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2008.07.11

昭和58年09月06日最高裁判所第三小法廷判決(不法行為債務の遅滞時期について)

昭和55(オ)1113損害賠償
昭和58年09月06日最高裁判所第三小法廷判決
第37巻7号901頁

原審
仙台高等裁判所   
昭和55年09月17日判決

判示事項
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務が履行遅滞となる時期

裁判要旨
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務は、当該不法行為の時に履行遅滞となるものと解すべきである。

参照法条 民法412条,民法709条,自動車損害賠償保障法3条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26201&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/6FB1A78D500F381B49256A8500311F8C.pdf

判決文より(原則として漢数字は算用数字に変換)
「不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和41年(オ)第280号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号441頁)とするところである。
 しかして、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきところ(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)、弁護士費用に関する前記損害は、被害者が当該不法行為に基づくその余の費目の損害の賠償を求めるについて弁護士に訴訟の追行を委任し、かつ、相手方に対して勝訴した場合に限つて、弁護士費用の全部又は一部が損害と認められるという性質のものであるが、その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には一個の損害賠償債務の一部を構成するものというべきであるから(最高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁参照)、右弁護士費用につき不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥るものと解するのが相当である。
 なお、右損害の額については、被害者が弁護士費用につき不法行為時からその支払時までの間に生ずることのありうべき中間利息を不当に利得することのないように算定すべきものであることは、いうまでもない
 本件についてこれをみると、記録及び原判文に照らせば、原審が、被上告人の本件訴訟追行のための弁護士費用につき本件事故と相当因果関係のある損害を八万円と認めるにあたつて、被上告人が右事故時から当該弁護士費用の支払時までの中間利息を不当に利得することのないように算定したことが窺いえないものではないから、上告人が所論の弁護士費用に係る損害八万円について本件事故後である昭和52年7月19日から完済まで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うとした原審の判断は、是認するに足り、原判決に所論の違法はない。」

最高裁判例解説民事編昭和五十八年度(法曹会)328~329頁では
(原則として漢数字は算用数字に変換,以下同様)
「不法行為に基づく損害賠償債務については,判例は,かつてこれを期限の定めのない債務として民法413条3項に基づき,請求を受けたときに遅滞に陥るもの解していた(大判明41・3・18・民録14輯275頁)が,その後これを改め,右条項所定の原則の例外として,不法行為による損害賠償債務が発生すると同時にこれを履行する責めを負い,債権者の請求を待たずに遅滞の責めに任ずべきとするものに至り(大判明43・10・20・民録17輯719頁)最高裁も,これを維持し,かかる損害賠償債務は,「損害の発生と同時に,なんらの催告を要することなく遅滞に陥る」と解している(最三小判昭37・9・4・民集16巻9号1834頁)。学説上も,通説は,主として沿革と公平の観念から,判例と同旨の見解を採っている(我妻・新訂債権総論105頁・於保債権総論[新版]105頁,加藤・不法行為[増補版]219頁,幾代・不法行為325頁等参照)。」
と説明されている。

参照
「なお,最二小昭45・6・19・民集24巻6号560頁は,弁護士費用に係る賠償請求権の消滅時効について,報酬契約の時が民法724条にいう損害を知ったときに当たり,その時からその消滅時効が進行する旨判示している」(前掲書331~332頁)。
裁判所サイト
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27326&hanreiKbn=01
判決文 
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/54C9310E6A254E7D49256A850031225A.pdf

また,次のような裁判例もある。
昭和56(オ)767損害賠償請求本訴、同反訴
昭和57年10月19日最高裁判所第三小法廷判決
36巻10号2163頁
原審
大阪高等裁判所   
昭和56年05月14日

判示事項
民法724条所定の3年の時効期間の計算と初日の不算入
裁判要旨
民法724条所定の3年の時効期間の計算においては、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知つた時が午前零時でない限り、時効期間の初日を算入すべきではない
参照法条 民法138条,民法140条,民法724条
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26259&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/B4F950C82F0CF34449256A8500311FAA.pdf

平井利明のメモ

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