裁判例

2009.07.10

平成21年06月30日最高裁判所第三小法廷決定

平成21(許)9特別抗告却下決定に対する許可抗告事件
平成21年06月30日最高裁判所第三小法廷決定

原審
名古屋高等裁判所   
平成20(ラク)136
平成21年01月08日

裁判要旨
特別抗告の理由とされた憲法違反の主張が実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても,原裁判所が特別抗告を却下することはできない

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37774&hanreiKbn=01

決定文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090703163320.pdf

決定文より
「特別抗告の理由として形式的には憲法違反の主張があるが,それが実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても,最高裁判所が当該特別抗告を棄却することができるにとどまり(民訴法336条3項,327条2項,317条2項),原裁判所が同法336条3項,327条2項,316条1項によりこれを却下することはできないと解すべきである」

平井利明のメモ

|

2009.07.06

平成21年07月03日最高裁判所第二小法廷判決(担保不動産収益執行関連)

平成19(受)1538賃料等請求事件
平成21年07月03日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所平成19年06月28日判決   
平成19(ネ)232

判示事項 
裁判要旨
1 担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた場合における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属
2 抵当不動産の賃借人が,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37773&hanreiKbn=01

判決文全文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090703150520.pdf

判決文より
本件は,建物についての担保不動産収益執行の開始決定に伴い管理人に選任された被上告人が,上記建物の一部を賃料月額700万円(ほかに消費税相当額35万円)で賃借している上告人に対し,平成18年7月分から平成19年3月分までの9か月分の賃料合計6300万円及び平成18年7月分の賃料700万円に対する遅延損害金の支払を求める事案である。上告人は,上記賃貸借に係る保証金返還債権を自働債権とする相殺の抗弁を主張するなどして,被上告人の請求を争っている。

(1) 担保不動産収益執行は,担保不動産から生ずる賃料等の収益を被担保債権の優先弁済に充てることを目的として設けられた不動産担保権の実行手続の一つであり,執行裁判所が,担保不動産収益執行の開始決定により担保不動産を差し押さえて所有者から管理収益権を奪い,これを執行裁判所の選任した管理人にゆだねることをその内容としている(民事執行法188条,93条1項,95条1項)。管理人が担保不動産の管理収益権を取得するため,担保不動産の収益に係る給付の目的物は,所有者ではなく管理人が受領権限を有することになり,本件のように担保不動産の所有者が賃貸借契約を締結していた場合は,賃借人は,所有者ではなく管理人に対して賃料を支払う義務を負うことになるが(同法188条,93条1項),このような規律がされたのは,担保不動産から生ずる収益を確実に被担保債権の優先弁済に充てるためであり管理人に担保不動産の処分権限まで与えるものではない(同法188条,95条2項)。
このような担保不動産収益執行の趣旨及び管理人の権限にかんがみると,管理人が取得するのは,賃料債権等の担保不動産の収益に係る給付を求める権利(以下「賃料債権等」という。)自体ではなく,その権利を行使する権限にとどまり,賃料債権等は,担保不動産収益執行の開始決定が効力を生じた後も,所有者に帰属しているものと解するのが相当であり,このことは,担保不動産収益執行の開始決定が効力を生じた後に弁済期の到来する賃料債権等についても変わるところはない。そうすると,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後も,担保不動産の所有者は賃料債権等を受働債権とする相殺の意思表示を受領する資格を失うものではないというべきであるから(最高裁昭和37年(オ)第743号同40年7月20日第三小法廷判決・裁判集民事79号893頁参照),本件において,本件建物の共有持分権者であり賃貸人であるAは,本件開始決定の効力が生じた後も,本件賃料債権の債権者として本件相殺の意思表示を受領する資格を有していたというべきである
(2) そこで,次に,抵当権に基づく担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後において,担保不動産の賃借人が,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし,賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができるかという点について検討する。被担保債権について不履行があったときは抵当権の効力は担保不動産の収益に及ぶが,そのことは抵当権設定登記によって公示されていると解される。そうすると,賃借人が抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権については,賃料債権と相殺することに対する賃借人の期待が抵当権の効力に優先して保護されるべきであるから(最高裁平成11年(受)第1345号同13年3月13日第三小法廷判決・民集55巻2号363頁参照),担保不動産の賃借人は,抵当権に基づく担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後においても,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし,賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することができるというべきである。本件において,上告人は,Aに対する本件保証金返還債権を本件抵当権設定登記の前に取得したものであり,本件相殺の意思表示がされた時点で自働債権である上告人のAに対する本件保証金返還残債権と受働債権であるAの上告人に対する本件賃料債権は相殺適状にあったものであるから,上告人は本件相殺をもって管理人である被上告人に対抗することができるというべきである。

平井利明のメモ

|

2009.06.30

平成21年04月21日最高裁判所第三小法廷判決(和歌山カレー毒物混入事件上告審判決)

平成17(あ)1805 殺人,同未遂,詐欺被告事件
平成17(あ)1805 殺人,同未遂,詐欺被告事件
平成21年04月21日最高裁判所第三小法廷判決

原審
大阪高等裁判所   
平成15(う)250
平成17年06月28日

裁判要旨
死刑を維持した原判決が是認された事例(和歌山カレー毒物混入事件)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37539&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090422180047.pdf

平井利明のメモ

|

2009.06.16

平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決(市長が損害賠償請求権を行使しないことに関して)

平成20(行ヒ)97損害賠償代位等請求事件
平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所   
平成18(行コ)134
平成19年11月30日

裁判要旨
市の発注した工事に関し業者らが談合をしたため市が損害を被ったにもかかわらず,市長が上記業者らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとして,市の住民が地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,怠る事実に係る相手方である上記業者らに対し損害賠償を求める訴訟において,市長が上記損害賠償請求権を行使しないことが当該債権の管理を違法に怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37555&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090428114532.pdf

判決文より
「地方公共団体が有する債権の管理について定める法240条,地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892頁参照)。もっとも,地方公共団体の長が債権の存在をおよそ認識し得ないような場合にまでその行使を義務付けることはできない上,不法行為に基づく損害賠償請求権は,債権の存否自体が必ずしも明らかではない場合が多いことからすると,その不行使が違法な怠る事実に当たるというためには,少なくとも,客観的に見て不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料を地方公共団体の長が入手し,又は入手し得たことを要するものというべきである。なお,独禁法違反の行為によって自己の法的利益を害された者は,当該行為が民法上の不法行為に該当する限り,公取委による審決の有無にかかわらず,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使することを妨げられないのであり(最高裁昭和60年(オ)第933号,第1162号平成元年12月8日第二小法廷判決・民集43巻11号1259頁参照),審決が確定するまで同請求権を行使しないこととすると,地方公共団体が被った損害の回復が遅れることとなる上,同請求権につき民法724条所定の消滅時効が完成するなどのおそれもあるから,仮に,独禁法違反の事実を認める審決がされ,将来的にその審決が確定した場合には独禁法25条に基づく損害賠償請求権を行使することが可能になる(そして,同請求権を行使する場合,不法行為に基づく損害賠償請求権を行使する場合と比べ,主張,立証の負担が軽減される)としても,そのことだけでは,当然に不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことを正当化する理由となるものではないというべきである。」
「被上告人らによる不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料の有無等につき本件訴訟に提出された証拠の内容,別件審決の存在・内容等を具体的に検討することなく,かつ,前記のような理由のほかに不法行為に基づく損害賠償請求権の不行使を正当とするような事情が存在することについて首肯すべき説示をすることなく,同請求権の不行使が違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。」

平井利明のメモ

|

2009.06.15

平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決(住民票の記載関連)

平成20(行ヒ)35 住民票不記載処分取消等請求事件
平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成19(行コ)229
平成19年11月05日

裁判要旨
1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し区長がした上記記載をしない旨の応答と抗告訴訟の対象
2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,区長が住民である上記子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことが違法とはいえないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37536&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090417193516.pdf

判決文より
「事案の概要:上告人X3(以下「上告人父」という。)が世田谷区長(以下「区長」という。)に対し,上告人父と上告人X2(以下「上告人母」といい,上告人父と併せて「上告人父母」という。)との間の子である上告人X1(以下「上告人子」という。)につき住民票の記載を求める申出をしたところ,これをしない旨の応答を受け,その後も上告人母と共に同様の申入れをしたものの住民票の記載がされなかったことから,上告人らにおいて,被上告人に対し,上記応答及び住民票の記載をしない不作為が違法であると主張して,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償等を求めるとともに,上記応答が行政処分であることを前提にその取消しを求める事案」

主文
1 原判決中,上告人X1の取消請求に関する部分を破棄し,同部分につき第1審判決を取り消し,同請求に係る訴えを却下する。
2 上告人X1のその余の上告並びに上告人X2及び上告人X3の上告を棄却する。
3 訴訟の総費用は上告人らの負担とする。

平井利明のメモ

|

2009.06.03

平成21年06月02日最高裁判所第三小法判決・,商法676条2項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」に関して

平成21(受)226 死亡給付金等請求,民訴法260条2項の申立て事件
平成21年06月02日最高裁判所第三小法判決

原審
大阪高等裁判所   
平成20(ネ)1285
平成20年10月31日

裁判要旨
生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において,その者又はその相続人は,商法676条2項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には当たらない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37670&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090602114828.pdf

判決文より
「商法676条2項の規定は,保険契約者と指定受取人とが同時に死亡した場合にも類推適用されるべきものであるところ,同項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは,指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現に生存する者をいい(最高裁平成2年(オ)第1100号同5年9月7日第三小法廷判決・民集47巻7号4740頁),ここでいう法定相続人は民法の規定に従って確定されるべきものであって,指定受取人の死亡の時点で生存していなかった者はその法定相続人になる余地はない(民法882条)。したがって,指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において,その者又はその相続人は,同項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には当たらないと解すべきである。そして,指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者との死亡の先後が明らかでない場合に,その者が保険契約者兼被保険者であったとしても,民法32条の2の規定の適用を排除して,指定受取人がその者より先に死亡したものとみなすべき理由はない。」

平井利明のメモ

|

2009.05.27

平成21年03月31日最高裁判所第三小法廷判決(代表訴訟関連)

平成20(受)442組合員代表訴訟事件
平成21年03月31日最高裁判所第三小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成19(ネ)2816
平成19年12月12日

裁判要旨
1 農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が,同組合の代表者として代表理事を記載した提訴請求書を同組合に送付したが,監事において,当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があった場合,上記組合員の提起した代表訴訟を不適法ということはできない
2 農業協同組合の合併契約に,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう等があったため新設組合が損害を受けたときは故意又は重過失のある被合併組合の役員が賠償責任を負う旨の条項がある場合,被合併組合の理事会で上記契約の締結に賛成した理事等は,上記条項に基づく責任を負う
3 上記条項が,被合併組合に貸倒引当金の過少計上があったときには,故意又は重過失のある被合併組合の役員に引当不足額相当額をてん補する義務を負わせる趣旨を含むとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37502&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090401103623.pdf

判決文より
「事案の概要:A農業協同組合(以下「A農協」という。)ほか三つの農業協同組合が合併して新設されたB農業協同組合(以下「B農協」という。)の組合員である上告人X1及び同X2が,上記合併に当たり,A農協の役員らと上記合併前の各農業協同組合との間には,A農協の貸倒引当金が過少に計上されていた場合に,引当不足額を上記役員個人としてB農協にてん補する旨の合意があったなどと主張して,A農協の役員であった者又はその相続人である被上告人らに対し,上記合意に基づき,上記合併後に明らかになった同農協の貸倒引当金の不足額をB農協に支払うことなどを求める農業協同組合の組合員代表訴訟」

「平成17年法律第87号による改正前の農業協同組合法(以下,単に「農協法」という。)39条2項において準用する同改正前の商法275条ノ4によれば,農業協同組合の理事に対する組合員代表訴訟を提起しようとする組合員の提訴請求を受けることについては,監事が農業協同組合を代表することとなる。しかし,上記のとおり監事が農業協同組合を代表することとされているのは,組合員代表訴訟の相手方が代表理事の同僚である理事の場合には,代表理事が農業協同組合の代表者として提訴請求書の送付を受けたとしても,農業協同組合の利益よりも当該理事の利益を優先させ,当該理事に対する訴訟を提起しないおそれがあるので,これを防止するため,理事とは独立した立場にある監事に,上記請求書の記載内容に沿って農業協同組合として当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを判断させる必要があるからであると解される。そうすると,農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が,農業協同組合の代表者として監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を農業協同組合に対して送付した場合であっても,監事において,上記請求書の記載内容を正確に認識した上で当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があったといえるときには監事は,農業協同組合の代表者として監事が記載された提訴請求書の送付を受けたのと異ならない状態に置かれたものといえるから上記組合員が提起した代表訴訟については,代表者として監事が記載された適式な提訴請求書があらかじめ農業協同組合に送付されていたのと同視することができ,これを不適法として却下することはできないというべきである。」

「本件合併契約は,旧4農協を当事者とするものであり,被上告人Y7らを当事者とするものではない。しかし,被上告人Y7らのうちA農協の理事会に出席して同農協が本件合併契約を締結することに賛成した理事又はこれに異議を述べなかった監事に該当する者については,本件合併契約の中に,旧4農協のうちのいずれかの農業協同組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったためにB農協が損害を受けた場合には,そのことに故意又は重過失がある当該農業協同組合の役員は個人の資格において賠償する責任を負う旨を明記した本件賠償条項が含まれていることを十分に承知した上で,A農協が本件合併契約を締結することに賛成するなどして,その締結手続を代表理事にゆだねているのであるから,同農協の代表理事を介して,旧4農協に対し,個人として本件賠償条項に基づく責任を負う旨の意思表示をしたものと認めるのが相当である。また,旧4農協においても,本件合併契約の締結に至っている以上,上記の意思表示について承諾したものと認めるのが相当である。そうすると,少なくとも,被上告人Y らのうち上記のよ7 うな理事又は監事に該当する者については,旧4農協の権利義務を承継したB農協に対する関係でも,本件賠償条項に基づく責任を免れないものというべきである。」

「本件賠償条項においては,「賠償の責に任ずる」場合について,「新組合が損害を受けたとき」と定められているところであり,その文理に照らすと,原審のように解する余地もないわけではない。しかし,旧4農協のうちのいずれかの農業協同組合の貸借対照表等に誤びゅう脱落等があったために,B農協の資産が流出するなどして,同農協に具体的な損害が生じた場合には,当該農業協同組合の理事及び監事は,軽過失のときであっても,法律上当然に,B農協に対する損害賠償責任を負うのであるから(農協法33条2項,39条2項),故意又は重過失の場合に限って旧4農協の理事及び監事が責任を負うものとする本件賠償条項について上記のように解するのは,当事者の合理的意思に合致しないものというべきである。前記事実関係によれば,本件合併契約には,B農協に引き継がれる旧4農協の財産が貸借対照表等どおりのものであることを前提とする条項(4条1項)が設けられており,平成13年2月25日に開催されたA農協の臨時総会では,不良債権であるのに,そうでないように見せ掛けるなどした場合に,同農協の役員が本件賠償条項に基づく責任を負うことになることから,そのような事態の発生を回避するために,同農協の職員において注意して自己査定を行っている旨の説明がされているというのである。また,前記事実関係によれば,本件合併の前後を通じて,A農協及びB農協において,不良債権を適正に評価し,必要な貸倒引当金を計上し,財務の健全性確保に努め,自己資本比率の維持,向上を図っていくことが重要な課題となっていたことは,明らかである。これらの事情に照らすと,本件賠償条項は,不良債権が適正に評価され,必要な貸倒引当金が計上されていることを含めて,旧4農協の貸借対照表等が正確であることを担保する趣旨の定めというべきであり,旧4農協のうちのいずれかの農業協同組合において,不良債権が適正に評価されておらず,貸倒引当金が過少に計上されていることが判明した場合には,過少に計上したことに故意又は重過失のある当該農業協同組合の理事及び監事に対して,引当不足額相当額をB農協にてん補する義務を負わせる趣旨を含むものと解するのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2009.05.18

平成21年04月23日最高裁判所第一小法廷判決(建物の区分所有等に関する法律70条の合憲性)

平成20(オ)1298所有権移転登記手続等請求事件
平成21年04月23日最高裁判所第一小法廷判決

原審
大阪高等裁判所   
平成19(ネ)3386
平成20年05月19日

裁判要旨
建物の区分所有等に関する法律70条は,憲法29条に違反しない

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37541&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090423151822.pdf

判決文より
「(2) 区分所有権は,1棟の建物の中の構造上区分された各専有部分を目的とする所有権であり(区分所有法1条,2条1項,3項),廊下や階段など,専有部分の使用に不可欠な専有部分以外の建物部分である共用部分は,各専有部分の所有者(区分所有者)が専有部分の床面積の割合に応じた持分を有する共有に属し,その持分は専有部分の処分に従うものとされている(同法2条2項,4項,4条,11条,14条,15条)。また,専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利である敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には,区分所有者の集会の決議によって定められた規約に別段の定めのある場合を除き,区分所有者は敷地利用権を専有部分と分離して処分することはできないものとされている(同法2条6項,22条)。このように,区分所有権は,1棟の建物の1部分を構成する専有部分を目的とする所有権であり,共用部分についての共有持分や敷地利用権を伴うものでもある。したがって,区分所有権の行使(区分所有権の行使に伴う共有持分や敷地利用権の行使を含む。以下同じ。)は,必然的に他の区分所有者の区分所有権の行使に影響を与えるものであるから,区分所有権の行使については,他の区分所有権の行使との調整が不可欠であり,区分所有者の集会の決議等による他の区分所有者の意思を反映した行使の制限は,区分所有権自体に内在するものであって,これらは,区分所有権の性質というべきものである。区分所有建物について,老朽化等によって建替えの必要が生じたような場合に,大多数の区分所有者が建替えの意思を有していても一部の区分所有者が反対すれば建替えができないということになると,良好かつ安全な住環境の確保や敷地の有効活用の支障となるばかりか,一部の区分所有者の区分所有権の行使によって,大多数の区分所有者の区分所有権の合理的な行使が妨げられることになるから,1棟建替えの場合に区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で建替え決議ができる旨定めた区分所有法62条1項は,区分所有権の上記性質にかんがみて,十分な合理性を有するものというべきである。そして,同法70条1項は,団地内の各建物の区分所有者及び議決権の各3分の2以上の賛成があれば,団地内区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成で団地内全建物一括建替えの決議ができるものとしているが,団地内全建物一括建替えは,団地全体として計画的に良好かつ安全な住環境を確保し,その敷地全体の効率的かつ一体的な利用を図ろうとするものであるところ,区分所有権の上記性質にかんがみると,団地全体では同法62条1項の議決要件と同一の議決要件を定め,各建物単位では区分所有者の数及び議決権数の過半数を相当超える議決要件を定めているのであり,同法70条1項の定めは,なお合理性を失うものではないというべきである。また,団地内全建物一括建替えの場合,1棟建替えの場合と同じく,上記のとおり,建替えに参加しない区分所有者は,売渡請求権の行使を受けることにより,区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すこととされているのであり(同法70条4項,63条4項),その経済的損失については相応の手当がされているというべきである。
(3) そうすると,規制の目的,必要性,内容,その規制によって制限される財産権の種類,性質及び制限の程度等を比較考量して判断すれば,区分所有法70条は,憲法29条に違反するものではない。このことは,最高裁平成12年(オ)第1965号,同年(受)第1703号同14年2月13日大法廷判決・民集56巻2号331頁の趣旨に徴して明らかである。」

平井利明のメモ

|

2009.05.15

平成21年04月23日最高裁判所第一小法廷判決(住民訴訟と弁護士費用関連)

平成19(受)2069弁護士報酬請求事件
平成21年04月23日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判】

原審
大阪高等裁判所   
平成19(ネ)1438
平成19年09月28日

裁判要旨
1 地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう弁護士報酬の「相当と認められる額」の意義
2 地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう弁護士報酬の「相当と認められる額」についての原審の認定判断に違法があるとされた事例 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37542&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090423153236.pdf

判決文より
「法242条の2の定める住民訴訟は,住民が,自己の個人的な権利利益の保護救済を求めて提起するものではなく,地方財務行政の適正な運営を確保することを目的として,自己を含む住民全体の利益のために,いわば公益の代表者として提起するものであり,これに勝訴すると,結果として普通地方公共団体の財務会計上の違法な行為又は怠る事実が防止され又は是正されることになる。特に,旧4号住民訴訟は,住民が普通地方公共団体に代わって提起するものであり,この訴訟において住民が勝訴したときは,そこで求められた是正等の措置が本来普通地方公共団体の自ら行うべき事務であったことが明らかとなり,かつ,これにより普通地方公共団体が現実に経済的利益を受けることになるのであるから,住民がそのために費やした費用をすべて負担しなければならないとすることは,衡平の理念に照らし適当と- 5 -はいい難い。そこで,同条7項は,旧4号住民訴訟を提起した住民が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合に,その訴訟を委任した弁護士に支払うべき報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を普通地方公共団体に対して請求することができることとしたのである。法242条の2第7項の以上のような立法趣旨に照らすと,同項にいう「相当と認められる額」とは,旧4号住民訴訟において住民から訴訟委任を受けた弁護士が当該訴訟のために行った活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上適正妥当と認められる額をいい,その具体的な額は,当該訴訟における事案の難易,弁護士が要した労力の程度及び時間,認容された額,判決の結果普通地方公共団体が回収した額,住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定められるべきものと解するのが相当である。前記事実関係によれば,別件訴訟の判決認容額は1億3000万円を超え,判決の結果被上告人は約9500万円を既に回収しているというのであるから,被上告人は現実にこれだけの経済的利益を受けているのであり,別件訴訟に関する「相当と認められる額」を定めるに当たっては,これら認容額及び回収額は重要な考慮要素となる。住民訴訟の目的,性質を考慮したとしても,上記の考慮要素をもって,原審のように,一般的に,従たる要素として他の要素に加味する程度にとどめるのが相当であるということはできない。一方,原審は,別件訴訟の事案が特に易しいものであったとか,別件受任弁護士らが訴訟追行に当たり要した労力の程度及び時間がかなり小さなものであったなど,「相当と認められる額」を大きく減ずべき事情については何ら認定説示しておらず,むしろ,別件受任弁護士らは訴訟追行に当たり相当の労力を要したことが推認されるなどと説示しているのである。そうすると,原審は,一つの重要な考慮要素と認められる前記認容額及び回収額についてほとんど考慮することなく別件訴訟に関する「相当と認められる額」を認定したものであり,他に原審の認定した額を「相当と認められる額」とすべき合理的根拠を示していないから,その判断は,法242条の2第7項の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」

なお,裁判官宮川光治の補足意見と裁判官涌井紀夫の意見がある。

平井利明のメモ

|

2009.05.13

平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決(株主総会決議不存在確認の訴えの係属中における株式会社の破産手続開始決定)

平成20(受)951株主総会等決議不存在確認請求事件
平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

仙台高等裁判所
平成19(ネ)524
平成20年02月27日

裁判要旨
株式会社の取締役等の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37534&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090417162419.pdf

判決文より
民法653条は,委任者が破産手続開始の決定を受けたことを委任の終了事由として規定するが,これは,破産手続開始により委任者が自らすることができなくなった財産の管理又は処分に関する行為は,受任者もまたこれをすることができないため,委任者の財産に関する行為を内容とする通常の委任は目的を達し得ず終了することによるものと解される会社が破産手続開始の決定を受けた場合,破産財団についての管理処分権限は破産管財人に帰属するが,役員の選任又は解任のような破産財団に関する管理処分権限と無関係な会社組織に係る行為等は,破産管財人の権限に属するものではなく破産者たる会社が自ら行うことができるというべきである。そうすると,同条の趣旨に照らし,会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから破産手続開始当時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である(最高裁平成12年(受)第56号同16年6月10日第一小法廷判決・民集58巻5号1178頁参照)。したがって,株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しないと解すべきである。」

平井利明のメモ

|

2009.05.12

平成21年04月24日最高裁判所第二小法廷判決(間接強制と不当利得返還請求権関連)

平成20(受)224損害賠償等請求事件
平成21年04月24日最高裁判所第二小法廷判決

原審
福岡高等裁判所   
平成18(ネ)887
平成19年10月31日

裁判要旨
被保全権利が発令時から存在しなかったものと本案訴訟の判決で判断され,仮処分命令が事情の変更により取り消された場合,債務者は,保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭の不当利得返還請求をすることができる
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37543&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090424132048.pdf

判決文より
「仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において,当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,このことが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令を受けた債務者は,その保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭につき,債権者に対して不当利得返還請求をすることができる。その理由は,次のとおりである。
間接強制は,債務の履行をしない債務者に対し,一定の額の金銭(以下「間接強制金」という。)を支払うよう命ずることにより,債務の履行を確保しようとするものであって,債務名義に表示された債務の履行を確保するための手段である。そうすると,保全執行の債務名義となった仮処分命令における保全すべき権利が,本案訴訟の判決において当該仮処分命令の発令時から存在しなかったものと判断され,これが事情の変更に当たるとして当該仮処分命令を取り消す旨の決定が確定した場合には,当該仮処分命令に基づく間接強制決定は,履行を確保すべき債務が存しないのに発せられたものであったことが明らかであるから,債権者に交付された間接強制金は法律上の原因を欠いた不当利得に当たるものというべきである。」



裁判所の命令による間接強制という国家権力の行使たる公法上の行為が介在しても,私法上の不当利得返還請求権の有無には影響を与えないということでもあるのか。

不当利得の制度は,徐々に歴史的な純化を経て形成されたものではなく,むしろ,法典編纂期に急遽形作られたものとのことどえある(新版注釈民法18・337p)。
しかしながら,機能的には,極めて重要な制度である。
不当利得の制度は,「財産帰属の面において非有体的利益の帰属を保障し」,「財産移転に関し,財貨の移転を裏面から支える」という極めて重要な意味合いを有している。
例えば,契約関係に基づいてある財貨の移転があったとしても,その財貨の移転は不合理なものとしてものと持ち主に返すべきとなるような場合があるのか。
仮に,このような考察が行わなければならないとすれば,財貨の移転は,契約の存在だけでは正当化されず,結局,不当利得返還請求が成立しないことも実質的に要求されることになる(相対的無効なる考察は,不当利得的な価値判断が求められているとも言えよう)。
従って,不当利得に関する理解を深めることは,かなり重要なことであることがわかるのだが,難しい。

平井利明のメモ

|

2009.05.08

平成21年03月19日大阪地方裁判所第7民事部(税の減免処置関連)

平成20(行ウ)113租税減免措置取消請求(住民訴訟)事件
平成21年03月19日大阪地方裁判所第7民事部 

判示事項の要旨
在日朝鮮人総聯合会の支部が同胞会館として使用している建物についての地方税法367条に基づく固定資産税等の減免措置が同条の規定を受けて規定された条例等に定める「公益上その他の事由により特に必要と認める」ものという要件を満たしていないとして違法とされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37511&hanreiKbn=03

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090407132826.pdf

平井利明のメモ

|

2009.05.07

平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決 (代表取締役の違法行為についても無効を主張できる者について)

平成19(受)1219約束手形金,不当利得返還等請求事件
平成21年04月17日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成19(ネ)377
平成19年04月25日

裁判要旨
株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ずに重要な業務執行に該当する取引をした場合,当該会社以外の者が取締役会の決議を経ていないことを理由にその無効を主張することは,特段の事情がない限り,許されない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37535&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090417163145.pdf

