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2012.09.20

異状死の届け出義務違反(医師法第21条違反)があるの?

「針抜き忘れて女性死亡,医師2人を書類送検」と報じられている(朝日新聞デジタル2012年9月20日16時44分)。

 報道内容によると,宮城県石巻市内の病院にて,男性医師が50代女性の心嚢穿刺の際の針を抜き忘れて死亡させた事故があったとのことである。処置を行った医師について業務上過失致死の疑いで送検がなされているとのことである。このことについては,手技内容等にも関わるので,報道内容からはその送検の適否についてコメントは出来ない。

 ところで,患者の死に立ち会った医師は,乳がんによる病死と診断したようであるが,警察は,当該医師は,医療事故による「異状死」と認識したのに,警察に届け出なかった疑いがあるとして,医師法(異状死の届け出義務)違反の疑いで送検となったとのことである。しかし,この後者については,明らかに犯罪の要件を満たさないと考えられる。

 医師法第21条は,「医師は,死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは,24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。」と定めている。
 ところで,医師法21条にいう死体の「検案」とは,医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」を指すと解されている(平成16年4月13日最高裁判所第三法廷判決:医師法違反,虚偽有印公文書作成,同行使被告事件)。
 従って,医師法第21条による届け出が必要となるのは,死因等を判定するための死体の外表の検査(これが検案)において異状の認められたことが必要となると理解される。
 しかし,この度のケースにおいて,死体を外表面上チェックした時点において「外表面上の異状」があったとは考え難い。
 従って,明らかに医師法21条の要件を満たすとは考えられない。
 即ち,検察は,少なくとも医師法違反については,速やかに無罪判断を示す必要がある。

 

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