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2010.10.22

平成22年10月22日最高裁判所第二小法廷判決(公開買付け関連)

平成20(受)1631損害賠償請求事件
平成22年10月22日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所
平成19(ネ)3361
平成20年07月09日

裁判要旨
証券取引法施行令(平成18年政令第377号による改正前のもの)7条5項4号,他社株府令(平成18年内閣府令第86号による改正前のもの)3条の2の4第1項及び第2項所定の「株券等」には,特定買付け等の対象とならない株券等は含まれない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=80782&hanreiKbn=01


判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101022160227.pdf
判決文より
「本件は,A(以下「A」という。)の発行する普通株式を保有していた被上告人が,上告人において,Aの発行する種類株式に係る株券を買い付けるに当たり,普通株式と共に公開買付けによらなければならなかったのに,これによらなかったことが違法であり,その結果,その保有していた普通株式を売却する機会を逸し,損害を被ったなどと主張して,上告人に対し,不法行為に基づく損害賠償を求める事案」


「平成15年政令第116号及び同年内閣府令第28号による改正により,施行令7条5項4号,他社株府令3条の2の4第1項及び第2項において,25名未満要件及び同意要件をいずれも充足する特定買付け等については,当該特定買付け等を行う者及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が3分の1を超える場合であっても,公開買付けによる必要がないものとされ,公開買付け規制に新たな例外が設けられたことは,前記3のとおりである。上記改正は,企業活動の活性化のためには,事業再編等を容易にできるようにする必要があるにもかかわらず,上記改正前における公開買付け規制が,経営支配権の移動を伴う株式等の相対取引を制約し,事業再編等の支障となっていたことから,事業再編等の迅速化及び手続の簡素化を図ることなどを目的として行われたものであって,25名未満要件及び同意要件を充足する特定買付け等については,公開買付けによらずに買付けを行い得るものとすることがその目的に資するとの判断に基づくものである。
ところで,旧証取法27条の2第1項は,株券等の買付け等を行う者が特定の種類の株券等のみを買付け等の対象とし得ることを前提として,買付け等の対象としようとする種類の株券等の買付け等についての公開買付けの要否を規律したものであるから,同項5号の規定を受けて定められた25名未満要件及び同意要件も,買付け等の対象としようとする特定の種類の株券等の特定買付け等について,これを公開買付けによらずに行うための要件を定めたものと解するのが合理的である。そして,事業の再編等のためには,その再編等のために発行された特定の種類の株券等のみの特定買付け等をすることが必要な場合がある上,有価証券報告書の提出義務を負うのは,証券取引所に上場されている有価証券を発行する会社等(旧証取法24条1項)であるから,一般に,その会社が発行する株券等の所有者が多数に及ぶことは明らかであって,このような実情や上記改正の目的をも考慮すると,上記各要件は,買付け等の対象としようとする特定の種類の株券等の特定買付け等を前提として定められたものというべきである。上記各要件にいう「株券等」を当該特定買付け等の対象とならない種類の株券等(普通株式に係る株券を含む。)も含めたすべての株券等を意味するものであると解すると,上記各要件が充足される余地は実際上極めて限定されたものとなり,事業再編等の迅速化及び手続の簡素化のために上記の各規定が設けられた趣旨がおよそ没却されることになる。
以上に加え,特定買付け等が公開買付けにより行われるか否かは,当該特定買付け等の対象となる特定の種類の株券等の所有者の利害に直接影響するものであるものの,その株券等の所有者において当該特定買付け等を公開買付けによらないで行うことにつき同意しているのであれば,その株券等の所有者にその株券等の公開買付けによる売却の機会を保障する必要はないことから,同意要件を設けたものであって,特定買付け等を行う者において買付けの対象としない他の種類の株券等があるとしても,その所有者の利害に重大な影響を及ぼすものではないものとして,その同意は必要とされなかったものと解するのが相当である。
そして,本件各買付けの時点で適用される施行令7条5項4号,他社株府令3条の2の4第1項及び第2項の定める25名未満要件及び同意要件の内容が,上記平成15年改正後の証券取引法施行令7条5項4号及び他社株府令3条の2の4第1項及び第2項のそれと異なるところがないことは,前記3(2)及び(3)のとおりである。
以上によれば,施行令7条5項4号,他社株府令3条の2の4第1項及び第2項所定の「株券等」には,特定買付け等の対象とならない株券等が含まれると解する余地はないものというべきである。」

「本件各買付けにつき,25名未満要件及び同意要件を充足しているか否かを検討するに当たり,買付けの対象とされたC種類株式に係る株券以外の株式等に係る株券等の所有者の人数やその同意の有無を考慮する余地はない。そして,前記事実関係によれば,上告人が特定買付けの対象としたC種類株式に係る株券の所有者は,BとCのみであり,その買付けを公開買付けによらないで行うことにつき両名の同意を得ていたというのであるから,本件各買付けを公開買付けによる必要はなく,本件各買付けを公開買付けによらずに行ったことは,証取法27条の2第1項に違反するものとはいえず,普通株式の株主である被上告人との関係で,不法行為法上違法なものであるということはできない。」

なお,裁判官須藤正彦の補足意見がある。

平井利明のメモ

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