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2014年2月

2014.02.28

平成26年01月24日最高裁判所第二小法廷判決 (労働時間関連)

平成24(受)1475残業代等請求事件
平成26年01月24日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所
平成22(ネ)4760
平成24年03月07日

裁判要旨
募集型の企画旅行の添乗員の業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83887&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140124142902.pdf

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2014.02.27

平成26年01月30日最高裁判所第一小法廷判決(取締役の会社に対する損害賠償責任関連)

平成24(受)1600損害賠償請求事件
平成26年01月30日最高裁判所第一小法廷判決

原審
福岡高等裁判所
平成23(ネ)255
平成24年04月13日

裁判要旨
1 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づき取締役が会社に対して支払う損害賠償金に付すべき遅延損害金の利率は,民法所定の年5分である
2 商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83896&hanreiKbn=02

判決文より
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140130161604.pdf

「商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償責任は,取締役がその任務を懈怠して会社に損害を被らせることによって生ずる債務不履行責任であるが,法によってその内容が加重された特殊な責任であって,商行為たる委任契約上の債務が単にその態様を変じたにすぎないものということはできない(最高裁平成18年(受)第1074号同20年1月28日第二小法廷判決・民集62巻1号128頁参照)。そうすると,同号に基づく損害賠償債務は,商行為によって生じた債務又はこれに準ずるものと解することはできない。
したがって,商法266条1項5号に基づき取締役が会社に対して支払う損害賠償金に付すべき遅延損害金の利率は,民法所定の年5分と解するのが相当である。」

「また,以上に説示したところによれば,商法266条1項5号に基づく取締役の会社に対する損害賠償債務は,期限の定めのない債務であって,履行の請求を受けた時に遅滞に陥ると解するのが相当である。」

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2014.02.26

平成26年02月14日最高裁判所第二小法廷判決(遺産分割関連)

平成23(受)603遺産確認,建物明渡等請求事件
平成26年02月14日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
名古屋高等裁判所
平成22(ネ)414
平成22年12月10日

裁判要旨
共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83947&hanreiKbn=02

判決文より
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140214140340.pdf

遺産確認の訴えは,その確定判決により特定の財産が遺産分割の対象である財産であるか否かを既判力をもって確定し,これに続く遺産分割審判の手続等において,当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによって共同相続人間の紛争の解決に資することを目的とする訴えであり,そのため,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟と解されているものである(最高裁昭和57年(オ)第184号同61年3月13日第一小法廷判決・民集40巻2号389頁,最高裁昭和60年(オ)第727号平成元年3月28日第三小法廷判決・民集43巻3号167頁参照)。しかし,共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり,遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできないのであるから,その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はないというべきである。そうすると,共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は,遺産確認の訴えの当事者適格を有しないと解するのが相当である。

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2014.02.25

「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会報告書」及びガイドライン改訂版

「新人看護職員研修ガイドラインの見直しに関する検討会報告書 平成26年2月24 日 厚生労働省」

が公表されています。

併せて「新人看護職員研修ガイドライン」の改訂版も公表されています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000037768.html

 

報告書

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10805000-Iseikyoku-Kangoka/0000037973.pdf


ガイドラインの変更点

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10805000-Iseikyoku-Kangoka/0000037769.pdf

 

ガイドライン(既に改訂版になっています)

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/s1225-24.html

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平成26年02月25日最高裁判所第三小法廷判決(遺産分割関連)

平成23(受)2250共有物分割請求事件
平成26年02月25日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
福岡高等裁判所
平成22(ネ)1160
平成23年08月26日
裁判要旨
1 共同相続された委託者指図型投資信託の受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない
2 共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83978&hanreiKbn=02

判決文より
(1) 株式は,株主たる資格において会社に対して有する法律上の地位を意味し,株主は,株主たる地位に基づいて,剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号),残余財産の分配を受ける権利(同項2号)などのいわゆる自益権と,株主総会における議決権(同項3号)などのいわゆる共益権とを有するのであって(最高裁昭和42年(オ)第1466号同45年7月15日大法廷判決・民集24巻7号804頁参照),このような株式に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された株式は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである(最高裁昭和42年(オ)第867号同45年1月22日第一小法廷判決・民集24巻1号1頁等参照)。

