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2009.06.16

平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決(市長が損害賠償請求権を行使しないことに関して)

平成20(行ヒ)97損害賠償代位等請求事件
平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所   
平成18(行コ)134
平成19年11月30日

裁判要旨
市の発注した工事に関し業者らが談合をしたため市が損害を被ったにもかかわらず,市長が上記業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして,市の住民が地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,怠る事実に係る相手方である上記業者らに対し損害賠償を求める訴訟において,市長が上記損害賠償請求権を行使しないことが当該債権の管理を違法に怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37555&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090428114532.pdf

判決文より
「地方公共団体が有する債権の管理について定める法240条,地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照)。もっとも,地方公共団体の長が債権の存在をおよそ認識し得ないような場合にまでその行使を義務付けることはできない上,不法行為に基づく損害賠償請求権は,債権の存否自体が必ずしも明らかではない場合が多いことからすると,その不行使が違法な怠る事実に当たるというためには,少なくとも,客観的に見て不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料を地方公共団体の長が入手し,又は入手し得たことを要するものというべきである。なお,独禁法違反の行為によって自己の法的利益を害された者は,当該行為が民法上の不法行為に該当する限り,公取委による審決の有無にかかわらず,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを妨げられないのであり(最高裁昭和60年(オ)第933号,第1162号平成元年12月8日第二小法廷判決・民集43巻11号1259頁参照),審決が確定するまで同請求権を行使しないこととすると,地方公共団体が被った損害の回復が遅れることとなる上,同請求権につき民法724条所定の消滅時効が完成するなどのおそれもあるから,仮に,独禁法違反の事実を認める審決がされ,将来的にその審決が確定した場合には独禁法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが可能になる(そして,同請求権を行使する場合,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使する場合と比べ,主張,立証の負担が軽減される)としても,そのことだけでは,当然に不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことを正当化する理由となるものではないというべきである。」
「被上告人らによる不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料の有無等につき本件訴訟に提出された証拠の内容,別件審決の存在・内容等を具体的に検討することなく,かつ,前記のような理由のほかに不法行為に基づく損害賠償請求権の不行使を正当とするような事情が存在することについて首肯すべき説示をすることなく,同請求権の不行使が違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」

平井利明のメモ

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