2013.10.23

物権法、担保物権法@生熊長幸著

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『物権法』
『担保物権法』
(三省堂テミス)

いずれも、立命館大学法科大学院の生熊教授にいただいた本です。
帯には,「基本から発展まで充実の内容」と記されている。
正直なところ,本当の初学者にとっては,難しいのかも知れない。それこそ,何度もかじりついてその一つ一つを自らのものにしていく必要がある。これは,いかなる分野について新にチャレンジする際には求められることではある。
しかし,ある程度物権法や担保物権をかじったことがある者にとっては,内容がコンパクトにまとめられていることから,物権法・担保物権法の基礎及び体系の再確認には非常に便利な本と考えられる。よくこれだけの内容を,この分量でまとめることができるものだと,感心してしまいます。
私も,読ませていただいて,自分の持っている知識や考えを改めて見直すと共に,不足している部分の補充をさせていただいている。
つまり,この本を読んで,書かれていることが自分に違和感を覚えることなく入ってくるならば,物権法や担保物権法はそれなりのレベルにあり,司法試験ならば十二分にクリアできるに達していることを認識できるといえるだろう。
反対に,書かれていることが,「未だ~・・・」という方は,その部分については,さらなる研鑽が必要であるということを,簡単に示してくれる本であるともいえる。

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2012.04.05

「毎月更新! 12模範六法 改正法情報」(三省堂)

更新内容
http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/roppou/roppou_dic/moroku_2012_tuika_index.html

『模範六法 2012』・『模範小六法 2012』の法令現在(2011年8月29日)以降に公布された改正法令や新法令を紹介します。
とのこと。

平井利明のメモ

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2011.12.16

「ソブリンリスクの正体」@浜矩子著

「ソブリンリスクの正体」@浜矩子著 フォレスト出版 2011年11月

 ヨーロッパのギリシャの経済危機に端を発し,EU諸国がその対応に苦慮している。それ以前にも,漁業国から金融大国への道を歩み始めたアイスランドの経済危機,ロシア危機等色々な経済危機はあったが,昨今の危機は,ヨーロッパ全体にその影響が及び且つそれだけに留まらない不気味さがある。
 そのことに関連して,何か本がないかと思っていたところ,この本が書店で目についたので読んでみた。
 経済危機に,国家が,例えば赤字国債等を発行して経済へのカンフル剤とするような政策の持つ意味合い等について,割とシンプルに説明がなされている。
 浜氏の著作は,出来るだけシンプルに物事をとらえて説明がなされるので,とてもわかりやすく物事を考える際の材料と成る。

 但し,その言わんとするところを為政者が選択できるかと言えば、現実的には困難であろうから,それ以外の道を誰もが模索していてるのだろうが,現実的には未だ見いだせていないのだろうとは思う(但し,そもそもそのような解決方法は無いのかもしれない,仮にそうだとすれば,現在の状況は破綻への道への途中に過ぎないことになる)。

 法律と経済とは結構密接な関係にあるが,多くの法律実務家にとっては,経済の仕組み或いは現象は,ある意味,近寄りがたくまた近寄りたくない世界なのかも知れない。 

 例えば,証券化は法的技術に基づくものであり,その法律的な意味はある程度理解できる。しかし,それが具体的に経済社会において,どのような影響を及ぼすものであるのかについて,プラス面についてはある程度理解できても(そのために証券化するのだから),それがどのようなマイナス面をもたらすのかについてなど殆ど考えたことがなかった。
 そのような者が,既に触れたものではあるが,サブプライム問題について触れた「サブプライム不況」@中空麻奈著に接して,サブプライム問題と証券化の現実的な絡み合いを垣間見たことは,ある意味新鮮だった。
 技術を扱う者が,その先に起こることを必ずしも予想できるものでは無い。
 
 法律というある意味技術を扱う者として,その扱った結果がどのような影響を及ぼすものであるかについては,常々思うところではあるが,やはり考えていかなければならないものだと,経済関連の本を読ませていただくと,いつも思わされることである。

