科学等

2011.06.16

正常なタウタンパク質の蓄積が引き起こす認知症の原因究明(理化学研究所)

正常なタウタンパク質の蓄積が引き起こす認知症の原因究明
-ヒト型タウタンパク質発現マウスによる認知症研究の新展開-
平成23年6月15日
独立行政法人 理化学研究所

◇ポイント◇
ヒト型タウタンパク質を脳内で発現するマウスは、加齢に伴い記憶・行動障害を示す
老齢期のマウス脳の局所的な神経活動の低下を分子イメージングで追跡
タウオパチーの多様な病状の解明に期待


とのことです。

http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110615/index.html


平井利明(弁護士@中村・平井・田邉法律事務所)のメモ

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運動学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要(理化学研究所)

運動学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要
―休憩の間に運動学習の記憶が神経回路に沿って移動し固定化する-
平成23年6月15日
独立行政法人 理化学研究所
◇ポイント◇
一夜漬け(集中学習)より休憩を取りながら(分散学習)の学習が効果的
集中学習の記憶は小脳皮質に、分散学習の記憶は小脳核にそれぞれ保持される
運動学習の記憶が長続きする仕組みを解明、学習中に産生するタンパク質が重要
とのことであり,
一夜漬けが不効率であることが科学的に裏付けられたとのこと。

平井利明(弁護士@中村・平井・田邉法律事務所)のメモ

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2010.05.08

ネンキンの不思議

 先日,本屋で目に止まった「粘菌 その驚くべき知性」(中垣俊之著,PHPサイエンス・ワールド新書,2010年5月刊行)という本を手に取った。
 ペラペラッとページをめくってみると,「粘菌」が迷路を解く,カーナビへの応用等なにやら興味深げなことが記されているので,買って読み進めている。粘菌という単細胞の生物の生態・活動の観察から「知性」の理解への足がかりを探るものと言え,かなり興味深いことが記されている。
 知性とは高度な営みであるとは思うが,その原点はもの凄く単純なものなのかもしれない。

 この本を読んでいる途上は,実は,先ほど紹介した「ブレイクスルーの科学者たち」(竹内薫著,PHP新書,2010年4月刊)も途上であった(私の場合,本を読みたくなったときは次々と本を買って,一冊の途中で休んで,他のものにも手を出して,その後また戻ってくる或いは戻ってこずに途中で終了というパターンが多い・・笑)。この本に戻って,読み進めてみると,中垣俊之氏による粘菌の話も取り上げられていて,少し笑ってしまった。ブレイクスルーした凄い人だったから,「粘菌」というとてもマイナーなものを取り上げた本が店頭にあったのかと。単なる新刊だからではなかったのだと。
 興味深いことは,「粘菌」という単細胞の生物に「知性」ということについての意味合いについてであった。
 私などは,単純なので「粘菌」にだって知性があっていいじゃないかと思うのだが,やはりキリスト教を基本とする西洋においては,神から作られた人にのみ知性が宿るという発想があり,(動物の知性も受け入れがたいところ)粘菌如きの単細胞に知性があってはたまらないという雰囲気の抵抗を受けるようである。そういえば,西洋には,未だに進化論を受け入れない者があるという話を思い出した。
 また,中垣氏は,生物学の世界に,数学的な手法を取り入れて解析を行う手法を用いておられるのだが,生物学の世界では,そのようなことについて歓迎をしない風潮が一部にはあるようである。
 
 しかし,新しき手法をもって古きにチャレンジすることは,古い価値観から導き出せなかった側面を真実を見いだすものとなる。
 その気持ちは,持たなければならないものである。


 その前に,
 両書を読み終える時期は,いつになるのだろうか(笑) 

平井利明のメモ

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iPS細胞研究所が報道陣に公開されたとのこと。

2010年4月1日に,人工多能性幹細胞(iPS細胞)研究に特化した京都大学のiPS細胞研究所(Center for iPS Cell Research and Application: CiRA)が設立されていたのだが,本日,報道関係者に対して公開されたとのこと。
テレビに映し出された施設は,立派そのもの。
iPS細胞研究所(京都市左京区)は地上5階,地下1階建の建物からなり約47億円をかけたとのこと。それまで分散していた研究拠点が集約され,研究者やスタッフは約120人となるとのこと。研究所の所長はマウスiPS細胞を初めて作り出した山中伸弥教授。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html
素晴らしいことである。

 現在,並行して読み進めている本の一つに「ブレイクスルーの科学者たち」(竹内薫著,PHP新書,2010年4月刊)がある。その中で取り上げられた一番手が山中教授である。
 著者である竹内氏による取材は,2008年7月(iPS細胞の発見が発表されたのはその2年前となる2006年8月)に行われたとのことだが,『階段を上がって,リノリューム張りの廊下を歩いてゆくと,薄っぺらい扉の向こうにiPSプロジェクトの長である山中伸弥教授の研究室があった。正直いって,驚きを隠せなかった。なぜなら(中略),われわれの面前には,「ようやくクーラーを入れてもらいました」というプレハブ調の極めて質素な応接室が出現した。』とのことである。

 素晴らしい設備とスタッフにより,多くの患者が救われる日が近くなることを期待するばかりである。昨日(5月7日)には,人工多能性幹細胞(iPS細胞)の特許管理会社である「iPSアカデミアジャパン」が,特許技術のライセンス契約を初めての海外企業と締結したことが公表されている(毎日新聞)。
 他方,昨日は,京都大人文科学研究所の加藤和人准教授(生命倫理)らが,政府や研究者社会の姿勢により研究が阻害されているとする旨の論評を6日付の米科学誌に発表したことも報じられている(毎日新聞)。

 なお,上記著書の「はじめに」と記されら個所には「科学技術は伝え続けないと,社会から切り捨てられてしまう。本書にご登場いただいた科学者は全員,私の危機感を共有してくれている(だから取材を受けてくれたのだ!)。」とある。
 我が国における科学の振興のためには,色々な意味での科学の現状のへの理解が必要だと思う。私は数学的素養及び科学的素養に欠ける者ではあるが,同書は,非常に読みやすい書である。そして,科学そして科学者への関心を持つきっかけになる書だと思うので,お薦めの一冊と思っている。

平井利明のメモ

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