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2014.04.16

平成26年03月24日最高裁判所第二小法廷判決(安全配慮義務と過失相殺関連)

平成23(受)1259解雇無効確認等請求事件
平成26年03月24日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所
平成20(ネ)2954
平成23年02月23日

裁判要旨
労働者が過重な業務によって鬱病を発症し増悪させた場合において,使用者の安全配慮義務違反等を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり,当該労働者が自らの精神的健康に関する情報を申告しなかったことをもって過失相殺をすることができないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=84051&hanreiKbn=02

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140325085331.pdf

判決文より

「被上告人の従業員であった上告人が,鬱病に罹患して休職し休職期間満了後に被上告人から解雇されたが,上記鬱病(以下「本件鬱病」という。)は過重な業務に起因するものであって上記解雇は違法,無効であるとして,被上告人に対し,安全配慮義務違反等による債務不履行又は不法行為に基づく休業損害や慰謝料等の損害賠償,被上告人の規程に基づく見舞金の支払,未払賃金の支払等を求める事案である。」 「イ 上記の業務の過程において,上告人が被上告人に申告しなかった自らの精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)に関する情報は,神経科の医院への通院,その診断に係る病名,神経症に適応のある薬剤の処方等を内容とするもので,労働者にとって,自己のプライバシーに属する情報であり,人事考課等に影響し得る事柄として通常は職場において知られることなく就労を継続しようとすることが想定される性質の情報であったといえる。使用者は,必ずしも労働者からの申告がなくても,その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているところ,上記のように労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には,上記のような情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で,必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要があるものというべきである。  また,本件においては,上記の過重な業務が続く中で,上告人は,平成13年3月及び4月の時間外超過者健康診断において自覚症状として頭痛,めまい,不眠等を申告し,同年5月頃から,同僚から見ても体調が悪い様子で仕事を円滑に行えるようには見えず,同月下旬以降は,頭痛等の体調不良が原因であることを上司に伝えた上で1週間以上を含む相当の日数の欠勤を繰り返して予定されていた重要な会議を欠席し,その前後には上司に対してそれまでしたことのない業務の軽減の申出を行い,従業員の健康管理等につき被上告人に勧告し得る産業医に対しても上記欠勤の事実等を伝え,同年6月の定期健康診断の問診でもいつもより気が重くて憂鬱になる等の多数の項目の症状を申告するなどしていたものである。このように,上記の過重な業務が続く中で,上告人は,上記のとおり体調が不良であることを被上告人に伝えて相当の日数の欠勤を繰り返し,業務の軽減の申出をするなどしていたものであるから,被上告人としては,そのような状態が過重な業務によって生じていることを認識し得る状況にあり,その状態の悪化を防ぐために上告人の業務の軽減をするなどの措置を執ることは可能であったというべきである。これらの諸事情に鑑みると,被上告人が上告人に対し上記の措置を執らずに本件鬱病が発症し増悪したことについて,上告人が被上告人に対して上記の情報を申告しなかったことを重視するのは相当でなく,これを上告人の責めに帰すべきものということはできない。 ウ 以上によれば,被上告人が安全配慮義務違反等に基づく損害賠償として上告人に対し賠償すべき額を定めるに当たっては,上告人が上記の情報を被上告人に申告しなかったことをもって,民法418条又は722条2項の規定による過失相殺をすることはできないというべきである。」

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