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2013.04.13

平成25年02月28日最高裁判所第一小法廷判決(相殺滴状と消滅時効関連)

平成23(受)2094 根抵当権設定登記抹消登記手続請求本訴,貸金請求反訴事件
平成25年02月28日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判,破棄差戻】

原審
札幌高等裁判所
平成22(ネ)592
平成23年07月08日

判示事項
1 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというための要件
2 時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするために消滅時効が援用された自働債権がその消滅時効期間経過以前に受働債権と相殺適状にあったことの要否

裁判要旨
1 既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,受働債権につき,期限の利益を放棄することができるというだけではなく,期限の利益の放棄又は喪失等により,その弁済期が現実に到来していることを要する。
2 時効によって消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには,消滅時効が援用された自働債権は,その消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要する。

参照法条
 (1,2につき)民法505条1項 (1につき)民法136条 (2につき)民法145条,民法508条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83023&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130326090103.pdf

判決文より
「本件の本訴請求は,被上告人が,自己の所有する不動産に設定した根抵当権について,その被担保債権である貸付金債権が相殺等により消滅したとして,上告人に対し,所有権に基づき,根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めるものであり,反訴請求は,上告人が,被上告人に対し,上記貸付金の残元金27万6507円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めるものである。被上告人による上記相殺につき,被上告人は自働債権の時効消滅以前に相殺適状にあったから民法508条によりその相殺の効力が認められると主張するのに対し,上告人は同相殺が無効であると主張して争っている。」

「民法505条1項は,相殺適状につき,「双方の債務が弁済期にあるとき」と規定しているのであるから,その文理に照らせば,自働債権のみならず受働債権についても,弁済期が現実に到来していることが相殺の要件とされていると解される。また,受働債権の債務者がいつでも期限の利益を放棄することができることを理由に両債権が相殺適状にあると解することは,上記債務者が既に享受した期限の利益を自ら遡及的に消滅させることとなって,相当でない。したがって,既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには,受働債権につき,期限の利益を放棄することができるというだけではなく,期限の利益の放棄又は喪失等により,その弁済期が現実に到来していることを要するというべきである。」

「当事者の相殺に対する期待を保護するという民法508条の趣旨に照らせば,同条が適用されるためには,消滅時効が援用された自働債権はその消滅時効期間が経過する以前に受働債権と相殺適状にあったことを要すると解される。」

「事実関係によれば,消滅時効が援用された本件過払金返還請求権については,上記の相殺適状時において既にその消滅時効期間が経過していたから,本件過払金返還請求権と本件貸付金残債権との相殺に同条は適用されず,被上告人がした相殺はその効力を有しない。そうすると,本件根抵当権の被担保債権である上記2(2)の
貸付金債権は,まだ残存していることになる。」

上告代理人前田陽司,同黒澤幸恵,同那須由佳里ですね。

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