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2011.12.07

平成23年12月01日最高裁判所第一小法廷判決(リボルビング方式の貸付けと民法704条の悪意関連)

平成23(受)307不当利得返還請求事件
平成23年12月01日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所
平成22(ネ)3784
平成22年10月27日

裁判要旨
リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,17条書面には上記記載を要するとした最高裁判所の判決以前であっても,当該貸金業者につき民法704条の「悪意の受益者」との推定を覆す特段の事情があるとはいえない。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81798&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111201142825.pdf

判決文より
「本件は,上告人が,A及び同社を吸収合併した被上告人との間の継続的な金銭消費貸借取引と,B及び同社から債権譲渡を受けた被上告人との間の継続的な金銭消費貸借取引について,各弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金が発生しており,かつ,被上告人は過払金の取得が法律上の原因を欠くものであることを知っていたとして,被上告人に対し,不当利得返還請求権に基づき,過払金及び民法704条前段所定の利息等の支払を求める事案である。本件の争点は,被上告人が過払金の取得について民法704条の「悪意の受益者」であるか否かである。」

「貸金業法17条1項6号及び貸金業法施行規則13条1項1号チが17条書面に返済期間,返済金額等の記載をすることを求めた趣旨・目的は,これらの記載により,借主が自己の債務の状況を認識し,返済計画を立てることを容易にすることにあると解される。リボルビング方式の貸付けがされた場合において,個々の貸付けの時点で,上記の記載に代えて次回の最低返済額及びその返済期日のみが記載された書面が17条書面として交付されても,上記の趣旨・目的が十全に果たされるものではないことは明らかである反面,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をすることは可能であり,かつ,その記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,今後,追加借入れをしないで,最低返済額を毎月の返済期日に返済していった場合,いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,完済までの期間の長さ等によって,自己の負担している債務の重さを認識し,漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるのであるから,これを記載することが上記の趣旨・目的に沿うものであることは,平成17年判決の言渡し日以前であっても貸金業者において認識し得たというべきである。そして,平成17年判決が言い渡される前に,下級審の裁判例や学説において,リボルビング方式の貸付けについては,17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用があるとの見解を採用するものが多数を占めていたとはいえないこと,上記の見解が貸金業法の立法に関与した者によって明確に示されていたわけでもないことは,当裁判所に顕著である。上記事情の下では,監督官庁による通達や事務ガイドラインにおいて,リボルビング方式の貸付けについては,必ずしも貸金業法17条1項各号に掲げる事項全てを17条書面として交付する書面に記載しなくてもよいと理解し得ないではない記載があったとしても,貸金業者が,リボルビング方式の貸付けにつき,17条書面として交付する書面には,次回の最低返済額とその返済期日の記載があれば足り,確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載がなくても貸金業法43条1項の適用が否定されるものではないとの認識を有するに至ったことがやむを得ないということはできない。そうすると,リボルビング方式の貸付けについて,貸金業者が17条書面として交付する書面に確定的な返済期間,返済金額等の記載に準ずる記載をしない場合は,平成17年判決の言渡し日以前であっても,当該貸金業者が制限超過部分の受領につき貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有することに平成19年判決の判示する特段の事情があるということはできず,当該貸金業者は,法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者,すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。

平井利明(弁護士@中村・平井・田邉法律事務所)のメモ

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