(2) 本件投信受益権のうち,本件有価証券目録記載3及び4の投資信託受益権は,委託者指図型投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律2条1項)に係る信託契約に基づく受益権であるところ,この投資信託受益権は,口数を単位とするものであって,その内容として,法令上,償還金請求権及び収益分配請求権(同法6条3項)という金銭支払請求権のほか,信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権(同法15条2項)等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており,可分給付を目的とする権利でないものが含まれている。このような上記投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された上記投資信託受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。
また,本件投信受益権のうち,本件有価証券目録記載5の投資信託受益権は,外国投資信託に係る信託契約に基づく受益権であるところ,外国投資信託は,外国において外国の法令に基づいて設定された信託で,投資信託に類するものであり(投資信託及び投資法人に関する法律2条22項),上記投資信託受益権の内容は,必ずしも明らかではない。しかし,外国投資信託が同法に基づき設定される投資信託に類するものであることからすれば,上記投資信託受益権についても,委託者指図型投資信託に係る信託契約に基づく受益権と同様,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものとする余地が十分にあるというべきである。

(3) 本件国債は,個人向け国債の発行等に関する省令2条に規定する個人向け国債であるところ,個人向け国債の額面金額の最低額は1万円とされ,その権利の帰属を定めることとなる社債,株式等の振替に関する法律の規定による振替口座簿の記載又は記録は,上記最低額の整数倍の金額によるものとされており(同令3- 4 -条),取扱機関の買取りにより行われる個人向け国債の中途換金(同令6条)も,上記金額を基準として行われるものと解される。そうすると,個人向け国債は,法令上,一定額をもって権利の単位が定められ,1単位未満での権利行使が予定されていないものというべきであり,このような個人向け国債の内容及び性質に照らせば,共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140225111030.pdf

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2014.02.22

トリスタンとイゾルデから前奏曲と愛の死(フルトヴェングラー指揮)

楽劇の冒頭部分とエンディング部分を取り上げたもの。

Ludwig Suthaus, Kirsten Flagstad, Blanche Thebom, Josef Greindl, Dietrich Fisher-Dieskau, Rudolf Schock, Edgar Evans, Rhydderch Davies, Wilhelm Furtwängler, Chorus of the Royal Opera House, Covent Garden & Philarmonia Orchestra
1952年に録音されたもので今から60年以上も前の演奏だろうと思う。
朽ちるどころか,いつまでたってもその輝きを失っていない。
http://www.youtube.com/watch?v=SQO7QIgNvA0

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マンションの共用部分と瑕疵担保責任についてのメモ

宅地建物取引業法
(瑕疵担保責任についての特約の制限)
第40条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法 (略)第570条 において準用する同法第566条第3項 に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条 に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、無効とする。

建物の区分所有等に関する法律
(定義)
第2条  この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第4条第2項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第4条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
56 (略)
(区分所有者の団体)
第3条  区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。(以下略)
(共用部分)
第4条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 (略)。
(区分所有者の権利義務等)
第6条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。
3 (略)
(建物の設置又は保存の瑕疵に関する推定)
第9条 建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。

第2節 共用部分等
(共用部分の共有関係)
第11条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第27条第1項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
3 民法第177条 の規定は、共用部分には適用しない。
第12条 共用部分が区分所有者の全員又はその一部の共有に属する場合には、その共用部分の共有については、次条から第19条までに定めるところによる。
(共用部分の使用)
第13条 各共有者は、共用部分をその用方に従つて使用することができる。
(共用部分の持分の割合)
第14条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2乃至4 (略)
(共用部分の持分の処分)
第15条 共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
2 共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
(一部共用部分の管理)
第16条 (略)
(共用部分の変更)
第17条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
(共用部分の管理)
第18条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第2項の規定は、第1項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。
(共用部分の負担及び利益収取)
第19条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
(管理所有者の権限)
第20条 (略) 
(共用部分に関する規定の準用)
第21条 (略)

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2014.02.16

京都マラソン2014

久しぶりにフルマラソンの過酷さを体験させられた大会となった。

フルマラソンそのものが大変な大会であり,毎回,心して臨み,それでも終了後は大変な状態となるのですが,この度はそれどころでない大変さでした。
いままで経験した中で2番目に苦しい大会であり,マラソンに参加し始めた頃の敗北感を思い出させる苦難の大会でした。
それでも,ゴールに到達できたことがあり,変な満足感があるのも事実。

京都マラソンはアップダウンのあるコースで,もともと私にとっては容易ならざる相手。そのことは,2年前の第1回大会に参加した経験からわかってはいました。
(京都マラソンのコース:http://www.kyoto-marathon.com/course/pdf/course.pdf

