訴訟救助関係のメモ
民事訴訟法
第三節 訴訟上の救助
(救助の付与)
第82条 訴訟の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、訴訟上の救助の決定をすることができる。ただし、勝訴の見込みがないとはいえないときに限る。
2 訴訟上の救助の決定は、審級ごとにする。
(救助の効力等)
第83条 訴訟上の救助の決定は、その定めるところに従い、訴訟及び強制執行について、次に掲げる効力を有する。
一 裁判費用並びに執行官の手数料及びその職務の執行に要する費用の支払の猶予
二 裁判所において付添いを命じた弁護士の報酬及び費用の支払の猶予
三 訴訟費用の担保の免除
2 訴訟上の救助の決定は、これを受けた者のためにのみその効力を有する。
3 裁判所は、訴訟の承継人に対し、決定で、猶予した費用の支払を命ずる。
(救助の決定の取消し)
第84条 訴訟上の救助の決定を受けた者が第82条第1項本文に規定する要件を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったときは、訴訟記録の存する裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、決定により、いつでも訴訟上の救助の決定を取り消し、猶予した費用の支払を命ずることができる。
(猶予された費用等の取立方法)
第85条 訴訟上の救助の決定を受けた者に支払を猶予した費用は、これを負担することとされた相手方から直接に取り立てることができる。この場合において、弁護士又は執行官は、報酬又は手数料及び費用について、訴訟上の救助の決定を受けた者に代わり、第71条第1項、第72条又は第73条第1項の申立て及び強制執行をすることができる。
(即時抗告)
第86条 この節に規定する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟規則
第三節 訴訟上の救助
(救助の申立ての方式等・法第82条)
第30条 訴訟上の救助の申立ては、書面でしなければならない。
2 訴訟上の救助の事由は、疎明しなければならない。
訴訟上の救助を申し立てる場合について
大阪家庭裁判所家事第3部人事訴訟係
昭和32(ウ)58 訴訟救助の申立事件
昭和32年8月13日 仙台高等裁判所
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=24837
主 文
本件訴訟上の救助申立を却下する。
理 由
申立人の救助申請理由は別紙のとおりである。
民訴法第一一九条によれば訴訟上の救助は各審においてこれを与うと規定されており、各審級毎に本案の係属する裁判所において付与すべきか否を決定すべきことになつている。
しかるところ申立人は当審昭和三一年(ネ)第一三四号家屋明渡請求控訴事件において敗訴し該判決に対し上告状を当裁判所に提出し上告をなしたのであるが、その上告状には印紙を貼用せず、該印紙その他今後生ずべき訴訟費用の救助を求むる旨の申請をも同時になしているので、これが許否につき審判をなすべきであるが既に当裁判所としては本案につき終局判決をなしているので果して右申請につき当庁において判断をなすべきものなりや否やにつき検討の要がある。
よつて按ずるに原裁判所たる当審はさきに控訴審としてなした本案判決に対して上告の提起があつた場合民訴法第三九九条の規定により、その上告の適否を審査しうべきであり、その場合即ち該審査の段階においては事件はなお当裁判所に係属すると認むべきであつてこれは一種の上告審としての手続関係ではあるが原裁判所に係属すると云う特種の関係にあるものというべきである。
従て当審としては前記民訴法第一一九条によりいわゆる本案の係属する裁判所に該当するものとして訴訟救助を付与すべきか否につき判断をなすべき権限を有するものと解するのを相当とする。
よつて次に救助を付与すべきか否の点について按ずるに訴訟上の救助が付与されるためには申請人において訴訟費用を支払う資力なく、本案の訴につき勝訴の見込あることを必要とする。
然るところ申請人においては既に本案につき第一、二審とも敗訴している許りでなく、その証拠関係及び判決理由その他記録全般を仔細に検討するに上告審において勝訴の結果を得るが如きことは到底これを期待しうべくもないものと認める外はない。されば本件申立は申請人が果して無資力か否かにつき審究するまでもなく失当として却下すべきものとして主文のとおり決定する。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/837/024837_hanrei.pdf
このような先例があるのですね(但し,旧民事訴訟法時代の判決)。
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