判決文より
「会社法362条4項は,同項1号に定める重要な財産の処分も含めて重要な業務執行についての決定を取締役会の決議事項と定めているので,代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行をすることは許されないが,代表取締役は株式会社の業務に関して一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有することにかんがみれば,代表取締役が取締役会の決議を経ないでした重要な業務執行に該当する取引も,内部的な意思決定を欠くにすぎないから,原則として有効であり,取引の相手方が取締役会の決議を経ていないことを知り又は知り得べかりしときに限り無効になると解される(最高裁昭和36年(オ)第1378号同40年9月22日第三小法廷判決・民集19巻6号1656頁参照)。そして,同項が重要な業務執行についての決定を取締役会の決議事項と定めたのは,代表取締役への権限の集中を抑制し,取締役相互の協議による結論に沿った業務の執行を確保することによって会社の利益を保護しようとする趣旨に出たものと解される。この趣旨からすれば,株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をした場合,取締役会の決議を経ていないことを理由とする同取引の無効は,原則として会社のみが主張することができ会社以外の者は,当該会社の取締役会が上記無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情がない限り,これを主張することはできないと解するのが相当である。これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,本件債権譲渡はAの重要な財産の処分に該当するが,Aの取締役会が本件債権譲渡の無効を主張する旨の決議をしているなどの特段の事情はうかがわれない。そうすると,本件債権譲渡の対象とされた本件過払金返還請求権の債務者である被上告人は,上告人Y1に対し,Aの取締役会の決議を経ていないことを理由とする本件債権譲渡の無効を主張することはできないというべきである。」

平井利明のメモ

|

2009.05.01

平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決(有形力の行使と体罰)

平成20(受)981損害賠償請求事件
平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄自判】

原審
福岡高等裁判所   
平成19(ネ)547
平成20年02月26日

裁判要旨
小学校の教員が,女子数人を蹴るなどの悪ふざけをした2年生の男子を追い掛けて捕まえ,胸元をつかんで壁に押し当て,大声で叱った行為が,その目的,態様,継続時間等から判断して,国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37554&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090428113912.pdf

判決文より
「Aの本件行為は,児童の身体に対する有形力の行使ではあるが,他人を蹴るという被上告人の一連の悪ふざけについて,これからはそのような悪ふざけをしないように被上告人を指導するために行われたものであり,悪ふざけの罰として被上告人に肉体的苦痛を与えるために行われたものではないことが明らかである。Aは,自分自身も被上告人による悪ふざけの対象となったことに立腹して本件行為を行っており,本件行為にやや穏当を欠くところがなかったとはいえないとしても,本件行為は,その目的,態様,継続時間等から判断して,教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではなく,学校教育法11条ただし書にいう体罰に該当するものではないというべきである。したがって,Aのした本件行為に違法性は認められない。」

平井利明のメモ

|

2009.04.30

平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決(不法行為に基づく損害賠償請求権の除斥期間経過による消滅に関連)

平成20(受)804損害賠償請求事件
平成21年04月28日最高裁判所第三小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成18(ネ)5133
平成20年01月31日

裁判要旨
殺人事件の加害者が殊更に死体を隠匿するなどしたため,被害者の相続人が死亡の事実を知り得なかった場合において,相続人確定時から6か月内に権利が行使されたなど特段の事情があるときは,不法行為に基づく損害賠償請求権は除斥期間により消滅しない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37556&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090428130810.pdf

判決文より
「殺人事件の被害者の有していた権利義務を相続した被上告人らが,加害者である上告人に対して,不法行為に基づく損害賠償を請求する事案であり,不法行為から20年が経過したことによって,民法724条後段の規定に基づき損害賠償請求権が消滅したか否かが争われている。」
「3 民法724条後段の規定は,不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり,不法行為による損害賠償を求める訴えが除斥期間の経過後に提起された場合には,裁判所は,当事者からの主張がなくても,除斥期間の経過により上記請求権が消滅したものと判断すべきである(最高裁昭和59年(オ)第1477号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁参照)。ところで,民法160条は,相続財産に関しては相続人が確定した時等から6か月を経過するまでの間は時効は完成しない旨を規定しているが,その趣旨は,相続人が確定しないことにより権利者が時効中断の機会を逸し,時効完成の不利益を受けることを防ぐことにあると解され,相続人が確定する前に時効期間が経過した場合にも,相続人が確定した時から6か月を経過するまでの間は,時効は完成しない最高裁昭和35年(オ)第348号同年9月2日第二小法廷判決・民集14巻11号2094頁参照)。そして,相続人が被相続人の死亡の事実を知らない場合は,同法915条1項所定のいわゆる熟慮期間が経過しないから,相続人は確定しない。これに対し,民法724条後段の規定を字義どおりに解すれば,不法行為により被害者が死亡したが,その相続人が被害者の死亡の事実を知らずに不法行為から20年が経過した場合は,相続人が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使する機会がないまま,同請求権は除斥期間により消滅することとなる。しかしながら,被害者を殺害した加害者が,被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま除斥期間が経過した場合にも,相続人は一切の権利行使をすることが許されず,相続人が確定しないことの原因を作った加害者は損害賠償義務を免れるということは,著しく正義・公平の理念に反する。このような場合に相続人を保護する必要があることは,前記の時効の場合と同様であり,その限度で民法724条後段の効果を制限することは,条理にもかなうというべきである(最高裁平成5年(オ)第708号同10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1087頁参照)。そうすると,被害者を殺害した加害者が,被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し,そのために相続人はその事実を知ることができず,相続人が確定しないまま上記殺害の時から20年が経過した場合において,その後相続人が確定した時から6か月内に相続人が上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは,民法160条の法意に照らし,同法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当である。
4 これを本件についてみるに,前記事実関係によれば,上告人が本件殺害行為後にAの死体を自宅の床下に掘った穴に埋めて隠匿するなどしたため,B,C及び被上告人らはAの死亡の事実を知ることができず,相続人が確定せず損害賠償請求権を行使する機会がないまま本件殺害行為から20年が経過したというのである。そして,C及び被上告人らは,平成16年9月29日にAの死亡を知り,それから3か月内に限定承認又は相続の放棄をしなかったことによって単純承認をしたものとみなされ(民法915条1項,921条2号),これにより相続人が確定したところ,更にそれから6か月内である平成17年4月11日に本件訴えを提起したというのであるから,本件においては前記特段の事情があるものというべきであり,民法724条後段の規定にかかわらず,本件殺害行為に係る損害賠償請求権が消滅したということはできない。」

裁判官田原睦夫の意見がある。
「私は,上告人の殺害行為によって死亡した被害者の遺族たる被上告人らの,本件損害賠償請求を認容した原判決は維持されるべきである,との多数意見の結論に賛成するものであるが,その理由は,多数意見とは異なる。私は,民法724条後段の規定は,時効と解すべきであって,本件においては民法160条が直接適用される結果,被上告人らの請求は認容されるべきものと考える。」として,民法724条後段の規定を「除斥期間」を定めたものではなく「時効」であると解すべきとして,最高裁昭和59年(オ)第1477号平成元年12月21日第一小法廷判決(
民集43巻12号2209頁,同規定は,除斥期間を定めたものと解すべきものとし,除斥期間の性質にかんがみ,その期間の経過により原告の主張する損害賠償請求権は消滅した旨の主張がなくても,裁判所は同期間の経過により,同請求権は消滅したものと判断すべきであり,除斥期間の経過を主張することが信義則違反又は権利濫用であるとの主張は,主張自体失当である,と判示)を変更すべきであり,且つ,現在,法務省で進められている債権法の改正作業に伴う時効制度の見直しに当たっても検討することを求めている。

確かに,多数意見の解釈は,除斥期間と消滅時効は異なるといいながら,時効制度についての解釈を援用する等かなり無理を重ねているように思われる(時効に関する制度の一部援用を認めるならば,時効に関する制度の一つ一つを吟味して,除斥制度についてそれを類推適用できるのか否かを検討する必要があることになるが,仮にそのような作業を行った結果が,消滅時効と理解する場合と,どれほどの違いが出るのだろうか?)。


しかし、
仮に、我がことで考えるならば、20数年前のことを云々とされてもほぼ記憶にないし、また、その頃の資料も殆どない。例えば、誰かが私に対して、「あなたは20数年前にこのようなことをした。」といわれて、それらしき何らかの証拠を示されたとしても、正直なところ、その証拠の適正さも含めてどうにも対処のしようがない。
昨今、消滅時効の延長なりが議論されているが、それほど長い時間を必要とするのだろうか?
不法行為の場合は短期3年であるからまだしも、一般の債権関係については現在でも10年である。4~5年前ぐらいなら何とか資料を集めることができるだろうが、10年ほどの昔のこととなるとどうにもならない。
確かに、デジタル化により保存されているものが多少なりとも増えている可能性はあるが、総てのものをデジタル化しているわけではなく、日常業務や日常生活を見渡すと、デジタル化されていないもののほうが圧倒的に多いのである。
人、物の動きが激しく、また、時代の進展の急激な昨今、極めて特殊な場合(例えば,故意による殺害等)を除いてそれほど長期の消滅時効等を必要とする場合がどの程度あるのか。
個人的にはかなり疑問を有している。
社会的の観点から、また個々人の観点から考えても、早期に物事を落ち着かせること、このことが重要だと思う。極めて例外的なものは、それをそのようなものとして扱えばいいのであって、そのような極めて特殊な場合があることをもって、それを一般化させる考え方が妥当であるようには思えない。

平井利明のメモ

|

2009.04.19

平成21年03月26日札幌高等裁判所第3民事部(配転関連)

平成18(ネ)314配転無効確認等
平成21年03月26日札幌高等裁判所第3民事部 

原審
札幌地方裁判所   
平成14(ワ)1958

判示事項の要旨  
会社の従業員あるいは元従業員らが,同人らに対する会社の配置転換命令は違法であるとして,各配転命令によって生じた精神的苦痛に対する慰謝料の支払を求めたのに対し,業務上の必要性及び配転障害事由の有無等を検討の上,一部の者につき慰謝料請求を認め,その余の者らにつきこれを認めなかった事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37522&hanreiKbn=03

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090413095854.pdf

平井利明のメモ

|

2009.04.18

平成21年04月14日最高裁判所第三小法廷判決(逆転無罪)

平成19(あ)1785強制わいせつ被告事件
平成21年04月14日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所   
平成18(う)2995
平成19年08月23日

裁判要旨
1 上告審における事実誤認の主張に関する審査は,原判決の認定が論理則,経験則等に照らして不合理といえるかどうかの観点から行うべきである
2 満員電車内の痴漢事件においては,被害事実や犯人の特定について物的証拠等の客観的証拠が得られにくく,被害者の供述が唯一の証拠である場合も多い上,被害者の思い込みその他により被害申告がされて犯人と特定された場合,その者が有効な防御を行うことが容易ではないという特質を考慮した上で特に慎重な判断をすることが求められる
3 満員電車内の痴漢事件について被告人が強制わいせつ行為を行ったと断定することに合理的な疑いが残るとして無罪が言い渡された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37531&hanreiKbn=01

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090414170745.pdf

平井利明のメモ

|

2009.04.15

平成21年04月14日最高裁判所第三小法廷判決 (期限の利益の付与関連)

平成19(受)996貸金請求本訴,損害賠償等請求反訴事件
平成21年04月14日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】
 
原審
東京高等裁判所   
平成18(ネ)4441
平成19年03月08日

裁判要旨
貸金業者が,借主に対し,期限の利益の喪失を宥恕し,再度期限の利益を付与したとした原審の判断に違法があるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37528&hanreiKbn=01

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090414114031.pdf

平井利明のメモ

|

2009.04.13

平成21年03月06日最高裁判所第二小法廷判決(過払い金返還請求権についての消滅時効の起算点関連)

平成20(受)1170不当利得返還請求事件
平成21年03月06日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄自判】

原審
広島高等裁判所   松江支部 
平成19(ネ)92
平成20年04月16日

裁判要旨
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37381&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090306135936.pdf

判決文より
「過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金返還請求権を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,これにより過払金返還請求権の行使が妨げられていると解するのが相当である。
借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁参照)」。

なお,第一小法廷の判決(平成21年1月22日判決)については
http://h-t.air-nifty.com/ht/2009/01/210122-c571.html
因みに,第三小法廷でも同じ内容の判決がなされている。
これによって,裁判所での運用は確定することになると考えられる。

平井利明のメモ

|

2009.04.03

平成21年03月03日最高裁判所第三小法廷判決(過払い金返還請求権についての消滅時効の起算点)

平成20(受)543不当利得返還請求事件
平成21年03月03日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄自判】

原審
名古屋高等裁判所   
平成19(ネ)630
平成19年12月27日判決

裁判要旨
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37362&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090303140752.pdf

「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁参照)。」

なお,裁判官田原睦夫の反対意見がある。
当事者の意思解釈,法律の解釈,先例の理解の観点から考えると,個人的には田原裁判官の考え方がよりしっくりと来る。

平井利明のメモ

|

2009.03.31

平成19(受)1280供託金還付請求権帰属確認請求本訴,同反訴事件(債権譲渡関連)

平成19(受)1280供託金還付請求権帰属確認請求本訴,同反訴事件
平成21年03月27日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄自判】

原審
大阪高等裁判所   
平成18(ネ)3290
平成19年04月27日

裁判要旨
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することは,債務者にその無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,許されない 。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37486&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090327113429.pdf

判決文より
「被上告人が上告人に譲渡した請負代金債権について,債務者が債権者不確知を供託原因として供託をした。本件本訴は,被上告人が,上記請負代金債権には譲渡禁止特約が付されていたから,上記債権譲渡は無効であると主張して,上告人に対し,被上告人が上記供託金の還付請求権を有することの確認を求めるものであり,本件反訴は,上告人が,被上告人に対し,上記債権譲渡が有効であるとして,上告人が上記供託金の還付請求権を有することの確認を求めるもの」

「民法は,原則として債権の譲渡性を認め(466条1項),当事者が反対の意思を表示した場合にはこれを認めない旨定めている(同条2項本文)ところ,債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止の特約は,債務者の利益を保護するために付されるものと解される。そうすると,譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって,債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,その無効を主張することは許されないと解するのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2009.03.30

平成21年03月27日最高裁判所第二小法廷判決

平成19(受)783損害賠償請求事件
平成21年03月27日最高裁判所第二小法廷判決
破棄差戻し

原審
東京高等裁判所   
平成17(ネ)5782
平成19年01月31日

裁判要旨
全身麻酔と局所麻酔の併用による手術中に麻酔による心停止が原因で患者が死亡した場合において,麻酔医に全身麻酔薬と局所麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,同過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37489&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090327131758.pdf

自治体病院の事案のようですが,
ここまで
添付文書や医学文献の内容にて注意義務をひっぱってよいのでしょうかね。
それに反する内容の文献があるにもかかわらず
いくつかの文献に積極的な記載があることをもって
全てを律してしまうような考え方が妥当なのか。

「具体的な個々の案件において、債務不履行又は不法行為をもって問われる医師の注意義務の基準となるべきものは、一般的には診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準である(最高裁昭和五四年(オ)第一三八六号同五七年三月三〇日第三小法廷判決・裁判集民事一三五号五六三頁、最高裁昭和五七年(オ)第一一二七号同六三年一月一九日第三小法廷判決・裁判集民事一五三号一七頁参照)。そして、この臨床医学の実践における医療水準は、全国一律に絶対的な基準として考えるべきものではなく、診療に当たった当該医師の専門分野、所属する診療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決せられるべきものである(最高裁平成四年(オ)第二〇〇号同七年六月九日第二小法廷判決・民集四九巻六号一四九九頁参照)」との最高裁の基準に合致しない事案の処理であると感じる。

平成21年4月1日追記)
 判決によれば,患者(当時65歳,身長143cm,体重43kg)は,平成9年5月14日,転倒して左大腿骨頸部内側骨折の傷害を負い,同年6月5日,人工骨頭置換術の手術適応と判断され,県立病院に入院したとされているが,患者Aには,骨折の前,骨粗しょう症が認められる以外,その健康状態は良好であり,本件手術当日,脱水・貧血状態にはなく,血圧,脈拍,体温等の全身状態も良好患者Aは,安静時でも強い骨折部痛を訴え,本件手術においては完全に痛みが分からない方法を希望そのため予定していた局所麻酔単独による麻酔方法から,全身麻酔と局所麻酔である硬膜外麻酔の併用による麻酔方法に変更したとのことである。
 ところで,本件判決は過失を認めるにあたって,患者が高齢者であることが一つの要素とされていると考えられる。
 患者菜65歳であるところ,世界保健機関 (WHO) の定義では65歳以上の人が高齢者とされておりその基準を形式的に当てはめると高齢者に含まれると一応はいえそうである。
 なお,「医療機器の添付文書の使用上の注意記載要領について」(平成17年3月10日厚生労働省医薬食品局安全対策課長薬食安発第0310004号)には,「高齢者への適用」についての記載要領が示されている。そこには,
(1) 高齢者は腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多く、医療機器の使用において危険性が増加するおそれがあり、一般的に、医療機器の適用に当たっては常に十分な注意が必要である。使用方法、使用目的等から高齢者に用いられる可能性のある医療機器であって、他の患者と比べて高齢者で特に注意する必要がある場合には、「高齢者への適用」の項を設け、必要な注意を記載すること。また、高齢者に適用してはならない場合は「2)禁忌・禁止」の項にも記載すること。
(2) 記載の内容
(1)臨床試験、市販後調査等の具体的なデータから高齢者に適用した場合の問題が示唆される場合はその内容を簡潔に記載すること。
(2)同種同効品等の臨床での使用経験から高齢者に適用する場合に注意すべき問題が示唆される場合はその内容を簡潔に記載すること。
(3) 具体的な記載表現
前記(2)の具体的な記載表現は、当該医療機器の特徴、高齢者の特徴、当該医療機器を高齢者に適用した場合の問題点、必要な注意・処置の内容を簡潔かつ適切に記載すること。」
とある。
 このこともあって,ほぼ全ての添付文書には「高齢者」に関する事項が記載され,且つ,「高齢者は腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多く、医療機器の使用において危険性が増加するおそれがあり、一般的に、医療機器の適用に当たっては常に十分な注意が必要である」との趣旨の記載がなされている思われる。
  しかしながら,ここに言うところ高齢者に我が国の65歳の方々が一般的に含まれると考えるべきなのであろうか。我が国の65歳において,一般的に,腎機能、肝機能等の生理機能が低下していることが多いということが言えるのであろうか。WHOは確かに65歳を高齢者としているが,それは高齢者に対して一定の配慮が必要という意味合いからであろう。WHOは全世界を対象としているため各国の食糧事情・医療事情,健康事情等を捨象して65歳という基準を設けているものと考えられる。仮に,そうだとすれば,我が国のように食糧事情・医療事情,健康事情等の比較的良い国において65歳という年齢が,腎機能、肝機能等の生理機能が低下している者としての高齢者として特別に扱う必要が本当にあるのだろうか。
 私が知る限りにおいて,現在の日本において65歳が一般的に腎機能、肝機能等の生理機能が低下している者としての高齢者として扱っている病院などまず無いのではないかと思える。添付文書に言うところの高齢者という概念については,多くの医師は,実際上は80歳前後ぐらいを念頭においているのではないだろうか(少なくとも65歳ではないと思われる)。
 因みに,上記の通り,原審も,患者は,本件手術当日,脱水・貧血状態にはなく,血圧,脈拍,体温等の全身状態も良好であったとしているのである。

 なお,ある地方の中核病院の医師に本件判決を読んで頂いたところ,次のような意見をいただいた。

麻酔方法としては問題ない
薬の使い方としても私も同量を用いる
血圧低下後の処置も間違ない
心臓マッサージに時間を要したのは、全身麻酔で側臥位(横向き)で手術を受けていたからではないか。そうであれば表に向けるのに時間を要し術野も閉じる必要がある。
このような(問題のある)判決がなされていることを多くの麻酔医に知ってもらいたい。

平成21年4月2日追記>
 頸部骨折後の手術であることや、心停止を再度繰り返している点などを考慮すると、本件は麻酔の副作用というよりは肺塞栓症による死亡であると考えられるとする意見が少なくないようですね。
 つまり、重要なる前提事実において重大な事実誤認がある事案とも言えそうだということです。

平井利明のメモ

|

2009.03.26

平成21年03月10日最高裁判所第三小法廷判決(株主代表訴訟の対象となる取締役の責任の範囲)

平成19(受)799所有権移転登記手続請求事件
平成21年03月10日最高裁判所第三小法廷判決

【原判決のうち予備的請求に関する部分を破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所   
平成18(ネ)1855
平成19年02月08日判決

裁判要旨
株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,同法が取締役の地位に基づいて取締役に負わせている厳格な責任のほか,取締役が会社との取引により負担した債務についての責任も含まれる

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37404&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090310111446.pdf

Aの株主である上告人が,Aの買い受けた土地について,同社の取締役である被上告人に所有権移転登記がされているなどと主張して,被上告人に対し,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下,単に「商法」という。)267条1項の規定に基づき,Aへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をすることを求める株主代表訴訟

昭和25年法律第167号により導入された商法267条所定の株主代表訴訟の制度は,取締役が会社に対して責任を負う場合,役員相互間の特殊な関係から会社による取締役の責任追及が行われないおそれがあるので,会社や株主の利益を保護するため,会社が取締役の責任追及の訴えを提起しないときは,株主が同訴えを提起することができることとしたものと解される。そして,会社が取締役の責任追及をけ怠するおそれがあるのは,取締役の地位に基づく責任が追及される場合に限られないこと同法266条1項3号は,取締役が会社を代表して他の取締役に金銭を貸し付け,その弁済がされないときは,会社を代表した取締役が会社に対し連帯して責任を負う旨定めているところ,株主代表訴訟の対象が取締役の地位に基づく責任に限られるとすると,会社を代表した取締役の責任は株主代表訴訟の対象となるが,同取締役の責任よりも重いというべき貸付けを受けた取締役の取引上の債務についての責任は株主代表訴訟の対象とならないことになり,均衡を欠くこと取締役は,このような会社との取引によって負担することになった債務(以下「取締役の会社に対する取引債務」という。)についても,会社に対して忠実に履行すべき義務を負うと解されることなどにかんがみると,同法267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役の地位に基づく責任のほか,取締役の会社に対する取引債務についての責任も含まれると解するのが相当である。

平井利明のメモ

|

2009.03.25

平成21年03月24日最高裁判所第三小法廷判決(遺留分関連)

平成19(受)1548 持分権移転登記手続請求事件
平成21年03月24日最高裁判所第三小法廷判決

原審
福岡高等裁判所   
平成19(ネ)159
平成19年06月21日

裁判要旨
相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ,当該相続人が相続債務もすべて承継した場合,遺留分の侵害額の算定においては,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されない
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37455&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090324153932.pdf

本件のように,相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合,遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り,当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり,これにより,相続人間においては,当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当

もっとも,上記遺言による相続債務についての相続分の指定は,相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから,相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当

各相続人は,相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには,これに応じなければならず,指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが,相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し,各相続人に対し,指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべき

遺留分の侵害額は,確定された遺留分算定の基礎となる財産額に民法1028条所定の遺留分の割合を乗じるなどして算定された遺留分の額から,遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し,同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定すべきものであり(最高裁平成5年(オ)第947号同8年11月26日第三小法廷判決・民集50巻10号2747頁参照)

その算定は,相続人間において,遺留分権利者の手元に最終的に取り戻すべき遺産の数額を算出するものというべき

相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ,当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合,遺留分の侵害額の算定においては,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当

遺留分権利者が相続債権者から相続債務について法定相続分に応じた履行を求められ,これに応じた場合も,履行した相続債務の額を遺留分の額に加算することはできず,相続債務をすべて承継した相続人に対して求償し得るにとどまるものというべき

平井利明のメモ

|

2009.03.24

平成21年03月10日最高裁判所第三小法廷判決(留保所有権に基づく撤去義務関係)

平成20(受)422車両撤去土地明渡等請求事件
平成21年03月10日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所   
平成19(ネ)13
平成19年12月06日

裁判要旨
動産購入代金の立替金債務の担保として動産の所有権を留保した者は,第三者所有の土地上に存在する当該動産について,弁済期到来前は,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負わないが,弁済期経過後はその所有権が担保権の性質を有するからといって上記義務等を免れない


http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37405&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090310111231.pdf

判決文より

駐車場の所有者である上告人が,駐車中の自動車について,同自動車の購入代金を立替払して同自動車の所有権を留保している被上告人に対し,土地所有権に基づき,同自動車の撤去と駐車場の明渡しを求めるとともに,駐車場の使用料相当損害金の支払を求める事案

「動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,所有権を留保した者(以下,「留保所有権者」といい,留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは,留保所有権者は,残債務弁済期が到来するまでは,当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても,特段の事情がない限り,当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,残債務弁済期が経過した後は留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当」

「なぜなら,上記のような留保所有権者が有する留保所有権は,原則として,残債務弁済期が到来するまでは,当該動産の交換価値を把握するにとどまるが,残債務弁済期の経過後は,当該動産を占有し,処分することができる権能を有するものと解されるから
「もっとも,残債務弁済期の経過後であっても,留保所有権者は,原則として,当該動産が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ不法行為責任を問われることはなく,上記妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2009.02.25

平成21年02月17日最高裁判所第三小法廷判決(株の買い戻し特約の有効性関連)

平成20(受)1207株主権確認等,株主名簿名義書換等,株式保有確認等請求事件
平成21年02月17日最高裁判所第三小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成19(ネ)5764
平成20年04月24日判決

裁判要旨
株式会社の従業員といわゆる持株会との間における,当該従業員が持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の合意が有効とされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37305&hanreiKbn=01

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090217152641.pdf

判決文より
「前記事実関係によれば,被上告会社は,日刊新聞の発行を目的とする株式会社であって,定款で株式の譲渡制限を規定するとともに,日刊新聞法1条に基づき,Y1株式の譲受人を同社の事業に関係ある者に限ると規定し,Y1株式の保有資格を原則として現役の従業員等に限定する社員株主制度を採用しているものである。被上告人Y2における本件株式譲渡ルールは,被上告会社が上記社員株主制度を維持することを前提に,これにより譲渡制限を受けるY1株式を被上告人Y2を通じて円滑に現役の従業員等に承継させるため,株主が個人的理由によりY1株式を売却する必要が生じたときなどには被上告人Y2が額面額でこれを買い戻すこととしたものであって,その内容に合理性がないとはいえない。また,被上告会社は非公開会社であるから,もともとY1株式には市場性がなく,本件株式譲渡ルールは,株主である従業員等が被上告人Y2にY1株式を譲渡する際の価格のみならず,従業員等が被上告人Y2からY1株式を取得する際の価格も額面額とするものであったから,本件株式譲渡ルールに従いY1株式を取得しようとする者としては,将来の譲渡価格が取得価格を下回ることによる損失を被るおそれもない反面,およそ将来の譲渡益を期待し得る状況にもなかったということができる。そして,上告人X2は,上記のような本件株式譲渡ルールの内容を認識した上,自由意思により被上告人Y2から額面額で本件株式を買い受け,本件株式譲渡ルールに従う旨の本件合意をしたものであって,被上告会社の従業員等がY1株式を取得することを事実上強制されていたというような事情はうかがわれない。さらに,被上告会社が,多額の利益を計上しながら特段の事情もないのに一切配当を行うことなくこれをすべて会社内部に留保していたというような事情も見当たらない。以上によれば,本件株式譲渡ルールに従う旨の本件合意は,会社法107条及び127条の規定に反するものではなく,公序良俗にも反しないから有効というべきである。」

平井利明のメモ

|

2009.02.19

平成20年11月17日千葉地方裁判所民事第2部判決(紛争の蒸し返し)

平成20(ワ)483損害賠償請求事件
平成20年11月17日千葉地方裁判所民事第2部判決 

判示事項の要旨
精神薄弱者更生施設の入所者が,後遺症を残す傷害を負ったことにつき,同施設を運営する社会福祉法人に対し,同法人の職員の不法行為を理由とする使用者責任に基づく損害賠償を求める前訴を提起して請求棄却の判決を受け,これが確定した後に,同法人に対して提起した準委任契約による安全配慮義務違反を理由とする損害賠償を求める訴えが,実質的に前訴の蒸し返しであるなどして信義則上許されないとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37183&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090113133820.pdf

平井利明のメモ

|

2009.02.10

平成20年12月15日東京地方裁判所民事第14部判決(医事訴訟・子宮頚部癌関係・請求棄却)