平井利明のメモ

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2011.02.23

納税者権利憲章で税制が変わる!(峰崎直樹内閣官房参与V.S.三木義一青山学院大学教授の対談)

税制などの税金にまつわる制度は,全ての方にとって密接に関わりそして重要な問題である。
それにも関わらず,その税金にまつわる制度が,現在どのようなものとなっていてそして具体的にどのような問題点があるのか等については,関心が持たれていないことが実情であろう。

残念ながら,そういう私もその一人である。日常,比較的に法律に近い存在にあるとはいえるが,税法等には余り関心が無いのが正直なところだる。それは他の多くの弁護士等にも共通していることかも知れない。

そんな私だからこそ,三木先生は,この本を送って下さったのでしょう。

現在の税制の根幹部分には,具体的に大きな問題がある。

例えば,
「納税者の権利があるという意味合いが法律上は明確に示されていない」
「現在の税制においては課税庁からの増額更正(事後的な納税額の増額)の期間制限が5年であるのに対して,納税者からの更正の請求(事後的な納税額の減税)の期間制限が1年である」
「税務調査の事前告知が制度化されておらず処分に際する理由も明記されていない」
また実務的には,前近代的ともいうべき「嘆願書」なる書類がまかり通っている。
(ついでに言うと,裁判所に対して「上申書」なる書類を提出することがあることについては常々疑問を有するのだが,実務上まかり通っていて又他に良い名称を思い浮かばないこともあり,それに従っている私があるのだが)

現在の税制の根幹部分が抱えている問題,そして,現在の改正の手続の有り様等が,対談の形式を通じて次のお二人によって平易に示されているのが本書であった。
峰崎直樹/現内閣官房参与、前参議院議員、財務副大臣、政府税調企画委員会主査
三木義一/青山学院大学教授、政府税調専門会委員会委員・納税環境整備小委員会委員長

正直なところ,民主党政権も,(言っては失礼に当たるのだろうが)見えないところで本当に国民のためになる仕事を進めていることを感じさせられると共に,なぜ,今までこのような現状が続いてきたのだろうか,もっとこのような点はアピールすべきであろうし,マスコミも取り上げるべきであるのに,そのようなことが埋もれてしまっているのが昨今であるという点でも,色々と勉強させられた。

そんな思いを,今日この頃の通勤電車の中で本書を読みながら持っていたのだが,そんな折,fecebookにて「三木先生」のアカウントを見つけたので,友達になって頂いた。
http://ja-jp.facebook.com/people/Yoshikazu-Miki/100001978042312

三木先生の税制改革に対する思いは「あとがきに」記されていると感ずるので
それを引用させて頂く・

「平成23年度税制改正大綱で示された納税環境整備に関わる改革案は,政権交代を象徴する大きな意義のあるものである。国家の中枢である税務行政の手続法制を半世紀ぶりに改革し,市民社会にふさわしいものにしたからである。
これまでは,事前通知せずに調査をしたり,理由も書かずに不利益な処分をすること等も可能だったが,これからは原則として許されなくなり,納税者に対して適正な手続きに基づいて納税義務の履行を求めねばならないことになる。このような当然のことが漸く今回の改革案で実現できそうになったのである。
 しかし,実現のためには法律の成立を待たねばならない。具体的に法律になるまでの過程においても様々な議論があり得るが,今後の議論のためにも報告書作成に関わった峰崎参与の改革意図を確認したいと考え,今回の対談となった。
 私が担当した小委員会は論点を整理し,様々な考え方を取り上げたが,税調のPTの方々は非常に積極的な考え方に基づいて手続法制の整備を要求されたことがご理解いただけると思う。税調PTの政治家の方々に心から敬意を表したい。
 もちろん,今回の改革が手続法制の理想からみて100点満点ではありえない。不十分と批判される部分もあるだろう。しかし,そのことで全体を見失ってはならないし,角を矯めて牛を殺してはならない。今回の改革は,長い目で見れば,日本の税制を根底から変えていく第一歩になりうるものであるし,またそうしなければならないのである。」