この度の大会も,5キロ過ぎから登り坂が始まり,さてここから心してと思っていたのだけれども,しばらくもたたずして,右脚の筋肉の状態が今ひとつという厳しい現実が徐々に感じられることに。早々に脚が攣る(つる)ことが予測されたので,スピードを落として対処することとしたものの,状況は改善せず。
その時点では,30キロ以上の残距離があり,その距離と残されたアップダウン等を考えると,このコースの経験があるだけに絶望感に支配される。距離も,上りも下りも,弱った筋肉には大敵。
こんなに早々にシビアな状態となったことは初めての経験。

昨年11月に神戸マラソンのフルを走り,今年1月(26日)に大阪ハーフを走り,その3週後にアップダウンの京都マラソンは,スケジュール的に私には無理だったということ。もともと運動とはほど遠いいわゆる文系人間なのですから。
更に,神戸では前半とばしすぎで28キロ頃に脚が攣りそうになり,時間制限2時間の大阪ハーフでも終盤の追い込みの際に脚に違和感を覚えていたところ,その1週間後の練習ではゆっくりと調整したはずなのに20キロあたりでこれはヤバイと思い中断を余儀なくされていたのですから,坂の多い京都マラソンではかなり苦労することは漠然とは予期していました。その意識があるので,この2週間は安静を保っていたのですが,全く不十分だったということです。もっと,事前に長期的視野をもって考えておくべきでした。

走っている最中に,脚の状態が悪くなってきてしまっている現実を前にすると,第一に考えなければならないことは身体を壊さないこと。この大会で人生が終わるわけではありませんから。
しかし,これまでのマラソン等でもしんどい場面はいくつもありましたが,リタイアを現実に考えたのは初めてのこと。沿道の係員等を見ると,何度も本当に声が出そうに。
他方,参加する以上は,その後の苦難は予想されども,色々な思いからゴールに辿り着きたいという強い気持ちもあります。苦難を乗り越えることこそも大会に参加することの一つの意義でもあるはず。
葛藤の連続。
とりあえず1キロ,また1キロと先送りしながら,1キロを刻むごとにここまで来れたと思う一方で脚の調子は確実に厳しくなる。
さて,次は大丈夫か?,この先どうなるのか?等色々なことを考えながらの自問自答の時間が続く。
制限時間は6時間あるのでそれを最大限有効に使って,長時間歩くことがありまた休憩をとることがあっても,制限内にゴールに着ければ良いと思い直して,それを励みとしてゴールへの意識付けに。

そんなことを思い,あんなことを考え,そしてこんなことを試行錯誤している中で,残りの距離はなんとか減っていく。他方,体の辛さは更に増えていく。
いつも思うことですが,マラソンは自問自答にはとても良い機会です。色々なことを考えますので。
ただし,今回に限っては,ゴールができたからこそいえることかもしれないのですが。

マラソンを始めた最初の頃は,試合後の歩けない等のシビアな状態に恐れおののいて,「もうマラソンはやめ。」などと真剣に思ったものです。
その後,たまたま東京マラソン等の大都市での大規模市民大会が日本でも開催されるに至り,初マラソンとなるニューヨークマラソンでその種の大会の良さを知った者として再度フルマラソンにチャレンジすることとなったことはある意味偶然。
しかし,再開させたマラソンで色々と経験させていただいた者としては,この度,このような苦難を味わったものの,多分,将来的にはまた何らかの大会にチャレンジするのだろうと思います。

何なのでしょうね,この感覚は(笑)。

「京都マラソン2014」
スタート時間:9時 
スタート場所:西京極総合運動公園
ゴール場所:平安神宮前
タイムは5時間12分程で一昨年より50分程遅いはず。

PS
フルマラソンは,やはり自分にとっては過酷な経験なのだろうと思います。大会後は,いつもより早く怖ろしいほどの睡魔に襲われます。しかし,脚の痛みのために夜には何度も目が覚めます。今回もそんな状態でした。
翌朝,いつもより脚は酷い状態ではあったものの,それでも歩くことが出来ないわけでは無い。
遅れつつも事務所に来て,現に仕事に臨んでいます。
そんなことを今後も繰り返すのかもしれません。
自分自身のために。