平成17(ワ)3126損害賠償請求事件
平成20年12月15日東京地方裁判所民事第14部判決

棄却

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37162&hanreiKbn=03

事案の概要(判決文より)
「被告の開設する病院に通院及び入院して診療を受けていた患者が死亡したことにつき,その夫及び子である原告らが,患者は子宮頸部を原発とする癌に罹患しており,この増悪により癌の子宮体部をはじめとする周辺への浸潤を来して,死亡したものであるところ,担当医師において,早期に,子宮頸癌の発症を疑い,適切な検査を実施して同疾患を発見し,これに対する治療を開始すべきであったにもかかわらず,これを怠ったなどと主張して,被告に対し,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づいて,患者の逸失利益,慰謝料等の損害金並びにこれらに対する民法所定の割合による遅延損害金の支払を求めている事案」

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090106110543.pdf

平井利明のメモ

|

2009.02.06

平成20年11月25日大阪地方裁判所第20民事部判決(医事訴訟・急性肺血栓塞栓症・請求棄却)

平成18(ワ)657損害賠償請求事件
平成20年11月25日大阪地方裁判所第20民事部判決 

判示事項の要旨
呼吸困難等を訴えて救急車で搬送された患者を診察した夜間救急外来の当直医が,当該患者について,急性肺血栓塞栓症を疑わず,原因疾患の鑑別診断のための検査を行わなかったことが,担当医師に求められる注意義務に反するとはいえないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37111&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081218113407.pdf

平井利明のメモ

|

2009.01.29

平成20年12月25日東京地方裁判所民事第14部判決(医事訴訟・歯科・請求棄却)

平成18(ワ)20440損害賠償請求事件
平成20年12月25日東京地方裁判所民事第14部判決 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37172&hanreiKbn=03

事案の概要(判決文より)
「被告の開設する病院の小児歯科及び矯正歯科に順次通院して診療を受けていた原告が,小児歯科での診療中に歯根吸収(別紙医学用語一覧9)及び開咬(中略)を生じ,さらに,矯正歯科での診療中にこれらが悪化したとした上,小児歯科での診療中に歯根吸収及び開咬を生じたのは,担当医師において,①前歯部のデンタルレントゲン(中略)撮影を行い,歯根吸収を発見したときに速やかに矯正治療の中止又は治療方針の変更をして重篤な歯根吸収の発生を防止すべき義務を怠ったこと,②新たな不正咬合を発生させない義務を怠ったこと,これらが原因であり,また,矯正歯科での診療中にこれらが悪化したのは,担当医師において,①治療を中止するか,又は,後戻り(矯正治療後移動を行った歯が元の不正の状態に再び戻り始めること)の経過を見ながら保定(中略)装置に切り替えるといった歯根吸収の危険性のより低い消極的治療を選択すべき義務を怠ったこと,②前歯部のデンタルレントゲン撮影をし,歯根吸収を発見したときに速やかに矯正治療の中止又は治療方針の変更をして重篤な歯根吸収の発生を防止すべき義務を怠ったこと,③新たな不正咬合を発生させない義務を怠ったこと,これらが原因である,矯正歯科の担当医師には,歯根吸収の危険性等について十分な説明をしなかった説明義務違反がある,と主張して,被告に対し,診療契約上の債務不履行に基づいて,既払診療費相当額及び後遺症慰謝料等の損害金並びにこれに対する催告日の翌日からの民法所定の割合による遅延損害金の支払を求めている事案」

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090108133500.pdf

平井利明のメモ

|

2009.01.28

平成21年01月27日知的財産高等裁判所判決(テレビ番組を録画しインターネット経由で転送して海外での視聴を可能にするサービスについて)

平成20年(ネ)第10055号著作権侵害差止等請求控訴事件・平成20年(ネ)第10069号同附帯控訴事件
平成21年1月27日知的財産高等裁判所判決
原審・東京地方裁判所平成19年(ワ)第17279号
平成20年5月28日判決言渡

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=37223&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090128154308.pdf

主文
1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人らの請求及び附帯控訴をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人らの負担とする。

放送局側の全面敗訴。

事案の概要
「本件は,被控訴人9名及び脱退被控訴人フジテレビ(以下「脱退前被控訴人10名」という。)が,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」との名称で行う控訴人の事業は,ハードディスク・レコーダー「ロクラクⅡ」(以下「ロクラクⅡ」という。)2台1組のうち,日本国内に設置した1台でテレビ放送に係る放送波を受信・録画し,利用者に貸与又は譲渡した他の1台で当該利用者に日本国内で放送されるテレビ番組の視聴を可能にするサービス(原判決別紙サービス目録記載のサービス。以下「本件対象サービス」という。)であって,控訴人の同事業に係る行為は,被控訴人日本テレビ,同TBS,同テレビ朝日,同テレビ東京及び脱退被控訴人フジテレビ(以下「脱退前被控訴人東京局5社」という。)並びに被控訴人NHKがそれぞれ著作権を有し,又は有していた原判決別紙著作物目録記載の各テレビ番組(以下「本件番組」という。)を,脱退前被控訴人10名がそれぞれ著作隣接権を有し,又は有していた原判決別紙放送目録(ただし,同目録の5の「原告フジテレビ」を「脱退被控訴人フジテレビ」と改める。)記載の各テレビ放送(以下「本件放送」という。)に係る音又は影像をそれぞれ複製する行為に該当するから,被控訴人NHK及び脱退前被控訴人東京局5社の本件番組についての複製権並びに脱退前被控訴人10名の本件放送に係る音又は影像についての複製権をそれぞれ侵害するものであり,これらにより,脱退前被控訴人10名がそれぞれ損害を被った旨主張し,控訴人に対し,①被控訴人NHK及び脱退前被控訴人東京局5社が,本件対象サービスにおいて本件番組(著作物)を複製の対象とすることの差止めを,②脱退前被控訴人10名が,本件対象サービスにおいて本件放送に係る音又は影像を録音又は録画の対象とすることの差止め及び本件対象サービスに供されているロクラクⅡの親機の廃棄をそれぞれ求め,③脱退前被控訴人10名が,それぞれ附帯控訴の趣旨(上記第1の2(1))記載の各金員(損害賠償金及びこれに対する遅延損害金)の支払を求める事案」

平井利明のメモ

|

2009.01.27

平成21年01月19日最高裁判所第二小法廷判決(通常損害の範囲関連)

平成19(受)102損害賠償請求本訴,建物明渡等請求反訴事件
平成21年01月19日最高裁判所第二小法廷判決

原審
名古屋高等裁判所金沢支部 
平成15(ネ)243
平成18年10月16日

裁判要旨
店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降は被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37200&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090119143638.pdf

平井利明のメモ

|

2009.01.23

平成21年01月15日最高裁判所第一小法廷決定(会社帳簿等閲覧関連)

平成20(許)44親会社の株主の子会社の会社帳簿等閲覧許可決定等に対する抗告審の変更決定等に対する許可抗告事件
平成21年01月15日最高裁判所第一小法廷決定

原審
名古屋高等裁判所   
平成19(ラ)61
平成20年08月08日

裁判要旨
親会社の株主による子会社の会計帳簿等の閲覧謄写許可申請において,当該株主が子会社と競業をなす者であるなどの不許可事由があるというためには,当該株主に閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しない

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37203&hanreiKbn=01

決定書(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090120114655.pdf

決定書より
「商法293条の7第2号は,会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が会社と競業をなす者であること,会社と競業をなす会社の社員,株主,取締役又は執行役であることなどを閲覧謄写請求に対する会社の拒絶事由として規定するところ,同号は,「会社ノ業務ノ運営若ハ株主共同ノ利益ヲ害スル為」などの主観的意図を要件とする同条1号と異なり,文言上,会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る事実を自己の競業に利用するためというような主観的意図の存在を要件としていない。そして,一般に,上記のような主観的意図の立証は困難であること,株主が閲覧謄写請求をした時点において上記のような意図を有していなかったとしても,同条2号の規定が前提とする競業関係が存在する以上,閲覧謄写によって得られた情報が将来において競業に利用される危険性は否定できないことなども勘案すれば,同号は,会社の会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば,会社は当該株主の具体的な意図を問わず一律にその閲覧謄写請求を拒絶できるとすることにより,会社に損害が及ぶ抽象的な危険を未然に防止しようとする趣旨の規定と解される。
したがって,会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき同号に規定する拒絶事由があるというためには,当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り,当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しないと解するのが相当であり,同号に掲げる事由を不許可事由として規定する同法293条の8第2項についても,上記と同様に解すべきである。」

平井利明のメモ

|

平成21年01月22日最高裁判所第一小法廷判決(過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引における過払金返還請求権消滅時効の起算点)

平成20(受)468不当利得返還等請求事件
平成21年01月22日最高裁判所第一小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成19(ネ)3941
平成19年12月13日
 
裁判要旨
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合には,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限り,上記取引が終了した時から進行する
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37212&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090122140649.pdf

判決文より
「上記の借入れは,借入金の残元金が一定額となる限度で繰り返し行われ,また,上記の返済は,借入金債務の残額の合計を基準として各回の最低返済額を設定して毎月行われるものであった。
上記基本契約は,基本契約に基づく借入金債務につき利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。
 このような過払金充当合意においては,新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,過払金を同債務に充当することとし,借主が過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)を行使することは通常想定されていないものというべきである。したがって,一般に,過払金充当合意には,借主は基本契約に基づく新たな借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。そうすると,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,過払金返還請求権の行使を妨げるものと解するのが相当である。
借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,その時点において存在する過払金の返還を請求することができるが,それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が進行すると解することは,借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む基本契約の趣旨に反することとなるから,そのように解することはできない(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)第1519号同19年6月7日第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。
 したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2009.01.22

平成21年01月22日最高裁判所第一小法廷判決(預金取引記録の開示関連)

平成19(受)1919預金取引記録開示請求事件
平成21年01月22日最高裁判所第一小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
18(ネ)5846
平成19年08月29日

裁判要旨
1 金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う
2 預金者の共同相続人の一人は,他の共同相続人全員の同意がなくても,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座の取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができるhttp://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37210&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090122111638.pdf

判決文より
「預金契約は,預金者が金融機関に金銭の保管を委託し,金融機関は預金者に同種,同額の金銭を返還する義務を負うことを内容とするものであるから,消費寄託の性質を有するものである。しかし,預金契約に基づいて金融機関の処理すべき事務には,預金の返還だけでなく,振込入金の受入れ,各種料金の自動支払,利息の入金,定期預金の自動継続処理等,委任事務ないし準委任事務(以下「委任事務等」という。)の性質を有するものも多く含まれている委任契約や準委任契約においては,受任者は委任者の求めに応じて委任事務等の処理の状況を報告すべき義務を負うが(民法645条,656条),これは,委任者にとって,委任事務等の処理状況を正確に把握するとともに,受任者の事務処理の適切さについて判断するためには,受任者から適宜上記報告を受けることが必要不可欠であるためと解される。このことは預金契約において金融機関が処理すべき事務についても同様であり,預金口座の取引経過は,預金契約に基づく金融機関の事務処理を反映したものであるから,預金者にとって,その開示を受けることが,預金の増減とその原因等について正確に把握するとともに,金融機関の事務処理の適切さについて判断するために必要不可欠であるということができる。
したがって,金融機関は,預金契約に基づき,預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負うと解するのが相当である。
そして,預金者が死亡した場合,その共同相続人の一人は,預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが,これとは別に,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(同法264条,252条ただし書)というべきであり,他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。」
「上告人は,共同相続人の一人に被相続人名義の預金口座の取引経過を開示することが預金者のプライバシーを侵害し,金融機関の守秘義務に違反すると主張するが,開示の相手方が共同相続人にとどまる限り,そのような問題が生ずる余地はないというべきである。なお,開示請求の態様,開示を求める対象ないし範囲等によっては,預金口座の取引経過の開示請求が権利の濫用に当たり許されない場合があると考えられるが,被上告人の本訴請求について権利の濫用に当たるような事情はうかがわれない。」

平井利明のメモ

|

2009.01.21

平成10年4月14日最高裁判所第3小法廷判決(ジョイントベンチャー参加企業の責任関連)

平成6年(オ)第2137号精算金請求事件
平成10年4月14日最高裁判所第3小法廷判決より

共同企業体は、基本的には民法上の組合の性質を有するものであり、共同企業体の債務については、共同企業体の財産がその引き当てになるとともに、各構成員がその固有の財産をもって弁済すべき債務を負うと解されるところ、共同企業体の構成員が会社である場合には、会社が共同企業体を結成してその構成員として共同企業体の事業を行う行為は、会社の営業のためにする行為(附属的商行為)にほかならず、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき構成員が負う債務は、構成員である会社にとって自らの商行為により負担した債務というべきものである。したがって、右の場合には、共同企業体の各構成員は、共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務につき、商法511条1項により連帯債務を負うと解するのが相当である。」

判例時報1639号122頁
判例タイムズ973号145頁

本来Joint Ventureは合弁事業を指す英語であって多様なものが考えられる。しかし,我が国では,建設業界等における共同企業体(JVと略される)が代表的な例と言えるか。
共同企業体(JV)を組む企業は,共同企業体が負担する債務について,各自が全額について連帯責任を負担することになることを前もって覚悟しておく必要もある。
内輪の負担割合は内輪にだけ通用する理屈であり,外との関係では通用しないことになる。

平井利明のメモ

|

2009.01.20

平成21年01月15日最高裁判所第一小法廷決定 (インカメラ関連)

平成20(行フ)5検証物提示命令申立て一部提示決定に対する許可抗告事件
平成21年01月15日最高裁判所第一小法廷決定

【破棄自判】

原審
福岡高等裁判所   
平成20(行タ)3
平成20年05月12日

裁判要旨
情報公開訴訟において不開示文書につき被告に受忍義務を負わせて検証を行うことは,原告が立会権を放棄するなどしたとしても許されず,そのために被告に当該文書の提示を命ずることも許されない。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37198&hanreiKbn=01

決定書(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090119104557.pdf

「情報公開訴訟において証拠調べとしてのインカメラ審理を行うことは,民事訴訟の基本原則に反するから,明文の規定がない限り,許されない」

平井利明のメモ

|

2009.01.16

平成20年12月08日京都地方裁判所第2民事部判決

平成19(ワ)188 損害賠償請求事件
平成20年12月08日京都地方裁判所第2民事部判決 

判示事項の要旨
京都市において開催されたいわゆるタウンミーティングに参加申込みをした原告らが,同タウンミーティングを主催した被告国及び共催者である被告京都市に対し,被告らによる不正な抽選により落選したことで,タウンミーティングに参加し意見を述べる権利及び平等権を侵害されたとして,又,被告京都市によって原告A及び原告Bがその個人情報を開示されたことからプライバシー等を侵害されたとして,国家賠償請求をした。これに対し,被告国及び被告京都市が作為的な抽選によって原告A及びBを落選させたことは認められるが,原告らの本件タウンミーティングに参加し意見を述べる権利は国家賠償法上保護された利益といえず,また,平等権及びプライバシー権についても,国家賠償法上違法と評価される程度の侵害があったとはいえないとされた事案
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=37128&hanreiKbn=03

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081225083458.pdf

|

2008.12.25

平成20年10月22日仙台地方裁判所第3民事部判決(女児の基礎収入について)

平成19(ワ)1985損害賠償請求事件
平成20年10月22日仙台地方裁判所第3民事部判決 

判示事項の要旨
交通事故により死亡した2歳の女子の逸失利益を算定するに当たって,事故当時みられた男女の賃金格差が将来どの時点で解消されるかを予想するのは不可能であるとして,賃金センサスによる男女別平均賃金を基礎収入とみるのが相当であると判断した事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36991&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081112084416.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.24

平成20年09月30日高松高等裁判所第4部判決

平成19(ネ)312損害賠償請求控訴事件
平成20年09月30日高松高等裁判所第4部判決 

原審
松山地方裁判所   
平成17(ワ)68
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36912&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081016121220.pdf
事案の概要
「偽造領収書の作成を手段とした愛媛県警察における捜査費等不正支出問題について記者会見を行った同警察警察官である被控訴人が,上司らにより違法に記者会見を妨害され,記者会見を行ったことに対する報復目的で違法にけん銃保管,配置換え及び勤勉手当の減額の処置を受けたと主張して,控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料100万円の支払を求めた事案」

平井利明のメモ

|

2008.12.22

平成20年09月30日名古屋高等裁判所民事第4部(ペットに関する損害について)

平成20(ネ)483損害賠償請求控訴事件
平成20年09月30日名古屋高等裁判所民事第4部 

原審
名古屋地方裁判所   
平成19(ワ)1995

判示事項の要旨
1 交通事故によりペットである犬が負傷した場合において,治療費,慰謝料等を損害として認めた事例
2 車に同乗させていた犬が交通事故により負傷した場合において,犬用シートベルトなど動物の体を固定するための装置を装着させるなどの措置を講じていなかったことを理由に過失相殺を認めた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36950&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081029110404.pdf
別紙1
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081104172053-1.pdf

主文第1項
原判決中,控訴人ら(注:控訴人は2名のようである)に対し,それぞれ,26万6425円及びこれに対する平成17年9月25日から支払済みまでの年5分の割合による金員を超えて金員の支払を命じた部分を取り消す。

<治療費,入院雑費,介護用具代,雑費その他(慰謝料,弁護士費用以外のもの)について>
「F(注:ペットである犬を示す,以下同様)が傷害を負ったことによる損害の内容及び金額は,Fが物(民法85条)に当たることを前提にして,これを定めるのが相当である。このことは,前示(原判決書記載)のとおり,被控訴人らが,Fを我が子のように思って愛情を注いで飼育していたことによって,左右されるものではない。
ところで,一般に,不法行為によって物が毀損した場合の修理費等については,そのうちの不法行為時における当該物の時価相当額に限り,これを不法行為との間に相当因果関係のある損害とすべきものとされている。
しかしながら,愛玩動物のうち家族の一員であるかのように遇されているものが不法行為によって負傷した場合の治療費等については,生命を持つ動物の性質上,必ずしも当該動物の時価相当額に限られるとするべきではなく,当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠なものについては,時価相当額を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度において,不法行為との間に因果関係のある損害に当たるものと解するのが相当である。
(中略)
Fに対する当面の治療や,その生命の確保,維持に必要不可欠な費用のうち,時価相当額(前示の購入代金額を下回っているか,仮に,そうでないとしても,これを大きく上回ることはないものと推認できる。)を念頭に置いた上で,社会通念上,相当と認められる限度を検討すると,(中略)
なお,被控訴人らは,Fの治療のために支出した費用は,動物愛護法に適合するものであるから,その全額を本件事故との間に相当因果関係のある損害として認めるべきであると主張するが,動物愛護法の点は,本件事故との間に相当因果関係のある損害の内容,額を定めることとは別個の問題であるから,被控訴人らの主張は,採用できない。」

<慰謝料について>
「近時,犬などの愛玩動物は,飼い主との間の交流を通じて,家族の一員であるかのように,飼い主にとってかけがえのない存在になっていることが少なくないし,このような事態は,広く世上に知られているところでもある(公知の事実)。そして,そのような動物が不法行為により重い傷害を負ったことにより,死亡した場合に近い精神的苦痛を飼い主が受けたときには,飼い主のかかる精神的苦痛は,主観的な感情にとどまらず,社会通念上,合理的な一般人の被る精神的な損害であるということができ,また,このような場合には,財産的損害の賠償によっては慰謝されることのできない精神的苦痛があるものと見るべきであるから,財産的損害に対する損害賠償のほかに,慰謝料を請求することができるとするのが相当である。
これを本件についてみるに,前示のとおり,子供のいない被控訴人らは,Fを我が子のように思って愛情を注いで飼育していたものであり,Fは,飼い主である被控訴人らとの交流を通じて,家族の一員であるかのように,被控訴人らにとってかけがえのない存在になっていたものと認められる。ところが,Fは,本件事故により後肢麻痺を負い,自力で排尿,排便ができず,日常的かつ頻繁に飼い主による圧迫排尿などの手当てを要する状態に陥ったほか,膀胱炎や褥創などの症状も生じているというのである(被控訴人ら各本人)。このようなFの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等からすれば,被控訴人らは,Fが死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているものといえるから,(中略),慰謝料を請求することができるというべきである。そして,慰謝料の金額については,Fの負傷の内容,程度,被控訴人らの介護の内容,程度等その他本件に現れた一切の事情を総合すると,被控訴人らそれぞれにつき,20万円ずつとするのが相当である。」

過失割合1割

平井利明のメモ

|

2008.12.16

平成20年12月16日最高裁判所第三小法廷判決(民事再生手続開始申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約の有効性)

平成19(受)1030動産引渡等請求事件
平成20年12月16日最高裁判所第三小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成16(ネ)3679
平成19年03月14日

裁判要旨
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約は,無効である
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37102&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081216142118.pdf

判決文より
「上告人が,民事再生手続開始の申立てがあったときは契約を解除できる旨を定めた特約に基づいてファイナンス・リース契約を解除したとして,同契約上の地位を承継した被上告人に対し,上記解除の日の翌日からリース物件返還の日又は返還不能となった日までのリース料相当額の損害金の支払を求める事案」

「本件リース契約には,ユーザーについて整理,和議,破産,会社更生などの申立てがあったときは,リース業者は催告をしないで契約を解除することができる旨の特約(以下「本件特約」という。)が定められている。民事再生手続開始の申立てがあったことも,本件特約に定める解除事由に含まれると解される。」
「本件リース契約は,いわゆるフルペイアウト方式のファイナンス・リース契約であり,本件特約に定める解除事由には民事再生手続開始の申立てがあったことも含まれるというのであるが,少なくとも,本件特約のうち,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする部分は民事再生手続の趣旨,目的に反するものとして無効と解するのが相当である」
「民事再生手続は,経済的に窮境にある債務者について,その財産を一体として維持し,全債権者の多数の同意を得るなどして定められた再生計画に基づき,債務者と全債権者との間の民事上の権利関係を調整し,債務者の事業又は経済生活の再生を図るものであり(民事再生法1条参照),担保の目的物も民事再生手続の対象となる責任財産に含まれる。
「ファイナンス・リース契約におけるリース物件は,リース料が支払われない場合には,リース業者においてリース契約を解除してリース物件の返還を求め,その交換価値によって未払リース料や規定損害金の弁済を受けるという担保としての意義を有するものである」
「同契約において,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする特約による解除を認めることは,このような担保としての意義を有するにとどまるリース物件を,一債権者と債務者との間の事前の合意により,民事再生手続開始前に債務者の責任財産から逸出させ,民事再生手続の中で債務者の事業等におけるリース物件の必要性に応じた対応をする機会を失わせることを認めることにほかならないから,民事再生手続の趣旨,目的に反することは明らかというべきである。」

裁判官田原睦夫の補足意見がある。
「本件では,いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約がその対象とされているが,同契約の意義について実務法曹の間で若干の誤解が見受けられるので,その点について補足的に意見を述べるとともに,いわゆる倒産申立て解除条項と弁済禁止の保全処分との関係について,一応の私見を述べておくこととしたい。」
とのこと。
なお,裁判官田原睦夫の「倒産申立て解除条項と弁済禁止の保全処分との関係について」の私見の部分は次の通りである。
「法廷意見では,民事再生手続開始の申立てがあったことを解除事由とする特約の効力を否定すべきものとしているが,民事再生手続のその後の手続の流れとリース業者の権利の行使の関係について,若干補足する。
まず,本判決の結論は,再生債務者がリース料金を滞納した場合のリース契約の解除の可否には,当然ながら何らの影響を及ぼすものではない。再生債務者がリース料金を滞納していれば,リース業者は,その債務不履行を理由としてリース契約を解除することができるのは当然である。また,一般に,リース契約では,ユーザーが倒産手続開始の申立てをした場合,ユーザーは,リース料金についての期限の利益を失い,直ちに残リース料金の全額を支払うべきものとする定めが置かれているが,かかる期限の利益喪失条項の効力は,一般に否定されてはいない。そうすると,ユーザーが民事再生手続開始の申立てをしたときは,通常,ユーザーはリース料金の期限の利益を喪失するから,リース業者はリース料金の債務不履行を理由にリース契約を解除することができることとなる。
しかし,ユーザーたる再生債務者が,民事再生手続開始の申立てと共に弁済禁止の保全処分の申立てをし,その決定を得た場合,再生債務者は,その保全処分の効果として,リース料金についても弁済をなすことが禁じられ,その反射的効果として,リース業者も,弁済禁止の保全処分によって支払を禁じられた民事再生手続開始の申立て以後のリース料金の不払を理由として,リース契約を解除することが禁止されるに至るものというべきである(最高裁昭和53年(オ)第319号同57年3月30日第三小法廷判決参照)。
ところで,民事再生手続が開始された場合,その開始決定の効果として,再生債権の弁済は原則として禁止される(民事再生法85条1項)が,弁済禁止の保全処分は開始決定と同時に失効するので再生債務者は,リース料金について債務不履行状態に陥ることとなる。したがって,リース業者は,別除権者としてその実行手続としてのリース契約の解除手続等を執ることができることとなる。そして,再生債務者は,民事再生手続の遂行上必要があれば,これに対し,担保権の実行手続の中止命令(同法31条1項)を得て,リース業者の担保権の実行に対抗することができると考える。」

この補足意見を前提とすればリース債権者は開始決定後に,リース料不払いを理由として解除が出来る。それ故に,再生債務者は,リース料の支払を余儀なくされるが,それは期限の利益の喪失条項との兼ね合いで全額?
仮に,全額を支払わないならば(解除の効果として)リース物件の引き揚げが可能となってしまうとすれば,実際上の問題として,本件判決はどのような意味合いのあるものと理解すればよいのやら。
いずれにせよ,会社においては,社内の目に見えるものや目に見えないものまでが殆どリースという現実を考えると,開始決定(つまり企業継続)にまでこぎ着けるためには,リース債権者との間においても合意を取り付けておくことが不可避と言うこと。
当たり前といえば当たり前のことなのだが。

この補足意見をどの程度一般的なものと理解して良いのか不明だが「ユーザーが倒産手続開始の申立てをした場合,ユーザーは,リース料金についての期限の利益を失い,直ちに残リース料金の全額を支払うべきものとする定めが置かれているが,かかる期限の利益喪失条項の効力は,一般に否定されてはいない。」と最高裁の判決において示されていることは重要。
また,この理屈は,所有権留保や譲渡担保の際にも同様なのだろう(というより,これらの場合を別に考える理由が思い浮かばない)。


平井利明のメモ

|

2008.12.12

平成20(行ヒ)29登記申請却下処分取消請求事件

平成20(行ヒ)29登記申請却下処分取消請求事件
平成20年12月11日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判】

原審
高松高等裁判所   
平成19(行コ)19
平成19年11月09日

裁判要旨
遺産分割調停調書に,相続人が遺産取得の代償としてその所有する建物を他の相続人に譲渡する旨の条項がある場合において,上記調書を添付してされた上記建物の所有権移転登記申請につき,登記原因証明情報の提供を欠くことを理由に却下した処分が違法とされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37084&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081211154538.pdf
 

平井利明のメモ

|

2008.12.11

平成20年09月24日京都地方裁判所第6民事部判決(製造請負契約における解除,損害賠償等)

平成19(ワ)1436損害賠償請求事件等
平成20年09月24日京都地方裁判所第6民事部判決 

判示事項の要旨
1 ごみ袋の製造請負契約において,納期限に契約の仕様書に適合した製品が納品されなかったとして,債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例
2 ゴミ袋の製造請負契約において,履行期限までに物件の製造を完了し,その引渡しをする見込みがない時には注文者は解除できる旨の解除条項に基づく契約解除は有効であるとして,解除が違法であると主張する不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36932&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081021143519.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.10

平成20年10月16日最高裁判所第一小法廷決定(「殊更に無視し」の意義)

平成20(あ)1道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反,危険運転致死被告事件
平成20年10月16日最高裁判所第一小法廷決定

原審
名古屋高等裁判所平成19年11月19日   
平成19(う)402

裁判要旨
平成19年法律第54号による改正前の刑法208条の2第2項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」の意義
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36923&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081020103003.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.09

平成20年09月30日京都地方裁判所第2民事部判決(礼金の不返還特約について)

平成20(レ)4礼金返還請求控訴事件
平成20年09月30日京都地方裁判所第2民事部判決

判示事項の要旨
控訴人は,被控訴人との間で締結した賃貸借契約に基づいて,被控訴人に礼金18万円を交付したが,同賃貸借契約には,賃貸借契約終了時に礼金を返還しない旨の約定が付されており,被控訴人から礼金18万円が返還されなかったことから,この礼金を返還しない旨の約定が消費者契約法10条により全部無効であるとして,被控訴人に対し,不当利得に基づき,礼金18万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた(1審では請求棄却。)これに対し,礼金約定が信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるような事情は認められないから,礼金約定が消費者契約法10条に反し無効であるということはできないとした事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36908&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081015110211.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.06

