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2009.07.28

売買の瑕疵担保責任における損害賠償(の範囲) に関して

売買の瑕疵担保責任における損害賠償(の範囲?)については、履行利益までが賠償の範囲になるとする考え方と信頼利益に留まるとする考え方がある。    
【信頼利益】に留まる?   
【履行利益】まで及ぶか。
(原始的一部不能?→契約の一部無効→瑕疵担保責任)
瑕疵担保責任の法的性質とも絡まって、結構わかりにくい。

また、そもそも信頼利益,履行利益とは何かという点も不明確である? 
次のような場合の下記の各損害は?どのように評価されるのだろうか(賠償すべき損害とされるのか否か)。
<ケース>
建物を建てるため土地を買い入れたところ土地造成上重大な隠れた瑕疵があったので建物を解除したケース
(参考:新版注釈民法(14)p393)
<被った損害>
 後日のために作成した公正証書の手数料・印紙代
 土地の測量費・建築設計費・材料購入費・請負人等に支払った違約金
 担保責任を訴求した訴訟費用等
<失った利益>
 瑕疵を知っていれば他の土地を買って得べかりし利益
 その間の紛争の代わりに他の事業に努力して得べかりし利益
 費用その他支出した金銭に対する利息等
 買主が第三者から良乳牛の申込みがあったのに
 本件売買のために拒絶した場合
 乳牛に伝染病があって
 そのため 買主所有の他の乳牛に伝染して死亡させた場合
 瑕疵がなかったならば土地が示したであろう値上がり額
 その土地につき転売する契約があった場合における転売の利益
<注釈民法の説明によれば,最後の2つのものは履行利益とされそれ以外は信頼利益の範囲とされている>
つまり「乳牛に伝染病があってそのため買主所有の他の乳牛に伝染して死亡させた場合」のような(拡大損害といわれる類の損害?) ものも、注釈民法の説明によれば、信頼利益に含まれるものとして損害賠償すべきもものになるとされている。そのように考えると、信頼利益とはかなり範囲の広いものであるといえる。         

【売主】における瑕疵の認識によって賠償される範囲が異なるのか?
  (履行利益まで? 信頼利益に留まる?)
  (特に,法定責任説に立つ場合)
  瑕疵について【善意・無過失】の場合
  瑕疵について【悪意】(或いは【過失】がある)の場合

 例えば,ある商品に隠れた瑕疵がありその瑕疵の存在に関して売主に全く過失のない場合(無過失の場合)に,その瑕疵に起因して人の生命が奪われた場合にその生命侵害に関しても損害賠償の責めを負担しなければならないか否か。
 このような場合に,仮に,一定の制限の及ぶ理屈を構築した場合に,売主に過失がある場合にも,制限されることになるのだろうか(債務不履行責任と構成した場合には死亡にまでその損害賠償の責めを負担することになるのだろう)。
 このような諸点について,多くの人を納得させるような結論を導く一貫した理屈を見いだすことは,かなり困難のように思える。

平井利明のメモ

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