« こうなれば,やるしかないね。 | トップページ | 平成23年04月28日最高裁判所第一小法廷判決(特許の 延長登録出願関連) »

2011.04.26

平成23年04月26日最高裁判所第三小法廷判決(原審が認めた相当因果関係を誤った判断として破棄自判した例)

平成21(受)733損害賠償請求事件
平成23年04月26日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄自判】

東京高等裁判所
平成20(ネ)3342
平成21年01月14日

裁判要旨
精神神経科の医師の患者に対する言動と,上記患者が上記言動に接した後に外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81272&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110426113650.pdf

判決文より
「上告人の開設するa 病院(以下「上告人病院」という。)の精神神経科に通院し,上告人病院のA医師(以下「A医師」という。)の診察を受けた被上告人が,上記診療時において,過去のストーカー被害などの外傷体験を原因とする外傷後ストレス障害(以下「PTSD」という。)に罹患していたにもかかわらず,A医師から誤診に基づきパーソナリティー障害(人格障害)であるとの病名を告知され,また,治療を拒絶されるなどしたことにより,同診療時には発現が抑えられていたPTSDの症状が発現するに至ったと主張して,上告人に対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求める事案」

「前記事実関係等によれば,A医師の本件言動は,その発言の中にやや適切を欠く点があることは否定できないとしても,診療受付時刻を過ぎて本件面接を行うことになった当初の目的を超えて,自らの病状についての訴えや質問を繰り返す被上告人に応対する過程での言動であることを考慮すると,これをもって,直ちに精神神経科を受診する患者に対応する医師としての注意義務に反する行為であると評価するについては疑問を入れる余地がある上,これが被上告人の生命身体に危害が及ぶことを想起させるような内容のものではないことは明らかであって,前記のPTSDの診断基準に照らすならば,それ自体がPTSDの発症原因となり得る外傷的な出来事に当たるとみる余地はない。そして,A医師の本件言動は,被上告人がPTSD発症のそもそもの原因となった外傷体験であると主張する本件ストーカー等の被害と類似し,又はこれを想起させるものであるとみることもできないし,また,PTSDの発症原因となり得る外傷体験のある者は,これとは類似せず,また,これを想起させるものともいえない他の重大でないストレス要因によってもPTSDを発症することがある旨の医学的知見が認められているわけではない。なお,C医師は平成16年2月10日の初診時に,被上告人がPTSDを発症していると診断しているが,この時の被上告人の訴えは平成15年1月にb 市立病院の精神科で診察を受けた時以来の訴えと多くの部分が共通する上,上記初診時の診療録には,A医師の本件言動を問題にする発言は記載されていない。
以上を総合すると,A医師の本件言動と被上告人に本件症状が生じたこととの間
に相当因果関係があるということができないことは明らかである。被上告人の診療に当たっているC医師が,A医師の本件言動が再外傷体験となり,被上告人がPTSDを発症した旨の診断をしていることは,この判断を左右するものではない。

平井利明のメモ

|

« こうなれば,やるしかないね。 | トップページ | 平成23年04月28日最高裁判所第一小法廷判決(特許の 延長登録出願関連) »

裁判例」カテゴリの記事