« 「我妻・有泉コンメンタール民法(第2版追補版)」第2版追補部分の無料ダウンロード(日本評論社) | トップページ | 「監査報告作成時における監査役監査の視点・着眼点の考察」(日本監査役協会) »

2010.08.26

子供等への虐待についての医療関係者等による通告(通報)

病院などからの相談事の中には,
両親等による虐待の疑われる患児(児童である患者)についての相談事もあります。
児童虐待等が疑われるようなケースについて,関係機関へ通報等することは,医師の守秘義務や個人情報保護法等に触れることにならないか等です。

そのことについて触れておきますと
子供の虐待に関しては
「児童虐待の防止等に関する法律」があります。

同法は,病院に対して,児童虐待の早期発見の努力義務を課しています。
(児童虐待の早期発見等)
第5条 学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。
2 前項に規定する者は、児童虐待の予防その他の児童虐待の防止並びに児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援に関する国及び地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。
3 (略)

そして,病院に限らず誰でも
虐待の疑いのある児童を発見したときには通報をおこうなう義務のあることが定められています。
そして,通報を行っても,守秘義務等違反とならないことも定められています。もちろん個人情報保護法等にも違反することにはなりません。
(児童虐待に係る通告)
第6条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
2 前項の規定による通告は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十五条の規定による通告とみなして、同法の規定を適用する。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、第一項の規定による通告をする義務の遵守を妨げるものと解釈してはならない。

なお
高齢者への虐待に関しては
「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」があり通報義務を定められています(2項は努力義務ですが,1項は義務です)。
(養護者による高齢者虐待に係る通報等)
第7条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

なお
虐待を受けている者の生命・身体の安全を守ろうとすることは正当なことであり円滑で安全な社会生活を維持するためには必要なことでしょうから。個々の法律に明示されていなくても,広く許されていると理解すべきだと言えます(参照刑法第35条,第36条)。

平井利明のメモ

|

« 「我妻・有泉コンメンタール民法(第2版追補版)」第2版追補部分の無料ダウンロード(日本評論社) | トップページ | 「監査報告作成時における監査役監査の視点・着眼点の考察」(日本監査役協会) »

医事関連」カテゴリの記事

法律関連」カテゴリの記事