,被上告人には,オープンアカウントによる決済の方法を提供することにより,仕入代金の支払に必要な資金を準備できないような者との間でも本件基本契約を締結して加盟店を増やすことができるという利益があり,また,加盟店経営者がオープンアカウントによる決済の方法を利用して仕入商品を増やせば,売上げも増えることが見込まれ,売上利益に応じた加盟店経営に関する対価を取得する被上告人の利益につながるのであるから,本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解することはできない。したがって,被上告人は,本件基本契約に基づき,上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を負うものというべきである。」

「被上告人が,本件基本契約に基づき上告人らに対して報告義務を負うべき本件報告の具体的内容につ
いて,更に審理を尽くさせるために,原判決中,被上告人に関する部分につき,本件を原審に差し戻す」

この判決の内容を前提とする限りでは,基本契約書の文言を変えれば,結論が変わりうるということになるのだろうか。
仮にそうだとすると,仮に,一切報告義務を負わないという条項が存在する場合に,それが信義則に反するまでのものと言えるか,ということなのだろうか。

平井利明のメモ

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