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2012.03.01

医療ADRシンポジウムを拝聴して

医療ADRシンポジウム-大阪における可能性ー
平成24年2月29日午後5時30分~午後8時
公益社団法人総合紛争解決センター主催,大阪弁護士会共催
司会:総合紛争解決センター運営委員会委員・大阪弁護士会ADR推進特別委員会副委員長北川和郎氏

基調講演
患者側から見た医療ADR
弁護士鈴木利廣氏
医療側から見た医療ADR
弁護士児玉安司氏(医師)
医療訴訟の構造と医療ADRに期待して
元判事前田順司氏(弁護士)
(医療集中部の必要性に関する研究報告の段階から関与されておられていたとのこと)

パネルディスカッション
医療ADRの特徴と有用性
大阪における医療ADR
医療ADRの今後の発展

東京から来られた3名のパネラーの方々から
東京の実情の話があった。

その中から公的機関で行われているものであるから
取り上げても良いのであろうと思うところを私の判断でピックアップしてみる。

医療訴訟の専門性等に鑑みて,医療(民事)事件を扱う裁判体(医療集中部)が東京と大阪に出来たのが出来たのが平成14年4月。それまで,裁判所,患者側の代理活動をしている弁護士,医療機関側の代理活動をしている弁護士とが一堂に会して,医療訴訟の進行等に関して話し合う場というのはなかったのだが,医療集中部の発足を機会として,話し合う場が出来るに至り,また,医療事件における鑑定の重要性から裁判所と医療機関との間においても鑑定等に関する協議等が行われるように至り,現在に至っている(参考までに述べると,大阪でも同様である)。
そのような中で,医療事件について,患者側の代理人と医療機関側の代理人も関与する形で,裁判外での紛争解決の手段としてのADR(裁判外紛争解決:Alternative Dispute Resolution)が生まれてきている。
東京には歴史的経緯から3つの弁護士会があるのだが,その3会が協力して方向性を打ち出してきているとのこと(但し,運営そのものは3会別々だそうな)。

東京3会医療ADRの実績(2007年9月~2012年12月)は
申立件数192件(内6件が医療機関側申立)
なお61件が弁護士が代理人としてつかない本人申立とのこと
応諾   109件(応諾とは,ADRのテーブルで話し合いすることを了承することをいう)
不応諾   55件
未定    28件 

応諾109件のうち
和解成立 56件
不成立  42件
斡旋中  11件
とのことだった。
期日は2~5回程度が一般的であり半年ほどで結論に至るケースが多いとのこと。
個人的に思うところでは,裁判での解決となると,迅速化が進んだといっても2~3年程度は覚悟しなければならないこと,及び,テーブルに乗ったケースでは5割以上が和解に至っていることを考えると,手段として合理性があると評価できるように感じられる。

方式としては
斡旋人として
手続き主催の弁護士1名
患者側経験者弁護士1名
医療側経験者弁護士1名
とすることが基本とのことで,
医学的知見の導入は見送るとのことである。
(要するに,医師等は手続きに基本的に関与していない)
そして
争点を明確として,それから互譲の余地を検討する2段階の方式を原則としているとのこと。
なお,申立人・相手方の双方同席型を原則として,ケースによっては,土曜,休日,弁護士会外での開催もあるとのこと。
解決案提示は当事者提案が原則とのことで,双方の合意があれば,あっせん人において提案をすることもある。

大阪では,弁護士会とは別組織となる公益社団法人総合紛争解決センターにおけるADR活動として実施されている。裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づく認証も受けている等のこともあり,CRS活動の側面が強く打ち出されていて弁護士会,他の士業団体からの会費が徴収されて運営されているようで,その結果和解が成立した際の手数料がかなり安く抑えられているとのことである(パンフレットによれば,東京の場合と比するとかなりの差がある)。

大阪の実績(平成21年度から平成23年度)
申立件数 24件(いずれも患者側申立)
(弁護士のつかない本人申立が79%)
応諾件数 11件(回答待ちが別途1件あり)
和解件数は終了案件9件のうち8件とのことであった。
話し合いのテーブルに乗ったならば,話し合いでの解決に至る割合はかなり高いことが示されている。
ただし,応諾件数が少ない理由については色々と考えるべき点があるのだろう(これ以上は触れないが)。

医療事件についての大阪の方式は
あっせん人として
医師
患者側代理人経験弁護士
医療機関側代理人経験弁護士
の3名が原則として関与しているとのことで
東京と異なって医師の関与のあることが特徴といえる。

平井利明のメモ

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