平成20年09月30日京都地方裁判所第2民事部判決(住民訴訟の弁護士報酬関連)

平成19(ワ)2737弁護士報酬請求事件
平成20年09月30日京都地方裁判所第2民事部判決 

判示事項の要旨
原告らを含む京都市民らは,弁護士に委任し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,京都市に代位して,川崎重工業株式会社に対する損害賠償請求訴訟を提起し,一部勝訴の判決を得た。原告らは,法242条の2第7項に基づき,被告京都市に対し,弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額(以下「相当報酬額」という。)の金員1億9353万9907円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた。これに対し,相当報酬額を算定するに当たっては,弁護士報酬規程の直接の適用はなく,その算定は,?事件の内容・性質・難易度?訴訟活動に要する時間・労力?弁護士の人数?法4号請求の勝訴によって当該普通地方公共団体が現実に得た利益?法4号請求勝訴に対する当該普通地方公共団体の寄与の有無・程度を総合的に考慮して行われるべきであるとして,相当報酬額は3000万円であるとした事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36907&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081015102820.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.05

平成20年11月10日最高裁判所第三小法廷決定(着衣上の撮影について)

平成19(あ)1961公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
平成20年11月10日最高裁判所第三小法廷決定

原審
札幌高等裁判所平成19年09月25日決定   
平成19(う)73

裁判要旨
ショッピングセンターにおいて女性客の後ろを付けねらい,デジタルカメラ機能付きの携帯電話でズボンを着用した同女の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37011&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081113112013.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.03

平成20年09月24日仙台地方裁判所第1民事部判決(予備校の債務不履行責任)

平成19(ワ)82損害賠償請求事件
平成20年09月24日仙台地方裁判所第1民事部判決 

判示事項の要旨
大学医学部受験を専門とする予備校の講師が,受講契約で求められる程度の講義をしていなかったとして,予備校開設者の予備校生に対する受講契約に基づく債務不履行責任が認められた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36990&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081106082711.pdf

平井利明のメモ

|

2008.12.02

平成20年09月16日京都地方裁判所第1民事部判決(人格権に基づくフェンスの設置等について)

平成18(ワ)1266目隠しフェンス設置等請求事件
平成20年09月16日京都地方裁判所第1民事部判決 

判示事項の要旨
1 自宅から葬儀場での葬儀の様子が観望できることによって,平穏な生活を送る人格権ないし人格的利益が侵害されているとの主張が認められた事例
2 第1種住居地域内の葬儀場の営業によって隣家居住者が受ける人格権ないし人格的利益の侵害が,入棺及び出棺の様子が隣家の居室から観望できる限度で受忍限度を超えているとして,隣家居住者が葬儀場経営者に対してした目隠しフェンスの嵩上げ請求の一部が認容された事例
3 第1種住居地域内で葬儀場を経営している業者が,隣家居住者から入棺及び出棺の様子の観望を妨げる遮蔽物の設置を求められながら,これに応じないで葬儀場の営業を続けたことが隣家居住者に対する不法行為に当たるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36930&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081021142200.pdf

主文
1 被告は,原告Aに対し,別紙物件目録第1の(1)記載の土地上に設置しているフェンスのうち,別紙図面のロ点からイ点の方向に8メートルの範囲のフェンスを,現在設置されているものと同様の材質及び色調で,その高さを現在のものより1.2メートル高く付け加えて設置せよ。
2 被告は,原告Aに対し,金20万円及び内金10万円に対する平成18年6月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らの被告に対する将来の損害の賠償を求める訴えをいずれも却下する。
4 原告Aの被告に対するその余の各請求及び原告Bの被告に対するその余の各請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。

「(1) 人が,他者から自己の欲しない剌激によって心を乱されないで日常生活を送る利益、いわば平穏な生活を送る利益は,差止請求権の根拠となる人格権ないし人格的利益の一内容として位置づけられるべきである。
(2) 一般に,生者が死者に対して抱く態度には,恐怖と思慕の念が交錯しており,死者のためにあの世への再生復活と死霊の安息を祈るとともに,反面,死者の祟りを恐怖し,死者との関係を排除しようとする願望があるとされる。したがって,人は,近親者や知人の葬儀に対しては,上記の二面的な思いを抱くが,縁のない他人の葬儀に対しては,恐怖の念のみを抱くことになる。人が葬儀に接したときの感情については,その者の年齢,経験,性格,宗教的感情の多寡,信じる宗教の有無,その教えの内容等に応じて様々であると考えられるが,程度の差はあれ,縁のない他人の葬儀に接することにより,上記の恐怖の念を抱き,心の静謐を乱されるのは一般的なことと考えられる。また,上記の恐怖の念は,葬儀に接する者をして,心の静謐を乱されるに止まらず,葬儀の厳粛な雰囲気を傷つけてはならないという行動規制まで働かせることになる。
(3) そうすると,通りがかりの者が一回的に縁のない他人の葬儀に接する場合や,反復していても,それが職場や通勤経路等において接する場合とは異なり,人が最も安息と寛ぎを求める自宅において,日常的に縁のない他人の葬儀に接することを余儀なくされることは,その者の精神の平安にとって相当の悪影響を与えるものといわなければならない。
(4) 原告居宅は,幅員15.3メートルの南北市道を隔てて本件葬儀場と隣接しており,1階の各部屋からは,本件目隠しフェンスのために本件葬儀場敷地内への視線が遮られるものの,2階の各居室からは,本件目隠しフェンス越しに本件葬儀場敷地内を見渡すことができ,本件ホールへの遺族や参列者の出入りのみならず,遺体が納められた棺が本件ホールに搬入される状況や出棺の状況を観望することができる。そうすると,原告居宅2階の北東居室を仕事室兼寝室として使用している原告Aは,自宅において,このような状況に置かれることによって,心の静謐を乱され,平穏な生活を送る人格権ないし人格的利益を侵害されているというべきであって,この侵害が受忍限度を超えている場合には,人格権ないし人格的利益に基づいて,その差止めを求めることができるというべきである。」

「上記のとおり,被告の現状における本件葬儀場の営業は,原告Aが原告居宅2階の各居室等から棺の搬入及び出棺の様子を観望できる状況で行っている限りにおいて違法であるというべきであるから,原告Aは,人格権ないし人格的利益に基づく妨害排除請求として,被告に対し,本件目隠しフェンスを嵩上げする方法で,少なくとも,原告居宅2階の各居室から,本件ホール玄関への棺の搬入及び本件ホール玄関からの出棺の様子の観望を妨げる遮蔽物の設置を求めることができるというべきである。」

平井利明のメモ

|

2008.12.01

平成20年10月24日最高裁判所第二小法廷判決(還付加算金の算定の起算日について)

平成19(行ヒ)285都税還付加算金還付請求事件
平成20年10月24日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所平成19年06月27日判決   
平成18(行コ)214
 
裁判要旨
都民税の法人税割についてされた減額更正により過納金が生じた場合において,その還付に際して加算すべき還付加算金の算定の起算日が,地方税法(平成14年法律第80号による改正前のもの)17条の4第1項1号の場合と同様に,納付の日の翌日であると解された事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36939&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081024134951.pdf

平井利明のメモ

|

2008.11.30

平成20年09月11日東京地方裁判所民事第14部判決(医療事件:請求棄却)

平成19(ワ)17135損害賠償請求
平成20年09月11日東京地方裁判所民事第14部判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36827&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080922104429.pdf

事案の概要
「平成10年4月13日から,被告の開設する病院の呼吸器内科の医師の外来診療をおよそ1か月に1度程度継続的に受診してきたところ,平成18年3月30日に上記病院の消化器内科で受診し,同年4月8日に胃癌の確定診断を受け,同年6月2日に死亡した亡D(死亡当時85歳の女性)の相続人である原告らが,亡Dが死亡したのは,被告病院呼吸器内科の医師において,亡Dが胃腸の癌の早期発見を再三依頼し,また平成17年夏ころからは胃部の変調も訴えていたにもかかわらず,胃癌の早期発見に必要な胃X線検査などの実施を怠ったためであるなどとして,被告に対し,診療契約の債務不履行ないし不法行為に基づき,それぞれ2488万0329円の損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成19年7月26日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案」

主文
1 原告らの請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

平井利明のメモ

|

2008.11.29

平成20年09月18日京都地方裁判所第1民事部判決(学校関連の騒音等)

平成18(ワ)316損害賠償請求事件
平成20年09月18日京都地方裁判所第1民事部判決 

判示事項の要旨
1 学校のエアコン室外機が発する騒音が受忍限度を超えているとして,隣地居住者が学校の設置者に対して求めた室外機の撤去請求が,抽象的不作為請求の限度で認容された事例
2 騒音規制法による特定工場等に該当する学校が,同法による規制基準を超える騒音を隣地に到達させたことが隣地居住者に対する不法行為に当たるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36929&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081021141456.pdf

平井利明のメモ

|

2008.11.28

平成20年11月25日最高裁判所第三小法廷決定(金融機関が所持する文書と文書提出命令関連)

平成20(許)18文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
平成20年11月25日最高裁判所第三小法廷決定

原審裁判所名
東京高等裁判所平成20年04月02日決定   
平成19(ラ)1724

裁判要旨
1 金融機関が顧客から提供された非公開の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハの文書に該当しないとされた事例
2 金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析,評価等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,金融機関は民訴法220条4号ハに基づきその提出を拒絶することができないとされた事例
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定は,特段の事情がない限り,法律審である許可抗告審において争うことができない。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37050&hanreiKbn=01

決定文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081128114749.pdf

<<金融機関の顧客が金融機関に提出した社外秘の文書>>
 金融機関は,顧客との取引内容に関する情報や顧客との取引に関して得た顧客の信用にかかわる情報などの顧客情報について,商慣習上又は契約上の守秘義務を負うものであるが,上記守秘義務は,上記の根拠に基づき個々の顧客との関係において認められるにすぎないものであるから,金融機関が民事訴訟の当事者として開示を求められた顧客情報について,当該顧客が上記民事訴訟の受訴裁判所から同情報の開示を求められればこれを開示すべき義務を負う場合には,当該顧客は同情報につき金融機関の守秘義務により保護されるべき正当な利益を有さず融機関は,訴訟手続において同情報を開示しても守秘義務には違反しないと解するのが相当である(最高裁平成19年(許)第23号同年12月11日第三小法廷決定・民集61巻9号3364頁参照)
民訴法220条4号ハにおいて引用される同法197条1項3号にいう「職業の秘密」とは,その事項が公開されると,当該職業に深刻
な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうが(最高裁平成11年(許)第20号同12年3月10日第一小法廷決定・民集54巻3号1073頁参照),顧客が開示義務を負う顧客情報については,金融機関は,訴訟手続上,顧客に対し守秘義務を負うことを理由としてその開示を拒絶することはできず,同情報は,金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の利益を有する場合は別とし
職業の秘密として保護されるものではないというべきである
本件非公開財務情報は,A(管理人注:顧客を示す)の財務情報であるから,抗告人(管理人注:情報の提供を受けた金融機関を示す)がこれを秘匿する独自の利益を有するものとはいえない。
<本件非公開財務情報についてAが本案訴訟の受訴裁判所からその開示を求められた場合にこれを拒絶できるか>
Aは民事再生手続開始決定を受けているところ,本件非公開財務情報は同決定以前のAの信用状態を対象とする情報にすぎないから,これが開示されても同社の受ける不利益は通常は軽微なものと考えられること,相手方らはAの再生債権者であって,民事再生手続の中で本件非公開財務情報に接することも可能であることなどに照らせば,本件非公開財務情報は,それが開示されても,Aの業務に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるとはいえないから,職業の秘密には当たらないというべきである。したがって,Aは,民訴法220条4号に基づいて本件非公開財務情報部分の提出を拒絶することはできない。
また,本件非公開財務情報部分は,少なくとも抗告人等の金融機関に提出することを想定して作成されたものと解されるので,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書とはいえないから,Aは民訴法220条4号に基づいて同部分の提出を拒絶することもできず(略)

<金融機関が作成した本件分析評価情報部分の提出義務>
文書提出命令の対象文書に職業の秘密に当たる情報が記載されていても,所持者が民訴法220条4号ハ,197条1項3号に基づき文書の提出を拒絶することができるのは,対象文書に記載された職業の秘密が保護に値する秘密に当たる場合に限られ当該情報が保護に値する秘密であるかどうかは,その情報の内容,性質,その情報が開示されることにより所持者に与える不利益の内容,程度等と,当該民事事件の内容,性質,当該民事事件の証拠として当該文書を必要とする程度等の諸事情を比較衡量して決すべきものである(最高裁平成18年(許)第19号同年10月3日第三小法廷決定・民集60巻8号2647頁参照)。
一般に,金融機関が顧客の財務状況,業務状況等について分析,評価した情報は,これが開示されれば当該顧客が重大な不利益を被り,当該顧客の金融機関に対する信頼が損なわれるなど金融機関の業務に深刻な影響を与え,以後その遂行が困難になるものといえるから,金融機関の職業の秘密に当たると解され,本件分析評価情報も抗告人の職業の秘密に当たると解される
しかし,本件分析評価情報は,前記のとおり民事再生手続開始決定前の財務状況,業務状況等に関するものであるから,これが開示されてもAが受ける不利益は小さく,抗告人の業務に対する影響も通常は軽微なものであると考えられる。一方,本案訴訟は必ずしも軽微な事件であるとはいえず,また,本件文書は,抗告人と相手方らとの間の紛争発生以前に作成されたもので,しかも,監督官庁の事後的検証に備える目的もあって保存されたものであるから,本件分析評価情報部分は,Aの経営状態に対する抗告人の率直かつ正確な認識が記載されているものと考えられ,本案訴訟の争点を立証する書証としての証拠価値は高く,これに代わる中立的・客観的な証拠の存在はうかがわれない。そうすると,本件分析評価情報は,抗告人の職業の秘密には当たるが,保護に値する秘密には当たらないというべきであり,抗告人は,本件分析評価情報部分の提出を拒絶することはできない。

とのこと・・・・・
このような事態となる覚悟を決めて,文書を金融機関等の取引先に提出すべきであり,また,社内で文書を作成すべきということなのだろう。

平井利明のメモ

続きを読む "平成20年11月25日最高裁判所第三小法廷決定(金融機関が所持する文書と文書提出命令関連)"

|

2008.11.26

平成20年11月07日最高裁判所第二小法廷判決(痴漢事件の審理不尽)

平成19(受)1878損害賠償請求事件
平成20年11月07日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所平成19年08月29日判決   
平成18(ネ)2482

裁判要旨
痴漢の虚偽申告を理由とするXのYに対する損害賠償請求訴訟において,目撃者が見付からない場合に,これに準ずる立場にある者の証人尋問を実施せず,Yの供述の信用性を肯定して,Xが痴漢行為をしたと認めた原審の判断に違法があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37001&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081107155057.pdf

平井利明のメモ

|

2008.11.23

平成20年09月17日高松高等裁判所第4部判決(学校事故関連)

平成18(ネ)97損害賠償請求控訴事件
平成20年09月17日高松高等裁判所第4部判決 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36839&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080929181910.pdf
別紙1
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080929133655-1.pdf
別紙2
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080929133708-2.pdf

事案の概要
本件は,被控訴人学校法人Y1学校(以下「被控訴学校」という。)の設置するA高校(以下「A高校」という。)に在籍し,サッカー部に所属していた控訴人X1が,平成8年8月13日,同校の課外のクラブ活動の一環として大阪府高槻市で開催されたサッカー競技大会である「第10回Bフェスティバル」(以下「本件大会」という。)に参加していた際に出場した試合の開始後間もなく落雷を受けた事故に関し,同校サッカー部の引率者兼監督であったC教諭(以下「C教諭」という。)及び上記大会の主催者であった被控訴人財団法人Y2協会(以下「被控訴協会」という。)の担当者には落雷を予見して回避すべき安全配慮義務を怠った過失があるなどとして,同控訴人の母である控訴人X2及び兄である控訴人X3とともに,被控訴人らに対し,債務不履行又は不法行為(民法715条の使用者責任)に基づき,損害賠償を請求する事案

主文
1 本件控訴及び差戻後の当審における請求の拡張に基づき,原判決中,被控訴人らに係る部分を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人らは,控訴人X1に対し,連帯して3億0014万6123円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被控訴人らは,控訴人X2に対し,連帯して495万円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 被控訴人らは,控訴人X3に対し,連帯して192万5000円及びこれに対する平成8年8月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 控訴人らのその余の請求(差戻後の当審における拡張請求を含む。)をいずれも棄却する。
2 訴訟の総費用はこれを2分し,その1を控訴人らの負担とし,その余を被控訴人らの負担とする。
3 この判決は,第1項(1)ないし(3)に限り,仮に執行することができる。

平井利明のメモ

|

2008.11.11

審決取消訴訟判決集(特許電子図書館)

審決取消訴訟判決集
http://www.ipdl.inpit.go.jp/Shinpan/shinpan.htm

平井利明のメモ

|

2008.10.30

最近の裁判例(知的財産裁判例)(裁判所)

最近の判決例
知的財産裁判判例集
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=07&recentInfoFlg=1&term=30

平井利明のメモ

|

2008.10.18

平成20年10月03日最高裁判所第二小法廷判決(住民票の不受理に関する件)

平成19(行ヒ)137住民票転居届不受理処分取消請求事件
平成20年10月03日最高裁判所第二小法廷判決

原審
大阪高等裁判所   
平成18(行コ)10
平成19年01月23日判決

裁判要旨
都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所としている者につき,同テントの所在地に住所を有するものとはいえないとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36880&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081003154506.pdf

「上告人は,都市公園法に違反して,都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし,公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいることなど原審の適法に確定した事実関係の下においては,社会通念上,上記テントの所在地が客観的に生活の本拠としての実体を具備しているものと見ることはできない。上告人が上記テントの所在地に住所を有するものということはできないとし,本件不受理処分は適法であるとした原審の判断は,是認することができる。」
とのこと

平井利明のメモ

|

2008.10.11

全判例統合検索(裁判所)

全判例統合検索画面
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01

平井利明のメモ

|

2008.10.10

平成20年10月07日最高裁判所第三小法廷判決(被害者の父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき被害者が支払を受けた保険金額の控除関連)

平成20(受)12損害賠償,求償金請求事件
平成20年10月07日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所   
平成19(ネ)942
平成19年09月20日判決

裁判要旨
交通事故の加害者が被害者に賠償すべき人的損害の額の算定に当たり,被害者の父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき被害者が支払を受けた保険金の額を控除した原審の判断が違法とされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36892&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081007160324.pdf

判決文より
「前記事実関係によれば,本件傷害保険金は,上告人の父が訴外保険会社との間で締結していた本件保険契約の本件傷害補償条項に基づいて上告人に支払われたものであるというのであるから,これをもって被上告人Y1の上告人に対する損害賠償債務の履行と同視することはできない。また,前記事実関係によれば,本件保険契約においては,本件保険契約に基づく保険金を支払った訴外保険会社は同保険金を受領した者が他人に対して有する損害賠償請求権を取得する旨のいわゆる代位に関する約定があるというのであるから,訴外保険会社は,本件傷害保険金の支払によって,上告人の被上告人Y に対する損害賠償請求権(以下「本件損害賠償請求権」という。)の一部を代位取得する可能性があり,訴外保険会社が代位取得する限度で上告人は上記損害賠償請求権を失うことになるのであって,本件傷害保険金の支払によって直ちに本件傷害保険金の金額に相当する本件損害賠償請求権が消滅するということにはならない。そして,原審が確定した前記事実関係からは,本件傷害補償条項を含めて本件保険契約の具体的内容等が明らかではないので,上記の代位の成否及びその範囲について確定することができず,訴外保険会社が本件傷害保険金の金額に相当する本件損害賠償請求権を当然に代位取得するものと認めることもできない。
ところが,原審は,本件傷害補償条項を含む本件保険契約の具体的内容等について審理判断することなく,本件損害賠償請求権の額を算定するに当たり,上告人の損害額から上告人の過失割合による減額をし,その残額から本件傷害保険金の金額を控除したものである。しかも,上告人は,原審において,本件傷害保険金のうち被上告人Y1の過失割合に対応した金額に相当する本件損害賠償請求権を訴外保険会社が代位取得する旨の合意が上告人と訴外保険会社との間で成立している旨主張していることが記録上明らかであるが,原審は,この合意の有無及び効力についても何ら審理判断していない。そうすると,原審の判断には,審理不尽の結果,法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず,この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。」
とのこと

平井利明のメモ

|

平成20年10月10日最高裁判所第二小法廷判決(預金の払い戻し関係)

平成19(受)152預金払戻請求事件
平成20年10月10日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所   
平成18(ネ)440
平成18年10月18日

裁判要旨
振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における受取人による当該振込みに係る預金の払戻請求と権利の濫用

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36903&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081010111225.pdf

判決文より
「振込依頼人から受取人として指定された者(以下「受取人」という。)の銀行の普通預金口座に振込みがあったときは,振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在するか否かにかかわらず,受取人と銀行との間に振込金額相当の普通預金契約が成立し,受取人において銀行に対し上記金額相当の普通預金債権を取得するものと解するのが相当であり(最高裁平成4年(オ)第413号同8年4月26日第二小法廷判決・民集50巻5号1267頁参照)」

「上記法律関係が存在しないために受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負う場合であっても,受取人が上記普通預金債権を有する以上,その行使が不当利得返還義務の履行手段としてのものなどに限定される理由はないというべきである。そうすると,受取人の普通預金口座への振込みを依頼した振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合において,受取人が当該振込みに係る預金の払戻しを請求することについては,払戻しを受けることが当該振込みに係る金員を不正に取得するための行為であって,詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど,これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情があるときは,権利の濫用に当たるとしても,受取人が振込依頼人に対して不当利得返還義務を負担しているというだけでは,権利の濫用に当たるということはできないものというべきである。」

「本件払戻しが債権の準占有者に対する弁済として有効であるか等について更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻す」

とのこと。

平井利明のメモ

|

2008.10.03

平成20年06月12日名古屋高等裁判所判決(住民訴訟における弁護士報酬について)

平成19(ネ)929弁護士報酬等請求控訴事件
平成20年06月12日名古屋高等裁判所民事第1部判決 

原審
名古屋地方裁判所   
平成18(ワ)3715

判示事項の要旨
名古屋市の住民である1審原告らが,名古屋市が発注した公共工事の指名競争入札について談合が行われたなどと主張して,上記工事を受注した建設会社等に対して住民訴訟を提起し,同訴訟において,上記建設会社等に対して損害賠償金の支払を命じる判決が確定したので,名古屋市に対し上記住民訴訟に要した弁護士報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求したところ,これを一部認容した原判決が維持された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36588&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080708125907.pdf

平井利明のメモ

|

2008.10.01

最高裁判所判例集(裁判所)

最高裁判所判例集検索画面
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=02

平井利明のメモ

|

平成20年09月30日最高裁判所第一小法廷決定(証拠開示決定関連)

平成20(し)338証拠開示決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
平成20年09月30日最高裁判所第一小法廷決定

原審
東京高等裁判所平成20年08月19日決定   
平成20(く)413

裁判要旨
警察官が私費で購入したノートに記載していた取調べメモについて,捜査の過程で作成され,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易な証拠に該当するものであり,また,弁護人の主張と一定の関連性が認められ,開示の必要性も肯認することができないではないなどとして,証拠開示を命じた判断が是認された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36857&hanreiKbn=01

決定書(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081001161151.pdf

平井利明のメモ

|

2008.09.30

裁判文書A4判化書式(日本弁護士連合会)

「平成13年1月1日から、裁判文書のA判横書き化が実施されます。最高裁事務総局より提供されました参考書式および裁判所書式をここに掲載いたします。」
とのこと。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/legal_aid/format/saibanbunsho.html

裁判文書の例としては,訴状,答弁書,第1準備書面,証拠申出書,証拠説明書,訴訟委任状,口頭弁論期日請書,受領書,弁論要旨,弁護人選任届などでしょうか。

裁判所が推奨している書式の仕様は
A判横書き
1行37文字・1頁26行
左余白30㎜・上余白35㎜


数字等が増えて計算等が要求される機会が増加すると横書きの方が圧倒的に便利。ということで,私は,B判の使用が推奨されていた頃から横書き(B5版)を用いていました。
ほぼ,縦書きしかない時代には多少勇気が必要でしたが,実際に使っていてダメだと特に言われたことは無かったですね。

文章として読むのであれば,縦書きの方が好きですが,実際の便宜を考えると横書きの使用となることはやむを得ないことかと。

平井利明のメモ

|

2008.09.29

平成20年09月10日最高裁判所大法廷判決(行政事件訴訟法3条2項の該当性について)

平成17(行ヒ)397行政処分取消請求事件
平成20年09月10日最高裁判所大法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所平成17年09月28日判決   
平成17(行コ)127

裁判要旨
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36787&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080911110804.pdf

判決文より
「上記事業計画の決定は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。これと異なる趣旨をいう最高裁昭和37年(オ)第122号同41年2月23日大法廷判決・民集20巻2号271頁及び最高裁平成3年(行ツ)第208号同4年10月6日第三小法廷判決・裁判集民事166号41頁は,いずれも変更すべきである。」

裁判官藤田宙靖,裁判官泉徳治,裁判官近藤崇晴の補足意見あり。

平井利明のメモ

|

2008.09.23

平成20年09月12日最高裁判所第二小法廷判決(運行共用者関連)

平成19(受)1040損害賠償請求事件
平成20年09月12日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
名古屋高等裁判所平成19年03月22日判決 
平成18(ネ)896

裁判要旨
Xの友人Aが,Xの父親B所有の自動車を運転してバーに赴いたXと飲酒をした後,寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し,追突事故を起こした場合において,Bが自動車損害賠償保障法3条にいう運行供用者に当たるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36810&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080912112156.pdf

判決文より
「これらの事実によれば,上告人は,Bから本件自動車を運転することを認められていたところ,深夜,その実家から名古屋市内のバーまで本件自動車を運転したものであるから,その運行はBの容認するところであったと解することができ,また,上告人による上記運行の後,飲酒した上告人が友人等に本件自動車の運転をゆだねることも,その容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきである。そして,上告人は,電車やバスが運行されていない時間帯に,本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて泥酔したというのであるから,Aが帰宅するために,あるいは上告人を自宅に送り届けるために上記キーを使用して本件自動車を運転することについて,上告人の容認があったというべきである。そうすると,BはAと面識がなく,Aという人物の存在すら認識していなかったとしても,本件運行は,Bの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきであり,Bは,客観的外形的に見て,本件運行について,運行供用者に当たると解するのが相当である。」
「そして,上告人がBに対する関係において法3条にいう「他人」に当たるといえるかどうか等について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻す」

平井利明のメモ

|

2008.09.21

平成20年09月12日最高裁判所第二小法廷判決(ペットの葬儀関連)

平成18(行ヒ)177法人税額決定処分等取消請求事件
平成20年09月12日最高裁判所第二小法廷判決

原審
名古屋高等裁判所平成18年03月07日判決    
平成17(行コ)31

裁判要旨
宗教法人が死亡したペットの飼い主から依頼を受けて葬儀,供養等を行う事業が法人税法2条13号所定の収益事業に当たるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36811&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080912113910.pdf

平井利明のメモ

|

2008.09.16

平成20年09月16日最高裁判所第三小法廷判決(少額減価償却資産関連)

平成18(行ヒ)234法人税更正処分等取消請求事件
平成20年09月16日最高裁判所第三小法廷判決(棄却)

原審
東京高等裁判所平成18年04月20日判決   
平成17(行コ)160

裁判要旨
PHS事業者が事業用に大量に保有するいわゆるエントランス回線利用権につき,1回線に係る権利が,それぞれ一つの減価償却資産であり,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36812&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080916143209.pdf

平井利明のメモ

|

2008.09.04

最近の裁判例(下級裁判所)(裁判所)

