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2009.06.08

消滅時効と除斥期間

 民法の起草者(梅謙次郎)は,消滅時効と除斥期間の違いを理解し,民法上除斥期間が規定されていると述べていると指摘されている(最高裁判所判例解説民事編平成元年度604p)。
なお,立法関係者(梅謙次郎)は,①民法中に「時効ニ因リテ」(注:現行法においては「時効によって」と表記されている)という文言が用いてあれば時効期間であり,それ以外は除斥期間である,②まず短期の時効期間を定め,それに続いて「亦同シ」(注:現行法においては,「同様とする」と表記されている)として長期の期間を定めている場合,後者の期間も時効期間である,と説明しているとのことである(同誌同p)。
 但し,我が民法においては,形式的な区別ではなく,条文の文字には拘泥せず,当該権利の性質や規定の趣旨・目的などに従ってその実質に基づいて判別すべきであることも指摘されている(同誌605p)。
 なお,最高裁判所は,民法第724条が「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」と定めるところ,文言を重視すれば後段も消滅時効と理解せざるを得ないにもかかわらず,後段について,消滅時効の規定ではなく,除斥期間と判示していることは知られたところである(最高裁判所平成元年12月21日判決[破棄自判]民集43巻12号2209頁,参照記事,2009.04.30
平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決(不法行為に基づく損害賠償請求権の除斥期間経過による消滅に関連)http://h-t.air-nifty.com/ht/2009/04/210428-65a4.html)。
 
 因みに,民法から「時効によって」を含む条文を抜き出すと次の通りである。

(取消権の期間の制限)
第126条
 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
(地役権の時効取得)
第283条
 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、◆時効によって◆取得することができる。
第284条
 土地の共有者の一人が◆時効によって◆地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
2 共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために進行する。
第293条
 地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが◆時効によって◆消滅する。
(抵当権の消滅時効)
第396条
 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、◆時効によって◆消滅しない。
(詐害行為取消権の期間の制限)
第426条
 第424条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
第508条
 ◆時効によって◆消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
(他人の債務の弁済)
第707条
 債務者でない者が錯誤によって債務の弁済をした場合において、債権者が善意で証書を滅失させ若しくは損傷し、担保を放棄し、又は◆時効によって◆その債権を失ったときは、その弁済をした者は、返還の請求をすることができない。
2 前項の規定は、弁済をした者から債務者に対する求償権の行使を妨げない。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第724条
 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
(財産の管理について生じた親子間の債権の消滅時効)
第832条
 親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から5年間これを行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。
2 子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。
(相続回復請求権)
第884条
 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。相続開始の時から20年を経過したときも、同様とする。
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第919条
 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする。
4 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(減殺請求権の期間の制限)
第1042条
 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、◆時効によって◆消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

平井利明のメモ

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