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2008.11.23

中丸美繪著「オーケストラ、それは我なり」朝比奈隆四つの試練

楽譜の記事をアップしましたが、実は、この本を買いに行った際に目に入ったので楽譜を購入したというのが実情。
休みの間に、この本を読んでしまいたいと思っていた。

中丸美繪著
「オーケストラ、それは我なり」-朝比奈隆四つの試練
2008年9月 文藝春秋

大阪でクラシック音楽をある程度の期間趣味としていたとすれば,朝比奈隆という名は避けて通ることが出来ない。
私も,大フィル(大阪フィルハーモニー交響楽団)と朝比奈隆と言う名はかなり前から知っていた。
でも実際にそのコンビの演奏を聴いたのはそれほど古くからのことではない。
一度,友達の誘いで聞きに行ったことがあった。そのときはマーラーの9番のシンフォニーが取り上げられていた。マーラーブームが来る以前でもあり初めて聞く曲だった。曲がそもそもとっつきやすいものではなく,また演奏自体もよく分からないものであった。全く良い印象は残っていない。
その後大フィルどころかライブで聞きに行くことがなかった。
しかし何年後になるのか,
情報源は忘れてしまったが,ブルックナーの第8交響曲が演奏されるとの知らせに接した。
オーストリアの作曲家であるブルックナーは重厚なシンフォニーを幾つも作曲した人物であるが,我が国でも,朝比奈氏の努力により多少なりともその名が知られるようになったものの,かつてはほぼ無名に近い人物だったと思う。
私は,ラジオではあるが,かつてカラヤンがベルリンフィルを率いてザルツブルグ音楽祭にてブルックナーの8番を取り上げたものを聞いてからこの作曲家が好きになっていた。ブルックナーの8番は,彼が完成させた最後のシンフォニーであって,極めてスケールが大きくまた内容的にも充実していてブルックナーの代表作であるといえる(9番は未完)。
ブルックナーのそのような曲が演奏されるとあって,これは聞いておきたいと思いチケットを求めた(今思えば良くチケットが手に入ったものだ)。

演奏会当日
その日も世界のあちらこちらで数多くの音楽が奏でられていたであろうが,間違いなく,その夜奏でられた中で世界で一番素晴らしい音楽に接したときであった。
日本人の指揮者及び日本のオーケストラでこれほど凄まじい演奏が存在するとはは全く予想していなかった。
それ以後,朝比奈隆と大フィルのコンビの演奏を良く聴くようになった。

朝比奈氏の指揮による演奏がすべて良かったとは思えない。しかし,良いときはとんでもなく良い。それが魅力だった。
色々な曲があったが,やはりブルックナーの曲は秀逸だった。
なお,個人的に,朝比奈氏によってその曲の良さに気づかされた曲としてあげたいのが,既に触れたことがあったかも知れないが,チャイコフスキーの5番のシンフォニー。この演奏も忘れられないものであった。この曲は,何度聴いても好きになれなかった。そのような作品ではあったが,朝比奈氏が振るというので聞きに行った。そのときに初めて,この曲の良さを思い知らされた。最終楽章に向けて,朗々と歌いながらて進んでいく演奏。時間や音というものはこのように悠大に目の前を流れていくものなのか・・・・。そんな思いを持ったことは今でも忘れられない。朝比奈氏の,一番の十八番は,実はチャイコだったのかも・・・そんな気持ちも今だに持っている。つい先日,リッカルド=ムーティ指揮のウイーンフィル(日本公演)によるチャイコの5番がNHKで放送されていた。ウイーンフィルってどれほど上手なの・・・,そして,これほど燃えて演奏する団体だったの?なんて,とても感動しながら見ていたのだが,それでもなお朝比奈氏の指揮によるチャイ5を聞いたときの感動を超えるものではなかった。

中丸美繪さんの「オーケストラ,それは我なり」は,このように私に素晴らしい体験をさせた朝比奈氏及び彼のオーケストラとも言えた大フィルの生き様がまとめられた本である。何気なく音楽を聞かせていただく立場でしかない私だが,私がその時々に接した音楽は,このような艱難を経て私の目の前に現れていたのだということを考えると,涙なくして読むことは出来なかった。

人は自分の信念を貫くためにどこまでのことが出来るのか。
音楽に興味のない方でも,一つの大きな人間ドラマとして色々と感じ取ることの出来る作品だと思います。

朝比奈隆;1908年(明治41年)7月9日 - 2001年(平成13年)12月29日

「オーケストラ、それは我なりー朝比奈隆四つの試練」取材ノート・中丸美繪ブログ(著者御本人のサイト? 各書評が掲載されています)

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