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2009.05.12

平成21年04月24日最高裁判所第二小法廷判決(間接強制と不当利得返還請求権関連)

平成20(受)224損害賠償等請求事件
平成21年04月24日最高裁判所第二小法廷判決

原審
福岡高等裁判所   
平成18(ネ)887
平成19年10月31日

裁判要旨
被保全権利が発令時から存在しなかったものと本案訴訟の判決で判断され,仮処分命令が事情の変更により取り消された場合,債務者は,保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭の不当利得返還請求をすることができる
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37543&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090424132048.pdf

判決文より
「仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において,当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,このことが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令を受けた債務者は,その保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭につき,債権者に対して不当利得返還請求をすることができる。その理由は,次のとおりである。
間接強制は,債務の履行をしない債務者に対し,一定の額の金銭(以下「間接強制金」という。)を支払うよう命ずることにより,債務の履行を確保しようとするものであって,債務名義に表示された債務の履行を確保するための手段である。そうすると,保全執行の債務名義となった仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,これが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令に基づく間接強制決定は,履行を確保すべき債務が存しないのに発せられたものであったことが明らかであるから,債権者に交付された間接強制金は法律上の原因を欠いた不当利得に当たるものというべきである。」



裁判所の命令による間接強制という国家権力の行使たる公法上の行為が介在しても,私法上の不当利得返還請求権の有無には影響を与えないということでもあるのか。

不当利得の制度は,徐々に歴史的な純化を経て形成されたものではなく,むしろ,法典編纂期に急遽形作られたものとのことどえある(新版注釈民法18・337p)。
しかしながら,機能的には,極めて重要な制度である。
不当利得の制度は,「財産帰属の面において非有体的利益の帰属を保障し」,「財産移転に関し,財貨の移転を裏面から支える」という極めて重要な意味合いを有している。
例えば,契約関係に基づいてある財貨の移転があったとしても,その財貨の移転は不合理なものとしてものと持ち主に返すべきとなるような場合があるのか。
仮に,このような考察が行わなければならないとすれば,財貨の移転は,契約の存在だけでは正当化されず,結局,不当利得返還請求が成立しないことも実質的に要求されることになる(相対的無効なる考察は,不当利得的な価値判断が求められているとも言えよう)。
従って,不当利得に関する理解を深めることは,かなり重要なことであることがわかるのだが,難しい。

平井利明のメモ

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