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2010.10.19

平成22年10月19日最高裁判所第三小法廷判決(詐害行為取消権関連)

平成21(受)708詐害行為取消等請求事件
平成22年10月19日最高裁判所第三小法廷判決

原審
大阪高等裁判所   
平成20(ネ)2283
平成21年01月23日

裁判要旨
詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は,取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではない

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=80772&hanreiKbn=01

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101019111349.pdf

判決文より

「本件は,Aの債権者である被上告人が,上告人に対し,詐害行為取消権に基づき,Aと上告人との間の不動産持分の売買契約の取消し及び上告人への上記持分の移転登記の抹消登記手続を求める事案」

「詐害行為取消権の制度は,債務者の一般財産を保全するため,取消債権者において,債務者受益者間の詐害行為を取り消した上,債務者の一般財産から逸出した財産を,総債権者のために,受益者又は転得者から取り戻すことができるとした制度であり,取り戻された財産又はこれに代わる価格賠償は,債務者の一般財産に回復されたものとして,総債権者において平等の割合で弁済を受け得るものとなるのであり,取消債権者の個々の債権の満足を直接予定しているものではない。上記制度の趣旨にかんがみると,詐害行為取消訴訟の訴訟物である詐害行為取消権は,取消債権者が有する個々の被保全債権に対応して複数発生するものではないと解するのが相当である。
したがって,本件訴訟において,取消債権者の被保全債権に係る主張が前記事実関係等のとおり交換的に変更されたとしても,攻撃防御方法が変更されたにすぎず,訴えの交換的変更には当たらないから,本件訴訟の提起によって生じた詐害行為取消権の消滅時効の中断の効力に影響がないというべきである。」

裁判官田原睦夫の補足意見
「本件は,詐害行為取消訴訟の提起後に,原告が当初主張していた被保全債権が消滅したところから,主張に係る被保全債権を交換的に変更した事案であるが,以下に例示するように,債権者が債務者に対して複数の債権を有していて,その一部を被保全債権として詐害行為取消訴訟を提起した後に,その被保全債権が第三者に移転した場合を考えれば,法廷意見の述べるところの妥当性がより検証されると考える。
事例として,甲は乙に対して,A(債権額120万円),B(債権額150万円),C(債権額170万円)の3口の債権を有しているところ,乙は,その債権発生後に丙に現金200万円を贈与し,乙にはその他にさしたる財産がないとする。
その場合,甲は,任意の2口の債権を被保全債権として丙に対して詐害行為取消訴訟を提起し,200万円の給付を求めることができるが,それは1個の請求と解することに異論はないと思われる。そして,甲が,A,B両債権を被保全債権として訴えを提起した後に,甲が丁に対してB債権を譲渡し,あるいは,B債権につき丁を差押債権者とする差押転付命令を受けた場合,甲が従前の訴訟を維持するためにはC債権を被保全債権として追加主張する必要があるところ,その主張は,攻撃防御方法の追加としか評価し得ないのである。
なお,B債権を取得した丁が,甲の提起した詐害行為取消訴訟に独立当事者参加(民訴法47条)をすることができるか否かについては,その訴訟の目的である権利を譲り受けたといえるか否かとも関連して問題となり得るが,その点については立ち入らない。」

平井利明のメモ

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