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2014.02.12

院内事故調の導入へ向けての法律案が閣議決定されるに至った。

 院内事故調が義務化される方向性が現実化したとのことですね。

 「2月12日/共同通信  政府は12日、患者が死亡した医療事故の第三者機関への届け出と、原因究明のための院内調査を全医療機関に義務付けることを盛り込んだ地域医療・介護総合確保推進法案を閣議決定した。今国会に提出する。医療事故調査の枠組みを初めて法制化する内容で、成立すれば来年10月に施行される。」

 閣議決定まで至ったとなれば,現在の国会の情勢を考えると,政府提出法案は間違いなく成立するのでしょう。

 先日,東京女子医大事件で人工心肺装置の操作に過誤があったとして業務上過失致死罪の被告人の立場に立たされたものの無罪を勝ち取った佐藤先生のお話を直接伺う機会がありました。

 この事案は,事故調査報告書が誤ったものであり,その誤りが佐藤先生の人生を狂わせることとなりました(なお,事故調査委員には心臓血管外科の医師は入っていなかったようですね)。佐藤先生は,弁護人の適切なアドバイスと鋼の精神にて,警察等による非人道的ともいえる取り調べに耐えて,無罪を勝ち取ったとのこと。なお,裁判では,再現実験が行われたが再現性に欠けるとの結果でもあったようですね。その意味でも極めて杜撰な起訴であり,また,調査報告書でもあったようですね。佐藤先生が体験された,捜査の非情さは,全ての医療関係者が聞くべきだと強く感じました。

 かの有名な大野病院事件も,医療事故調査委員会の報告書が執刀医の判断ミスが死亡の原因であるとの誤った内容を記していたことから警察の捜査・逮捕等が行われたとされています。主治医の思いは,多くの医療関係者が理解し,そして共有したこともあり,無罪という結果に繋がったものだと考えられます。

 医師等が不足しているという中での義務づけられた事故調査委員会活動は大変なものになることだろうと推察されます。

 しかし,忙しいからといって,いいかげんな形で医療従事者の責任を認める報告書が作成されることに至ることは避けられなければなりません。そのような欠陥のある報告書は,有望な医療者等医療従事者の将来を台無しとし,また,その医療関係者の背後に控える多くの患者の治療の機会を奪ってしまうことにもなりかねず,回復させることの出来ない巨大な損失を生むことになります。

 従いまして,法案がどのようなものであったとしても,上記のような実例をふまえて,院内事故調を十分なものとして運用させることが肝要であろうと考えています。そして,医学は不確実性に満ちたものなのですから,わからないものはわからないものとしてはっきりと示すことも重要だと考えています。

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訴訟の長期化と遅延損害金

 大学病院に対して約7500万円損害賠償義務を認めた判決が最高裁でも維持された旨が報じられています。
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG10033_R10C14A2CR8000/
 事案の詳細は全く知らないのですが,病院側が敢えて上告等までしていることを考えますと,高裁判決には重大な欠陥があったのだろうと推察致しますが,最高裁判所がそのことを理解しなかったのであろうと思われることはとても残念なことだと思います。

 なお,患者は「2004年9月に大腸炎のため入院し大腸全摘などの手術を受けたが、12月に感染症による敗血症で死亡した」とされていますので,最高裁判所の判決が出されるまでに8年強の時が過ぎたことになります。最高裁まで行ような事案は,解決までに長い時間を要しますが,医療裁判ともなればそれが顕著となります。特に最高裁での審理は,現在のところ,年単位を要することが少なくないといえますので,敗訴判決に対して上告等をすることは,訴訟さらなる長期化のリスクを覚悟しなければならないこととなります。
 長期化だけでもリスクといえますが,長期間の裁判において病院側が負けたときに生じる他のリスクの一つが「遅延損害金の増大」です。
遅延損害金は
不法行為を理由とする損害賠償の場合は,不法行為日から起算から(初日算入)
債務不履行を理由とする損害賠償の場合は,支払請求があった日の翌日から(民法412条3項)
起算されます。
そして,
一般的には,不法行為による方が起算点が早いため遅延損害金がより高額となりますので,それに基づく遅延損害金支払を求められます。
ところで,
民法は,遅延損害金を法定利率によるとしており,且つ法定利率を(原則として)年5分と定めています。
(金銭債務の特則)
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
(法定利率)
第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年5分とする。

