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2010.03.16

平成22年03月16日最高裁判所第三小法廷判決(退職慰労年金関連)

平成21(受)1154 退職慰労金等請求事件
平成22年03月16日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所   
平成20(ネ)3260
平成21年03月19日

裁判要旨
株主総会の決議を経て内規に従い支給されることとなった取締役の報酬等に当たる退職慰労年金につき,集団的,画一的な処理が制度上要請されることを理由として,内規の廃止により退職慰労年金債権を失わせることの可否(消極)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38700&hanreiKbn=01

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100316112723.pdf


判決文より

「被上告人の取締役を退任した上告人が,株主総会決議等によって定められたところに従い,当時の被上告人の役員退職慰労金規程(以下「本件内規」という。)に基づき算出された額の退職慰労年金を受給していたところ,その後の取締役会決議で本件内規が廃止されたとして同年金の支給が打ち切られたため,被上告人に対し,未支給の退職慰労年金の支払等を求める事案」

「被上告人は,① 退職慰労年金における集団性,画一性等の制度的要請から,一定の場合には退任取締役の同意なく契約内容を変更することが許される,② 上告人が取締役に就任した際の委任契約において,本件内規の廃止後は退職慰労年金が支給されないことが黙示的に契約の内容となっていた,③ 事情変更の原則により上告人に対する退職慰労年金の支給打切りが許されるなどと主張して,上告人の請求を争っている。」

「被上告人の取締役に対する退職慰労年金は,取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから,会社法361条1項にいう報酬等に当たる。本件内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても,取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく,被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て初めて,被上告人と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し,当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至るもの」

「被上告人が,内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって,異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否,金額等を決定することが予定されているものではなく,退職慰労年金の支給につき,退任取締役相互間の公平を図るために,いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的,画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。」

「退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上,その支給期間が長期にわたり,その間に社会経済情勢等が変化し得ることや,その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても,退職慰労年金については,上記のような集団的,画一的処理が制度上要請されているという理由のみから,本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず,その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできないと解するのが相当である。」

「被上告人の主張する黙示的な合意の有無,事情変更の原則の適用の有無等につき更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻す」

平井利明のメモ

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