医療機関の未収金問題に関する報告書(医療機関の未収金問題に関する検討会報告書)
医療機関の未収金問題に関する報告書
平成20年7月8日
http://ajhc.or.jp/siryo/20080708.pdf
医療機関の累積未収金額は巨額となっており,病院等の経営状況を悪化させる大きな要因となっている。この未納問題が病院等を倒産・閉鎖等にまで至らしめるおそれすら懸念されている。病院等が倒産・閉鎖等に至れば,治療を必要とする多くの方々が実害を被ることにもなる。
したがって,その解消を図ることは極めて重要な問題と言える。
しかし,現実的な問題として考えるならば
経済状況が悪化し且つ極めて多忙な病院の実態を考えると
回収等についての病院の自助努力を求めることは限界ではないだろうか。
なお,報告書が指摘するように制度間の連携を充実させることは非常に重要なことではあるが,そのようなことだけでは劇的な状況改善は不可能であるように思える。
悪質な滞納については・・・強力な徴収権限者による措置等
経済的困窮故の未納については・・・福祉の充実等
しか解消法はないのではないだろうか。
なお一定程度の回収困難等債権が発生することを前提として考えざるを得ないとすれば,回収の専門組織が既に存在すること及び迅速なる処理が健全なる経営につながることを考えると,許可事業であるサービサーの利用なども積極的に考えるべきではないのだろうか。
「債権管理回収業に関する特別措置法」が平成11年2月1日に施行されてサービサーによる債権回収が行われることとなったが,その制度が出来てから既に10年近くが経過することとなったが,サービサーによる回収が大きな社会的問題を発生させたとの報道等はほとんどなされておらず,このような制度を更に拡大させて利用させる素地が社会的に既に出来あがっているとは言えないのだろうか。個人的には,このような制度がもっと検討されて良いように思えるのだが(回収に際して,非人道的な振る舞いがあったとすれば,免許取消等を含む厳罰を処すことで対応が可能では)。
補記:
「公立病院改革を考えるセミナー(朝日新聞社など後援)が24日、大阪市内であり、大阪府内の公立病院の不良債務が07年度見込みで246億円を超える実態が報告された。全国の2割を占め、北海道に次ぐワースト2。06年度より約49億円増加した。参加した自治体担当者らからは「このままでは、病院のために自治体がつぶれる。民間も含めた再編が急務」との声があがった。」と報じられている。
2008年8月25日asahi.com.
http://www.asahi.com/health/news/OSK200808240049.html
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