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2008.12.06

奨学金の不払いによる個人信用情報機関への滞納情報登録(日本学生支援機構)

次のように各報じられている。
<奨学金,3か月滞納すると“ブラックリスト”入り>
『奨学金の貸与事業を行う独立行政法人「日本学生支援機構」は5日、奨学金の返済を3か月以上滞納した卒業生の氏名などを、今後、債務情報を管理する個人信用情報機関に登録すると発表した。
 同機構は11月25日に信用情報機関に加盟。現在の奨学生や来年度から奨学金を受ける学生らから、順次同意書を集め、2010年4月から登録する。
 同意しない学生は、奨学金を受け取ることを認めない方針だ。(以下略)』(2008年12月5日19時26分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081205-OYT1T00575.htm

日本学生支援機構:奨学金の延滞防止へ、名前と額通報
『大学生に奨学金を貸す日本学生支援機構(旧日本育英会)は5日、多重債務者などの情報を集約している「全国銀行個人信用情報センター」に、延滞者の名前や延滞額を通報する延滞防止策を始めると発表した。通報されると、クレジットカードの作製や新規ローンの設定が難しくなる。延滞3カ月以上の人が対象となる。通報には、本人の同意と個人情報の登録が必要。登録しない大学生には貸与を停止する。』(毎日新聞 2008年12月6日 東京朝刊)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081206ddm012040069000c.html

返済余力があるのに奨学金の返済を敢えて行わない者も増えているとのことでありそれは由々しき問題。
しかし,そもそも返済余力のない場合が多いと思われるが,そのようなケースについては一律登録されるということなのだろうか。
その登録の仕方によっては,かなり問題となることが考えられる。
運用には,相当の合理性が必要となろう。
本人の同意を通知の条件とするとのことだが,同意しなければ奨学金の対象としないのであろうところ,独立行政法人日本学生支援機構のサイトに示されhttp://www.jasso.go.jp/saiyou/index.html)(「奨学金の貸与を希望される方へ:奨学金は,経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対し貸与されます。」)奨学金の制度趣旨を十分に考える必要があろう。
学生にとって,滞納等に関する信用情報が登録されてしまうことの影響をその実感としてとらえることは困難であろうが,その影響の大きさを理解しておかなければならない。
銀行等で借入を行うことが極めて困難となる。つまり、住宅ローンもダメで,開業資金等の借入も出来ないことを覚悟すべきことになる。
またクレジットカードももてないと考えておいた方がよい。クレジットカードがなければ,電車代等のポストペイ(後払い)のシステムを利用できないし,インターネットでの決済も出来ない等の社会的不都合を招く。
奨学金の返済が出来ないことで,一律このような不利益を与える合理性はないと考えがざるを得ず,運用に際しては,相当の慎重さが要求されなければならないと言えよう。
更にいうならば,この度の報道が、能力がありつつ返済を行わない者について,制度をこのような状況にまで追いつめた責任を感じるきっかけとなり,早期返済への足がかりとなることを期待したい。

参考)「全国銀行個人信用情報センターとは」
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/about/index.html#contents1


「奨学事業に関する報道について」(独立行政法人日本学生支援機構)
http://www.jasso.go.jp/shougakukin/houdou.html
(注:今回のものより前の報道を受けてのもの)

平井利明のメモ

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