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2014.02.12

院内事故調の導入へ向けての法律案が閣議決定されるに至った。

 院内事故調が義務化される方向性が現実化したとのことですね。

 「2月12日/共同通信  政府は12日、患者が死亡した医療事故の第三者機関への届け出と、原因究明のための院内調査を全医療機関に義務付けることを盛り込んだ地域医療・介護総合確保推進法案を閣議決定した。今国会に提出する。医療事故調査の枠組みを初めて法制化する内容で、成立すれば来年10月に施行される。」

 閣議決定まで至ったとなれば,現在の国会の情勢を考えると,政府提出法案は間違いなく成立するのでしょう。

 先日,東京女子医大事件で人工心肺装置の操作に過誤があったとして業務上過失致死罪の被告人の立場に立たされたものの無罪を勝ち取った佐藤先生のお話を直接伺う機会がありました。

 この事案は,事故調査報告書が誤ったものであり,その誤りが佐藤先生の人生を狂わせることとなりました(なお,事故調査委員には心臓血管外科の医師は入っていなかったようですね)。佐藤先生は,弁護人の適切なアドバイスと鋼の精神にて,警察等による非人道的ともいえる取り調べに耐えて,無罪を勝ち取ったとのこと。なお,裁判では,再現実験が行われたが再現性に欠けるとの結果でもあったようですね。その意味でも極めて杜撰な起訴であり,また,調査報告書でもあったようですね。佐藤先生が体験された,捜査の非情さは,全ての医療関係者が聞くべきだと強く感じました。

 かの有名な大野病院事件も,医療事故調査委員会の報告書が執刀医の判断ミスが死亡の原因であるとの誤った内容を記していたことから警察の捜査・逮捕等が行われたとされています。主治医の思いは,多くの医療関係者が理解し,そして共有したこともあり,無罪という結果に繋がったものだと考えられます。

 医師等が不足しているという中での義務づけられた事故調査委員会活動は大変なものになることだろうと推察されます。

 しかし,忙しいからといって,いいかげんな形で医療従事者の責任を認める報告書が作成されることに至ることは避けられなければなりません。そのような欠陥のある報告書は,有望な医療者等医療従事者の将来を台無しとし,また,その医療関係者の背後に控える多くの患者の治療の機会を奪ってしまうことにもなりかねず,回復させることの出来ない巨大な損失を生むことになります。

 従いまして,法案がどのようなものであったとしても,上記のような実例をふまえて,院内事故調を十分なものとして運用させることが肝要であろうと考えています。そして,医学は不確実性に満ちたものなのですから,わからないものはわからないものとしてはっきりと示すことも重要だと考えています。

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