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2015.01.14

見えてきた医療事故調査のアウトライン(第4回医療事故調査制度の施行に係る検討会資料より)

改正された医療法は次のように定めている。

第6条の10
1 病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であつて、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第6条の15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。
2 病院等の管理者は、前項の規定による報告をするに当たつては、あらかじめ、医療事故に係る死亡した者の遺族又は医療事故に係る死産した胎児の父母その他厚生労働省令で定める者(以下この章において単に「遺族」という。)に対し厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない。ただし、遺族がないとき、又は遺族の所在が不明であるときは、この限りでない。

第6条の11
1 病院等の管理者は、医療事故が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、速やかにその原因を明らかにするために必要な調査(以下この章において「医療事故調査」という。)を行わなければならない

このように,
医療法は,医療事故が発生した場合には,
 ① 医療事故調査・支援センターに報告
 ② 「遺族」に対し説明
 ③ 医療事故調査

を行うことを求めている。

では,
そもそも、報告、説明,調査の前提となる「医療事故」とは何か
というと,それは「当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるもの」ということになる。

主要な部分は,「厚生労働省令で定めるもの」とされてしまっているので,その厚生労働省令の内容が重要なものとなる。
この内容をいかなるものにするかについては,「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で検討が行われているところ,そのアウトラインが,ようやく「第4回医療事故調査制度の施行に係る検討会 資料 - 厚生労働省」において示されることとなった。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000070939.html

アウトラインは,
資料2「これまでの議論を踏まえた論点について(医療事故の定義)」
資料3-1:第3回の議論を踏まえた論点についえ(医療機関が行う医療事故調査)
資料3-2:第3回の議論を踏まえた論点について(センターが行う調査)
に記されている。

そのアウトラインをピックアップすると次のようなものとされている。

医療事故の定義について

○ 当該死亡または死産を予期しなかったもの

【省令のイメージ】
○ 当該死亡又は死産が予期されていなかったものとして、以下の事項のいずれにも該当しないもの
・管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等により、当該患者等に対して、当該死亡又は死産が予期されていることを説明していたと認めたもの
・管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等により、当該死亡又は死産が予期されていることを診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの
・管理者が、当該医療の提供に係る医療従事者等からの事情の聴取及び、医療の安全管理のための委員会(当該委員会を開催している場合に限る。)からの意見の聴取を行った上で、当該医療の提供前に、当該医療の提供に係る医療従事者等により、当該死亡又は死産が予期されていると認めたもの。



* 医療機関が行う医療事故調査の方法等について

医療事故調査の方法等

【省令のイメージ】
○ 病院等の管理者は、医療事故調査を行うに当たっては、以下の調査に関する事項について、当該医療事故調査を適切に行うために必要な範囲内で選択し、それらの事項に関し、当該医療事故の原因を明らかにするために、情報の収集及び整理を行うことにより行うものとする。
・カルテ、画像、検査結果等のを確認
・当該医療従事者のヒアリング
・その他の関係者からのヒアリング
・解剖・Aiの実施
・血液、尿等の検査

【通知のイメージ】
○ 本制度の目的は医療安全であり、個人の責任を追求するためのものではないこと
○ 調査については当該医療従事者を除外しないこと
○ 調査項目については、以下の中から必要な範囲内で選択し、それらの事項に関し、情報の収集、整理を行うものとする。
・カルテ、画像、検査結果等のを確認
・当該医療従事者のヒアリング
 ※ヒアリング結果は内部資料として取り扱い、開示しないこと。(法的強制力がある場合を除く。)とし、その旨をヒアリング対象者に伝える。
・その他の関係者からのヒアリング
 ※遺族からのヒアリングが必要な場合があることも考慮する。
・解剖・Aiについては解剖・Ai実施前にどの程度死亡の原因を医学的に判断できているか、遺族の同意の有無、解剖・Ai実施により得られると見込まれる情報の重要性などを考慮して実施の有無を判断する。
・血液、尿等の検体の分析の必要性を考慮
○ 医療事故調査は医療事故の原因を明らかにするために行うものであること。
○ 調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
○ 再発防止は可能な限り調査の中で検討することが望ましいが、必ずしも再発防止策が得られるとは限らないことに留意すること(P)

* 医療機関が行った医療事故調査の結果のセンターへの報告事項について

センターへの報告事項・報告方法について

【省令のイメージ】
○ 病院等の管理者は、院内調査結果の報告を行うときは次の事項を記載した報告書を医療事故調査・支援センターに提出して行う。
・日時/場所/診療科
・医療機関名/所在地/連絡先
・医療機関の管理者
・患者情報(性別/年齢)
・医療事故調査の項目、手法及び結果

【通知のイメージ】
○ 本制度の目的は医療安全であり、個人の責任を追求するためのものではないこと。
○ センターへは以下の事項を報告する。
・日時/場所/診療科
・医療機関名/所在地/連絡先
・医療機関の管理者
・患者情報(性別/年齢)
・医療事故調査の項目、手法及び結果
 • 調査の概要(調査項目、調査の手法)
 • 臨床経過(客観的事実の経過)
 • 原因分析(P)
  ※必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
 • 管理者が検討した再発防止策の検討結果については記載する(P)。
○ 当該医療従事者等の関係者について匿名化する。
医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資料は含まない

* 医療機関が行った医療事故調査の遺族への説明事項等について

遺族への説明事項について
【省令のイメージ】
○ 「センターへの報告事項」の内容を説明することとする。
○ 現場医療者など関係者について匿名化する。

【通知のイメージ】
○ 左記の内容を示すとおり。
○ 現場医療者など関係者について匿名化する。

遺族への説明方法について
【通知のイメージ】
○ 遺族への説明については、口頭(説明内容をカルテに記載)又は書面(報告書又は説明用の資料)の適切な方法を管理者が判断する
○ 調査の目的を遺族に対して分かりやすく説明する。

○ センターが行う調査について
① センターが行う調査の依頼
【通知のイメージ】
○ 医療事故が発生した医療機関の管理者又は遺族は、医療機関の管理者が医療事故としてセンターに報告した事案については、センターに対して調査の依頼ができる。

② センターが行う調査の内容
【通知のイメージ】
○ 院内事故調査終了後にセンターが調査する場合は、院内調査の検証が中心となるが、必要に応じてセンターから調査の協力を求められることがあるので病院等の管理者は協力すること。
○ 院内事故調査終了前にセンターが調査する場合は院内調査の進捗状況等を確認するなど、医療機関と連携し、必要な事実確認を行うこととなるため、センターからの連絡や調査の協力を求められた場合、病院等の管理者は協力すること。(P)

* センターが行った調査の医療機関と遺族への報告
* センターが行った調査の結果の取扱い

センター調査結果報告書の記載事項について
センターは調査終了時に以下事項を記載した調査結果報告書を、医療機関と遺族に対して交付する。
医療機関名/所在地/連絡先
日時/場所/診療科
医療機関の管理者
患者情報(性別/年齢等)
• 調査の概要(調査項目、調査の手法)
• 臨床経過(客観的事実の経過)
• 原因分析(P)
※原因分析は客観的な事実から構造的な原因を分析するものであり、個人の責任追及を行うものではないことに留意すること。
• 再発防止策(P)

センター調査結果報告書の取扱いについて
センターは、個別の調査の結果については、任意の開示請求に応じないこととする。
※ 証拠制限などは省令が法律を超えることはできず、立法論の話である。

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