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2008.12.22

平成20年09月30日名古屋高等裁判所民事第4部(ペットに関する損害について)

平成20(ネ)483損害賠償請求控訴事件
平成20年09月30日名古屋高等裁判所民事第4部 

原審
名古屋地方裁判所   
平成19(ワ)1995

判示事項の要旨
1 交通事故によりペットである犬が負傷した場合において,治療費,慰謝料等を損害として認めた事例
2 車に同乗させていた犬が交通事故により負傷した場合において,犬用シートベルトなど動物の体を固定するための装置を装着させるなどの措置を講じていなかったことを理由に過失相殺を認めた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36950&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081029110404.pdf
別紙1
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081104172053-1.pdf

主文第1項
原判決中,控訴人ら(注:控訴人は2名のようである)に対し,それぞれ,26万6425円及びこれに対する平成17年9月25日から支払済みまでの年5分の割合による金員を超えて金員の支払を命じた部分を取り消す。

<治療費,入院雑費,介護用具代,雑費その他(慰謝料,弁護士費用以外のもの)について>
「F(注:ペットである犬を示す,以下同様)が傷害を負ったことによる損害の内容及び金額は,Fが物(民法85条)に当たることを前提にして,これを定めるのが相当である。このことは,前示(原判決書記載)のとおり,被控訴人らが,Fを我が子のように思って愛情を注いで飼育していたことによって,左右されるものではない。
ところで,一般に,不法行為によって物が毀損した場合の修理費等については,そのうちの不法行為時における当該物の時価相当額に限り,これを不法行為との間に相当因果関係のある損害とすべきものとされている。
しかしながら,愛玩動物のうち家族の一員であるかのように遇されているものが不法行為によって負傷した場合の治療費等については,生命を持つ動物の性質上,必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく,当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠なものについては,時価相当額を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度において,不法行為との間に因果関係のある損害に当たるものと解するのが相当である。
(中略)
Fに対する当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠な費用のうち,時価相当額(前示の購入代金額を下回っているか,仮に,そうでないとしても,これを大きく上回ることはないものと推認できる。)を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度を検討すると,(中略)
なお,被控訴人らは,Fの治療のために支出した費用は,動物愛護法に適合するものであるから,その全額を本件事故との間に相当因果関係のある損害として認めるべきであると主張するが,動物愛護法の点は,本件事故との間に相当因果関係のある損害の内容,額を定めることとは別個の問題であるから,被控訴人らの主張は,採用できない。」

<慰謝料について>
「近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。そして,そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である。
これを本件についてみるに,前示のとおり,子供のいない被控訴人らは,Fを我が子のように思って愛情を注いで飼育していたものであり,Fは,飼い主である被控訴人らとの交流を通じて,家族の一員であるかのように,被控訴人らにとってかけがえのない存在になっていたものと認められる。ところが,Fは,本件事故により後肢麻痺を負い,自力で排尿,排便ができず,日常的かつ頻繁に飼い主による圧迫排尿などの手当てを要する状態に陥ったほか,膀胱炎や褥創などの症状も生じているというのである(被控訴人ら各本人)。このようなFの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等からすれば,被控訴人らは,Fが死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているものといえるから,(中略),慰謝料を請求することができるというべきである。そして,慰謝料の金額については,Fの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等その他本件に現れた一切の事情を総合すると,被控訴人らそれぞれにつき,20万円ずつとするのが相当である。」

過失割合1割

平井利明のメモ

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