納税者権利憲章で税制が変わる!
月刊「税理」編集局/編
ISBN 978-4-324-09262-0
図書コード 5107733-00-000
発行年月日 2011年02月10日

「納税者権利憲章」の意義や影響を、改正作業に携わった峰崎直樹内閣官房参与(前財務副大臣・政府税調企画委員会主査)、三木義一青山学院大学教授(政府税調納税環境整備小委員会座長)の対談でわかりやすく解説します。

編著者紹介(肩書は発刊当時)

平井利明のメモ

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2011.02.09

「グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた」辻野晃一郎 (著)

ソニーに長年勤務した後に,google日本法人の社長を務めた経験のある著者による。
世に斬新な製品を次々と生み出してきたSonyの現状に対する厳しい視線と,ネットワーク時代に躍進を続けるgoogleの企業のあり方が,著者の目を通じて語られている。
なかなか面白く読ませて頂いた。
但し,筆者の個人を通じた内容・意見であり,その客観性については配慮が必要であろう。
現在のソニーの有り様は,部外者の私にはわからないが,

確かに世界を「アッと」言わせる製品を見なくなったという感はある。

先月,ソニー製のテレビを購入した。
テレビとしての機能は性能として優れていると思う。
なお,インターネットに接続させることもできるので,Youtubeの動画などをテレビで観たり聴いたりしているのだが,なかなかの迫力で(正直なところ,パソコンの貧弱な環境で観たり聴いたりしているのとまた異なった世界である),これからのテレビの有り様を感じさせる(放映中のテレビ番組に魅力的なものが少ないという意味でもある)。
それはよいのだが,インターネット接続させる際の文字入力方法は,附属のリモコンを用いるしかない。一つ一つ文字を選択して文字入力を行っていく。
とてもとてもまどろっこしい。いつの時代のものなのと考えさせられる。
(無線・有線)キーボード等を接続させたりする方法は,調べてみた限りではなさそうだ。
これがあのソニーの製品なのか?と正直感じた。
そんな折の本書であった。

平井利明のメモ

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2010.08.09

風姿花伝(風姿花傳)

能楽を大成させた世阿弥が著した書
一般的には「花伝書」と呼ばれている。

「そもそも,風姿花傳の條々,大方,外見の憚り,子孫の庭訓のために記すといえども,ただ望む所の本意とは,當世,この道の輩をみるに,藝の嗜みは疎かにて,非道のみ行じ,たまたま當藝に至るときも,ただ一夕の見證,一旦の名利に染みて,源を忘れて流れを失う事,道既に廃る時節かと,これを歎くのみなり。しかれば,道を嗜み,藝を重んずる所,私なくば,などかその徳を得ざらん。殊さら,その藝,その風を継ぐといえども,自力より出づる振舞いあれば,語にも及び難し。その風を得て,心より心に傅はる花なれば,風姿花傳と名附く。」

用いられている言い回しは古いものであることから理解するに容易ではないが,難解すぎるというものでもない。しかし,内容的に難しい。平易な例を以て説明がなされているのだが,それでも凡人には解しがたい所が多い。それでも何度か目を通していると,何となく意味のわかってくる個所がある。面白い。

