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2015.02.19

平成27年2月17日最高裁判所第三小法廷判決(求償権と消滅時効関連)

平成24(受)1831求償金等請求事件
平成27年2月17日最高裁判所第三小法廷判決

原審
大阪高等裁判所
平成23(ネ)3120
平成24年5月24日

裁判要旨
事前求償権を被保全債権とする仮差押えは,事後求償権の消滅時効をも中断する効力を有する
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84862

判決文より
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/862/084862_hanrei.pdf

原審の適法に確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1) 上告人Y1(以下「上告人Y1」という。)は,平成2年5月11日,株式会社Aとの間で,貸越極度額500万円の貸越契約を締結した。その際,被上告人は,上告人Y1との間で同年2月26日に締結した信用保証委託契約(以下「本件信用保証委託契約」という。)に基づき,Aに対し,上記貸越契約に基づく上告人Y1の債務を保証した。上告人Y1は,Aから,上記貸越契約に基づき借入れをし,平成6年10月当時の借入残元本の金額は,499万9548円であった。
(2) 上告人Y2は,平成2年2月26日,被上告人との間で,本件信用保証委託契約に基づき上告人Y1が被上告人に対して負担すべき債務について連帯保証する旨の契約をした。
(3) 上告人Y1がAに対する前記(1)の債務につき約定の分割弁済をしなかったため,被上告人は,平成6年10月17日,上告人Y1を債務者として,上告人Y1所有の不動産につき,本件信用保証委託契約に基づく事前求償権を被保全債権とする不動産仮差押命令の申立てをし,同日に仮差押命令を得て,仮差押登記をした。
(4) 上告人Y1は,平成6年11月4日,Aに対する前記(1)の債務の期限の利益を失った。被上告人は,同月18日,Aに対し,前記(1)の借入残元本499万9548円及び約定利息4万7461円の合計額504万7009円を代位弁済し,上告人Y1に対する求償権を取得した。
(5) 被上告人は,平成22年12月24日,上告人Y1及びその連帯保証人である上告人Y2に対し,前記(4)の求償権等に基づき,連帯して504万7009円及び遅延損害金の支払を求める本件訴訟を提起した。上告人らが上記求償権の消滅時効を主張するのに対し,被上告人は前記(3)の事前求償権を被保全債権とする仮差押えにより消滅時効が中断していると主張して争っている。

原審は,事前求償権を被保全債権とする仮差押えは,民法459条1項後段の規定に基づき主たる債務者に対して取得する求償権(以下「事後求償権」という。)の消滅時効をも中断する効力を有するなどとして,被上告人の請求を認容すべきものとした。

所論は,事前求償権と事後求償権とが発生要件等を異にし,別個の権利であることに照らせば,事前求償権を被保全債権とする仮差押えによっては事後求償権の消滅時効は中断しないと解すべきであるというものである。

事前求償権を被保全債権とする仮差押えは,事後求償権の消滅時効をも中断する効力を有するものと解するのが相当である。
その理由は,次のとおりである。
事前求償権は,事後求償権と別個の権利ではあるものの(最高裁昭和59年(オ)第885号同60年2月12日第三小法廷判決・民集39巻1号89頁参照),事後求償権を確保するために認められた権利であるという関係にあるから,委託を受けた保証人が事前求償権を被保全債権とする仮差押えをすれば,事後求償権についても権利を行使しているのと同等のものとして評価することができる。
また,上記のような事前求償権と事後求償権との関係に鑑みれば,委託を受けた保証人が事前求償権を被保全債権とする仮差押えをした場合であっても民法459条1項後段所定の行為をした後に改めて事後求償権について消滅時効の中断の措置をとらなければならないとすることは,当事者の合理的な意思ないし期待に反し相当でない

5 以上と同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 木内道祥 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官大橋正春 裁判官 山崎敏充)

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