 ところで,年利5分は,現在の実勢金利を考えますと,極めて高い金利といえます。
 本件では,約7500万円の損害賠償金とされており,死亡時(この時点を不法行為時とすることが一般的です)から約8年が経過しているとなると,遅延損害金は約3000万円にもなります。
 しかし,年5分は,現時点では,非現実的な高率といえるのですが,以前にも指摘しましたが,かつては貸付利子歩合(注,かつての公定歩合)が5分を超えていたことがあります。
https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/discount/discount.htm/
平成 2(1990)年 3月20日 5.25
平成 2(1990)年 8月30日 6.00
平成 3(1991)年 7月 1日 5.50
平成 3(1991)年11月14日 5.00
なお
昭和48(1973)年12月22日 9.00
昭和55(1980)年 3月19日 9.00
が最高利率となります。
(注:正確には,商業手形割引歩合ならびに国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利子歩合)
 年5分を超えていた場合には,法定利率は実勢の金利より押さえ込まれていたことになりますので,長期的に見てかつ平準させて考えますと,現在の法定利率もあながち誤っているとはいえないことになります。
 しかし,近い将来5分に達することが困難と見込まれる現在においては,やはり問題です。

 現在民法が改正作業が行われていますが,改正法では,実勢との乖離を少なくすること及び金利計算の手間とのバランスをはかって,(年毎の)変動相場制を導入することが考えられています。
因みに,中間試案では次のような案が示されています。
法定利率(民法第404条関係)
(1) 変動制による法定利率
民法第404条が定める法定利率を次のように改めるものとする。
ア 法改正時の法定利率は年[3パーセント]とするものとする。
イ 上記アの利率は,下記ウで細目を定めるところに従い,年1回に限り,基準貸付利率(日本銀行法第33条第1項第2号の貸付に係る基準となるべき貸付利率をいう。以下同じ。)の変動に応じて[0.5パーセント]の
刻みで,改定されるものとする。
ウ 上記アの利率の改定方法の細目は,例えば,次のとおりとするものとする。
(ア) 改定の有無が定まる日(基準日)は,1年のうち一定の日に固定して定めるものとする。
(イ) 法定利率の改定は,基準日における基準貸付利率について,従前の法定利率が定まった日(旧基準日)の基準貸付利率と比べて[0.5パーセント]以上の差が生じている場合に,行われるものとする。
(ウ) 改定後の新たな法定利率は,基準日における基準貸付利率に所要の調整値を加えた後,これに[0.5パーセント]刻みの数値とするための後,これに[0.5パーセント]刻みの数値とするための所要の修正を行うことによって定めるものとする。
(注1)上記イの規律を設けない(固定制を維持する)という考え方がある。
(注2)民法の法定利率につき変動制を導入する場合における商事法定利率(商法第514条)の在り方について,その廃止も含めた見直しの検討をする必要がある。

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2014.02.08

良い人?による社会的事象

今般のゴーストライター事案はクラシック音楽の愛好家の一人として、またNHKの番組を見てその演奏を聴きに行こうかなと思わされた者としてやはりショックである。
そんな中で、一人の法律家として、著作物にかかわる問題や関係する方々の法律上の責任を考えたりもする。
そのストーリーと曲で人生に大きな影響を受けてしまったであろう方々のことも考えてしまう。
それはそれとして、
法律にまつわる人々やクラシック音楽に関係する方のネット上の情報をフォローしている者として、ゴーストライター事件についてのコメントに接しているとかなり複雑な気持ちになる。
彼を直接知っている方々の全ては、その人格を褒めている。
本当に真面目ないい人だったのだろうと思う。
でも、そういう人ほど利用されてしまって取り返しのつかないことが起こってしまうことが社会にはよくある。
一人の弁護士として、複雑な思いで、そのことを考えている。

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2014.02.07

平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締まり状況について(総務省統計局)

平成25年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取り締まり状況について
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Pdfdl.do?sinfid=000023620477

死亡者数は確実に減っているのですね。

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救急医療体制等のあり方に関する検討会 報告書(厚労省)

救急医療体制等のあり方に関する検討会 報告書
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036818.pdf

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2014.02.04

Kindle本

先般,情熱大陸に登場されていたヴァイオリニストの神尾麻由子さんが,ロシアのサンクトペテルブルグにて,Kindleを利用して日本の電子書籍を入手して楽しんでいる場面があった。
日本語の文化が,国境という物理的制約を容易く超えて利用できることは素晴らしいことだと改めて感じた次第。
日本語環境にない地におられる方にとっては,電子書籍というものは,とてもすばらしいものであるに違いない。
日本でも,本屋の乏しい地域に住んでいる方や,体調等の関係で外出の叶わない方でも本に接することができるということは,考えてみると画期的なことなのだろう。

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