平成22年03月16日最高裁判所第三小法廷判決(固有必要的共同訴訟関連)
平成20(オ)999遺言無効確認等請求事件
平成22年03月16日最高裁判所第三小法廷判決
【破棄自判】
原審
名古屋高等裁判所
平成19(ネ)988
平成20年04月15日
裁判要旨
甲の乙及び丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるのに,乙に対する請求を認容し,丙に対する請求を棄却する趣旨の判決がされた場合,上訴審は,甲が不服申立てをしていなくても,合一確定に必要な限度で,上記判決を丙に不利益に変更することができる
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38703&hanreiKbn=01
判決文
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100316115017.pdf
「被上告人の上告人Y1に対する控訴の適否について
本件請求に係る訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要する固有必要的共同訴訟と解するのが相当である(最高裁平成15年(受)第1153号同16年7月6日第三小法廷判決・民集58巻5号1319頁)。したがって,本件請求を棄却した第1審判決主文第2項は,被上告人の上告人Y1に対する請求をも棄却するものであるというべきであって,上記3の訴訟経過に照らせば,被上告人の上告人Y1に対する控訴につき,控訴の利益が認められることは明らかである。」
「本件請求に関する判断について
ア 本件請求に係る訴えは,固有必要的共同訴訟と解するのが相当であることは前示のとおりであるところ,原審は,本件請求を棄却した第1審判決を上告人Y2に対する関係でのみ取り消した上,同Y2に対する本件請求を認容する一方,同Y1に対する控訴を却下した結果,同Y1に対する関係では,本件請求を棄却した第1審判決を維持したものといわざるを得ない。このような原審の判断は,固有必要的共同訴訟における合一確定の要請に反するものである。
イ そして,原告甲の被告乙及び丙に対する訴えが固有必要的共同訴訟であるにもかかわらず,甲の乙に対する請求を認容し,甲の丙に対する請求を棄却するという趣旨の判決がされた場合には,上訴審は,甲が上訴又は附帯上訴をしていないときであっても,合一確定に必要な限度で,上記判決のうち丙に関する部分を,丙に不利益に変更することができると解するのが相当である(最高裁昭和44年(オ)第316号同48年7月20日第二小法廷判決・民集27巻7号863頁参照)。
そうすると,当裁判所は,原判決のうち上告人Y2に関する部分のみならず,同Y1に関する部分も破棄することができるというべきである。」
「以上によれば,上記各点に係る原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は,全部破棄を免れない。そして,上記事実関係によれば,上告人Y2は民法891条5号所定の相続欠格者に当たるというべきところ,記録によれば,同Y2及び同Y1は,第1審及び原審を通じて共通の訴訟代理人を選任し,本件請求の当否につき,全く同一の主張立証活動をしてきたことが明らかであって,本件請求については,同Y2のみならず,同Y1の関係においても,既に十分な審理が尽くされているということができるから,第1審判決のうち同Y2及び同Y1に対する関係で本件請求を棄却した部分を取り消した上,これらの請求を認容すべきである。」
平井利明のメモ
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- 令和2年10月13日最高裁判所第三小法廷判決(契約社員による退職金等請求関連)(2020.10.13)
- 最高裁判所令和2年10月13日判決(アルバイト職員との関係の事案で賞与等を支給しないことは労働契約法に違反しないとした例)(2020.10.13)
- 訴訟救助関係のメモ(2020.10.09)
- 平成30年2月15日最高裁判所第一小法廷判決(法令遵守体制等関連)(2018.02.15)
- 平成30年2月23日最高裁判所第二小法廷判決(抵当権の消滅時効関連)(2018.02.23)