解説によると,「風姿花伝」は一子相伝の書として遺されたものであったことから,明治42年に学会に紹介されるまで世人が触れることのできないものであったとのこと。

平井利明のメモ

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2009.10.11

「計算とは何か」新井紀子・新井敏康著

「計算とは何か」
新井紀子・新井敏康著
上野健爾・新井紀子監修

2009年10月25日第1刷発行 東京図書

文系人間として,特に先入観を持たずに読み始めた。
私にとっては,昔々(笑)チャレンジしたことがあったなあというかすかな記憶しか残っていない,多くの数式等との遭遇。
かつて,数学等理系分野に挫折した者にとっては忌まわしき思い出との出会いの場ともなったことは事実である。
文中に示されている,殆どの数式は私にとっては理解不能であったことが現実だが,それでもたしかこの数式はこのようなときに必要なものであって,こんな考え方だったよねなんて考えながら読み進めていくと(シグマ,三角関数,微積分等々),最後までたどり着くことことは出来た(わからない計算式は,わからないものとして対応させていただいて・・笑)。
全体を通じて,昔からおぼろげながらにでも感じていた数学の概念の関連性やその生い立ちを鳥瞰するものとして興味深いものであった。
また,「数」(実数)の世界について殆ど知識が無く,現在にいたっては殆ど解明されているのだろうと誤解していたのだが,実は,実数の大半は無理数であり,それらの大半は,表現も出来ず,大小さえもわからないものだそうで,数学の世界の奥深さにも知ることが出来た。
更に,数学には「虚数」の世界もあったよね,なんて考えると,この世に人類が誕生してから累々と続く,物事を理解し,簡便化し,そしてより良き生活につなげようとする努力の中で生まれてくる思考の世界の素晴らしさ凄さを改めて思わずにはいられない。
数年前に,量子力学の概要書に触れたのだが,それまでの物理学の理屈(これも理解は出来ていないのだが,笑)が通用しない中での物理の世界の話に大きく感動させられたが,数学もそのような混沌としたものであることは新鮮であった。

読み終わって「刊行にあたって」を読ませていただいた。
本書は,算数や数学の地図とし数学の各単元が地図の中でどのような役割を果たしているのかを示すことを企図して刊行されたことが触れられているが,まさにそのような役割を十分果たしている本だと思う。

平井利明のメモ

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2009.05.28

「見抜く力」:平井伯昌著

平井コーチは,水泳の北島康介選手や中村礼子選手らの指導に当たったコーチである。
「オリンピックの世界の頂点に立つことだけが,最終目的では決してない。・・・水泳を通じてみんなのお手本になる,社会の中で皆さんの役に立っていける人間になってもらいたい・・・・」とある。

私も現在ロースクールに関わっている立場にあるが,似たような心境にある。
新司法試験には合格してもらいたいが,それだけの人だけにはなって欲しくない。
従って,新司法試験向けにも役立つだろうが,その先にも使えるようなものとなることを考えている。
実務の世界で依頼者等の依頼に応えられる人になって欲しいし,また,それを通じて大きく社会のために役立つ人となって欲しいと思っている。
新司法試験はそのような人物を選択するための試験。

「見抜く力」
夢を叶えるコーチング
平井伯昌著
幻冬舎新書
2008年11月

平井利明のメモ

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2009.04.22

「一日一生」天台宗大阿闍梨酒井雄哉著

筆者というよりも語り部が比叡山飯室谷不動堂長寿院住職である酒井氏による著作。

約7年をかけて地球一周に匹敵する約4万キロを歩く荒行「千日回峰行」を2度も満行された方とのこと。

しかし,もともと素晴らしい人生を歩んできたというものではないようだ。ありきたりかも知れないが親や兄弟の愛を受ける一方では,色々な苦難・挫折を経験して,今があるという方。
そのような方の言葉は,受け取りようによっては普通の言葉ではあるのだが,俗人が話す言葉とことなる重みがある。
読ませていただいて,心するところは少なくない。

朝日新書138
2008年10月

平井利明のメモ

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2009.03.18

「オスマン帝国」イスラム世界の「柔らかい専制」鈴木董著

現代の西洋が暗黒時代を迎えていたときに
政治・文化・軍事等の先進国だったのはイスラム世界
そのイスラムの世界をのぞいておくことは現代においても主要な宗教の一つであるイスラム教への理解のためにも大事なことだと思う。

講談社現代新書

1992年4月

平井利明のメモ

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