最近の判決例
下級裁判例判例集
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=04&recentInfoFlg=1

平井利明のメモ

|

産科医の無罪確定(大野病院事件)

県立大野病院における帝王切開手術で妊婦が死に至ったとされる事件において,業務上過失致死などの罪に問われていた産科医に対して無罪を言い渡した福島地裁の判決に対し,満了機関となる9月3日中に検察側が控訴せず,4日午前零時に無罪が確定したことが報じられている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080903/trl0809031845010-n1.htm

平井利明のメモ

|

2008.08.30

大野町事件について検察側控訴断念

「福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴を断念すると発表した。」と報じられている。
(2008年8月30日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080830-OYT8T00217.htm
当然の結論である。
そもそも無謀な逮捕及び起訴であったことは自明である。
報道されている当時の捜査機関の談話の内容から考えると,自白の強要を目的とした逮捕といわざるを得ないのであり全く馬鹿げたものである。
この捜査機関の暴走が,昨今みられる医療の崩壊の一因となっていることはもはや公知の事実とも言える。
捜査機関はどのような責任をとるというのだろうか。

なお,
保岡法務大臣が
「医療事故の真相究明については、第三者機関が専門的な判断を下すようにし、刑事訴追は謙抑的に対応するべきだ。私のこの考えなどもあり、検察や警察では謙抑的な対応が事実上始まると思う」
との談話を発表したと報じられている。
(2008年8月30日  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080830-OYT8T00218.htm?from=nwlb

|

2008.08.29

最近の裁判例(最高裁判所判例集)(裁判所)

最近の判決例
最高裁判所判例集
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0020?action_id=search&hanreiSrchKbn=02&recentInfoFlg=1

平井利明のメモ

|

2008.08.06

昭和32年03月26日最高裁判所判決(共同不法行為における共謀の要否)

昭和30(オ)870損害賠償請求
昭和32年03月26日最高裁判所第三小法廷判決
第11巻3号543頁

原審
仙台高等裁判所   

判示事項
共同不法行為と共謀の要否。

裁判要旨
民法第七一九条第一項前段の共同不法行為が成立するためには、不法行為者間に意思の共通(共謀)もしくは「共同の認識」のあることは必要でなく単に客観的に権利侵害が共同でなされれば足りる

参照法条 民法719条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=30017&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/D0507C11383FED2349256A8500316481.pdf

平井利明のメモ

|

2008.08.05

昭和43年04月23日最高裁判所判決(共同不法行為者の賠償範囲)

昭和39(オ)902損害賠償請求
昭和43年04月23日最高裁判所第三小法廷判決
第22巻4号964頁

原審
東京高等裁判所昭和39年04月27日判決

判示事項
共同行為者の流水汚染により惹起された損害と各行為者の賠償すべき損害の範囲

裁判要旨
共同行為者各自の行為が客観的に関連し共同して流水を汚染し違法に損害を加えた場合において、各自の行為がそれぞれ独立に不法行為の要件を備えるときは、各自が、右違法な加害行為と相当因果関係にある全損害について、その賠償の責に任ずべきである。

参照法条 民法709条,民法719条,国家賠償法2条1項

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27683&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/B904C2A2D3819AA149256A8500312350.pdf

平井利明のメモ

|

2008.08.04

昭和41年11月18日最高裁判所判決(被用者の共同不法行為における使用者の他の共同不法行為者に対する求償権)

昭和41(オ)58損害賠償請求
昭和41年11月18日最高裁判所第二小法廷判決
第20巻9号1886頁

原審
東京高等裁判所   

判示事項
一 被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償した使用者の第三者に対する求償権の成否
二 右の場合における第三者の負担部分

裁判要旨
一 使用者は、被用者と第三者との共同過失によつて惹起された交通事故による損害を賠償したときは、右第三者に対し、求償権を行使することができる。
二 右の場合における第三者の負担部分は、共同不法行為者である被用者と第三者との過失の割合にしたがつて定められるべきである。

参照法条 民法719条,民法442条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27945&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/50F32CA60F4AF6CF49256A8500312409.pdf

平井利明のメモ

|

2008.08.03

昭和63年07月01日最高裁判所第二小法廷判決(被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権)

昭和60(オ)1145損害賠償請求本訴、同反訴
昭和63年07月01日最高裁判所第二小法廷判決
第42巻6号451頁

【破棄自判】

原審
大阪高等裁判所昭和60年06月28日判決

判示事項
被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否

裁判要旨
被用者と第三者との共同不法行為により他人に損害を加えた場合において、第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、第三者は、被用者の負担部分について使用者に対し求償することができる。

参照法条 民法442条,民法715条,民法719条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25942&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/EB42726E8FD8898A49256A8500311EF7.pdf

平井利明のメモ

|

2008.08.02

平成3年10月25日最高裁判所判決(共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権)

昭和63(オ)1383求償金
平成3年10月25日最高裁判所第二小法廷判決
第45巻7号1173頁

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所昭和63年07月19日判決

判示事項
一 共同不法行為の加害者の各使用者間における求償権の成立する範囲
二 加害者の複数の使用者間における各使用者の負担部分
三 加害者の複数の使用者間における求償権の成立する範囲

裁判要旨
一 共同不法行為の加害者の各使用者が使用者責任を負う場合において、一方の加害者の使用者は、当該加害者の過失割合に従つて定められる自己の負担部分を超えて損害を賠償したときはその超える部分につき他方の加害者の使用者に対し当該加害者の過失割合に従つて定められる負担部分の限度で、求償することができる。
二 加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、各使用者の負担部分は、加害者の加害行為の態様及びこれと各使用者の事業の執行との関連性の程度「各使用者の指揮監督の強弱などを考慮して定められる責任の割合に従つて定めるべきである
三 加害者の複数の使用者が使用者責任を負う場合において、使用者の一方は、自己の負担部分を超えて損害を賠償したときはその超える部分につき、使用者の他方に対し、その負担部分の限度で、求償することができる。

参照法条 民法442条,民法715条,民法719条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25795&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2157192199B765E149256A8500311E9B.pdf

平井利明のメモ

|

2008.08.01

平成10年09月10日最高裁判所判決(共同不法行為と債務免除)

平成9(オ)448損害賠償
平成10年09月10日最高裁判所第一小法廷判決
第52巻6号1494頁

原審
名古屋高等裁判所平成8年11月20日判決

判示事項
一 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合
二 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合における求償金額の算定

裁判要旨
一 甲と乙が共同の不法行為により丙に損害を加えたが、甲と丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、丙が右訴訟上の和解に際し乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。
二 共同不法行為者の一人甲と被害者丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、他の共同不法行為者乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶときは、甲の乙に対する求償金額は確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定すべきである。

参照法条 民法437条,民法442条,民法719条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25426&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/F1C9BFCE7172645B49256A8500311D7B.pdf

平井利明のメモ

|

2008.07.31

平成13年03月13日最高裁判所第判決(共同不法行為と過失相殺)

平成10(受)168損害賠償請求事件
平成13年03月13日最高裁判所第三小法廷判決
第55巻2号328頁

原審
東京高等裁判所平成10年04月28日判決   
平成9(ネ)610

判示事項
1 交通事故と医療事故とが順次競合し運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において各不法行為者が責任を負うべき損害額を被害者の被った損害額の一部に限定することの可否
2 交通事故と医療事故とが順次競合し運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合の各不法行為者と被害者との間の過失相殺の方法

裁判要旨
1 交通事故と医療事故とが順次競合し,そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって,運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において,各不法行為者は被害者の被った損害の全額について連帯責任を負うべきものであり,結果発生に対する寄与の割合をもって被害者の被った損害額を案分し,責任を負うべき損害額を限定することはできない。
2 交通事故と医療事故とが順次競合し,そのいずれもが被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来しこの結果について相当因果関係を有する関係にあって,運転行為と医療行為とが共同不法行為に当たる場合において,過失相殺は,各不法行為の加害者と被害者との間の過失の割合に応じてすべきものであり他の不法行為者と被害者との間における過失の割合をしんしゃくしてすることは許されない

参照法条 民法719条,民法722条2項

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25295&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/8FC295D48D7D528F49256AD4002682E4.pdf

平井利明のメモ

|

2008.07.30

平成15年07月11日最高裁判所判決(共同不法行為と絶対的過失割合に基づく過失相殺)

平成14(オ)1689損害賠償等請求事件
平成15年07月11日最高裁判所第二小法廷判決
第57巻7号815頁

原審
名古屋高等裁判所平成14年07月17日判決   
平成13(ネ)657
原審裁判年月日 

判示事項
複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故においていわゆる絶対的過失割合を認定することができる場合における過失相殺の方法と加害者らの賠償責任

裁判要旨
複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において,その交通事故の原因となったすべての過失の割合(いわゆる絶対的過失割合)を認定することができるときには,絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について,加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う。

参照法条 民法719条,民法722条2項

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25172&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2BCDFA58C4029FDE49256E4C002679EE.pdf

平井利明のメモ

|

2008.07.29

平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決(共同不法行為における過失相殺について)

平成19(受)1386損害賠償請求事件
平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
広島高等裁判所岡山支部平成19年06月15日判決 
平成18(ネ)46

裁判要旨
Aが運転しBが同乗する自動二輪車とパトカーが衝突しBが死亡した交通事故につき,Bの相続人がパトカーの運行供用者に対し損害賠償を請求する場合に,過失相殺をするに当たりAの過失をBの過失として考慮することができるとされた事例http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36583&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080704150554.pdf

判決文より
「以上のような本件運転行為に至る経過や本件運転行為の態様からすれば,本件運転行為は,BとAが共同して行っていた暴走行為から独立したAの単独行為とみることはできず,上記共同暴走行為の一環を成すものというべきである。したがって,上告人との関係で民法722条2項の過失相殺をするに当たっては,公平の見地に照らし,本件運転行為におけるAの過失もBの過失として考慮することができると解すべきである。」

平井利明のメモ

|

2008.07.26

審決公報DB(特許電子図書館)

審決公報DB(検索画面)
http://www.ipdl.inpit.go.jp/Shinpan/spsogodb.ipdl?N0000=107

平井利明のメモ

|

2008.07.25

知的財産裁判例集(裁判所)

知的財産裁判例集検索画面
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=07

平井利明のメモ

|

2008.07.11

平成19年02月13日最高裁判所判決(利息制限法を超過する過払金についての悪意の利得者が支払うべき利息の利率)

平成18(受)1187不当利得返還等請求本訴,貸金返還請求反訴事件
平成19年02月13日最高裁判所第三小法廷判決
第61巻1号182頁

原審
広島高等裁判所松江支部平成18年03月31日判決   
平成17(ネ)92

判示事項
1 貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合に第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生しその後第2の貸付けに係る債務が発生したときにおける第1の貸付けに係る過払金の同債務への充当の可否
2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率

裁判要旨
1 貸主と借主との間で継続的に貸付けが繰り返されることを予定した基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し,その後,第2の貸付けに係る債務が発生したときには,特段の事情のない限り,第1の貸付けに係る過払金は,第1の貸付けに係る債務の各弁済が第2の貸付けの前にされたものであるか否かにかかわらず,第2の貸付けに係る債務には充当されない。

2 商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分である。

参照法条 (1,2につき)利息制限法1条1項 (1につき)民法488条 (2につき)民法404条,民法704条,商法514条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=34124&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070213110206.pdf

判決文より
「商行為である貸付けに係る債務の弁済金のうち利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当することにより発生する過払金を不当利得として返還する場合において,悪意の受益者が付すべき民法704条前段所定の利息の利率は,民法所定の年5分と解するのが相当である。なぜなら,商法514条の適用又は類推適用されるべき債権は,商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものでなければならないところ,上記過払金についての不当利得返還請求権は,高利を制限して借主を保護する目的で設けられた利息制限法の規定によって発生する債権であって,営利性を考慮すべき債権ではないので,商行為によって生じたもの又はこれに準ずるものと解することはできないからである。これと異なる原審の上記3(4)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
5 以上によれば,論旨は理由があり,原判決中,被上告人に関する部分のうち,本訴請求に関する部分並びに反訴請求に関する部分のうち100万円及びこれに対する平成16年12月1日から支払済みまで年30%の割合による金員の支払を求める部分(本件第2貸付けについての請求部分)は破棄を免れない。そこで,前記特段の事情の有無等につき更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。」

因みに
新版注釈民法(18)債権(9)697条~708条(有斐閣)
704条についての解説部分の656頁には
「本条の利息の利率は,原則として民事法定利率たる年5分(404)であるが,利得者が商人であり,利得物を営業のために利用し収益をあげた場合などには,商事利率6分によるべきである。」
とある。

平井利明のメモ

|

福岡高等裁判所平成18年12月20日判決(悪意の受益者の利息の起算日について)

平成18年(ネ)第661号不当利得返還請求控訴事件
福岡高等裁判所第4民事部平成18年12月20日判決

判決文より
「控訴人は,過払金につき悪意の受益者であるから,民法704条により「その受けた利益に利息を付して」返還しなければならない。ところで,利息は,元本に対して元本発生時からの期間をもって算定すべきものであるから,期間の初日は参入しない旨の民法140条に従って,過払金に付する利息の算定に当たっても初日は算入しないで算定すべきである。したがって,過払金に付する利息の起算日は過払金発生の翌日である。」

判例タイムズ1255号264頁

でも
本当にそうなのか
考えるところもあり。


平井利明のメモ

|

昭和58年09月06日最高裁判所第三小法廷判決(不法行為債務の遅滞時期について)

昭和55(オ)1113損害賠償
昭和58年09月06日最高裁判所第三小法廷判決
第37巻7号901頁

原審
仙台高等裁判所   
昭和55年09月17日判決

判示事項
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務が履行遅滞となる時期

裁判要旨
不法行為と相当因果関係に立つ損害である弁護士費用の賠償債務は、当該不法行為の時に履行遅滞となるものと解すべきである。

参照法条 民法412条,民法709条,自動車損害賠償保障法3条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26201&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/6FB1A78D500F381B49256A8500311F8C.pdf

判決文より(原則として漢数字は算用数字に変換)
「不法行為の被害者が自己の権利擁護のため訴えを提起することを余儀なくされ、訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害であり、被害者が加害者に対しその賠償を求めることができると解すべきことは、当裁判所の判例(最高裁昭和41年(オ)第280号同44年2月27日第一小法廷判決・民集23巻2号441頁)とするところである。
 しかして、不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきところ(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)、弁護士費用に関する前記損害は、被害者が当該不法行為に基づくその余の費目の損害の賠償を求めるについて弁護士に訴訟の追行を委任し、かつ、相手方に対して勝訴した場合に限つて、弁護士費用の全部又は一部が損害と認められるという性質のものであるが、その余の費目の損害と同一の不法行為による身体傷害など同一利益の侵害に基づいて生じたものである場合には一個の損害賠償債務の一部を構成するものというべきであるから(最高裁昭和43年(オ)第943号同48年4月5日第一小法廷判決・民集27巻3号419頁参照)、右弁護士費用につき不法行為の加害者が負担すべき損害賠償債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥るものと解するのが相当である。
 なお、右損害の額については、被害者が弁護士費用につき不法行為時からその支払時までの間に生ずることのありうべき中間利息を不当に利得することのないように算定すべきものであることは、いうまでもない
 本件についてこれをみると、記録及び原判文に照らせば、原審が、被上告人の本件訴訟追行のための弁護士費用につき本件事故と相当因果関係のある損害を八万円と認めるにあたつて、被上告人が右事故時から当該弁護士費用の支払時までの中間利息を不当に利得することのないように算定したことが窺いえないものではないから、上告人が所論の弁護士費用に係る損害八万円について本件事故後である昭和52年7月19日から完済まで年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負うとした原審の判断は、是認するに足り、原判決に所論の違法はない。」

最高裁判例解説民事編昭和五十八年度(法曹会)328~329頁では
(原則として漢数字は算用数字に変換,以下同様)
「不法行為に基づく損害賠償債務については,判例は,かつてこれを期限の定めのない債務として民法413条3項に基づき,請求を受けたときに遅滞に陥るもの解していた(大判明41・3・18・民録14輯275頁)が,その後これを改め,右条項所定の原則の例外として,不法行為による損害賠償債務が発生すると同時にこれを履行する責めを負い,債権者の請求を待たずに遅滞の責めに任ずべきとするものに至り(大判明43・10・20・民録17輯719頁)最高裁も,これを維持し,かかる損害賠償債務は,「損害の発生と同時に,なんらの催告を要することなく遅滞に陥る」と解している(最三小判昭37・9・4・民集16巻9号1834頁)。学説上も,通説は,主として沿革と公平の観念から,判例と同旨の見解を採っている(我妻・新訂債権総論105頁・於保債権総論[新版]105頁,加藤・不法行為[増補版]219頁,幾代・不法行為325頁等参照)。」
と説明されている。

参照
「なお,最二小昭45・6・19・民集24巻6号560頁は,弁護士費用に係る賠償請求権の消滅時効について,報酬契約の時が民法724条にいう損害を知ったときに当たり,その時からその消滅時効が進行する旨判示している」(前掲書331~332頁)。
裁判所サイト
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27326&hanreiKbn=01
判決文 
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/54C9310E6A254E7D49256A850031225A.pdf

また,次のような裁判例もある。
昭和56(オ)767損害賠償請求本訴、同反訴
昭和57年10月19日最高裁判所第三小法廷判決
36巻10号2163頁
原審
大阪高等裁判所   
昭和56年05月14日

判示事項
民法724条所定の3年の時効期間の計算と初日の不算入
裁判要旨
民法724条所定の3年の時効期間の計算においては、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知つた時が午前零時でない限り、時効期間の初日を算入すべきではない
参照法条 民法138条,民法140条,民法724条
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26259&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/B4F950C82F0CF34449256A8500311FAA.pdf

平井利明のメモ

|

2008.07.10

平成20年05月23日大阪地方裁判所判決(ネット上の掲示板の書き込みに関する管理者の責任について)

平成19(ワ)6473損害賠償請求事件
平成20年05月23日大阪地方裁判所第11民事部判決

判示事項の要旨
被告がその管理運営するインターネット上の掲示板に書かれた原告を中傷する書き込みを削除しなかったことは,被告の掲示板に係る管理義務に違反した行為であり,原告に対する不法行為となるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36587&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080708095956.pdf

以下判決文より

事案の概要
「原告が,被告が管理運営するインターネット上の掲示板に,原告を誹謗中傷する内容が書き込まれ,これに気付いた原告の関係者が被告に対して削除を求めたにもかかわらず,被告が迅速に削除するなどの適切な対処をする義務を怠ったことにより,精神的苦痛を被ったとして,被告に対して,民法709条に基づいて220万円(慰謝料200万円及び弁護士費用20万円の合計)及びこれに対する平成18年8月20日(不法行為の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。」

主文
1 被告は,原告に対し,55万円及びこれに対する平成18年9月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

請求
被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成18年8月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

被告は,平成18年8月当時,(中略)インターネット上の掲示板(中略)を設置し,管理運営していた者である。

平井利明のメモ

|

2008.07.08

平成16年02月20日最高裁判所判決 (預託金会員制のゴルフクラブの名称を継続して使用している場合における譲受人の預託金返還義務の有無について:積極)

平成14(受)399預託金返還請求事件
平成16年02月20日最高裁判所第二小法廷判決
第58巻2号367頁

【破棄差し戻し】

原審
大阪高等裁判所平成13年12月07日判決   
平成13(ネ)2776

判示事項
ゴルフ場の営業の譲受人が譲渡人の用いていた預託金会員制のゴルフクラブの名称を継続して使用している場合における譲受人の預託金返還義務の有無

裁判要旨
預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の営業の譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには,譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,譲受人は,商法26条1項の類推適用により,会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25131&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/CA454C84D49D3AAD49256EDE0026A501.pdf

事案の概要(判決文より)
「上告人が,被上告人に対し,本件ゴルフ場の営業を譲り受け,本件クラブの名称を継続して使用している被上告人は,商法26条1項の類推適用により,本件預託金の返還義務を負うべきであると主張して,本件預託金及び遅延損害金の支払を求める事案である。なお,原判決においては,被上告人が上記営業を譲り受けるに際しAが本件クラブの会員に対して負担している預託金返還債務の引受けをしたという事実は,認定されていない。」

預託金会員制のゴルフクラブが設けられているゴルフ場の営業においては,当該ゴルフクラブの名称は,そのゴルフクラブはもとより,ゴルフ場の施設やこれを経営する営業主体をも表示するものとして用いられることが少なくない。本件においても,前記の事実関係によれば,Aから営業を譲り受けた被上告人は,本件クラブの名称を用いて本件ゴルフ場の経営をしているというのであり,同クラブの名称が同ゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられているとみることができる。このように,
【要旨】預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の営業の譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,会員において,同一の営業主体による営業が継続しているものと信じたり,営業主体の変更があったけれども譲受人により譲渡人の債務の引受けがされたと信じたりすることは,無理からぬものというべきである。したがって,譲受人は,上記特段の事情がない限り,商法26条1項の類推適用により,会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負うものと解するのが相当である。」
「以上のとおりであるから,本件において上記特段の事情の存否につき審理判断することなく商法26条1項の類推適用を否定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,上記特段の事情の存否について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。」

平井利明のメモ

|

平成12年07月07日最高裁判所第二小法廷判決(商法266条1項5号にいう「法令」の意義などについて)

平成8(オ)270取締役損失補填責任追及請求控訴及び共同訴訟参加事件
平成12年07月07日最高裁判所第二小法廷判決

原審
東京高等裁判所平成7年09月26日判決   
平成5(ネ)3788

判示事項
一 商法266条1項5号にいう「法令」の意義
二 会社がその業務を行うに際して遵守すべき規定に会社をして違反させることとなる取締役の行為と商法266条1項5号にいう法令違反行為
三 複数の株主が共同して追行する株主代表訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴をした場合に上訴をしなかった者の上訴審における地位

裁判要旨
一 商法266条1項5号にいう「法令」には、取締役を名あて人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法254条3項(民法644条)、商法254条ノ3の規定及び取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定のほか、会社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定が含まれる。
二 取締役が会社をして会社がその業務を行うに際して遵守すべき規定に違反させることとなる行為をしたときは、右行為が取締役の受任者としての義務を一般的に定める規定に違反することになるか否かを問うまでもなく、商法266条1項5号にいう法令に違反する行為をしたときに該当する。
三 複数の株主が共同して追行する株主代表訴訟において、共同訴訟人である株主の一部の者が上訴をした場合、上訴をしなかった者は、上訴人にはならない。(一、二につき補足意見がある。)

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25328&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/D77049A242C02D9949256DC600269771.pdf

 
判決文より
「株式会社の取締役は、取締役会の構成員として会社の業務執行を決定し、あるいは代表取締役として業務の執行に当たるなどの職務を有するものであって、商法二六六条は、その職責の重要性にかんがみ、取締役が会社に対して負うべき責任の明確化と厳格化を図るものである。本規定は、右の趣旨に基づき、法令に違反する行為をした取締役はそれによって会社の被った損害を賠償する責めに任じる旨を定めるものであるところ、
【要旨1】取締役を名あて人とし、取締役の受任者としての義務を一般的に定める商法二五四条三項(民法六四四条)、商法二五四条ノ三の規定(以下、併せて「一般規定」という。)及びこれを具体化する形で取締役がその職務遂行に際して遵守すべき義務を個別的に定める規定が、本規定にいう「法令」に含まれることは明らかであるが、さらに、商法その他の法令中の、会社を名あて人とし、会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定もこれに含まれるものと解するのが相当であるけだし、会社が法令を遵守すべきことは当然であるところ、取締役が、会社の業務執行を決定し、その執行に当たる立場にあるものであることからすれば、会社をして法令に違反させることのないようにするため、その職務遂行に際して会社を名あて人とする右の規定を遵守することもまた、取締役の会社に対する職務上の義務に属するというべきだからである。したがって、
【要旨2】取締役が右義務に違反し、会社をして右の規定に違反させることとなる行為をしたときには、取締役の右行為が一般規定の定める義務に違反することになるか否かを問うまでもなく、本規定にいう法令に違反する行為をしたときに該当することになるものと解すべきである。」

「株式会社の取締役が、法令又は定款に違反する行為をしたとして、本規定に該当することを理由に損害賠償責任を負うには、右違反行為につき取締役に故意又は過失があることを要するものと解される(最高裁昭和四八年(オ)第五〇六号同五一年三月二三日第三小法廷判決・裁判集民事一一七号二三一頁参照)。」

「商法二六七条に規定する株主代表訴訟は、株主が会社に代位して、取締役の会社に対する責任を追及する訴えを提起するものであって、その判決の効力は会社に対しても及び(民訴法一一五条一項二号)、その結果他の株主もその効力を争うことができなくなるという関係にあり、複数の株主の追行する株主代表訴訟は、いわゆる類似必要的共同訴訟と解するのが相当である。
 類似必要的共同訴訟において共同訴訟人の一部の者が上訴すれば、それによって原判決の確定が妨げられ、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴をしなかった共同訴訟人にも及ぶと解される。しかしながら、合一確定のためには右の限度で上訴が効力を生ずれば足りるものである上、取締役の会社に対する責任を追及する株主代表訴訟においては、既に訴訟を追行する意思を失った者に対し、その意思に反してまで上訴人の地位に就くことを求めることは相当でないし、複数の株主によって株主代表訴訟が追行されている場合であっても、株主各人の個別的な利益が直接問題となっているものではないから、提訴後に共同訴訟人たる株主の数が減少しても、その審判の範囲、審理の態様、判決の効力等には影響がない。そうすると、
【要旨3】株主代表訴訟については、自ら上訴をしなかった共同訴訟人を上訴人の地位に就かせる効力までが民訴法四〇条一項によって生ずると解するのは相当でなく、自ら上訴をしなかった共同訴訟人たる株主は、上訴人にはならないものと解すべきである(最高裁平成四年(行ツ)第一五六号同九年四月二日大法廷判決・民集五一巻四号一六七三頁参照)。」
 

平井利明のメモ

|

2008.07.07

平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決(会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継された場合における債務の承継関連)

平成18(受)890預託金返還請求事件
平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決

破棄自判

原審
名古屋高等裁判所   
平成17(ネ)682
平成18年02月02日

判示事項 
会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における上記会社の預託金返還義務の有無(積極)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36426&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080610112831.pdf

判決文より

預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の事業が譲渡され,譲渡会社が用いていたゴルフクラブの名称を譲受会社が引き続き使用しているときには,譲受会社が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,譲受会社は,会社法22条1項の類推適用により,当該ゴルフクラブの会員が譲渡会社に交付した預託金の返還義務を負うものと解するのが相当であるところ(最高裁平成14年(受)第399号同16年2月20日第二小法廷判決・民集58巻2号367頁参照),このことは,ゴルフ場の事業が譲渡された場合だけではなく,会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継された場合にも同様に妥当するというべきである
なぜなら,会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継される場合,法律行為によって事業の全部又は一部が別の権利義務の主体に承継されるという点においては,事業の譲渡と異なるところはなく,事業主体を表示するものとして用いられていたゴルフクラブの名称が事業を承継した会社によって引き続き使用されているときには,上記のような特段の事情のない限り,ゴルフクラブの会員において,同一事業主体による事業が継続しているものと信じたり,事業主体の変更があったけれども当該事業によって生じた債務については事業を承継した会社に承継されたと信じたりすることは無理からぬものというべきであるからである。
なお会社分割においては,承継される債権債務等が記載された分割計画書又は分割契約書が一定期間本店に備え置かれることとなっているが(本件会社分割に適用される旧商法においては,同法374条2項5号,374条の2第1項1号,374条の17第2項5号,374条の18第1項1号。),ゴルフクラブの会員が本店に備え置かれた分割計画書や分割契約書を閲覧することを一般に期待することはできないので,上記判断は左右されない。

平井利明のメモ

|

2008.07.04

平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決(コンビニの基本契約書の解釈についての一例)

平成19(受)1401書類引渡等,請求書引渡等請求事件
平成20年07月04日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】
 
原審
東京高等裁判所平成19年05月31日判決   
原審事件番号 平成19(ネ)877

裁判要旨
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営者は加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36582&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080704150518.pdf

