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2013.04.14

平成25年03月07日最高裁判所第一小法廷判決(金利スワップ取引と説明義務関連)

平成23(受)1493 損害賠償請求事件
平成25年03月07日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判】

原審
福岡高等裁判所
平成20(ネ)658
平成23年04月27日

裁判要旨
銀行と顧客との間で固定金利と変動金利を交換してその差額を決済するという金利スワップ取引に係る契約を締結した際に銀行に説明義務違反があったとはいえないとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83047&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130307144539.pdf

判決文より
「被上告人が,銀行である上告人との間で行った金利スワップ取引(以下「本件取引」という。)に係る契約(以下「本件契約」という。)を締結した際,上告人に説明義務違反等があったと主張して,上告人に対し,不法行為等に基づく損害賠償を求める事案」

「本件取引は,当事者間の合意に基づき,同一通貨間で,一定の想定元本(計算上でのみ必要とされる元本をいう。),取引期間等を設定し,固定金利と変動金利を交換してその差額を決済するというもので,プレーン・バニラ・金利スワップと呼ばれる単純なものである。本件取引には,契約締結と同時に取引が始まるスポットスタート型と,契約締結から一定期間経過後に取引が始まる先スタート型がある。」

「デメリットとして,「現時点で将来の調達コストを実質的に確定させるため,約定時点以降にスワップ金利が低下した場合,結果として割高になる可能性があります。」,「スワップ取引開始日以降は短期プライムレートが低下しても貴社の調達コストは実質的に一定となり金利低下メリットを享受することができません。よって金利スワップを約定しなかった場合と比べて実質調達コストが結果として割高になる可能性があります。」との記載がされていた。さらに,本件提案書には,「必ずお読み下さい」として,「本取引のご契約後の中途解約は原則できません。やむを得ない事情により弊行の承諾を得て中途解約をされる場合は,解約時の市場実勢を基準として弊行所定の方法により算出した金額を弊行にお支払い頂く可能性があります。」との記載がされていた。」

「原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断して,不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した。上告人は,被上告人に対し,契約締結の是非の判断を左右する可能性のある,①中途解約時において必要とされるかもしれない清算金の具体的な算定方法,②先スタート型とスポットスタート型の利害得失,③固定金利の水準が金利上昇のリスクをヘッジする効果の点から妥当な範囲にあることについて,説明しておらず,上告人の説明は,極めて不十分なものであった。」

しかし
「前記事実関係によれば,本件取引は,将来の金利変動の予測が当たるか否かのみによって結果の有利不利が左右されるものであって,その基本的な構造ないし原理自体は単純で,少なくとも企業経営者であれば,その理解は一般に困難なものではなく,当該企業に対して契約締結のリスクを負わせることに何ら問題のないものである。上告人は,被上告人に対し,本件取引の基本的な仕組みや,契約上設定された変動金利及び固定金利について説明するとともに,変動金利が一定の利率を上回らなければ,融資における金利の支払よりも多額の金利を支払うリスクがある旨を説明したのであり,基本的に説明義務を尽くしたものということができる。原審は,上告人が上記3の①~③の事項について説明しなかったことを問題とす
る。しかしながら,本件提案書には,本件契約が上告人の承諾なしに中途解約をすることができないものであることに加え,上告人の承諾を得て中途解約をする場合には被上告人が清算金の支払義務を負う可能性があることが明示されていたのであるから,上告人に,それ以上に,清算金の具体的な算定方法について説明すべき義務があったとはいい難い。また,上告人は,被上告人に対し,先スタート型とスポットスタート型の2種類の金利スワップ取引について,その内容を説明し,被上告人は,自ら,当面変動金利の上昇はないと考えて,1年先スタート型の金利スワップ取引を選択したのであるから,上告人に,それ以上に,先スタート型とスポットスタート型の利害得失について説明すべき義務があったともいえない。さらに,本件取引は上記のような単純な仕組みのものであって,本件契約における固定金利の水準が妥当な範囲にあるか否かというような事柄は,被上告人の自己責任に属すべきものであり,上告人が被上告人に対してこれを説明すべき義務があったものとはいえない。そうすると,本件契約締結の際,上告人が,被上告人に対し,上記3の①~③の事項について説明しなかったとしても,上告人に説明義務違反があったということはできない。」

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