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2011.12.16

「ソブリンリスクの正体」@浜矩子著

「ソブリンリスクの正体」@浜矩子著 フォレスト出版 2011年11月

 ヨーロッパのギリシャの経済危機に端を発し,EU諸国がその対応に苦慮している。それ以前にも,漁業国から金融大国への道を歩み始めたアイスランドの経済危機,ロシア危機等色々な経済危機はあったが,昨今の危機は,ヨーロッパ全体にその影響が及び且つそれだけに留まらない不気味さがある。
 そのことに関連して,何か本がないかと思っていたところ,この本が書店で目についたので読んでみた。
 経済危機に,国家が,例えば赤字国債等を発行して経済へのカンフル剤とするような政策の持つ意味合い等について,割とシンプルに説明がなされている。
 浜氏の著作は,出来るだけシンプルに物事をとらえて説明がなされるので,とてもわかりやすく物事を考える際の材料と成る。

 但し,その言わんとするところを為政者が選択できるかと言えば、現実的には困難であろうから,それ以外の道を誰もが模索していてるのだろうが,現実的には未だ見いだせていないのだろうとは思う(但し,そもそもそのような解決方法は無いのかもしれない,仮にそうだとすれば,現在の状況は破綻への道への途中に過ぎないことになる)。

 法律と経済とは結構密接な関係にあるが,多くの法律実務家にとっては,経済の仕組み或いは現象は,ある意味,近寄りがたくまた近寄りたくない世界なのかも知れない。 

 例えば,証券化は法的技術に基づくものであり,その法律的な意味はある程度理解できる。しかし,それが具体的に経済社会において,どのような影響を及ぼすものであるのかについて,プラス面についてはある程度理解できても(そのために証券化するのだから),それがどのようなマイナス面をもたらすのかについてなど殆ど考えたことがなかった。
 そのような者が,既に触れたものではあるが,サブプライム問題について触れた「サブプライム不況」@中空麻奈著に接して,サブプライム問題と証券化の現実的な絡み合いを垣間見たことは,ある意味新鮮だった。
 技術を扱う者が,その先に起こることを必ずしも予想できるものでは無い。
 
 法律というある意味技術を扱う者として,その扱った結果がどのような影響を及ぼすものであるかについては,常々思うところではあるが,やはり考えていかなければならないものだと,経済関連の本を読ませていただくと,いつも思わされることである。

平井利明のメモ

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