判決文より
「コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンを運営する被上告人との間で加盟店基本契約を締結してそれぞれ加盟店の一つを経営している上告人らが,被上告人に対し,被上告人が上記加盟店基本契約に基づき上告人らの仕入れた商品の代金を上告人らに代わって支払ってきたことに関し,支払先,支払日,支払金額,商品名とその単価・個数,値引きの有無等,具体的な支払内容について報告を求める事案」
「本件基本契約には,①被上告人は加盟店の計数管理情報を保持するために作成,保管している経営記録,会計帳簿(オープンアカウントが記帳されている)等に反映される範囲で加盟店経営者の経営に係る税の申告のため加盟店経営者に資料を提供する旨の定めや,②被上告人は加盟店の各月,各年ごとの損益計算書,貸借対照表及び各月ごとの商品報告書を作成して加盟店経営者に提供する旨の定めがある(以下,上記①,②の定めを併せて「本件資料等提供条項」という。)が,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告については何らの定めもない。本件資料等提供条項によって提供される資料等からは,被上告人が加盟店経営者である上告人らに代わって仕入代金を支払ったことに関して上告人らが本件訴訟において報告を求めているような具体的な支払内容は明らかにならない。」

「前記事実関係によれば,加盟店経営者が本件発注システムによって商品を仕入れる場合,仕入商品の売買契約は加盟店経営者と推薦仕入先との間に成立し,その代金の支払に関する事務を加盟店経営者が被上告人に委託する(以下,これを「本件委託」という。)という法律関係にあるものと解される。したがって,本件委託は,準委任(民法656条)の性質を有するものというべきである。
もっとも,本件委託は本件基本契約の一部を成すものであるところ,前記事実関係によれば,本件基本契約においては被上告人の支払った仕入代金がオープンアカウントにより決済されることから,被上告人は,仕入代金相当額の費用の前払(民法649条参照)を受けることなく委託を受けた事務を処理することになり,しかも,支出した費用について支出の日以降オープンアカウントによる決済の時までの利息の償還(同法650条参照)を請求し得ず,本件委託に基づく仕入代金の支払について報酬請求権(商法512条参照)も有しないなど,本件委託に通常の準委任とは異なる点(以下,これを「本件特性」という。)が存することは明らかである。
そこで,以上の本件委託の性質を踏まえて,本件基本契約上,被上告人が加盟店経営者である上告人らに対して仕入代金の具体的な支払内容について報告義務を負うか否かを検討する。
本件基本契約には,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告については何らの定めがないことは前記確定事実のとおりである。しかし,コンビニエンス・ストアは,商品を仕入れてこれを販売することによって成り立っているのであり,商品の仕入れは,加盟店の経営の根幹を成すものということができるところ,加盟店経営者は,被上告人とは独立の事業者であって,自らが支払義務を負う仕入先に対する代金の支払を被上告人に委託しているのであるから,仕入代金の支払についてその具体的内容を知りたいと考えるのは当然のことというべきである。また,前記事実関係によれば,被上告人は,加盟店経営者から商品の発注データ及び検品データの送信を受け,推薦仕入先から検品データに基づく請求データの送信を受けているというのであるから,被上告人に集約された情報の範囲内で,本件資料等提供条項によって提供される資料等からは明らかにならない具体的な支払内容を加盟店経営者に報告すること(以下,この報告を「本件報告」という。)に大きな困難があるとも考えられない。そうすると,本件発注システムによる仕入代金の支払に関する被上告人から加盟店経営者への報告について何らの定めがないからといって,委託者である加盟店経営者から請求があった場合に,準委任の性質を有する本件委託について,民法の規定する受任者の報告義務(民法656条,645条)が認められない理由はなく,本件基本契約の合理的解釈としては,本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解されない限り,被上告人は本件報告をする義務を免れないものと解するのが相当である。そして,本件特性については,これのみに注目すると,通常の準委任と比較して被上告人にとって不利益であり,被上告人の加盟店経営者に対する一方的な援助のようにも見えるが,このことは,仕入代金が前記のように被上告人において加盟店の売上金の管理等をするオープンアカウントにより決済されることに伴う結果であるし,前記事実関係によれば,被上告人には,オープンアカウントによる決済の方法を提供することにより,仕入代金の支払に必要な資金を準備できないような者との間でも本件基本契約を締結して加盟店を増やすことができるという利益があり,また,加盟店経営者がオープンアカウントによる決済の方法を利用して仕入商品を増やせば,売上げも増えることが見込まれ,売上利益に応じた加盟店経営に関する対価を取得する被上告人の利益につながるのであるから,本件特性があるために被上告人は本件報告をする義務を負わないものと解することはできない。したがって,被上告人は,本件基本契約に基づき,上告人らの求めに応じて本件報告をする義務を負うものというべきである。」

「被上告人が,本件基本契約に基づき上告人らに対して報告義務を負うべき本件報告の具体的内容につ
いて,更に審理を尽くさせるために,原判決中,被上告人に関する部分につき,本件を原審に差し戻す」

この判決の内容を前提とする限りでは,基本契約書の文言を変えれば,結論が変わりうるということになるのだろうか。
仮にそうだとすると,仮に,一切報告義務を負わないという条項が存在する場合に,それが信義則に反するまでのものと言えるか,ということなのだろうか。

平井利明のメモ

|

2008.07.02

平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決(ヤミ金関連)

平成19(受)569損害賠償請求事件
平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決

破棄差戻し

原審
高松高等裁判所   
平成18(ネ)231
平成18年12月21日

裁判要旨
1 反倫理的行為に該当する不法行為の被害者が当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合に,被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されない
2 ヤミ金融業者が著しく高利の貸付けにより元利金等の名目で借主から金員を取得し,これにより借主が貸付金に相当する利益を得た場合に,借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36427&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080610150547.pdf

平井利明のメモ

|

2008.07.01

平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決

平成18(受)265損害賠償請求事件
平成20年06月10日最高裁判所第三小法廷判決

原審
福岡高等裁判所   
平成12(ネ)395
平成17年10月14日

判示事項 
採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において,損害の発生を前提としながら,民訴法248条の適用について考慮することなく,損害の額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36428&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080610152654.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.30

平成20年06月12日最高裁判所第一小法廷判決

平成19(受)808損害賠償請求事件
平成20年06月12日最高裁判所第一小法廷判決

原審
東京高等裁判所   
平成16(ネ)2039
平成19年01月29日

判示事項 
1 放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者が,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したが,放送された番組の内容が取材担当者の説明と異なるものとなった場合における放送事業者等の不法行為の成否
2 放送された番組の内容が取材時の説明とは異なるものであったとしても,放送番組を放送した放送事業者及び同番組の制作,取材に関与した業者に取材を受けた者の期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為は成立しないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36444&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080612173527.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.27

平成20年06月12日大阪地方裁判所判決(営業秘密である顧客情報の不正取得等関連)

平成18(ワ)5172損害賠償請求事件
平成20年06月12日大阪地方裁判所   
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36447&hanreiKbn=06

主文
1 被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,連帯して,原告イープランニング株式会社に対し,257万9104円及びこれに対する平成16年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,連帯して,原告マテリアル有限会社に対し,97万7276円及びこれに対する平成16年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告らの上記被告らに対するその余の請求及び被告Y4に対する請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用の負担は次のとおりとする。
(1) 原告イープランニング株式会社の負担分は,同原告に生じた費用の5分の4と,被告Y1,被告Y2及び被告Y3に生じた費用の15分の8と,被告Y4に生じた費用の3分の2とする。
(2) 原告マテリアル有限会社の負担分は,同原告に生じた費用の8分の7と,被告Y1,被告Y2及び被告Y3に生じた費用の24分の7と,被告Y4に生じた費用の3分の1とする。
(3) 被告Y1,被告Y2及び被告Y3の負担分は,それぞれ,原告イープランニング株式会社に生じた費用の15分の1と,原告マテリアル有限会社に生じた費用の24分の1と,同被告らに生じた(1)及び(2)以外の費用とする。
5 この判決の第1項及び第2項は仮に執行することができる。

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080613132715.pdf

事案の概要
原告らは,①出会い系サイトを経営する原告イープランニングの元従業員であったP1及び被告Y3は,原告イープランニング及び同じく出会い系サイトを経営する原告マテリアルから示され又は不正に取得した営業秘密である顧客情報を,不正の利益を得る目的で出会い系サイトを経営する被告Y1並びにその従業員である被告Y2及び被告Y4に開示し,被告らは共謀の上,そのような不正開示行為又は不正取得行為がされたことを知って,上記顧客情報を用いて出会い系サイトの営業活動を行った,②P1及び被告Y3は,原告イープランニングの営業秘密である出会い系サイト用携帯電話サイト構築のためのプログラムを不正に取得し,被告Y1,被告Y2及び被告Y4は,この不正取得行為がされたことを知って同プログラムを取得し,被告らは共謀の上,同プログラムを用いて出会い系サイトの営業活動を行ったと主張し,被告らに対して,次の不正競争防止法又は民法の各条項に基づいて損害賠償を請求した。

平井利明のメモ

|

2008.06.25

平成20年06月24日最高裁判所判決(反倫理的行為に基づく給付についての損益相殺)

平成19(受)1146損害賠償請求事件
平成20年06月24日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所平成19年03月29日判決   
平成17(ネ)3272

裁判要旨
Yが投資資金名下にXから金員を騙取した場合に,Xからの損害賠償請求においてYが詐欺の手段として配当金名下にXに交付した金員の額を損益相殺等の対象としてXの損害額から控除することは民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36505&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080624143754.pdf

判決文より
「社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該反倫理的行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも許されないものというべきである(最高裁平成19年(受)第569号同20年6月10日第三小法廷判決参照)。」
「本件各仮装配当金の交付によって上告人らが得た利益は,不法原因給付によって生じたものというべきであり,本件損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として本件各騙取金の額から本件各仮装配当金の額を控除することは許されないものというべきである。」

裁判官田原睦夫の反対意見あり。

「社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(以下「反倫理的行為」という。)」?
具体的に考えると,わかったようでわからない概念あるいは要件。

損益相殺の主張に対する抗弁的な位置づけになるのだろうか?
「社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為(=「反倫理的行為」)
であることについての主張立証が必要となるということか?(但し,このような内容が直ちに主要事実になるのではないだろうとは思うが)。

平井利明のメモ

|

2008.06.24

平成20年05月30日札幌地方裁判所平成18(ワ)2099工事妨害禁止等請求事件

平成18(ワ)2099工事妨害禁止等請求事件
平成20年05月30日札幌地方裁判所民事第5部判決 

判示事項の要旨
携帯電話会社がマンションの管理組合に対し,屋上に携帯電話の基地局を設置するために締結した賃貸借契約に基づき設置工事の妨害禁止等を求めた請求について,契約を締結するのに必要な区分所有者全員の同意を得ていないとして,これを棄却した事案http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36454&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080618144059.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.17

平成20年05月09日東京地方裁判所判決(医療事件:説明義務違反の範囲でのみ賠償が認められたケース)

平成17(ワ)3損害賠償
平成20年05月09日東京地方裁判所民事第34部判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36410&hanreiKbn=03

原告の請求
被告は,原告に対し,9500万円及びこれに対する平成17年1月15日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。

主文
1 被告は,原告に対し,220万円及びこれに対する平成17年1月15日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,原告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604095639.pdf

事案の概要(判決文より)
原告が,被告が開設・運営する甲病院(以下「被告病院」という。)において,子宮筋腫に対する腹式子宮全摘出術(以下「本件手術」という。)を受けた際,被告病院担当医師が,硬膜外麻酔を施行するため注射針を刺入したところ,第三腰椎神経根を損傷し,その結果,反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)を発症したとして,被告に対し,被告病院担当医師に注射針刺入の際の手技上の過失及び硬膜外麻酔に関する説明義務違反があったとして,診療契約上の債務不履行又は不法行為(使用者責任)に基づき,損害賠償の請求をした事案

判決文においては,
「原告の症状は,医師が医療機関において原告を診療する際には,RSDあるいはその疑いがあるとして診療に当たるのが相当であると認められるが,それを超えて,実際に原告にRSDが発症しており,それによる後遺障害であるとまでは認定することができないというべき」と認定されている。
但し,説明義務違反が認められていて,その損害について次のように判示されている。
「原告は,麻酔に関して適切な説明を受けていたとしても,被告病院における硬膜外麻酔を併用した全身麻酔の麻酔方法を選択しなかったとまでは認められないが,原告は,術前に,麻酔に対する不安を度々訴えていたにもかかわらず,被告病院の担当医師の説明義務違反(事前に約束されていた麻酔科医師による診察とその際の説明がなかったこと)により,強く不安に感じていた麻酔薬及び麻酔方法について熟慮し,選択する機会を失ったというべきである。そして,前記1.ないし.のとおり,原告は,その後の長きに渡り,疼痛等の症状(ただし,原告の症状がRSDによるものと認められないことは前記のとおりである。)に苦しみ,それまでの人生が一変してしまっているところ,その原因と思われる麻酔方法の選択について熟慮し選択する機会を与えられなかったことから,現に生じた結果を受け入れることが極めて困難となっており,それによって少なからぬ精神的苦痛を受けたものと認められる。その精神的苦痛に対する慰謝料としては,説明義務違反の内容・程度等,本件に現れた一切の事情を考慮すると,200万円を認めるのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2008.06.16

平成20年05月28日東京地方裁判所判決(テレビ番組等のインターネット転送関連)

平成19(ワ)17279著作権侵害差止等請求事件
平成20年05月28日東京地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36391&hanreiKbn=06
   
判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529122138.pdf

(以下判決文からの抜粋)

主文
1 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙著作物目録記載1ないし7の著作物を複製の対象としてはならない。
2 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙放送目録記載1ないし11の放送に係る音又は影像を,録音又は録画の対象としてはならない。
3 被告は,別紙物件目録記載の器具を廃棄せよ。
4 被告は,別紙支払目録記載のとおり,原告欄記載の各原告に対し,対応する支払金額欄記載の各金員を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。
7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。

事案の概要
本件は,原告ら(以下,原告らを総称する際には「原告ら」と,原告日本テレビ,原告TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日及び原告テレビ東京の5社を総称して「東京局各社」と,原告静岡第一テレビ,原告SBS,原告テレビ静岡及び原告あさひテレビを総称して「静岡局各社」という。)が,被告において,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」との名称で行っている事業は,ハードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」(以下「ロクラクⅡ」という。)2台のうち1台を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波をその1台に入力するとともに,これに対応するもう1台を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,日本国内で放送されるテレビ番組の複製を可能とするサービス,すなわち,別紙サービス目録記載の内容のサービス(以下「本件対象サービス」という。)であるとし,その事業を行う被告の行為は,原告及び東京局各社が著作権をNHK 有する別紙著作物目録記載の番組(以下「本件番組」と総称する。)及び原告らが著作隣接権を有する別紙放送目録記載の放送(以下「本件放送」と総称する。)に係る音又は影像を複製する行為に当たるから,原告NHK 及び東京局各社の本件番組についての著作権(複製権,著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権(複製権,著作権法98条)を侵害するとして,原告NHK 及び東京局各社において,本件番組を複製の対象とすることの差止め並びに原告らにおいて,本件放送に係る音又は影像を録音又は録画の対象とすることの差止め及び本件対象サービスに供されているロクラクⅡの親機の廃棄を求めるとともに,原告らが,それぞれ,複製権の侵害により損害を受けたとして,その損害の賠償及び本訴状送達の日の翌日である平成19年8月4日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めたのに対し,被告が,本件対象サービスの利用による本件番組等の複製行為の主体は被告ではないことなどを主張して争っている事案

以上の事実に基づいて,被告が,本件番組及び本件放送に係る音又は影像
の複製行為を行っているといえるか否かについて検討する。
ア 複製主体についての考え方
 著作権法上の侵害行為者を決するについては,当該行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,法律的な観点から,著作権を侵害する者として責任を負うべき主体と評価できるか否かを検討すべきであるから,事案に応じて,カラオケ装置を設置したスナック等の経営者について,客の歌唱についての管理及びそれによる営業上の利益という観点から,演奏の主体として,演奏権侵害の不法行為責任があると認めたクラブキャッツアイ事件最高裁判決等を踏まえ,問題とされる行為(提供されるサービス)の性質に基づき,支配管理性,利益の帰属等の諸点を総合考慮して判断すべきである。
 被告は,上記最高裁判決は,直接的な利用行為を行っていない者を行為主体とみなす判断をするに当たって十分な正当化根拠を示しておらず,そこで示されたカラオケ法理を一般化された法理として本件に援用することは許されるべきではない旨主張するが,行為の管理支配性や利益の帰属という上記最高裁判決において示された要素を充足する者について,行為の主体として評価し得る場合が存するのであるから,同判決等を踏まえつつ行為の性質等の事情を総合的に考慮することは,規範的に行為の主体性を検討する上で,有用かつ必要であると解され,被告の上記主張は採用できない。

(中略)以上の事情を総合考慮すれば,親機ロクラクは,本件サービスを成り立たせる重要な意味を有する複製を行う機能を有する機器であるところ,被告は,日本国外の利用者に日本のテレビ番組の複製物を取得させるという本件サービスの目的に基づき,当初,親機ロクラクの設置場所を提供して管理支配することで,日本国外の利用者が格段に利用しやすい仕組みを構築し,いまだ,大多数の利用者の利用に係る親機ロクラクを,東京都内や静岡県内において管理支配しているものということができる。この場合,上記の,本件サービスにおいて親機ロクラクの果たす役割からすれば,被告は,別紙サービス目録記載の内容のサービス,すなわち,本件対象サービスを提供しているものということができ,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を管理支配していると認めることができるとともに,それによる利益を得ているものと認められる(なお,被告は,登録料やレンタル料は,親機ロクラクの管理に係る利益とはいえない旨主張し,親機ロクラクの管理に係る賃料等を取得していない旨の報告書(乙4)などを提出するところ,上記登録料等は,名目のいかんにかかわらず,被告が本件対象サービスを提供することによって得る経済的対価であるから,被告は,利益を得ているというべきであり,被告の主張は採用できない。)。

結論
 以上から,被告は,本件対象サービスを提供し,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているというべきであり,原告NHK及び東京局各社の本件番組についての複製権(著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権としての複製権(著作権法98条)を侵害するものといえる。
 被告は,本件サービスが,あくまでも利用者個人がその私的使用目的で賃借したロクラクⅡを利用する行為であって,その利用に関与するものではなく,利用者が賃貸機器を利用してテレビ番組を複製する行為の主体は,利用者本人であり,被告ではあり得ない旨主張する。
しかしながら,被告は,上記判示のとおり,本件対象サービスにおいて,自らが本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているのであり,このことと,本件サービスの利用者によるテレビ番組の録画が,私的使用目的で行われるか否か,あるいは,利用者の指示に基づいて複製されるテレビ番組が選択されるか否かとは,直接関連するものではないから,被告の上記主張は,失当といわなければならない。

平井利明のメモ

|

2008.06.12

平成20年05月29日大阪地方裁判所判決(「時効の管理」の著作物性についてなど)

平成19(ワ)14155著作権侵害差止等請求事件
平成20年05月29日大阪地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36396&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529171810.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.04

平成20年06月04日最高裁判所大法廷判決(国籍法3条1項についての違憲判断)

平成18(行ツ)135退去強制令書発付処分取消等請求事件
平成20年06月04日最高裁判所大法廷判決

【破棄自判】

東京高等裁判所平成18年02月28日判決   
平成17(行コ)134

裁判要旨
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り日本国籍の取得を認めていることにより国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも平成15年当時において,憲法14条1項に違反する
2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときは,日本国籍を取得する

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36415&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604173431.pdf

平井利明のメモ

|

平成20年06月04日最高裁判所大法廷判決(国籍法の違憲判断)

平成19(行ツ)164国籍確認請求事件
平成20年06月04日最高裁判所大法廷判決

【破棄自判】

東京高等裁判所平成19年02月27日判決   
平成18(行コ)124

裁判要旨
1 国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り日本国籍の取得を認めていることにより国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも平成17年当時において憲法14条1項に違反する
2 日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の国籍取得の要件が満たされるときは,日本国籍を取得する

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36416&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080604174246.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.03

平成20年04月23日京都地方裁判所判決

平成16(ワ)145損害賠償等請求事件
平成20年04月23日京都地方裁判所第6民事部判決 

判示事項の要旨
1 公立小中学校の教職員に対する違法な時間外勤務命令があったとはいえないとして時間外勤務手当相当の損害賠償請求及び時間外勤務手当請求が棄却された事例
2 公立小中学校の設置管理者には教育職員の勤務内容,態様から生命や健康を害する状態であることを認識,予見し得た場合に当該教職員が勤務により健康を害しないように管理すべき義務があり,被告に,一部の原告に対して同義務違反があるとして,安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36357&hanreiKbn=03

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080519105248.pdf

平井利明のメモ

|

2008.06.02

平成19(行ケ)10215審決取消請求事件(コカコーラの瓶に商標権を肯定したもの)

平成19(行ケ)10215審決取消請求事件
平成20年05月29日知的財産高等裁判所決定   

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36397&hanreiKbn=06

ザ コカ・コーラカンパニーが,特許庁の行った審決を取り消すために特許庁を相手に提起した訴訟についての判決。

主文
1 特許庁が不服2005-1651号事件について平成19年2月6日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529172621.pdf

商標法3条1項3号についての裁判所の解釈
<以下,適宜,判決文より引用>
(1) 立体商標における商品等の形状
ア 商標法は,商標登録を受けようとする商標が,立体的形状(文字,図形,記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる場合についても,所定の要件を満たす限り,登録を受けることができる旨規定する(商標法2条1項,5条2項参照)。
 ところで,商標法は,3条1項3号で「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,数量,形状(包装の形状を含む。),価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は,商標登録を受けることができない旨を,同条2項で「前項3号から5号までに該当する商標であっても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる」旨を,4条1項18号で「商品又は商品の包装の形状であって,その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」は,同法3条の規定にかかわらず商標登録を受けることができない旨を,26条1項5号で「商品又は商品の包装の形状であって,その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」に対しては,商標権の効力は及ばない旨を,それぞれ規定している。
 このように,商標法は,商品等の立体的形状の登録の適格性について,平面的に表示される標章における一般的な原則を変更するものではないが,同法4条1項18号において,商品及び商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標については,登録を受けられないものとし,同法3条2項の適用を排除していること等に照らすと,商品等の立体的形状のうち,その機能を確保するために不可欠な立体的形状については,特定の者に独占させることを許さないとしているものと理解される。
 そうすると,商品等の機能を確保するために不可欠とまでは評価されない形状については,商品等の機能を効果的に発揮させ,商品等の美感を追求する目的により選択される形状であっても,商品・役務の出所を表示し,自他商品・役務を識別する標識として用いられるものであれば,立体商標として登録される可能性が一律的に否定されると解すべきではなく(もっとも,以下のイで述べるように,識別機能が肯定されるためには厳格な基準を充たす必要があることはいうまでもない。),また,出願に係る立体商標を使用した結果,その形状が自他商品識別力を獲得することになれば,商標登録の対象とされ得ることに格別の支障はないというべきである。
イ 以上を前提として,まず,立体商標における商品等の立体的形状が商標法3条1項3号に該当するか否かについて考察する。
(ア) 商品等の形状は,多くの場合,商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり,商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって,商品・役務の出所を表示し,自他商品
・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように,商品等の製造者,供給者の観点からすれば,商品等の形状は,多くの場合,それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの,すなわち,商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また,商品等の形状を見る需要者の観点からしても,商品等の形状は,文字,図形,記号等により平面的に表示される標章とは異なり,商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し,出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる
そうすると,商品等の形状は,多くの場合に,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり,客観的に見て,そのような目的のために採用されると認められる形状は,特段の事情のない限り,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,同号に該当すると解するのが相当である。
(イ) また,商品等の具体的形状は,商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが,一方で,当該商品の用途,性質等に基づく制約の下で,通常は,ある程度の選択の幅があるといえる。しかし,同種の商品等について,機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば,当該形状が特徴を有していたとしても,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として,同号に該当するものというべきである。
 けだし,商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は,同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから,先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは,公益上の観点から適切でないからである。
(ウ) さらに,需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには,商標法4条1項18号の趣旨を勘案すれば,商標法3条1項3号に該当するというべきである。けだし,商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に,商品等の機能の観点からは発明ないし考案として,商品等の美感の観点からは意匠として,それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば,その限りおいて独占権が付与されることがあり得るが,これらの法の保護の対象になり得る形状について,商標権によって保護を与えることは,商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると,商品等の形状について,特許法,意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである。

<本願商標の商標法3条1項3号該当性>
 「本願商標の立体的形状は,審決時(平成19年2月6日)を基準として,客観的に見れば,コーラ飲料の容器の機能又は美感を効果的に高めるために採用されるものと認められ,また,コーラ飲料の容器の形状として,需要者において予測可能な範囲内のものというべき」
 「原告の主観的な意図が,美感や機能を高めるためではなく,同形状に自他商品識別力を持たせることを目的とするものであったとしても,そのことにより,本願商標の立体的形状が有する客観的な性質に関する判断が左右されるものではない。また,需要者において予測し得ないような斬新な形状であるか否かは,原告が当該形状を採用した時点ではなく,審決時を基準として判断すべきであり,原告以外の同業者が当該形状を現実に採用していないとしても,そのことから直ちに同形状が予測し得る範囲を超えるということはできない。」
 「現時点において,本願商標に係る立体的形状を使用することを欲する原告以外の第三者が顕在していないとしても,そのことから直ちに,当該形状を独占させることが公益に反しないすることはできない
(小括)
「本願商標は,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として,商標法3条1項3号に該当するとした審決の判断に誤りはな」い。

<立体商標における使用による自他商品識別力の獲得>
 「商標法3条2項は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として同条1項3号に該当する商標であっても,使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には,商標登録を受けることができることを規定している(商品及び商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標を除く。同法4条1項18号)。
 立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品等の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品等の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。
 そして,使用に係る商標ないし商品等の形状は,原則として,出願に係る商標と実質的に同一であり,指定商品に属する商品であることを要する
 もっとも,商品等は,その製造,販売等を継続するに当たって,その出所たる企業等の名称や記号・文字等からなる標章などが付されるのが通常であり,また,技術の進展や社会環境,取引慣行の変化等に応じて,品質や機能を維持するために形状を変更することも通常であることに照らすならば,使用に係る商品等の立体的形状において,企業等の名称や記号・文字が付されたこと,又は,ごく僅かに形状変更がされたことのみによって,直ちに使用に係る商標が自他商品識別力を獲得し得ないとするのは妥当ではなく使用に係る商標ないし商品等に当該名称・標章が付されていることやごく僅かな形状の相違が存在してもなお,立体的形状が需要者の目につき易く,強い印象を与えるものであったか等を総合勘案した上で立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているか否かを判断すべきである

<本願商標の商標法3条2項該当性>

 (本件における事実関係を前提とすれば)
「リターナブル瓶入りの原告商品は,昭和32年に,我が国での販売が開始されて以来,驚異的な販売実績を残しその形状を変更することなく,長期間にわたり販売が続けられ,その形状の特徴を印象付ける広告宣伝が積み重ねられたため,遅くとも審決時(平成19年2月6日)までには,リターナブル瓶入りの原告商品の立体的形状は,需要者において,他社商品とを区別する指標として認識されるに至ったものと認めるのが相当である。」
(小括)
(その余の事項について検討を加えた上で)
「本願商標については,原告商品におけるリターナブル瓶の使用によって,自他商品識別機能を獲得したものというべきであるから,商標法3条2項により商標登録を受けることができるものと解すべきである。」

