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2012.02.28

平成24年02月20日最高裁判所第一小法廷判決(人身傷害条項と保険会社の代理関連)

平成21(受)1461損害賠償請求事件
平成24年02月20日最高裁判所第一小法廷判決

原審
札幌高等裁判所
平成20(ネ)359
平成21年04月10日

裁判要旨
1 人身傷害条項に基づき被害者が被った損害に対して保険金を支払った保険会社は,損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権を代位取得することはない
2 人身傷害条項の被保険者である被害者に過失がある場合,保険金を支払った保険会社は,上記保険金の額と過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る額の範囲で損害賠償請求権を代位取得する

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82008&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120220120905.pdf

判決文より

平井利明(弁護士@中村・平井・田邉法律事務所)のメモ

「本件は,交通事故によって死亡したAの両親である第1審原告らが,加害車両の運転者である第1審被告Y1に対しては民法709条に基づき,加害車両の保有者である第1審被告Y2に対しては自動車損害賠償保障法3条に基づき,損害賠償を求める事案である。第1審原告らは,第1審原告X1が自動車保険契約を締結していた保険会社から,上記保険契約に適用される普通保険約款中の人身傷害条項に基づき,保険金の支払を受けたことから,上記保険会社による損害賠償請求権の代位取得の範囲等が主たる争点となった。」

「本件約款中の人身傷害条項に基づき,被保険者である交通事故等の被害者が被った損害に対して保険金を支払った訴外保険会社は,上記保険金の額の限度内で,これによって塡補される損害に係る保険金請求権者の加害者に対する賠償請求権を代位取得し,その結果,訴外保険会社が代位取得する限度で,保険金請求権者は上記請求権を失い,上記請求権の額が減少することとなるところ(最高裁昭和49年(オ)第531号同50年1月31日第三小法廷判決・民集29巻1号68頁参照),訴外保険会社がいかなる範囲で保険金請求権者の上記請求権を代位取得するのかは,本件保険契約に適用される本件約款の定めるところによることとなる。」
「本件約款によれば,上記保険金は,被害者が被る損害の元本を塡補するものであり,損害の元本に対する遅延損害金を塡補するものではないと解される。そうであれば,上記保険金を支払った訴外保険会社は,その支払時に,上記保険金に相当する額の保険金請求権者の加害者に対する損害金元本の支払請求権を代位取得するものであって,損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権を代位取得するものではないというべきである。」

「本件約款によれば,訴外保険会社は,交通事故等により被保険者が死傷した場合においては,被保険者に過失があるときでも,その過失割合を考慮することなく算定される額の保険金を支払うものとされているのであって,上記保険金は,被害者が被る損害に対して支払われる傷害保険金として,被害者が被る実損をその過失の有無,割合にかかわらず塡補する趣旨・目的の下で支払われるものと解される。上記保険金が支払われる趣旨・目的に照らすと,本件代位条項にいう「保険金請求権者の権利を害さない範囲」との文言は,保険金請求権者が,被保険者である被害者の過失の有無,割合にかかわらず,上記保険金の支払によって民法上認められるべき過失相殺前の損害額(以下「裁判基準損害額」という。)を確保することができるように解することが合理的である。」

「上記保険金を支払った訴外保険会社は,保険金請求権者に裁判基準損害額に相当する額が確保されるように,上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る場合に限り,その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得すると解するのが相当である。」

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