なお,
<リターナブル瓶入りの原告商品及びこれを描いた宣伝広告には,「Coca-Cola」などの表示が付されているが,この点について>
 取引社会においては,取引者,需要者は,平面的に表記された文字,図形,記号等からなる1つの標章によって,商品の出所を識別する場合が多いし,また,商品の提供者等も,同様に,1つの標章によって,自他商品の区別をする場合が多く,また,便宜であるともいえる。しかし,現実の取引の態様は多様であって,商品の提供者等は,当該商品に,常に1つの標章のみを付すのではなく,むしろ,複数の標章を付して,商品の出所を識別したり,自他商品の区別をしようとする例も散見されるし,また,取引者,需要者も,商品の提供者が付した標章とは全く別の商品形状の特徴(平面的な標章及び立体的形状等を含む。)によって,当該商品の出所を識別し,自他商品の区別することもあり得るところである。そのような取引の実情があることを考慮すると,当該商品に平面的に表記された文字,図形,記号等が付され,また,そのような文字等が商標登録されていたからといって,直ちに,当該商品の他の特徴的部分(平面的な標章及び立体的形状等を含む。)が,商品の出所を識別し,自他商品の区別をするものとして機能する余地がないと解することはできない(不正競争防止法2条1項1号ないし3号参照)。
 そのような観点に立って,リターナブル瓶入りの原告商品の形状をみると,前記(2)アで認定したとおり,当該形状の長年にわたる一貫した使用の事実(ア(イ)),大量の販売実績(ア(ウ)),多大の宣伝広告等の態様及び事実(ア(エ)),当該商品の形状が原告の出所を識別する機能を有しているとの調査結果(ア(オ))等によれば,リターナブル瓶の立体的形状について蓄積された自他商品の識別力は,極めて強いというべきである。そうすると,本件において,リターナブル瓶入りの原告商品に「Coca-Cola」などの表示が付されている点が,本願商標に係る形状が自他商品識別機能を獲得していると認める上で障害になるというべきではない(なお,本願商標に係る形状が,商品等の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標といえないことはいうまでもない。)

平井利明のメモ

|

2008.05.30

平成20年05月02日大阪地方裁判所判決(学校関連)

平成17(ワ)9128損害賠償請求事件
平成20年05月02日大阪地方裁判所第25民事部判決 

判示事項の要旨
市立小学校の校長及び担任の教師らが,当時小学5年生の原告に対し,小学校内の相談室で長時間にわたり,音楽の授業の問題点を話題にしないよう説得するなどの一連の行為により,原告が精神的苦痛を受け,卒業まで不登校になったことにつき,校長及び担任の教師らの行為が指導の域を超えたものであったとして,原告の被告市に対する国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められた事例。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36383&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080526151335.pdf

平井利明のメモ

|

2008.05.26

平成18(あ)2030商法違反被告事件(実質的経営者との共同正犯)

平成18(あ)2030商法違反被告事件
平成20年05月19日最高裁判所第一小法廷決定

原審
平成18年09月05日 名古屋高等裁判所金沢支部 
平成17(う)21

裁判要旨
銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,融資の前提となるスキームを提案し,担保となる物件の担保価値を大幅に水増しした不動産鑑定評価書を作らせるなどして融資の実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者共同正犯の成立が認められた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36359&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080520161602.pdf

平井利明のメモ

|

2008.05.22

平成20年05月20日最高裁判所第二小法廷決定(自招危害に対する正当防衛の成否)

平成18(あ)2618傷害被告事件
平成20年05月20日最高裁判所第二小法廷決定

原審
東京高等裁判所   
平成18(う)2017
平成18年11月29日

裁判要旨
相手方から攻撃された被告人がその反撃としてした傷害行為について,相手方の攻撃に先立ち被告人が相手方に対して暴行を加えていたことなどから,被告人は不正の行為により自ら侵害を招いたものであり,被告人において何らかの反撃行為に出ることが正当とされる状況における行為とはいえないとして正当防衛が否定された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36365&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080522102313.pdf

平井利明のメモ

|

2008.05.21

平成20年04月24日東京地方裁判所判決(有価証券報告書等への虚偽記載と損害賠償)

平成17(ワ)1768等損害賠償請求事件
平成20年04月24日東京地方裁判所民事第8部判決

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080521162620.pdf

事案の概要(判決文より)
原告らが,被告らに対し,被告西武鉄道株式会社(以下「被告西武鉄道」という。)が株式会社コクド(以下「コクド」という。)所有にかかる被告西武鉄道の株式数を過少に記載した有価証券報告書及び半期報告書を関東財務局長等に対し継続して提出してその虚偽記載を訂正せず,また,コクドも当該虚偽記載に積極的に関与したため,被告西武鉄道の株式(以下「西武鉄道株式」という。)を取得した原告らが損害を被ったと主張し,被告西武鉄道及びコクドを吸収合併した被告株式会社プリンスホテル(以下「被告プリンスホテル」という。)に対しては不法行為(民法709条,719条1項前段)に基づき,被告西武鉄道及びコクドの代表取締役であった被告A,被告西武鉄道の代表取締役であった被告B並びに被告西武鉄道の代表取締役であった亡Dの相続人である被告Cに対しては不法行為(民法709条,719条1項前段)又は平成16年法律第97号による改正前の証券取引法(平成18年法律第65号により法律の題名が「金融商品取引法」と改められた。以下「旧証取法」という)24条の4,24条の。5第5項,22条1項に基づき,連帯して,損害賠償金及びこれらに対する不法行為の後の日である平成16年10月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案

主  文
1 被告西武鉄道株式会社,被告株式会社プリンスホテル,被告A及び被告Bは,別紙認容額等一覧表1の「原告」欄記載の各原告に対し,連帯して,同表「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成16年10月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Cは,別紙認容額等一覧表2の「原告」欄記載の各原告に対し,被告西武鉄道株式会社,被告株式会社プリンスホテル,被告A及び被告Bと連帯して,同表「認容額」欄記載の各金員及びこれらに対する平成16年10月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を,亡Dから相続した財産の存する限度において,支払え。
3 上記原告らのその余の請求及び上記原告ら以外の原告らの請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用の負担は次のとおりとする。
(1) 別紙認容額等一覧表1の「1 原告」欄記載の原告らと被告西武鉄道株式会社,被告株式会社プリンスホテル,被告A及び被告Bとの間においては,当該当事者間において生じた訴訟費用のうち,当該原告らに生じた費用の3分の1及び当該被告らに生じた費用を当該被告らの負担とし,当該原告らに生じたその余の費用を当該原告らの負担とし,その余の原告らと当該被告らとの間においては,当該当事者間において生じた訴訟費用の全部をその余の原告らの負担とする。
(2) 別紙認容額等一覧表2の「2 原告」欄記載の原告らと被告Cとの間においては,当該当事者間において生じた訴訟費用のうち,当該原告らに生じた費用の3分の1及び被告Cに生じた費用を被告Cの負担とし,当該原告らに生じたその余の費用を当該原告らの負担とし,その余の原告らと被告Cとの間においては,当該当事者間において生じた訴訟費用の全部をその余の原告らの負担とする。
5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

平井利明のメモ

|

2008.05.20

平成20年04月30日京都地方裁判所判決(定額補修分担金・更新料の返還について)

平成19(ワ)2242定額補修分担金・更新料返還請求事件
平成20年04月30日京都地方裁判所第6民事部判決 

判示事項の要旨
定額補修分担金特約が消費者契約法10条に該当し無効であるとして,同特約に基づき支払われた金員の返還請求が認容された事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36358&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080519115959.pdf

平井利明のメモ

|

2008.05.17

平成20年04月23日大阪地方裁判所判決(信販会社の共同不法行為)

平成18(ワ)10959損害賠償請求事件
平成20年04月23日大阪地方裁判所第22民事部判決 

判示事項の要旨
1 自社の従業員にその支給される給与に相当する額を支払わせることとなる商品の販売を継続した呉服販売会社の行為は,著しく社会的相当性を逸脱するものであり,不法行為を構成するとされた事例
2 信販会社が,加盟店である販売会社が不法行為に当たる社会的に著しく不相当な商品の販売行為をしていることを知りながら当該商品の購入者と立替払契約を締結した行為は,販売会社の不法行為を助長したものとして,販売会社と共同不法行為を構成するとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36349&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080514132148.pdf

平井利明のメモ

|

2008.05.13

平成19(ク)1128婚姻費用分担審判に対する抗告審の変更決定に対する特別抗告事件(不利益変更に際する配慮について)

平成19(ク)1128婚姻費用分担審判に対する抗告審の変更決定に対する特別抗告事件
平成20年05月08日最高裁判所第三小法廷決定

原審
東京高等裁判所平成19年10月11日決定   
平成19(ラ)1257

裁判要旨
婚姻費用の分担に関する処分の審判に対する抗告審が抗告の相手方に対し抗告状及び抗告理由書の副本を送達せず,反論の機会を与えることなく不利益な判断をしたことと憲法32条

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36346&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080513092941.pdf

多数意見の抜粋(判決文より)
「本件抗告理由において,抗告人は,原決定までの間に更に仮払金を支払ったと主張している。仮に抗告人の主張するような仮払金支払の事実があったとすれば,抗告人は,原決定の執行力を排除するために,その事実を異議の事由として請求異議の訴えを提起することができるものと考えられるが,本来,仮払金支払の事実の有無については,原審において審理されるべきものである。ところが,本件記録によれば,原審においては,抗告人に対して相手方から即時抗告があったことを知らせる措置が何ら執られていないことがうかがわれ,抗告人は原審において上記主張をする機会を逸していたものと考えられる。そうであるとすると,原審においては十分な審理が尽くされていない疑いが強いし,そもそも本件において原々審の審判を即時抗告の相手方である抗告人に不利益なものに変更するのであれば,家事審判手続の特質を損なわない範囲でできる限り抗告人にも攻撃防御の機会を与えるべきであり,少なくとも実務上一般に行われているように即時抗告の抗告状及び抗告理由書の写しを抗告人に送付するという配慮が必要であったというべきである。以上のとおり,原審の手続には問題があるといわざるを得ないが,この点は特別抗告の理由には当たらないところである。」

いずれも弁護士出身となる
田原睦夫最高裁判事の補足意見
那須弘平最高裁判事の反対意見
がある。

いずれにせよ,不利益変更に際して,不利益を被るものに一言も言わせる機会すら与えない裁判官がいること,それも(東京)高等裁判所にすら存在する現実を考えると怖ろしいことである。

平井利明のメモ

|

2008.05.08

平成20年04月18日札幌高等裁判所判決(ホフマン係数を採用したケース)

平成19(ネ)247損害賠償請求控訴事件
平成20年04月18日札幌高等裁判所第2民事部判決       

原審裁判所名
札幌地方裁判所   
平成16(ワ)2051

判示事項の要旨
キツネが高速道路に飛び出して死亡事故が起きた事件で,原審判決を取り消して,高速道路を管理する旧公団(現東日本高速道路株式会社)がキツネを含む中小動物の高速道路への侵入防止対策を講ぜず,高速道路としての通常有すべき安全性を欠いていたとして,道路の設置,保存の瑕疵を認め,同会社に対し損害賠償を命じた事例。また,原審で認定したライプニッツ方式による逸失利益算定方式を変更し,ホフマン方式による算定方式を採用した事例。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36340&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080508113408.pdf

判決文より
ホフマン係数を用いた理由に関する部分
「控訴人らは,Aの逸失利益の算定に当たって中間利息を控除する方式として,民事法定利率年5分での単利方式であるホフマン方式(将来取得する債権額を毎年均等に取得するという前提に立つ複式ホフマン方式をいうものと解される。)を採用すべきであると主張したが,原審はこれを採用せず,民事法定利率年5分での複利方式であるライプニッツ方式により中間利息を控除した。
 しかしながら,現行法は,将来の請求権を現在価額に換算するに際し,法的安定及び統一的処理が必要とされる場合には,法定利率により中間利息を控除する考え方を採用している。例えば,民事執行法88条2項,破産法99条1項2号(旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)46条5号も同様),民事再生法87条1項1号,2号,会社更生法136条1項1号,2号等は,いずれも将来の請求権を法定利率による中間利息の控除によって現在価額に換算することを規定している。損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するについても,法的安定及び統一的処理が必要とされるのであるから,民法は,民事法定利率により中間利息を控除することを予定しているものと考えられる。このように考えることによって,事案ごとに,また,裁判官ごとに中間利息の控除割合についての判断が区々に分かれることを防ぎ,被害者相互間の公平の確保,損害額の予測可能性による紛争の予防も図ることができる(最高裁判所平成17年6月14日判決・民集59巻5号983頁)。そして,民事執行法等における中間利息の控除に当たっては,複利方式であるライプニッツ方式ではなく,民法が前提とする単利計算(民法405条)を用いたホフマン方式により行われているのであるから,法的安定及び統一的処理の見地からすれば,損害賠償額の算定に当たり,被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算するための方式は,ホフマン方式によらなければならないというべきである。
 なお,実質的に考えても,本件のように逸失利益算定の基礎収入を被害者の死亡時に固定した上で将来分の逸失利益の現在価値を算定する場合には,本来,名目金利と賃金上昇率又は物価上昇率との差に当たる実質金利に従って計算するのが相当であるところ,本件事故時における実質金利が法定利率である年5パーセントを大幅に下回っていたことは公知の事実である。であるにもかかわらず,法的安定性の見地から民事法定利率を用いるべきであると解する以上,被害者が被った不利益を補填して不法行為がなかった状態に回復させることを目的とする損害賠償制度の趣旨からして,被害者が受け取るべき金額との乖離がより少ないと考えられるホフマン方式を用いるのが相当である。」

平井利明のメモ

|

2008.04.30

平成20年04月15日大阪地方裁判所第20民事部判決(仮装の証券取引と損害賠償)

平成15(ワ)10018損害賠償請求事件
平成20年04月15日大阪地方裁判所第20民事部判決 

判示事項の要旨
証券取引所の副理事長であった者が,同取引所の開設する証券取引市場における取引高をかさ上げするために,取引需要に基づかない取引を自ら指示して設立させた会社に実行させ,また,同取引に係る注文を受発注する証券会社の設立を主導し,そのために必要な資金を自らが代表取締役に就任している同取引所の100%子会社から出捐させたことは,同取引所に対する善管注意義務違反となるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36330&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080428140135.pdf

事案の概要(判決文より)
本件は,原告が,Ⅰ 被告Y1については,被告Y1が,i 原告の専務理事又は副理事長であった平成9年7月から平成12年3月までの間,その地位に基づき又はその地位を利用して,原告の職員等に指示をして,A社に原告の資金を提供し,A社をして原告の開設する有価証券市場(以下「X市場」という)において証券取引法が禁止。する仮装取引等を行わせ,その取引によってA社に生じた経済的損失を原告に負担させたこと,ii 平成10年法律第107号による改正(以下「平成10年改正」という。)前の証券取引法86条2項,平成12年法律第96号による改正(以下「平成12年改正」という。)前の証券取引法106条の2(以下,これらの規定を挙げるときは,上記各改正前のものをいう。)及び原告の定款2条に規定する証券取引所の業務範囲や運営目的に反して,仮装取引等の違法取引を行わせるために原告の関連会社としてB証券会社の設立を主導して行ったことは,被告Y1が専務理事又は副理事長として原告に対して負う善管注意義務に違反するなどと主張し,Ⅱ 被告Y2については,原告の理事長であった被告Y2が,被告Y1の上記Ⅰⅰの行為について監視監督を怠り,また,上記ⅠiiのB証券会社の設立を承認したことは,被告Y2が理事長として原告に対して負う善管注意義務に違反するなどと主張し,被告Y1及び被告Y2に対し,善管注意義務違反を理由とする損害賠償請求として,① 上記損失負担による損害,② B証券会社の設立に関して生じた損害並びに③ 上記Ⅰi及びⅠiiの各行為によってX市場の公正さが著しく害され,投資家及び国民の原告に対する信頼の失墜を招き,原告の名誉及び社会的信用が著しく毀損されたことによる損害の合計5億2024万5306円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案

主文
1 被告Y1は,原告に対し,2億9735万1491円及びこれに対する平成15年10月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告Y2は,原告に対し,1億2859万3137円及びこれに対する平成15年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,原告に生じた費用の5分の2,被告Y1に生じた費用の5分の2及び被告Y2に生じた費用の4分の3を原告の負担とし,原告に生じた費用の5分の2及び被告Y1に生じた費用の5分の3を同Yの負担とし,原告に生じた費用の5分の1及び被告Y2に生じた費用の4分の1を同Yの負担とする。
5 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。

平井利明のメモ

|

2008.04.28

平成20年03月27日大阪地方裁判所判決(建物明け渡し請求関係)

平成19(ワ)9510建物明渡請求事件
平成20年03月27日大阪地方裁判所第7民事部判決 

判示事項の要旨
市が所有する行政財産である市立人権文化センター内の事務室部分を,6年余りの間支部事務所として独占的に利用している部落開放同盟支部に対して,市が求めた当該事務所部分の明渡請求を認容した事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36328&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080425163033.pdf

平井利明のメモ

|

平成19(ネ)418解雇無効確認等請求控訴事件(福岡高裁判決)

平成19(ネ)418解雇無効確認等請求控訴事件
平成20年03月12日福岡高等裁判所第4民事部判決 
【破棄自判】

原審
平成18(ワ)531
福岡地方裁判所判決

判示事項の要旨
一審被告のバス運転士として雇用されていた一審原告が,乗客の遺留したバスカードの領得(以下「チャージ事件」という。)等を理由に懲戒解雇されたことにつき,一審原告が,一審被告による巡視,事情聴取及び懲戒解雇は違法であると主張して,一審被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案について,原審は,懲戒解雇は解雇権を濫用した違法なものであると判断して,一審原告の請求を一部認容し,その余は失当として棄却した(双方控訴)が,一審被告においては,チャージ事件を起こした運転士に対しては,懲戒解雇という厳しい処分で臨んでいたこと,一審原告は,入社時教育や業務常会への参加等を通じて,一審被告がチャージ事件については被害額が少額であっても懲戒解雇とする方針でありこれを実行していたことを知っていたこと,一審被告の労働組合も,本件非違行為を理由に一審原告を懲戒解雇することを承認していること等の事実が認められる本件においては,一審被告が一審原告に対して懲戒解雇に及んだことには合理的理由があり,本件解雇は社会通念上相当として是認することができ,解雇権を濫用したものということはできず,また,一審被告による巡視,事情聴取も違法なものではなかったとして,一審被告の敗訴部分を取り消して,一審原告の請求を棄却した事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36269&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080408094433.pdf

平井利明のメモ

|

2008.04.25

平成20年03月28日大阪地方裁判所判決(大江健三郎氏等の著作を巡る件

平成17(ワ)7696 出版差止等請求事件
平成20年03月28日大阪地方裁判所第9民事部判決 

判示事項の要旨
太平洋戦争後期に沖縄の座間味島および渡嘉敷島の各守備隊長であった元軍人が住民に集団自決を命じたという記述及びこれを前提とした意見,論評の記述のある書籍について,元軍人及び遺族が,同書籍を出版し又は執筆した被告らに対し,同記述は虚偽の事実を摘示したものであり,元軍人は名誉,人格的利益を侵害され,遺族は亡元軍人に対する敬愛追慕の情を内容とする人格的利益を侵害されたと主張して,損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた事案において,上記書籍の記述どおりの元軍人の命令を認定することはできないが,同命令があったことを真実と信じるについての相当の理由があったものと認められるなどとして,上記請求が棄却された事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36329&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080425164436.pdf

因みに私のPCで表示しようとすると
・・・・「ファイルが壊れています。」と表示される

平井利明のメモ

|

平成20年04月24日最高裁判所第一小法廷判決(再審事由が認められる可能性のある場合であっても上告が不適とされた事案)

平成18(受)1772 特許権に基づく製造販売禁止等請求事件
平成20年04月24日最高裁判所第一小法廷判決 

原審
大阪高等裁判所平成18年05月31日判決    
平成16(ネ)3586

裁判要旨
特許法104条の3第1項に基づく無効主張を採用して特許権に基づく損害賠償等の請求を棄却すべきものとした控訴審判決につき,同判決後に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定したため再審事由が存するとしてその判断を争うことが許されないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36309&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080424152947.pdf

事案はややこしいので省略
(判決文をお読み下さい)

最高裁判所は「本件については,民訴法338条1項8号所定の再審事由が存するものと解される余地があるというべきである。」との判断を示しつつも(再審事由にあたるならば,原則として上告理由にあたると言える),「 しかしながら,仮に再審事由が存するとしても,以下に述べるとおり,本件において上告人が本件訂正審決が確定したことを理由に原審の判断を争うことは,上告人と被上告人らとの間の本件特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものであり,特許法104条の3の規定の趣旨に照らして許されない」として,事案の性質から,(個別事案の解決として)上告を棄却したもの。

なお泉徳治裁判官の意見が付されている。

平井利明のメモ

|

平成20年04月24日最高裁判所第一小法廷判決(チーム医療における説明義務に関して)

平成18(受)1632損害賠償請求事件
平成20年04月24日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所平成18年06月08日判決   
平成17(ネ)9

裁判要旨
1 チーム医療として手術が行われる場合にチーム医療の総責任者が患者やその家族に対する手術についての説明に関して負う義務
2 チーム医療として手術が行われ,チーム医療の総責任者が患者やその家族に対する手術についての説明を主治医にゆだねた場合において,当該主治医の上記説明が不十分なものであっても同総責任者が説明義務違反の不法行為責任を負わない場合

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36310&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080424152757.pdf

事案の概要(判決文より)
大動脈弁閉鎖不全のためA大学医学部附属病院(以下「本件病院」という。)に入院して大動脈弁置換術(以下「本件手術」という。)を受けたBが本件手術の翌日に死亡したことについて,Bの相続人である被上告人らが,本件手術についてのチーム医療の総責任者であり,かつ,本件手術を執刀した医師である上告人に対し,本件手術についての説明義務違反があったこと等を理由として,不法行為に基づく損害賠償を請求する事案

判決文よりの抜粋(なお,下線,色は管理人が付したものである)
一般に,チーム医療として手術が行われる場合,チーム医療の総責任者は,条理上,患者やその家族に対し,手術の必要性,内容,危険性等についての説明が十分に行われるように配慮すべき義務を有するものというべきである。」
「しかし,チーム医療の総責任者は,上記説明を常に自ら行わなければならないものではなく,手術に至るまで患者の診療に当たってきた主治医が上記説明をするのに十分な知識,経験を有している場合には,主治医に上記説明をゆだね,自らは必要に応じて主治医を指導,監督するにとどめることも許されるものと解される。」
「そうすると,チーム医療の総責任者は,主治医の説明が十分なものであれば,自ら説明しなかったことを理由に説明義務違反の不法行為責任を負うことはないというべきである。」
「また,主治医の上記説明が不十分なものであったとしても,当該主治医が上記説明をするのに十分な知識,経験を有し,チーム医療の総責任者が必要に応じて当該主治医を指導,監督していた場合には,同総責任者は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。」
「このことは,チーム医療の総責任者が手術の執刀者であったとしても,変わるところはない。」
「前記事実関係によれば,上告人は自らB又はその家族に対し,本件手術の必要性,内容,危険性等についての説明をしたことはなかったが,主治医であるC医師が上記説明をしたというのであるから,C医師の説明が十分なものであれば,上告人が説明義務違反の不法行為責任を負うことはないし,C医師の説明が不十分なものであったとしても,C医師が上記説明をするのに十分な知識,経験を有し,上告人が必要に応じてC医師を指導,監督していた場合には,上告人は説明義務違反の不法行為責任を負わないというべきである。ところが,原審は,C医師の具体的な説明内容,知識,経験,C医師に対する上告人の指導,監督の内容等について審理,判断することなく,上告人が自らBの大動脈壁のぜい弱性について説明したことがなかったというだけで上告人の説明義務違反を理由とする不法行為責任を認めたものであるから,原審の判断には法令の解釈を誤った違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。」
「原判決のうち上告人の敗訴部分は破棄を免れない。そして,C医師の説明内容,C医師が本件手術の必要性,内容,危険性等について説明をするのに十分な知識,経験を有していたか等について更に審理を尽くさせるため,同部分につき本件を原審に差し戻すこととする。」

管理人のコメント:
医療という場面もさることながら,現代において,多くの方々が連携して一つの作業を行うことは極めて一般的なこと。
その中で,適任者が適切な説明を行えば足りることは明かであろう。
説明とは,説明を受ける者が適切な判断等ができる内容の説明を受ける機会があったか否かが重要なのであって,適切な機会を与えうる者であれば説明者が誰であったとしても,(損害賠償義務が発生するか否か,言い換えれば違法なものであるか否かという観点から言えば)少なくとも最低限のレベルはクリアされると言わなければならない。
必ず総責任者(行為者)が自らが説明を行わなければならないとすることは,説明の目的をそもそも十分に理解せず且つ非現実的なものと批判されてもやむを得ないであろう(そのことは広く言えることであろうし,医療の世界でも同様だろう)。
そう考えると,最高裁判所の考え方は極めて常識的なものであって,高裁の判断は明らかに妥当でないと言える。

平井利明のメモ

|

2008.04.19

平成20年04月18日最高裁判所第二小法廷判決(学校での事故関連)

平成19(受)1180損害賠償請求事件
平成20年04月18日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄自判】

原審
東京高等裁判所平成19年04月11日判決   
平成18(ネ)4025

裁判要旨
公立小学校3年の児童が,朝自習の時間帯に離席して,落ちていたベストのほこりを払おうとして同ベストを頭上で振り回したところ,これが別の児童の右眼に当たり当該児童が負傷した事故につき,教室内にいた担任教諭に児童の安全確保等についての過失がないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36296&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080418140937.pdf

|

2008.04.18

平成17(ワ)12617損害賠償等請求事件(大阪地裁判決:フェスティバルゲート関連)

平成17(ワ)12617損害賠償等請求事件
平成20年03月18日大阪地方裁判所第24民事部判決 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36272&hanreiKbn=03

判示事項の要旨
事業主が定める営業日,営業時間に開園される遊園複合施設の事業主が,同施設内の飲食店用区画のテナント募集に当たり,出店をするかどうかを決定する上で重要な判断材料となる同事業の計画や実績等の情報を説明せず,また,事業成績が不振であることなどを出店後のテナントに秘して漫然と事業運営を継続し,退店の判断を含むテナントの経営判断を誤らせたことは,テナントに対する不法行為に当たるとして,事業主に損害賠償責任が認められた事例

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080408192728.pdf
   

平井利明のメモ

|

2008.04.17

平成15(う)179医師法違反被告事件(札幌高裁判決)

平成15(う)179医師法違反被告事件
平成20年03月06日札幌高等裁判所

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36093&hanreiKbn=03

原審
札幌地方裁判所   
平成14(わ)95

判示事項の要旨
当時救命救急センターの責任者であった被告人が,研修のため同センターに配置された歯科医師3人らと共謀の上,同歯科医師らをして歯科に属さない疾病に関わる患者らに医行為を行わせたとして,無免許医業罪の成立を認めた原判決(罰金6万円,1日換算5000円)に対し,歯科医師による救命救急センターにおける研修は歯科医療にとって不可欠であり,社会的相当性が認められるから違法性が阻却され,被告人は無罪であることを主な理由としてなされた被告人の控訴を棄却した事例

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080321145407.pdf
別紙1
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080321145340-1.pdf

平井利明のメモ

|

2008.04.16

平成18(受)336所有権移転登記抹消登記手続等,入会権確認請求事件

平成18(受)336所有権移転登記抹消登記手続等,入会権確認請求事件
平成20年04月14日最高裁判所第一小法廷判決

原審
広島高等裁判所平成17年10月20日判決   
平成15(ネ)195
 
裁判要旨
共有の性質を有する入会権に関する慣習の効力は,入会権の処分についても及び,入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,有効である
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36285&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080414154738.pdf

判決文より
「民法263条は,共有の性質を有する入会権について,各地方の慣習に従う旨を定めており,慣習は民法の共有に関する規定に優先して適用されるところ,慣習の効力は,入会権の処分についても及び,慣習が入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としないものであっても,公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り,その効力を有するものと解すべきである」

平井利明のメモ

|

2008.04.15

平成20年04月15日最高裁判所第三小法廷判決(人権擁護委員会の活動に関して)

平成18(受)263損害賠償請求事件
平成20年04月15日最高裁判所第三小法廷判決

【破棄自判】

原審
広島高等裁判所平成17年10月26日判決   
平成15(ネ)149

裁判要旨
弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救済の申立てを受け,同委員会所属の弁護士が調査の一環として他の受刑者との接見を申し入れた場合において,これを許さなかった刑務所長の措置に国家賠償法1条1項にいう違法がないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36288&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080415142414.pdf

平井利明のメモ

|

2008.04.10

平成20年03月13日東京地方裁判所判決(大手鉄鋼メーカー間における特許権を巡る訴訟事案)

平成18(ワ)6663特許権侵害差止等請求事件
平成20年03月13日東京地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36016&hanreiKbn=06   

判決文(裁判所サイトより)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080314111445.pdf

主文
1 引受参加人の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,引受参加人の負担とする。

請求
1 被告は,別紙物件目録記載の粗面仕上金属箔を製造し,販売してはならない。
2 被告は,引受参加人に対し,金14億6000万円及びこれに対する平成18年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

事案の概要(判決文より)
 本件は,「粗面仕上金属箔および自動車の排ガス触媒担体」についての特許権を有している引受参加人が,被告が製造・販売した別紙物件目録記載の粗面仕上金属箔が上記特許権の技術的範囲に属し,その製造・販売が上記特許権を侵害したものであると主張して,被告に対し,上記粗面仕上金属箔の製造・販売の差止,損害賠償金12億円及び不当利得金2億6000万円並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求めている事案
訴訟係属中に,会社分割により,脱退原告が有していた上記特許権を引受参加人が承継したという経緯がある。

平井利明のメモ

|

平成19(わ)238薬事法違反被告事件(富山地裁判決)

平成19(わ)238薬事法違反被告事件
平成20年03月26日富山地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=36273&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080409135605.pdf

平井利明のメモ

|

2008.04.09

平成20年02月13日神戸地方裁判所第6民事部判決(過払金返還債権と旧会社更生法241条)

平成19(ワ)875不当利得返還請求
平成20年02月13日神戸地方裁判所第6民事部判決 

判示事項の要旨
過払金返還債権が旧会社更生法241条で失権するか

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=35784&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080221140852.pdf

平井利明のメモ

|

2008.04.02

平成20年02月18日東京地方裁判所民事第14部判決

平成19(ワ)7490損害賠償
平成20年02月18日東京地方裁判所民事第14部判決

         
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=35798&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080225110034.pdf

事案の概要(判決文より)
平成16年7月12日から被告の開設する病院に入院して診療を受けていた原告Aが,同月29日に,看護師の過誤により,尿を貯める蓄尿検査を行う際に防腐剤として使用されるアジ化ナトリウムを内服し,白質脳症となり,身の回りの動作に全面的な介護を要する状態(高次脳機能障害)となったことにつき,原告Aとその夫と子が,被告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償を請求する事案

平井利明のメモ

|

2008.04.01

平成20年01月31日東京地方裁判所民事第30部判決(医療事件・請求棄却)

平成17(ワ)12366損害賠償
平成20年01月31日東京地方裁判所民事第30部判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=35703&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080207105418.pdf

<判決文より>
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
被告らは,原告に対し,各自5億8628万5586円及び内金5億3107万7806円に対する平成12年8月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

事案の概要
被告学校法人a(以下「被告法人」という。)が開設するb大学医学部附属病院(以下「被告病院」という。)において,増殖性糖尿病網膜症等により眼の手術を受けた原告が,①左眼手術中,インフュージョンカニューラを硝子体部分まで挿入させなかった手技ミスによって左眼が失明状態となり,
②右眼手術にあたり,分割照射を行わず,一度に大量の過剰照射を行ったことによって右眼が高度視野狭窄に陥ったと主張して,上記手術を担当した被告病院の医師である被告c(以下「被告c医師」という。)及び被告d(以下「被告d医師」という。)に対しては不法行為責任(民法709条)に基づき,被告法人に対しては不法行為責任(民法715条)又は医療契約上の債務不履行責任(民法415条)に基づき,それぞれ損害賠償金の支払を求めた事案。

損害
(原告の主張)
原告は,被告らの上記過失により,合計5億8628万5586円の損害を被った。
ア 逸失利益4億8107万7806円
原告は,被告病院に入通院を開始する前には,会社を経営し,平成11年には5121万1178円の年収を得ていた。ところが,本件により被った後遺症のため,100%労働能力を喪失し,その結果,会社の一つを廃業し,また,別の会社の役員を退任せざるをえなくなり,すべての収入を失った。
原告は,本件当時54歳であり,就労可能年数は13年(対応するライプニッツ係数は9.394)であった。したがって,次の計算式のとおり,4億8107万7806円の逸失利益が生じている。
(計算式)
5121万1178円×9.394=4億8107万7806円
イ 後遺症慰謝料ほかの精神的損害5000万円
本件の障害によって,原告は,身体障害者福祉法上3級の障害と認定された。また,それにとどまらず,原告は,一人旅,読書,車の運転,ゴルフ等の趣味をすべて失い,また,性欲減退によって性生活もままならなくなってしまった。のみならず,被告医師らは,初診時の診断において必要とされる検査を行わず,また,硝子体手術に伴う合併症の危険性やバックリング術についても説明をすることなく,原告の左眼が失明状態となってもなお,原告に対してその状態の詳細や原因について十分に説明をすることはなかった。以上の事情があることからすれば,本件において原告は,重大な精神的苦痛を被ったといえ,金銭に評価するとすれば,5000万円を下らない。
ウ 弁護士費用5520万7780円

平井利明のメモ

|

2008.03.31

平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決(救護措置義務関連)

平成19(受)611損害賠償請求事件
平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決

原審
大阪高等裁判所平成18年12月13日判決
平成18(ネ)1702

裁判要旨
少年Aが少年B及び少年Cから暴行を受けて死亡したことについて,暴行が行われている現場に居た少年Y1~Y3がAを救護するための措置を執るべき法的義務を負っていたとはいえないとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35876&hanreiKbn=01

反対意見あり

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080228162346.pdf

義務というものを考えることの難しさを示す一例である。事案を考えると,本当に多数意見の結果でよいのかとの疑問も浮かぶ。しかし,義務内容は,行動を行う際の行為基準となるべきものであることを考えると,極めて微妙とされる場合には,やはり無責との方向性となることが基本と考えるべきなのだろう。

平井利明のメモ

|

2008.03.28

平成20年02月27日東京地方裁判所判決(不正競争防止法に基づく損害賠償請求関連)

平成18(ワ)21248損害賠償請求事件
平成20年02月27日東京地方裁判所判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35871&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080228143808.pdf

判決文より
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

「原告が,その従業員であった被告乙野二郎(以下「被告乙野」という。),被告丙野三郎(以下「被告丙野」という。)及び被告丁野四郎(以下「被告丁野」という)並びに原告と業務請負契約を締結していた被告甲野一郎(以下「被告甲野」という。)に対して,被告らは,原告の営業秘密を,不正の競業その他の不正の利益を得る目的で,第三者に開示したところ,同行為は,不正競争防止法2条1項4号又は7号の不正競争行為に該当し,原告は,被告らの上記行為により1000万円の損害を被ったとして,不正競争防止法4条に基づき,上記損害金及びこれに対する本訴状送達日の翌日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めるとともに,選択的に,被告らの上記行為は,雇用契約の付随義務として負担する秘密保持義務の違反(被告乙野,同丙野及び同丁野について)又は機密保持契約の締結によって負担した秘密保持義務の違反(被告丙野及び被告甲野について)に該当するとして,債務不履行に基づく損害賠償請求として,上記の損害金及び遅延損害金の連帯支払を求めている事案」

「損害の発生等に関する原告の主張を認めることはできない。
第4 結論
以上の次第で,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとして,主文のとおり判決する。」

平井利明のメモ

|

平成20年03月27日最高裁判所第一小法廷判決(過失相殺関連)

平成18(受)1870損害賠償請求事件
平成20年03月27日最高裁判所第一小法廷判決

破棄差戻し

原審
札幌高等裁判所平成18年07月20日判決    
平成17(ネ)135 

裁判要旨
業務上の過重負荷と従業員の基礎疾患とが共に原因となって従業員が急性心筋虚血により死亡した場合において,使用者の不法行為を理由とする損害賠償の額を定めるに当たり過失相殺に関する民法722条2項の規定を類推適用しなかった原審の判断に違法があるとされた事例
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36195&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080327161954.pdf

判決文よりの抜粋
「被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度等に照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,民法722条2項の規定を類推適用して,被害者の疾患をしんしゃくすることができる(最高裁昭和63年(オ)第1094号平成4年6月25日第一小法廷判決・民集46巻4号400頁参照)。」
「このことは,労災事故による損害賠償請求の場合においても,基本的に同様であると解される。」
「また,同項の規定による過失相殺については,賠償義務者から過失相殺の主張がなくとも,裁判所は訴訟にあらわれた資料に基づき被害者に過失があると認めるべき場合には,損害賠償の額を定めるに当たり,職権をもってこれをしんしゃくすることができる(最高裁昭和39年(オ)第437号同41年6月21日第三小法廷判決・民集20巻5号1078頁参照)。」
「このことは,同項の規定を類推適用する場合においても,別異に解すべき理由はない。」

「原審は,前記3(1)記載の理由により,上告人が原審において過失相殺に関する規定の類推適用を主張することは訴訟上の信義則に反するものとして許されないというのであるが,そもそも,裁判所が過失相殺に関する規定を類推適用するには賠償義務者によるその旨の主張を要しないことは前述のとおりであり,」
「この点をおくとしても,前記2(2)記載の本件訴訟の経過にかんがみれば,第1審の段階では上告人においてAが家族性高コレステロール血症にり患していた事実を認識していなかったことがうかがわれるのであって,上告人の上記主張が訴訟上の信義則に反するものということもできない。」
「 そうすると,上告人の不法行為を理由とする被上告人らに対する損害賠償の額を定めるに当たり過失相殺に関する規定(民法722条2項)の類推適用をしなかった原審の判断には,過失相殺に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきである。」

平井利明のメモ

|

2008.03.26

平成20年02月12日東京地方裁判所民事第28部判決(医療事件・請求棄却)

平成12(ワ)21303損害賠償
平成20年02月12日東京地方裁判所民事第28部判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=35766&hanreiKbn=03

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080219162615.pdf

判決文より

主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。

「原告らの子が,綿菓子の割りばしをくわえたまま転倒し,軟口蓋に受傷したとして,被告学校法人杏林学園(以下「被告杏林学園」という。)が開設する杏林大学医学部付属病院(以下「被告病院」という。)を受診したが,担当医師被告Aは十分な診察を行わず,子の頭蓋内損傷を看過し,適切な治療を行わなかった診療上の注意義務違反(過失)があり,これによって子が死亡するに至ったことに加え,子の治療方法に関する被告病院医師らの不適切な説明により精神的損害を被ったとして,原告らが被告らに対して,債務不履行及び不法行為(使用者責任)に基づき,連帯して,子の逸失利益及び慰謝料並びに原告ら固有の慰謝料等合計4480万1983円並びにこれに対する平成11年7月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案」

平井利明のメモ

|

2008.03.21

平成20年01月24日大阪地方裁判所判決(不正競争関係)

平成18(ワ)11437不正競争行為差止等請求事件
平成20年01月24日大阪地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35630&hanreiKbn=06

事案の概要(判決文)
デンマーク王国法人である後記ヒュンメル社の製品(スポーツシューズ等)を日本国内において独占的に輸入販売・製造販売する権利を有する原告が,短靴(スニーカー・カジュアルシューズ)を輸入・販売する被告に対し,ヒュンメル社の短靴の図柄模様は,同社の出所を表示する商品等表示として周知性を有するところ,被告の短靴(後記イ号ないしニ号物件)の図柄模様はヒュンメル社の短靴の図柄模様と類似し,ヒュンメル社の商品と混同のおそれがある(不正競争防止法2条1項1号)として,①上記1号及び同法3条1項に基づき被告の各短靴の輸入・販売等の差止め,②上記1号及び同法3条2項に基づき被告の各短靴の廃棄,③同法4条に基づき被告の短靴の販売によって原告が被った1881万円の損害賠償及びこれに対する平成18年11月15日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080125161126.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.18

平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決(保護申請却下処分取消等請求事件)

平成17(行ヒ)47保護申請却下処分取消等請求事件
平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄自判】

大阪高等裁判所平成16年11月05日判決
平成16(行コ)36

裁判要旨
生活保護を受けている者が外国への渡航費用を支出した事実等から本来その最低限度の生活の維持のために活用すべき金銭を保有していたことは明らかであるとして,同人のその月の生活扶助の金額を減ずる旨の保護変更決定が適法であるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35875&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080228145926.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.17

平成20年01月22日大阪地方裁判所判決(意匠権関係)

平成19(ワ)2366意匠権侵害差止等請求事件
平成20年01月22日大阪地方裁判所
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35626&hanreiKbn=06

事案の概要(判決文より)
意匠権,実用新案権及び特許権を有する原告が, 被告の製造販売するマンホール蓋受枠(後記イ号製品①及び②,ロ号製品①及び②)の意匠は上記意匠権に係る意匠に類似する, 同受枠(後記イ号製品①及び②,ロ号製品①及び②,ハ号製品①及び②)は上記実用新案権に係る考案の技術的範囲に属する,同受枠(後記ハ号製品①及び②,ニ号製品)は上記特許権に係る発明の技術的範囲に属するとして,その製造販売等は上記各権利を侵害すると主張し,被告に対し,上記実用新案権又は特許権に基づき,後記ハ号製品①及び②の製造販売等の差止め並びにそれらの半製品及び製造用の型の廃棄を, 上記特許権に基づき,後記ニ号製品の製造販売等の差止め並びにその半製品及び製造用の型の廃棄を, 上記各権利侵害の不法行為に基づき,平成17年4月20日から平成18年3月31日までの間の原告の逸失利益978万8600円及び弁護士費用相当額100万円,以上合計1078万8600円並びにこれに対する平成18年4月1日(上記損害算定期間の終期の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080125110913.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.15

平成20年01月22日東京地方裁判所判決(特許権関連)

平成19(ワ)11981特許権侵害差止等請求事件
平成20年01月22日東京地方裁判所判決   
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35616&hanreiKbn=06

「コンパクト型豆乳・豆腐製造機」に関する特許権を有する原告が,被告らが販売している別紙物件目録記載の製品は上記特許権に係る特許発明の技術的範囲に属するとして,被告らに対して,特許法100条1項に基づき,上記製品の製造・販売等の行為の差止めを求めるとともに,民法709条及び特許法102条3項に基づき,不法行為による損害賠償金及びこれに対する(不法行為の後である)訴状送達の日の翌日から支払済みまでの間の遅延損害金の支払を求めた事案

請求棄却

判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080123154152.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.14

平成20年03月13日東京地方裁判所判決 (著明神社の著作権侵害に関するもの)

平成19(ワ)1126損害賠償請求事件
平成20年03月13日東京地方裁判所判決 
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=36027&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080314120401.pdf

事案について(判決文よりの抜粋等・一部省略)
 本件は,原告が,(中略)被告らの各行為等は,(中略)被告らの区分(中略)に応じて,それぞれ別紙写真目録の写真の著作物(以下「本件写真」という。)に係る原告の権利を侵害すると主張して,被告らに対し,民法709条及び719条に基づいて合計300万円の損害賠償を請求した事案である。

(注:当事者名については,判決文において略称表記されたもの以外についても略称に変換してある。)

主文
1 被告Bは,原告に対し,30万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告S社は,原告に対し,22万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告S社及び被告Y神社は,原告に対し,連帯して33万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告B,被告S書院及び被告Cは,原告に対し,連帯して6万円及びこれに対する平成19年2月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,これを50分し,その5を被告B,その4を被告S社のそれぞれ負担とし,その5を被告S社及び被告Y神社,その1を被告B,被告S書院及び被告Cのそれぞれ連帯負担とし,その余は原告の負担とする。
7 この判決は,第1項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。

「本件水彩画ポスターの制作による本件写真の翻案権侵害,原告の氏名表示権及び同一性保持権侵害に関する被告サンケイデザイン,被告B及び被告八坂神社に対する請求について」の判断のうち,発注者である被告Y神社の責任に関して

<被告Y神社は,共同して侵害行為を行った者に当たるかとの争点についての判断>よりの抜粋
 被告Y神社は,千年以上もの伝統を有する祇園祭を執行する者であって,本件写真ポスターは,その祇園祭のいわば看板ポスターとして,京都市内各所に約1か月間貼付されたものであると認められる。
 そして,このようなポスターを必要とするに当たり,被告Y神社は,神輿を中心としたポスターを作成することとして,三若神輿会の会長である被告Bが代表取締役を務める被告S社に対して,平成15年に本件写真ポスターの制作を初めて依頼し,翌年にも本件写真ポスターの制作を依頼したことが認められる。
 このような本件写真ポスターの重要性からすれば,被告Y神社が,初めて依頼する被告S社に対して,そのポスターの写真の具体的選択につき,神輿を中心とすること等の注文をした以外は被告S社の裁量に委ねていたとしても,ポスターを大量に印刷する前には,注文者である被告Y神社が,本件写真を掲載して制作されたポスターでいいかどうかを最終確認するのが通常であるから,本件写真ポスターに本件写真を使用することを最終的に了解したのは,被告Y神社であったと解するのが相当である。
 したがって,注文者である被告Y神社は,本件写真ポスターの制作による原告の氏名表示権侵害について,被告S社と共同して侵害行為を行ったものと認めるのが相当である。

<被告Y神社には,故意又は過失があるかとの争点についての判断>よりの抜粋
 被告Y神社は,神社神道に従って祭祀等を行う宗教法人であって,千年以上もの伝統を有する祇園祭を執行するなどして信仰や文化を発信し,日本各地から広く崇敬を集める神社である。そして,被告Y神社のホームページには,Y神社写真展として,本殿(重要文化財),西楼門(重要文化財),境内摂末社その他被告Y神社の境内建物の写真を写真集としてまとめて掲載し,これらの写真の利用の許可申請を受け付けるものとしている。また,被告Y神社は,撮影を許可する際にも,著作権を損なわないよう留意する旨の撮影条件を付していることが認められる(甲9,甲13)。
 このように,被告Y神社は,重要文化財,著作物その他文化的所産を取り扱う立場にある者であって,もとより著作権に関する知識を有するものであるから,著作物を使用するに際しては,当該著作物を制作した者などから著作権の使用許諾の有無を確認するなどして,著作権を侵害しないようにすべき注意義務があるというべきである。
 本件についてみるに,上記(4)のとおり,本件写真を選択し,本件写真ポスターとすることを最終的に了解したのは,被告Y神社であったと解するのが相当であるから,被告Y神社は,その最終判断に当たり,被告S社に対して,本件写真の著作者名や当該著作者名を表示しないことに対する承諾の有無を具体的に確認し,その状況次第では,更に著作者に当該承諾の有無を直接確認するなどして,著作者人格権を侵害しないようにすべき注意義務があったというべきである
 しかしながら,被告Y神社は,このような確認行為をすべき注意義務を怠り,本件写真ポスターの制作を依頼した被告S社が本件写真の著作者名を表示せずに本件写真ポスターに本件写真を掲載するのを漫然と容認したものであって,被告Y神社には,この点において過失があるというべきである。

平井利明のメモ

|

2008.03.12

平成20年01月23日東京地方裁判所判決(特許権関係)

平成17(ワ)25884特許権移転登録等請求事件
平成20年01月23日東京地方裁判所判決   
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35625&hanreiKbn=06

事案の概要(判決文より)
被告及びX(注:社名略)との間で,営業譲渡の契約を締結した原告が,同契約に基づき,同契約の対象財産である別紙特許権目録記載の各特許権(以下「本件各特許権」といい,各別の特許権を同目録記載の番号に従って「本件特許権1」のようにいう。2なお,本件特許権5は,同契約当時,出願中であり登録されていなかった。),別紙意匠権目録記載の各意匠権(以下「本件各意匠権」といい,各別の意匠権を同目録記載の番号に従って「本件意匠権1」のようにいう。)及び別紙商標権目録記載の各商標権(以下「本件各商標権」といい,各別の商標権を同目録記載の番号に従って「本件商標権1」のようにいう。)の移転登録手続を求めるほか,原告が,別紙特許出願権目録記載の各特許を受ける権利(以下「本件各特許を受ける権利」といい,各別の権利を同目録記載の番号に従って「本件特許を受ける権利1」のようにいう。)を有することの確認を求めたのに対し,被告が,本件各特許権,本件各意匠権,本件各商標権及び本件各特許を受ける権利(以下「本件各権利」と総称する。)の移転には,それと対価関係にある原告の債務が履行されておらず,同時履行の抗弁権を有するとして,争っている事案

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080124201212.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.06

平成20年01月17日東京地方裁判所判決(特許権関連)

平成19(ワ)17559特許権侵害差止等請求事件
平成20年01月17日東京地方裁判所判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35614&hanreiKbn=06

事案の概要(判決文より)
生海苔の異物分離除去装置の異物分離機構の特許権を有する原告が,被告に対し,被告の製造販売する異物除去洗浄機が原告の特許発明の技術的範囲に属すると主張して,特許権に基づく同異物除去洗浄機の製造販売等行為の差止め及び廃棄と,特許権ないし独占的通常実施権の侵害に基づく損害賠償として900万円及びこれに対する遅延損害金(不法行為の後の日である平成19年7月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの)の支払いを求めた事案

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080122102417.pdf

平井利明のメモ

|

2008.03.02

平成20年02月25日知的財産高等裁判所判決(プロ野球選手による肖像権に基づく使用許諾権不存在確認請求に関する控訴事件)

平成18(ネ)10072肖像権に基づく使用許諾権不存在確認請求控訴事件
平成20年02月25日知的財産高等裁判所判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=07&hanreiNo=35891&hanreiKbn=06

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080229163349.pdf

判決文より

主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 別紙当事者目録記載の各被控訴人は,それぞれ対応する別紙関係目録記載の
各控訴人との間において,プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードについ
て,同各控訴人の氏名,肖像を第三者に対し使用許諾する権限を有しないこと
を確認する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じて被控訴人らの負担とする。

「本件訴訟は,プロ野球選手である控訴人(一審原告)らが,所属の球団である各被控訴人(一審被告)らに対し,プロ野球ゲームソフト及びプロ野球カードについて,平成17年12月から平成18年1月にかけて更新された平成18年度の各選手契約に基づき,各被控訴人らが第三者に対して各控訴人らの氏名及び肖像の使用許諾をする権限を有しないことの確認を求めた事案である。」
「一審の東京地裁において争点とされたのは,(1)野球選手契約に用いられる統一契約書16条に相当する契約条項(「本件契約条項」)により,選手らの氏名及び肖像の商業的利用権(パブリシティ権)が球団に譲渡され又は独占的に使用許諾されたか,(2)本件契約条項による契約は不合理な附合契約であり民法90条に違反し無効であるか,(3)本件契約条項は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)2条9項5号に基づく一般指定14項の優越的地位の濫用又は13項の拘束条件付取引に当たる行為であって公序良俗に反するか,であった。」
「これにつき原審の東京地裁は,平成18年8月1日,(1)本件契約条項により,選手が球団に氏名及び肖像の使用を独占的に許諾したと解される,(2)本件契約条項は不合理な内容の附合契約とはいえず民法90条に違反しない,(3)本件契約条項は独占禁止法2条9項5号に基づく一般指定14項,13項にも当たらないから公序良俗に反することはない等として,控訴人らの請求をいずれも棄却した。そこで,一審原告たる控訴人らは,これを不服として本件控訴を提起した。」
「当審においては,前記争点のほか,本件契約条項が独占禁止法2条9項1号に基づく一般指定1項2号の共同の取引拒絶に該当し無効であるかどうかも争点とされれた。」

平井利明のメモ

|

2008.03.01

平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決 (保険金請求の事項の起算点に関して)

平成19(受)733保険金請求事件
平成20年02月28日最高裁判所第一小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
東京高等裁判所平成19年01月31日判決   
平成18(ネ)4726

裁判要旨
保険契約に適用される約款に基づく履行期が合意によって延期され,保険金請求権の消滅時効の起算点がその翌日となるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35867&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080228111311.pdf

判決文より
「上告人が,その所有する車両の盗難により損害を被ったと主張して,保険会社である被上告人に対し,保険契約に基づき,車両保険金及び遅延損害金の支払を求める事案」
「被上告人は,上告人の保険金請求権が時効により消滅したと主張して争っている」

保険金支払条項による履行期は,同条項のただし書にかかわらず,保険金請求手続が行われた日からその日を含めて30日を経過した日に到来すると解すべきである(最高裁平成5年(オ)第1858号同9年3月25日第三小法廷判決・民集51巻3号1565頁参照)。」
「しかし,前記事実関係によれば,本件保険金請求権については,保険金支払条項に基づく履行期が到来した後である平成14年11月5日付けで,被上告人の代理人である弁護士から上告人に対し,本件保険金請求についてはなお調査中であり,その調査に上告人の協力を求める旨記載した本件協力依頼書が送付され,その後1か月余り経過した同年12月11日付けで,同弁護士から上告人に対し,上告人の調査への協力には感謝するが,調査の結果,本件保険金請求には応じられないとの結論に達した旨記載した本件免責通知書が送付されたというのであるから,本件協力依頼書の送付から本件免責通知書の送付までの間は,被上告人が保険金を支払うことは考えられないし,上告人も,調査に協力してその結果を待っていたものと解されるので,訴訟を提起するなどして本件保険金請求権を行使することは考えられない。」
「そうすると,被上告人の代理人による本件協力依頼書の送付行為は,上告人に対し,調査への協力を求めるとともに,調査結果が出るまでは保険金の支払ができないことについて了承を求めるもの,すなわち,保険金支払条項に基づく履行期を調査結果が出るまで延期することを求めるものであり,上告人は,調査に協力することにより,これに応じたものと解するのが相当である。したがって,本件保険金請求権の履行期は,合意によって,本件免責通知書が上告人に到達した同月12日まで延期されたものというべきである。」
「そして,本件保険契約に適用される前記普通保険約款によれば,本件消滅時効の起算点は,保険金支払条項に基づく履行期の翌日とされているものと解されるところ,その履行期が同月12日まで延期されたのであるから,本件消滅時効の起算点は翌13日となる。」
「上告人の上記主張は,このような履行期延期の主張を含むものと解される。以上によると,本件消滅時効は,本件訴訟が提起された平成16年11月26日には,いまだ完成していなかったものというべきである。」

平井利明のメモ

|

2008.02.29

平成20年02月29日最高裁判所第二小法廷判決(賃料減額請求関連)

平成18(受)192賃料減額確認請求本訴,同反訴事件
平成20年02月29日最高裁判所第二小法廷判決

【破棄差戻し】

原審
大阪高等裁判所平成17年10月25日判決   
平成16(ネ)3454

裁判要旨
賃料自動改定特約のある建物賃貸借契約の賃借人から賃料減額請求がされた場合において,当事者が現実に合意した直近の賃料を基にすることなく,上記特約によって増額された賃料を基にして,増額された日から当該請求の日までの間に限定して経済事情の変動等を考慮した原審の判断に違法があるとされた事例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=35877&hanreiKbn=01

判決文(裁判所サイト)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080229105542.pdf

判決文より
「 原審は借地借家法32条1項の規定の解釈を誤ったというものであるので,この点について判断する。」
借地借家法32条1項の規定は,強行法規であり,賃料自動改定特約によってその適用を排除することはできないものである(最高裁昭和28年(オ)第861号同31年5月15日第三小法廷判決・民集10巻5号496頁,最高裁昭和54年(オ)第593号同56年4月20日第二小法廷判決・民集35巻3号656頁,最高裁平成14年(受)第689号同15年6月12日第一小法廷判決・民集57巻6号595頁参照)。そして,同項の規定に基づく賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては,賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のもの(以下,この賃料を「直近合意賃料」という。)を基にして,同賃料が合意された日以降の同項所定の経済事情の変動等のほか,諸般の事情を総合的に考慮すべきであり,賃料自動改定特約が存在したとしても,上記判断に当たっては,同特約に拘束されることはなく,上記諸般の事情の一つとして,同特約の存在や,同特約が定められるに至った経緯等が考慮の対象となるにすぎないというべきである。」
「したがって,本件各減額請求の当否及び相当純賃料の額は,本件各減額請求の直近合意賃料である本件賃貸借契約締結時の純賃料を基にして,同純賃料が合